2026年6月18日(現地時間) – Autodeskは、レンダラーの最新アップデートである「Arnold 7.5.2.0」をリリースしました。このバージョンは、3ds Max 2027.2、Maya2027.2に含まれているバージョンとなります。
主な新機能
このバージョンはマイナーアップデートとなっていますが、3Dガウシアンスプラッティングのサポートや、ノンフォトリアルレンダリング(NPR)向けの強力な新ノードの追加、そしてUSD連携の大幅な強化など、多くの機能追加と改善が含まれています。
クラウドレンダリング「Flow Render」のテックプレビュー
Arnoldの新たなクラウドレンダリングソリューションである「Flow Render」のテックプレビューは、バージョン7.5.1.0から引き続き提供されています。テストおよび評価を目的として、Arnoldユーザーには1ユーザーにつき月間2400分のレンダリング時間が提供されています。機能に関するフィードバックや問題の報告は、Arnoldフォーラムにて受け付けています。
7.5.2.0では、 ファイルアップロードにおける5GBの制限が撤廃(マルチパートアップロード対応)されたほか、シーン提出時の出力とカメラの検証機能が強化され、不足がある場合はエラーとして処理されるようになりました。
3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)のサポート
Arnold上で3Dガウシアンスプラッティングシーンのレンダリングがサポートされました。
3DGSレンダリングは、pointsノードを使用し、points.modeをgaussianに設定することで有効になります。
Arnoldにおけるガウス・スプラット(Gaussian Splat)データの読み込みは、points ノードの file_name パラメータに .ply ファイルを指定するか、ノード上にポイント単位の配列データとして直接渡すことで行えます。
レンダリングには gaussian_splat_shader ノードを使用します。このシェーダには、ライティングの影響を受けないオリジナルカラーを表現する emission(放射) と、ライティングの再調整(リライティング)を行うための diffuse(拡散反射) という2つの機能が含まれています。デフォルトでは emission のみが適用されるためライトなしで描画されますが、シーン内のライティングを反映させたい場合は diffuse のウェイトを引き上げることで、パストレーシングを介してライトに反応するレンダリングが可能になります。
次の動画では、メッシュでスプラットをマスキングするテクニックを見ることができます。
Gaussian Splat Shaderのコントロールオプション
Gaussian Splat Shaderでは、レンダリング時におけるガウス・スプラットデータセットの外観を制御することができます。シェーダは各スプラットのシェーディング方法や、保持されているカラー・放射(radiance)データの解釈、色調整(tint)、最終画像への合成方法を決定します。
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
| Emission Weight (放射のウェイト) | スプラットのカラーを発光として扱い、保持されている放射データの寄与度を調整します。1.0(デフォルト)で元の明るさとなり、0.0で無効化されます。 |
| Emission Tint (放射のカラー調整) | 放射成分に乗算カラーを適用します。白(デフォルト)で元のカラーを保持し、その他の色でルックデベロップメントやシーンのライティングに馴染ませることができます。 |
| Diffuse Weight (拡散反射のウェイト) | シーン内のライトからの拡散反射シェーディングの寄与度を調整します。Arnoldのライトに反応させる場合は0.0以外、シェーディングを行わない放射のみの見た目にする場合は0.0(デフォルト)に設定します。 ※ガウス・スプラットは同一シーン内でポリゴンメッシュ、カーブ、ボリューム等と混在可能で、反射や屈折といったレイトレース効果もサポートされます。 |
| Diffuse Tint (拡散反射のカラー調整) | 各スプラットの拡散反射成分に対して乗算カラーを適用します。 |
| Diffuse Roughness (拡散反射の粗さ) | 拡散反射応答の粗さを制御します。値を大きくすると、各スプラット上の拡散反射の減衰(falloff)がよりフラットで均一になります。 |

NPR向け新ノード
Tone zones
セルシェーディングやノンフォトリアルレンダリングのワークフローに最適なtone_zonesノードが追加されました。ライティングを最大8つの独立した輝度バンド(段階)に分割することができます。ゾーンの幅は比率で定義されるため、露出を変更しても安定した見た目を維持します。各ゾーンの境界を個別にぼかしたり、ノードを連結してさらにゾーンを細分化することも可能です。
Shader to RGBA
新しいshader_to_rgbaノードは、サーフェスシェーダー(openpbr_surfaceなど)のライティング結果を評価し、シェーディングツリー内で利用可能なRGBA値として出力します。この出力をランプノードに接続することで、高度なスタイライズ表現が可能になります。
直接光と間接光は別々に出力でき、ライトグループフィルターを使用したライトごとの調整もサポートしています(現在、GPUレンダリング時の間接光出力は未対応です)。

Noiceデノイザーの品質向上
これまでのArnold Denoiser (Noice)デノイザーは、十分なサンプル数があっても画像が過度にぼやけてしまうことがありましたが、今回の改善によりディテールがより保持されるようになりました。また、稀に発生していた黒いピクセルのアーティファクトも修正されています。
※仕様変更として、パラメーター名がvarianceからfilter_strengthに変更されました(旧名もエイリアスとして引き続き使用可能です)


パフォーマンスとワークフローの改善
- GPUシーンアップデートの高速化: メッシュのインタラクティブな編集時など、GPUシーンの更新にかかる時間が最大43%短縮され、より快適な作業が可能になりました。
- ポイントクラウドクエリの拡張: 最大1024個の最近傍点のクエリが可能となり、関連する組み込み関数(
pointcloud_search、pointcloud_get)がGPUでも動作するようになりました。 - EXRおよびPLYファイルの取り扱い改善: マルチパートEXRファイルにおけるサブイメージごとの圧縮がサポートされました。また、PLYファイルからのメッシュ読み込み速度が概ね1.2〜1.4倍向上しています。
- Overlayイメージャーのデフォルトフォント: ユーザーが指定したフォントがシステム上で利用できない場合でも、エラーで停止するのではなく、ArialやLiberation Sansなどのシステムのデフォルトフォントを使用してレンダリングを試みるようになりました。
- レンダーレポートの拡充: パフォーマンス確認に役立つレンダーレポートに、Arnoldのグローバルレンダリング設定(Optionsノードのパラメータ)が含まれるようになり、テスト時の環境把握がしやすくなりました。

kickコマンドの強化:-setコマンドを使用して、options.driversなどの文字列配列パラメータを上書きできるようになりました。- モーションブラーの個別無効化: Optionsに
ignore_motion_transformとignore_motion_deformが追加され、トランスフォームとデフォームのモーションブラーを個別に無視できるようになりました。
USD連携の強化
- UsdLuxの完全サポート: Optionsノードの
usdlux_versionを25.05に設定することで、USDライトの最新標準規格に対応するようになりました。これまでスポットライトやスフィアライトに限定されていた「コーンシェーピング(コーン角度、柔らかさ、フォーカス、フォーカスカラー)」や「IESプロファイル(向き、角度スケール、明るさの正規化コントロール)」が、シリンダー、ディスク、クアッド、メッシュライトなど、すべてのライトタイプで機能するようになりました。


- ネストされたインスタンサーの最適化: 新しい軽量なインスタンシング処理が、ネストされたプロシージャルにも拡張されました。複雑なプロダクションシーンにおいて、起動時間が最大5倍高速化したと報告されています。
- Gaussian SplatのUSDスキーマ: USD 26.03の
ParticleField3DGaussianSplatスキーマの読み込みに対する予備サポートが追加され、USD内でオーサリングされたGaussian Splatデータのレンダリングが可能になりました。 - レンダーパスにおけるマット: Hydra 2において、レンダーパスがArnoldでのマット属性(matte attribute)をサポートするようになりました。
- 参照先USDファイル内のArnoldNodeGraph: ArnoldNodeGraphプリミティブを含むUSDファイルが、より大規模なステージに参照(リファレンス)された際に、正しく解決(リゾルブ)されるようになりました。
- Hole Indicesのサポート: 非サブディビジョンメッシュのUsdGeomMeshにおいて、Hole Indices(穴のインデックス)がサポートされるようになりました。
ライブラリのアップデート
コアとなるオープンソースライブラリが以下のバージョンに更新されました。
- OSL: 1.14.2.0 へアップデート。
- OpenColorIO: 2.5.2 へアップデート。
- MaterialX: 1.39.5 へアップデート。

価格とシステム要件
Arnold は、Windows 10以降、macOS 11以降、Linux、glibc 2.28以上(RHEL/Rocky 8に相当)で利用できます。一般に、Arnold は、Houdini、Maya、Cinema 4D、3ds Max、Katana が動作するほぼすべての64 ビットシステムで動作します。
より詳しいシステム要件の確認はこちらから
Arnold はデフォルトでMaya と3dsMaxに含まれています。その他のソフトウェアでの利用での Arnold の購入価格は、1ヵ月サブスクリプションが 9,900円、1年サブスクリプションが 73,700円、3年サブスクリプションが 221,100円です。
また、Media & Entertainment Collectionにも含まれています。































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