2026年7月20日(現地時間) – Chaosは、メディア&エンターテイメント向けの V-Ray 7, update 4 を発表しました。
新機能ハイライト
このアップデートでは、DCCツールのビューポート内からChaos Vantageによるリアルタイムレンダリングへ直接アクセス可能になったほか、ベイクされたライティングの影響を解消してスキャン環境を3Dシーンに馴染ませる「3D Gaussian Splatsのリライティング」が導入されました。
また、バーチャルプロダクション向けツール「Chaos Arena」との連携による撮影現場でのリアルタイムコントロールや、ボリューム対応LPEなどのコンポジット効率化、AIを活用した最大16Kまでのアップスケーリング機能など、仕上げ工程のツール群も大きく進化しています。
さらに、CPUパフォーマンスの最大13%向上や、V-Ray GPU IPR起動速度の高速化(最大2倍)をはじめとする最適化とワークフローの改善も行われています。
以下は、各DCCツールでの新機能の詳細です。
リアルタイム & プレプロダクション
ビューポート内でのVantageリアルタイムレンダリング
これまで、Chaos Vantageのパストレーシングによる高品質なリアルタイムプレビューを利用するには、Live Linkを通じて別のウィンドウで作業する必要がありました。今回のアップデートにより、この体験がDCCツールのビューポート内に直接統合されました。
これにより、ワンクリックでシーンがVantageでレンダリングされ、作業環境を離れることなく最終的なレンダリング品質でシーンをナビゲートし、構築を続けることができます。
シーンへの変更は即座に更新され、Chaos Cosmosからのアセット配置やレイアウト変更もリアルタイムに反映されます。 アニメーションやキャラクターの動きも確認できるため、レンダリングを実行する前に映像のペースや構成を正確に把握することが可能です。
マテリアル、ライティング、ディスプレイスメントによる表面の凹凸までがサポートされており、制作の初期段階から没入感のあるシームレスなワークフローを実現しています。
Gaussian Splat(ガウシアンスプラット)のリライティング対応
現実の環境をキャプチャして表現する手法として普及しているGaussian Splatが、より自然に3Dシーンへ統合できるようになりました。
V-RayではSplatを直接シーンに読み込めるだけでなく、標準のV-Rayライトを使用して照明を当てることが可能になりました。専用のブレンドコントロールを使用することで、他の3Dアセットや様々な照明設定と違和感なく馴染ませることができます。この機能はVantageやProject Arenaなど、Chaosのエコシステム全体でサポートされています。
さらに進化したリアルタイムボリューム
リアルタイムのボリューム効果をより高速にレンダリングできるようになりました。
VantageがVDBキャッシュファイルの書き出しに対応したことで、初期段階のプリビズ(Previz)から最終プロダクションに至るまで、既存の流体シミュレーションをシームレスに再利用して統合できるようになりました。
AI画像生成機能「Veras」の統合
Chaosの製品群に統合されているAI画像ジェネレーター「Veras」が、V-Ray for MayaおよびVantageでも利用可能になりました。
レンダリング画像やビューポートのスナップショットを入力として、プロンプトや参照画像を組み合わせることで、新しい画像やバリエーションを生成可能です。本格的なシーンを構築する前のブロックアウト段階でも、ライティングやマテリアル、雰囲気のアイデアを素早くテストし、方向性を評価するのに役立ちます。また、完成したシーンに新しい要素を追加するセットエクステンションとしても機能します。
バーチャルプロダクション向け Chaos Arena との連携強化
リアルタイム マテリアル編集
LEDウォールを利用したインカメラVFX向けのリアルタイムソリューション「Chaos Arena」も強化されました。アセットを変換することなくV-RayシーンやUSDを直接扱う、LEDウォールを使用したライブ撮影中に、Arenaのマテリアルエディタから3Dシーン内のシェーダーを直接コントロールできるようになりました。
DCCに戻ってマテリアルを変更するために撮影を中断するコストを抑え、監督の要望をカメラを止めることなく即座に空間へ反映させることが可能です。
リアルタイム 被写界深度(Depth of Field)
実写のキャストや小道具をバーチャル世界と自然に融合させる、リアルタイム被写界深度(Depth of Field)が新たにサポートされました。
レンズエンコーダーと組み合わせることで、物理カメラのレンズ変更がLEDウォールに連動し、仮想カメラと現実のカメラが常に同期した状態を保ちつことができます。
デカール カラーコレクション
環境全体に影響を与えずに、特定の領域だけを調整できるデカールカラー補正機能が追加されました。
デカールオブジェクトをシーン内に配置して目的の領域をカバーすることで、そのエリア内のオブジェクトの色を撮影現場で即座に補正できます。現実の美術小道具や地面の色を、LED背景のデジタル環境とマッチさせる作業で役立ちます。
レンズエンコーダーのサポート
レンズエンコーダーに対応したことで、セット上の物理カメラのフォーカスやズームといったパラメータとバーチャルカメラを同期させることが可能になりました。
物理カメラレンズの焦点距離やフォーカスを手動で変更すると、それらの変更がLEDウォールにレンダリングされる3Dシーンの仮想カメラへ動的に反映されます。
レンダリング処理の高速化と効率化
CPUおよびGPUレンダリングの両方で、全体的な動作がより高速かつ応答性の高いものに最適化されました。GPUではテクスチャのディスクキャッシュやVRAMへのアップロードが改善され、インタラクティブレンダリング時には早い段階でノイズを抑えた画像を確認できるよう、NVIDIAデノイザーがライトキャッシュに適用されます。CPUレンダリングでは、Intel ICXコンパイラへの移行によりWindowsで最大13%、Linuxで最大6%の高速化が実現しました。
また、複数マシンの処理能力を束ねる分散レンダリング機能が「DR2」としてアップデートされました。新しいディスパッチャーの導入によりメインマシンのボトルネックが解消され、ダイナミックバケットスプリッティングのサポートにより、マシンを追加するほど効率的にレンダリング速度が向上するようスケーラビリティが改善されています。

ファーストピクセルまでの時間を短縮
VRAMへのアセットアップロードの高速化とテクスチャ圧縮の最適化により、V-Ray GPU IPRの起動が最大2倍高速化。レンダリング開始時の応答性が向上しました。
プロファイルガイド付き最適化によるCPU高速化
Intel® ICXコンパイラへの移行と、Intel® Core™ UltraプロセッサーがサポートするハードウェアPGOの実装により、CPUレンダリングのパフォーマンスが最大13%向上しました。
ライトキャッシュ デノイズ
実際のレンダリングが始まる前にライトキャッシュに対して直接デノイザーを適用することで、高周波ノイズを平滑化します。よりクリアでスムーズなレンダリングプレビューを早い段階で得られます。NVIDIA Denoiserではデフォルトで有効化されています。
視野外ディスプレイスメントのテセレーション最適化
カメラの視野の外側にあるオブジェクトのディスプレイスメントおよびサブディビジョンサーフェスのテセレーション詳細度を動的に下げることで、シーンのメモリ使用量を削減します。視覚的な品質を損なうことなくレンダリング時間を短縮します。
分散レンダリング 2 (DR2)
プログレッシブレンダリングとバケットレンダリングの両方で、一貫したパフォーマンスを提供する新しい分散レンダリングシステムです。専用のディスパッチャーマシンによる調整や、インテリジェントなバケット分割により、大規模なシーンでのボトルネックを解消します。
コンポジットのコントロール強化とAIアップスケーリング
バックプレート ワークフロー
実写合成のワークフローが容易になりました。高度なライトパスエクスプレッション(LPE)を使用して、ホールドアウト(マスクオブジェクト)からの反射やグローバルイルミネーション(GI)を個別に抽出・分離できるようになりました。
このワークフローにより、デジタルアセットを実写の背景素材へと自然に融合させるためのコントロールが提供され、ポスト処理での複雑なマスキングの手間を軽減できます。
ボリューム表現のコンポジット出力改善
煙や霧による光の散乱、炎や爆発による自己発光といったボリューム効果において、ライトパスエクスプレッション(LPE)を利用して光を分離抽出できるようになりました。
シーン内の雲や霧などによってキャストされる光を分離したり、炎の自己発光のみを独立したレンダーチャンネルとして抽出することが可能です。これにより、エフェクトを含むシーンのポストプロダクション処理が効率化し、細かな色調補正が容易になります。
AI アップスケーラー
AI Upscalerを使用することで、レンダリング時間を節約しながら鮮明な結果を得ることができます。Chaos Cloud Collaboration内で利用可能で、低解像度の画像を最大16Kの高品質なビジュアルへと変換できます。解像度を引き上げるだけでなく、テクスチャのシャープネスを向上させ、ディテールをスマートに強調できます。
アーティスト向けワークフロー
パララックステクスチャ(視差テクスチャ)による奥行きの表現
窓の奥や建物の内部など、背景に詳細な空間を追加したい場合、インテリア全体をモデリングするのは時間とレンダリング負荷がかかります。
新機能であるパララックステクスチャを使用すれば、追加のジオメトリを配置することなく、奥行きのある室内空間の錯覚を作り出すことができます。カメラの動きに合わせてパースペクティブが自然に変化し、バリエーションの調整も容易です。広大な都市景観や背景の建物を表現するのに適しており、Chaos Cosmosにはすぐに使えるアセットコレクションも追加されています。
設定不要のクイックコースティクス
水面やガラスなどが生み出す複雑な光の屈折や反射(コースティクス)を、従来のような試行錯誤なしで簡単に表現できる「クイックコースティクス」が導入されました。
V-Rayマテリアルの設定で有効にし、V-Ray Sunなどでシーンを照らすだけで自動的に計算されます。追加の計算パスやメモリ消費、レンダリング時間の増加を伴わずにリアルな結果を得ることができ、エフェクトの広がりを制御したり、専用のレンダーエレメントとして分離することも可能です。
新しいディスプレイスメントマテリアル
複数のマテリアルやディスプレイスメント効果(塗装の剥がれ、損傷した表面、複雑なパターンなど)を組み合わせることができる「V-Ray Displacement Material」が新たに追加されました。
これにより、マテリアルの設定をクリーンに保ちながら、細かな調整を繰り返すことが容易になります。ディスプレイスメントが保持されたアセットをエクスポートし、パイプライン内の他のV-Ray統合環境へ転送することも可能です。
Houdini向けボリュームシェーダーの強化
ベロシティモーションブラーの制御や、モーションブラー効果とサンプリングレートの動的スケールなどの新しいパラメータが追加されました。
動きの速いシミュレーション結果の品質とパフォーマンスのバランスを取りながら、複雑なボリューム効果を効率的にレンダリングできます。直感的な新しいユーザーインターフェースも導入されています。
Maya向けBifrostグラフのネイティブサポート
多くのVFXワークフローで利用されているノードベースのプロシージャルシステム「Bifrost」について、V-Ray for Mayaでのネイティブレンダリングが可能になりました。
以前のようにグラフをキャッシュしてV-Rayに再インポートする手順は不要となり、プロシージャルのセットアップをそのままレンダリングに回して結果を得ることができます。
AIマテリアルジェネレーター
現実世界の表面を撮影した写真から、数クリックで必要なマップ(PBR対応)を備えたレンダリング可能なマテリアルを自動生成します。
Chaos Cosmosの一部として提供され、広範なアートディレクションを必要としない背景用マテリアルなどのシェーディングを素早くセットアップするのに適しています。
あらゆるプロダクションと環境への対応
AMD GPUサポート
V-Ray GPUがHIPプラットフォームを通じてAMDグラフィックスカードを公式にサポートするようになりました。
これにより、16GB以上のVRAMを備えたグラフィックスカードを選択する柔軟性が生まれ、アウトオブコア(Out-of-core)レンダリングにおいてもパフォーマンスを発揮します。
Linux環境のBlender対応
WindowsとmacOSに加えて、Linux上でもBlender用V-Rayが動作するようになりました。Blenderを使用するアーティストやスタジオのパイプライン、レンダーファームへの導入が可能になります。
Blender向けコミュニティエディション
学習、コンテンツ制作、小規模な個人プロジェクトやフリーランス業務向けに、V-Rayのレンダリングを無料で提供します。この無料ライセンスは3ヶ月ごとに無償で更新可能です。
最新のホストアプリケーションへの対応
制作環境の最新リリースにも追従し、各DCCツールの最新バージョン(Autodesk 3ds Max 2027、Maya 2027、SideFX Houdini 21(Houdini 22も初期対応)、Blender 5.1および5.2など)を公式にサポートし、レンダリングの安定性を維持します。
Hydra 2 サポート
HoudiniのSolaris環境との通信を安定させる、最新のHydra 2シーン処理フレームワークを公式サポート。複雑なUSDシーン向けに最適化された処理を提供します。
Coming soon: OpenUSD V-Ray と Vantage Hydra Delegates
オープンスタンダードへの対応として、V-RayおよびVantageのHydra Delegateサポートが間もなく追加される予定です。
その他の新機能・改善点
上記で紹介した主要機能に加え、UIの改善やV-Ray Frame Buffer (VFB) のアップデート、細かなパラメータの追加など、各ソフトウェアごとに多数の改善が含まれています。
Maya固有のアップデート
- USD連携強化: MayaUSD 0.36.0(Maya 2025〜2027)および 0.35.0(Maya 2025/2026)をサポート。
- VRayToon: 内側/外側のToonラインオプション(Inner/Outer toon lines)の追加、および深度/角度スケーリングのオーバーライド機能。
- Chaos Scatter: メッシュとしてのビューポート表示、Listerの追加、シーンオブジェクト選択機能の実装。
- Chaos Cosmos: パララックス・テクスチャおよびCosmosセットのインポートをサポート。
3ds Max固有のアップデート
- Vantage連携改善: ビューポート表示中のオブジェクトギズモの重なり回避、Wireframeオーバーライドの自動切り替え。
- レンダラー初期設定: V-Ray(CPU)選択時、ActiveShadeのデフォルトがV-Ray GPUに自動設定されるよう変更。
- プラグイン互換性: 3ds Max 2027環境におけるThinkingParticlesのサポート。
- VFB改善: ログパラメータの項目をユーザーフレンドリーに変更、分離ログウィンドウへの最小化ボタンの追加。
Cinema 4D固有のアップデート
- V-Ray GPU: 複数GPU環境でのビットマップ読み込み挙動の改善。
- インポーター: マテリアルおよびオブジェクトのアニメーションパラメータのインポートに対応。
- Chaos Scatter: スキャッタークラスター(Scatter Clustering)機能のサポート。
- VFB: Cryptomatteレイヤーの処理パフォーマンス向上、LightMixにおけるピクセル処理の適正化。
Houdini固有のアップデート
- ボリューム(Volumes): グローバルレンダー設定にMISオプションを追加、Environment Fogの自動ステップサイズ制御による時間短縮など。
- Solaris: アニメーションするカメラ焦点距離からのモーションブラー対応、ネストされたインスタンス化のメモリ改善、ステレオスコピックカメラのサポートなど。
- USD / Hydra: usdView/usdRecordおよびHydra用のV-Rayレンダー設定を公開、OpenPBRマテリアルのUSD対応など。
- バンプ・モーションブラーの修正: 解像度の変更がバンプマッピングの強度に影響を与えないよう仕様を修正。
Blender固有のアップデート
- ノードエディタの大幅刷新: 出力ソケットの動的追加、タブ形式への変更による省スペース化、カラーチャンネル分離/結合ノードの公開など。
- Cycles互換機能: Cycles Noiseのレンダリングサポート、未変換マテリアルに対する表示の追加。
- UI・操作性改善: NパネルへのV-Rayタブ追加、Shift+Aメニュー等へのコマンド追加。
- Wranglerツール: ドームライトツリーへのHDRIインポート、CyclesライトからV-Rayライトへの一括変換。
- テクスチャ・イメージ: UDIMイメージ、およびBitmap内でのアニメーション画像シーケンスのサポート。
その他すべてのアップデート内容や詳細なリリースノートは、以下の公式ドキュメントよりをご確認ください。
Maya: https://documentation.chaos.com/space/VMAYA/950763526/7.40.023ds Max (7.40.02): https://documentation.chaos.com/space/VMAX/939425795/7.40.02
Cinema 4D: https://documentation.chaos.com/space/VC4D/993624093/7.40.00
Houdini: https://documentation.chaos.com/space/VRAYHOUDINI/969048157/7.40.30
Blender: https://documentation.chaos.com/space/VBLD/1014726662/7.40.00
価格とシステム要件
V-Ray 7 は、Windows 10、11で動作する、Maya、Houdini、3ds Max、Blender、Cinema4Dなどで利用できます。
詳しいシステム要件はこちらから
V-Rayのライセンスは、個人向けの「Solo」、すべてのV-Ray統合版やChaos Vantageなどの関連製品が利用できる「Premium」、および大規模なチームや企業向けの「Enterprise」など、ニーズに合わせたサブスクリプションプランが用意されています。
新しいライセンスの種類と価格は以下の通りとなります。
| プラン | 月額 | 年間 | 3年 | 含まれる製品 |
|---|---|---|---|---|
| V-Ray Solo 基本的なV-Ray機能とCosmosライブラリを利用可能。個人ユーザーや単体プロジェクト向け。 | ¥12,200 | ¥74,400 | – |
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| V-Ray Premium Soloの内容に加え、クラウドレンダリングや高度なシミュレーションツールが含まれる。プロフェッショナル向け。 | ¥17,900 | ¥106,800 | ¥339,700 |
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| ArchViz Collection or M&E Collection Premiumの内容に加え、リアルタイムビジュアライゼーション(Vantage)やキャラクターアニメーション(Anima)も含む | – | ¥183,500 | ¥550,400 |
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※ライセンスにはすべての統合プラグインが含まれています。また、Blender版の価格はこちらをご参考に
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V-Ray 7, update 4 for M&E: One asset. Real-time to final frame.































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