2026年7月17日(現地時間) – D5 Render開発チームは、リアルタイム・アーキテクチュアル・ビジュアライゼーションソフトウェアの最新アップデートとなる「D5 3.1」を発表しました。
D5 3.1 が登場:デザインプレゼンテーションのワークフローを向上
「D5 Render」は、3Dモデルをシネマティックでフォトリアリスティックなビジュアルに変換するリアルタイムレイトレーシングレンダラーです。
今回のメジャーアップデート「D5 3.1」は、前バージョンで確立したD5 LiteやD5 Worksを含むエコシステムをさらに進化させ、「ライブデザインプレゼンテーション」のためのコアエンジンとして再構築されました。
定評ある高速なリアルタイムレンダリングはそのままに、プレゼンテーション機能をエンジンに直接組み込み、モデリングワークフローとの接続を強化し、映画品質を実現するプロダクショングレードのコントロールが追加されています。
建築ビジュアライゼーションはこの10年で画質が大きく向上したものの、デザインレビューの手法は静止画や動画の事前作成に頼ったままでした。そのため、会議の席で別の素材やライティングの検証を求められても、その場での対応は困難でした。
クライアント、コンサルタント、エンジニアが共同でプロジェクトを推進する現在、会議の役割は報告から、リアルタイムに意思決定を下す「作業セッション」へと移行しています。
開発チームは、D5 3.1は、この変化に合わせてプレゼンテーションの方法を刷新。制作とプレゼン、チームや拠点間の境界を取り払い、クライアントへの提案をリアルタイムな「ライブ3D空間」へと移行させるとしています。
主な新機能
クライアントウォークスルーの再構築
プレゼンテーションは、設計上の決定が具体化する重要な場です。パートナーやプロジェクトマネージャーにとって、クライアントへの提案は美しい静止画を見せる以上の意味を持ちます。
D5 3.1では、クライアントのウォークスルー体験を没入感のあるライブ3D環境として再構築し、関係者が空間を疑似体験しながらリアルタイムで設計オプションを検討できるようになりました。
インタラクティブプレゼンテーション
インタラクティブプレゼンテーション が強化され、静的なスライドショーの構成力を維持しながら、リアルタイム3Dの操作性を組み合わせたプレゼンテーション環境になりました。
仕組みは、マテリアルの変更、照明条件、オブジェクトの表示・非表示、カメラアングルといったバリエーション(変数)をあらかじめ定義し、カスタム3Dトリガーに割り当てておく形になります。プレゼンテーション中は、シーン内のトリガーをクリックするだけで設定を切り替えることができます。
これにより、壁の仕上げの切り替え、昼光から夕暮れへの時間変化、異なる家具レイアウトの比較などを、クライアントの目の前でリアルタイムに反映し、その場で提示できます。会話の流れに合わせて表示を切り替えながら進行するミーティングに役立ちます。
さらに、Pixel Streaming技術を利用することで、このプレゼンテーションをWebブラウザに配信(ブロードキャスト)することも可能です。現時点では同一のローカルエリアネットワーク(LAN)上にいる必要がありますが、高性能なグラフィックボードを持たないデバイスを使って社内で共同レビューを行う際などに活用できます。※インターネット経由で遠隔地のクライアントへ配信する場合は、後述するD5 Showreelやステレオスコピックパノラマの出力が適しています。
ステレオスコピックパノラマと没入型デリバリー
関係者が空間のスケール感をより正確に把握する必要がある場合、ステレオスコピックパノラマ (Stereoscopic Panorama) が役立ちます。
深度やIPD(瞳孔間距離)のカスタマイズ設定に対応しており、QuestやPICOなどのVRヘッドセット向けに、奥行きのある立体的なパノラマデータを出力できます。出力したデータは「D5 Showreel Panorama Tour」にアップロードし、Webブラウザ経由で共有することも可能です。
また、VRウォーク/フライモードの追加、フローティングメニューの採用、ストリーミングの安定性向上により、ヘッドセットを使用したウォークスルーが、プレゼンテーションだけでなく日常的なデザインレビューでも利用しやすくなりました。
スペーシャルツアーの改善
画面ベースのスペーシャルツアー (Spatial Tour) も強化されました。複雑なプロジェクト内の全体像を把握しやすくする「ドールハウスビュー」の生成が高速化され、屋内空間と屋外空間の切り替えが1つのツアー内でより滑らかに行えるようになりました。改善されたVR深度表示により、空間のスケール感がより現実的に感じられます。
最適な没入型体験の選び方
D5 3.1では、プロジェクトの目的に応じて最適な没入型体験を選択できます。画面上で屋内・屋外をシームレスに行き来する直感的なナビゲーションには「スペーシャルツアー」が適しています。一方、ヘッドセットを使用して実際のスケール感を実物大で把握する真のVR没入感が必要な場合は、「ステレオスコピックパノラマ」出力を使用するのが最も効果的なソリューションとなります。
ワークフローの強化
質の高いプレゼンテーションは、モデルの作成段階から始まり、最終的なレビューまで一貫して接続されている必要があります。D5 3.1は、デザインの構想段階から最終出力までの連続性を維持するための仕組みを強化しています。
D5 Lite for Rhino & Revit(ベータ版)
SketchUp向けに先行リリースされていたリアルタイム同期ツール「D5 Lite」が、新たにRhinoおよびRevitのモデリング環境内に直接組み込まれました。
これにより、デザイナーは使い慣れたモデリングソフトウェアを離れることなく、マテリアルの反復検証やリアルな照明の確認を瞬時に行えるようになりました。設定されたパラメータは、.3dmや.rvtファイル内に直接保存されます。
D5 Liteはスケマティックデザイン段階でのリアルタイムなアイデア出しのために設計されており、モデリング作業中に即座にビジュアルフィードバックを提供します。Rhino向けは建築、ランドスケープ、インテリアのワークフローをカバーし、Revit向けはBIMパイプラインに最適化され、従来のレンダリングプラグインよりも高速なビューポート表示を実現しています。
この統合により、初期のアイデア出しから納品までのシームレスなパイプラインが構築されます。初期の社内レビューやコンセプト検討にはD5 Lite単体で十分機能し、その後、シネマティックな出力やインタラクティブなプレゼンテーションといった「最終結果」が必要になった段階で、再エクスポートの手間をかけることなく、ワンクリックでプロジェクトをD5 Render本体へと引き継ぐことができます。
グローバルチームのためのクラウドコラボレーション
遠隔地で活動するチームやグローバル企業にとって、クラウドコラボレーション (Cloud Collaboration) 機能は、従来ボトルネックとなっていたローカルネットワークドライブ(NASなど)への依存を完全に解消します。
オフィス、地域、タイムゾーンが異なる複数のエディターであっても、安全なクラウドストレージを介して、距離を問わず同じD5プロジェクトにアクセスし、共同作業を行うことができます。誰か一人が変更を保存するとチームメンバー全員に即座に通知が届き、プロジェクトを開き直すだけで最新バージョンへアクセスできます。これにより、手作業によるファイル転送のミスやタイムラグを防ぎ、分散した国際的なデザインチームであっても、常に効率的で最新の制作パイプラインを維持することが可能です。
機能強化
没入型のプレゼンテーションが説得力を持つためには、基盤となるビジュアルの品質が妥協のない水準に達している必要があります。
D5 3.1では、リアルタイムの応答性(スピード)を犠牲にすることなく、シネマティックな色彩と物理的なリアリズムをもたらすプロダクションレベルの機能が多数導入されました。
ACEScg ワーキングカラースペース
映画やVFXの制作現場で広く標準化されているACEScg カラースペースが導入されました。標準的なリニアsRGBでは白飛びしたり黒つぶれしたりしがちな、ハイライトや深いシャドウの重要な色情報を保持し、より正確でリアルなトーンを保ちます。これにより、ビューポートでの確認からポストプロダクションの工程に至るまで、一貫した色再現が可能になります。
ハイトフィールドトレーシング
ディスプレイスメントマテリアルの新たなオプションとして、ハイトフィールドトレーシング (HeightField Tracing) 技術が追加されました。
この機能は、シーンのポリゴン数を不必要に増やすことなく、レンガ、石材、木材の表面の凹凸や細かなディテールを豊かに表現します。これにより、大規模なシーンにおいてもビューポートの軽量さを維持しつつ、光に自然に反応する物理的な奥行きを出すことができます。
季節植生(シーズナル・ベジテーション)
自然環境の表現において、季節植生 (Seasonal Vegetation) 機能が導入されました。
植物の3Dモデルを個別に差し替える手間なく、カレンダーの日付設定に基づいて、シーン内の植物の葉の色や枝の状態を春の新緑から秋の紅葉まで一括で変更できます。また、葉の色に自然なランダム性が加わるため、大規模な植栽計画においても人工的な繰り返し感がなくなり、より自然な景観を生み出すことが可能です。
カスタムピボット
D5 3.1 では、カスタムピボット (Custom Pivot) により、任意のオブジェクトの回転ポイントを取得し、必要な場所に正確に再配置できるようになりました。
例えば、ドアをピボットをヒンジ(蝶番)の端に移動して回転させることで、自然に開閉させることができます。家具のアニメーション、窓の動きの調整、グループ化された要素を任意の軸を中心として回転させるのに役立ちます。
シティジェネレーターにおける道路網編集の最適化
都市開発や広域計画のビジュアライゼーションを支える「シティジェネレーター(City Generator)」の道路システムが大幅に強化され、編集の柔軟性が向上しました。道路システムのデータ構造が更新され(旧プロジェクトは自動的にアップグレードされます)、新たに「交差点」が独立した道路タイプとして追加されました。
これにより、道路のコントロールポイントを編集して経路や形状をより柔軟に調整できるようになりました。また、新しい道路/道路グループスタイルエフェクターが追加され、テクスチャの編集にも対応しています。
さらに、選択した建物や道路を右クリックで独立したグループに変換したり、分割したりするバッチ処理オプションが追加され、都市モデルの透かし表示の問題も解決されています。
パスツール表示の最適化
人や車などの動きを設定する「パスツール」の視覚的な表示効果が改善されました。シーン内でパスのセグメントやコントロールポイントがより明確にハイライト表示されるようになり、複雑なシーン内でもパスの選択や編集、微調整が直感的に行えるようになりました。
その他の品質向上アップデート
- Blender向け LiveSync プラグイン: 新しい「D5 LiveSync Plugin for Blender」は、BlenderとD5 Renderをリアルタイムで接続します。Blenderで行ったモデル、マテリアル、ライティングの編集は、手動での同期やインポート/エクスポートを繰り返すことなく、直接D5シーンに同期されます。モデリングとレンダリングが1つのフローとして繋がります(対応バージョン:Blender 3.4〜5.2、D5 Render 2.5以上)。
- AIマテリアルスナップに制御パラメータを追加: 生成結果をより正確に制御できるようになりました。アスペクト比(1:1、16:9、3:4などのプリセット)、タイルの方向(水平、垂直、両方、なし)、品質(生成速度とディテールのバランスを取る「デフォルト」または「高解像度」)を選択できます。
- 超解像度技術を DLSS 4.5 にアップグレード: 動画レンダリング時に発生する可能性があったゴースト、モーション軌跡、エッジのぼやけなどの問題を解消し、全体的な動画出力をシャープにして、より多くのディテールを保持します。
- XRツアーの最適化(レンダリングの高速化と軽量化): AI強化スクリーンショットの導入により、ローカルでのXR準備に必要なレンダリング時間が従来の1/4に大幅短縮されました。また、XRツアーのトレーニングサービスに新しい「.sog」ファイル形式が採用され、データサイズが従来の1/10に軽量化されました。さらに、WebGPUを活用した新しいWebエディターによりブラウザ上でのスムーズな動作や、カスタムカメラトランジション、iframe埋め込みコードの生成が可能になりました。
- 3DGSモデルのレイトレーシングサポート:
.plyモデルのパストレーシングをサポートし、Gaussian Splattingアセットがレイトレーシングモードでのグローバルイルミネーション(GI)、反射、シャドウの計算に正確に参加するようになりました。レンダリングパイプラインの最適化により、FPSの向上とGPU使用率ピークの低減、カクつきの軽減も実現しています。 - 自動露出(Automatic Exposure)の値の保持をサポート: 自動露出を有効にして適切な明るさを見つけた後、「適用(Apply)」をクリックするだけで、その現在の測光結果(明るさの値)を保持したまま、自動的にマニュアル(手動)露出モードへ切り替わるようになりました。自動から手動への移行がシームレスになり、値の再調整が不要になります。
- シーン内のモデルを「D5 Works」プラットフォームへ直接アップロード: D5 Renderのシーン内から直接、モデル(AI生成モデルを含む)をアセットプラットフォーム「D5 Works」へワンクリックでアップロードし、公開・管理できるようになりました。
- AMD および Intel 製グラフィックスカードでの D5 SR ウィジェット対応: 超解像度技術をコントロールする D5 SR (Super Resolution) ウィジェットが、AMD と Intel のグラフィックスカードでもサポートされました。
- ランチャーログインページでのプロキシ設定対応: D5ランチャーのログインページにプロキシ設定が追加され、企業やキャンパスなどの制限されたネットワーク環境からでもプロキシサーバーの詳細を入力して直接サインインできるようになりました。
- ランチャー通知センター: 重要なアップデートや有益な情報をタイムリーに確認できる新しい通知センターがランチャーに追加されました。
価格とシステム要件
D5 Renderは、以下のグラフィックスカードを搭載するWindows 10 v1809 以上で利用できます。より詳しいシステム要件やビデオカードでのパフォーマンス比較の確認はこちらから
- NVIDIA GTX 1060 6GB 以上
- AMD Radeon RX 6000 XT 以上
- Intel Arc A3 以上
価格は以下の通りです。
- コミュニティ (無料)
- プロ版 (個人)
- チーム版
- 機能
- プロジェクト数無制限
- LiveSync ワークフロー連携
- 環境・エフェクト編集
- ランドスケープ・植栽ツール
- フェーズアニメーションテンプレート
- 画像・パノラマ・動画レンダリング
- カスタムローカルアセットライブラリ
- AI 機能の無料トライアル
- 全てのコミュニティ機能 +
- AI 機能への無制限アクセス
- シティジェネレーター & Cesium 連携
- スペーシャルツアー & XR ツアー
- バーチャルリアリティ(VR)ウォークスルー
- より多くのレンダリング形式
- 公式アセット 16,000 点以上
- クラウドワークスペースストレージ 10 GB
- 全てのプロ機能 +
- マルチエディターによるシーン編集
- メンバーアクセス管理
- 共有プロジェクト & アセットライブラリ
- チーム用クラウドストレージ 100 GB
- クラウドストレージ連携
- リソース & データ管理































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