Blender 5.2 LTS が正式リリース!ノードベースの物理演算とオンラインアセットなど新機能を紹介!

CGソフト

2026年7月14日(現地時間)- Blender Foundationおよびオンラインコミュニティは、長期サポート版となる「Blender 5.2 LTS」を発表しました。

  1. 新機能ハイライト
  2. ジオメトリノード
    1. ノードで音声を扱う:オーディオ反応型アニメーション
    2. ベベル(面取り)ノードが追加
    3. 物理シミュレーションの刷新
      1. XPBDソルバー
      2. クロスダイナミクス
      3. ヘアダイナミクス
      4. エフェクター
    4. バンドルの強化
    5. その他のジオメトリノード強化機能 
  3. CYCLESとレンダリング
    1. テクスチャキャッシュ機能によるメモリ削減 
    2. 紙や葉などの「薄い質感」をリアルに再現
    3. 主要カメラや広色域に対応したカラースペース 
    4. その他のCyclesおよびレンダリング関連の改善
  4. EEVEE 
    1. Nextアーキテクチャへの進化と最適化
    2. スクリーンスペース・レイトレーシングのオーバーホール
      1. 裏面ポリゴンの描画制御
      2. リフレクションデノイザーの改善
      3. レイキャストノードの改善
    3. Fast GI とアンビエントオクルージョンの修正
    4. EEVEEのその他のアップデート
  5. オンラインアセット
    1. 新しいエッセンシャルアセット
    2. 独自ライブラリの構築と共有
    3. その他のアセット関連改善
  6. コンポジター
    1. アセットによる多様なルックの適用
    2. 新しいアセット
    3. ギズモ機能の拡張とオートキーイング対応
    4. リアルタイムコンポジターの高速化とアニメーション再生対応
    5. 文字列の画像化
    6. コンポジターのその他のアップデート
  7. グリースペンシル
    1. 境界線から正確に塗りつぶすDelaunayアルゴリズム
    2. ストローク上のドットやスクエア配置のランダム化 
    3. 描画ツールでのカーブタイプ設定
    4. 新しいオンラインアセットブラシ
    5. グリースペンシルのその他のアップデート
  8. アニメーション
    1. 往復再生など柔軟になったループ再生モード
    2. In-Between ツールのオブジェクトモード対応
    3. アニメーションとリギングのその他のアップデート
  9. モデリング&UV
    1. 標準機能に統合されたループツール
    2. モデリングのその他のアップデート
  10. スカルプト
    1. スカルプトモードでのプリミティブ追加
    2. Scene Project ブラシ
    3. ボクセルリメッシャーの属性保持
    4. スカルプトのその他のアップデート
  11. ビデオシーケンサー
    1. コンポジターとビデオシーケンサーの連携 
    2. テキストスタイルのプリセットと行間調整
    3. プレビュー可視性の切り替えトグル
    4. パフォーマンスの向上
    5. ビデオシーケンサーのその他のアップデート
  12. ユーザーインターフェース
    1. レンダー解像度の素早い入れ替え
    2. アウトライナーのアクティブフォーカス
    3. サイドバーのコンパクト表示
    4. その他のアップデート
  13. バーチャルリアリティ
    1. ロケーションスカウティング
    2. コントローラー設定の調整
  14. その他のアップデート
  15. ダウンロード

新機能ハイライト

Blender 5.2 LTSは、新機能の追加と安定性の向上を両立させたリリースです。2028年7月までの2年間にわたる公式サポートが提供されるため、長期間に及ぶプロダクション制作において信頼できる選択肢となります。

ジオメトリノードの分野では、ヘア(毛髪)やクロス(布)のシミュレーションに対する実験的なプロシージャルアプローチが導入されたほか、コンポジターでの文字列(ストリング)ノードのサポート、様々な新しいノードの追加が行われました。また、アセットライブラリはリモートホスティングに対応し、公式の「Blender Online Essentials」にオンデマンドでアクセスできるようになっただけでなく、ユーザー自身でアセットをホストすることも可能になっています。

レンダリング面では、Cyclesにおけるテクスチャキャッシュ機能や、プリンシプルBSDFの「Thin Wall(薄い壁)」モードが主な追加要素となっています。さらに、EEVEEも長年のユーザビリティの課題を多数解決しました。

2Dアニメーション機能であるグリースペンシルは、新しい塗りつぶしアルゴリズムによって操作感が向上し、ラインマテリアルの新設定や、オンラインアセットを活用したブラシツールセットの拡張が行われています。

スカルプト機能には新たな「Scene Project」ブラシや「Add Primitive」オペレータが追加され、ボクセルリメッシャーが頂点カラーなどの属性を保持できるようになりました。アニメーション、ビデオシーケンサー(VSE)、ユーザーインターフェース(UI)においても、日々のワークフローの最適化と品質向上が図られています。そして、VRを活用したロケーションスカウティング機能も追加されました。

次の公式の動画で新機能をざっと確認することができます。

00:00 イントロ
00:17 モデリング&UV
01:41 スカルプト&ペイント
02:35 ジオメトリノード&物理演算
07:40 グリースペンシル
11:34 アニメーション&リギング
17:58 レンダリング
20:45 Cycles
21:26 コンポジティング
30:35 ビデオシーケンサー
31:50 バーチャルリアリティ (VR)
32:14 アセット・パイプライン・I/O
33:47 ユーザーインターフェース

ジオメトリノード

ノードで音声を扱う:オーディオ反応型アニメーション

インポートした音声ファイルでノードを制御できるようになりました。新しく追加された「Sound(サウンド)」ソケットと「Sample Sound Frequencies」ノードを組み合わせることで、オーディオに反応するアニメーションやシミュレーションをジオメトリノードで構築できます。

音声ファイルはノードツリーに直接読み込むことが可能です。再生中に音声を聞くには、ビデオシーケンサーにも同じ音声を追加し、再生の同期設定を「Sync to Audio(音声に同期)」にする必要があります。

ベベル(面取り)ノードが追加

新たに「Mesh Bevel(メッシュベベル)」ノードが追加されました。

これにより、辺や頂点に対してプロシージャルかつ詳細な面取りの制御が可能になります。

物理シミュレーションの刷新

Blender 5.2 LTSでは、ノードベースの新しい物理演算アプローチを利用したヘア(毛髪)およびクロス(布)の物理シミュレーションシステムが新たに導入されました。この実験的な機能の核となるのが、内蔵された「XPBD Solver」ノードです。

この機能は、広範なテストを経て設計を確定させるため、現段階では「実験的機能(Experimental)」として提供されています。

XPBDソルバー

ClothおよびHair Dynamicsには、内部的に新しい「XPBD Solver」ノードが利用されています。

XPBD(Extended Position-Based Dynamics)は、従来のPBD(位置ベース物理)という手法を拡張した物理シミュレーションのアルゴリズムです。物体の硬さ(剛性)などの物理的特性を、時間ステップの大きさに依存せず安定してシミュレーションできる特徴を持っています。

「XPBD Solver」は、このアルゴリズムをBlenderのジオメトリノードで直接使えるようにするためのノードです。このノードが様々な制約(コンストレイント)を解決する重い処理を担い、アセットはその周囲に用途特化型のシステムを構築しています。

このソルバーを利用して以下のようなことが可能です。

クロスダイナミクス

新しい実験的なCloth Dynamicsモディファイアーおよびノードグループを任意のメッシュに追加するだけで、布のような挙動を再現できます。

ピン留め、伸縮性や曲げの制御、引き裂きなどの様々な機能が組み込まれており、アセットとしてだけでなくノードグループとしても使用可能です。

ヘアダイナミクス

ヘアの物理演算もクロスと同様に機能しますが、ヘアがアタッチされる表面(サーフェス)が必要となるため、少しセットアップが必要です。追加メニューの更新された「Empty Hair」オペレーターを使用すると、このセットアップが自動で行われます。

このプロセスにおいて、サーフェスメッシュには新たに「Capture Rest Geometry」モディファイアーが追加されます。これは、サーフェスが静止状態からどのように変形したかをシミュレーションが把握するために必要であり、データは新しい「ジオメトリバンドル」に保存されます。もちろん、ジオメトリノード内で完全にプロシージャルなセットアップを構築することも可能です。

エフェクター

エフェクターは、シミュレーションに影響を与える要素です。HairおよびCloth Dynamicsには、重力や表面衝突など、使いやすい組み込みエフェクターが用意されています。

さらに、ユーザーが追加のエフェクターを渡すこともでき、現在3種類のカスタマイズ可能なエフェクターが利用できます。

コライダー (Colliders)

任意の閉じたメッシュを衝突判定(コライダー)として使用できます。Colliderモディファイアーを追加するか、プロシージャルなセットアップでコライダーエフェクターバンドルとして渡すことができます。

カスタムフォース (Custom Forces)

各ポイントに対して独自の力(フォース)ベクトルを計算できる特化したエフェクターです。組み込みの重力以外にも、カスタムフォースオブジェクトを簡単に構築し、「Set Effector」アセットを使用してジオメトリにアタッチできます。Emptyオブジェクトでのジオメトリノードサポートと相性が良い仕様です。

カスタムエフェクター (Custom Effectors)

クロージャ(Closure)を使用して、シミュレーションループ内の特定の段階(例:”Post Solve”)において独自のカスタム挙動を注入できます。

また、エフェクターにはタグを使用したフィルタリングシステムがあり、各ジオメトリに設定されたタグを指定することで、影響を与える対象を正確にコントロールできます。

バンドルの強化

Blender 5.0で導入された「バンドル(Bundles)」の概念が拡張され、ジオメトリにアタッチしてモディファイアーやオブジェクトの境界を越えて任意のデータを受け渡すことができるようになりました。

「Get Geometry Bundle」および「Set Geometry Bundle」ノードを使用することで、データの受け渡しを含む新しいワークフローの構築が可能になります。

その他のジオメトリノード強化機能 

その他 (Other)

CYCLESとレンダリング

テクスチャキャッシュ機能によるメモリ削減 

多数の画像テクスチャを使用するシーンにおいて役立つ「テクスチャキャッシュ(Texture Cache)」機能が追加されました。

これの機能は、レンダリングに必要なタイルと解像度のみをロードする最適化されたテクスチャファイルを自動生成することで、メモリ使用量と起動時間を削減します。

  • Texture Cache Off
  • Texture Cache On
  • Attic
  • Bistro
  • Junkshop
  • 0
  • 1k
  • 2k
  • 3k
  • 4k
  • 5k
  • 6k
  • Memory usage
  • Unit: MB

テクスチャキャッシュの設定は簡単に行えます。プロパティエディターの「Performance(パフォーマンス)」タブ内にある「Texture Cache」の設定から、「Auto Generate(自動生成)」を有効にするか、「Generate(生成)」ボタンをクリックするだけです。

これにより各画像に対して最適化された .tx ファイルが生成され、元の画像が変更されるたびに自動的に更新されます。

詳しい情報は以下の記事をご覧ください。

紙や葉などの「薄い質感」をリアルに再現

Principled BSDF(プリンシプルBSDF)ノードに「Thin Wall(薄い壁)」モードが追加されました。

これを使用することで、紙、葉、窓ガラスといった薄い材質の表現をより物理的に正確にレンダリングできます。

Render by Christopher 3D.

Thin Wallモードが有効な場合、表面は厚みを持たないスラブ(層がベースの周囲にミラーリングされた状態)として扱われます。このモードにより、薄いガラス表面における反射と透過や、薄い表面下(サブサーフェス)材質の拡散と半透明の散乱を組み合わせた、透明・半透明材質の正確な近似表現が可能になります。

Thin Wall OFFThin Wall OFF
Thin Wall ONThin Wall ON

主要カメラや広色域に対応したカラースペース 

カラースペースがメニュー内で整理され、より選びやすくなりました。さらに、Apple、ARRI、Blackmagic Design、Canon、Sonyなどの主要カメラ用の新しい入力カラースペースが追加されたほか、Adobe RGBや広色域テクスチャのサポートも追加されています。

その他のCyclesおよびレンダリング関連の改善

EEVEE 

Nextアーキテクチャへの進化と最適化

Blender 5.2 LTSはEEVEEにとって重要なアップデートとなっており、EEVEE Nextプロジェクトのアーキテクチャへの移行に伴う、以前からの操作性や描画に関する課題が解決されています。

スクリーンスペース・レイトレーシングのオーバーホール

スクリーンスペース・レイトレーシングのパイプラインが整理されました。この変更により一部の互換性が失われますが、長期的な操作性の向上します。

※過去のバージョンで作成されたシーンの多くは問題なく読み込まれ、同様に表示されます。外観が異なる場合は、厚み(Thickness)パラメータの微調整で対応できる場合があります。また、エネルギー保存法則の修正により、一部のシーンはBlender 5.1よりも暗くレンダリングされる可能性があります。

裏面ポリゴンの描画制御

Screen Tracing(スクリーントレーシング)サブパネルに、新しい Backface(背面) オプションが追加されました。

この設定により、光漏れ(ライトリーク)を減らし、GI(グローバルイルミネーション)の外観を微調整できます。このオプションは、Screen Space GIとFast GI Approximationの両方に影響します。

リフレクションデノイザーの改善

リフレクションデノイザー(反射のノイズ除去)の調整により、反射している接点付近のシャープネスが適切に維持されるようになりました。

BeforeBefore
AfterAfter

レイキャストノードの改善

Raycast(レイキャスト)ノードは交差判定の精度が向上し、カメラに向かって移動するレイに対する誤検知(フォールスポジティブ)が発生しなくなりました。

BeforeBefore
AfterAfter

Fast GI とアンビエントオクルージョンの修正

Fast GIの実装における重要な不具合が修正され、動作がより安定しました。

この変更はAO(アンビエントオクルージョン)パスおよびAOシェーディングノードにも影響するため、該当機能を使用している既存ファイルの見え方が変わる場合があることにご注意ください。

Before (AO)Before (AO)
After (AO)After (AO)

また、オブジェクトの周囲に暗い輪郭(ヘイロー)を発生させていたFast GI Approximationの「Far Thickness」パラメータは削除されました。加えて、Precisionスライダーが1未満に設定されている場合、処理速度の向上とノイズ低減のための最適化が機能するようになっています。

EEVEEのその他のアップデート

EEVEEとビューポートの全変更履歴を確認する

オンラインアセット

新しいエッセンシャルアセット

新しいパラメトリックマテリアル、コンポジットエフェクト、HDRワールド背景、ジオメトリノードのセットアップなど、多数のアセットが公式の「Essentials」ライブラリに追加されました。

これらの新しいアセットはオンラインでホストされるため、Blender自体のファイルサイズを増加させることなく、必要な時にダウンロードして利用することができます。

この機能を利用するには、環境設定で「インターネットへのアクセスを許可(Allow Internet Access)」を有効にする必要があります。有効にすると、オンラインのアセットが組み込みの基本アセットと一緒に表示され、Blender内から直接閲覧して必要なものだけをダウンロードすることが可能になります。

独自ライブラリの構築と共有

さらにアセットが必要な場合は、独自のライブラリをホストしたり、お気に入りのクリエイターが公開しているオンラインアセットライブラリを追加することができます。

スマートインデックス機能により、数千規模のアセットであっても効率的に閲覧が可能です。また、アセットはワンクリックで最新の状態に保つことができます。

新しい「Asset Libraries(アセットライブラリ)」の環境設定セクションで、独自のリポジトリを追加できます。マニュアルを読む

Blender StudioのSimonによる、オンラインアセットのカスタマイズに関するデモンストレーション映像です。

Brand New Material Assets in Blender 5.2 LTS

その他のアセット関連改善

コンポジター

コンポジターでの処理能力が拡張されました。新たに Matrix、Rotation、String、Object、Font、Integer Vector の6つのソケットタイプがサポートされています。

さらに、文字列操作を行うものからジオメトリノードでおなじみのものまで、全体で 35個の新しいノード が追加され、ノードベースでの柔軟な調整が可能になりました。

アセットによる多様なルックの適用

実写のようなフィルム調(filmic)の仕上げから、水彩画(watercolor)や油彩画(oil painting)といった手描き風のスタイルまで、新しいコンポジティングアセットを使用することで幅広いルックを迅速に構築できるようになりました。

新しいアセット

また、独自のセットアップに組み込んで利用できる新しいアセットとユーティリティノードグループも追加されました。

  • Film Grain: アナログフィルムのノイズや挙動をシミュレートします。
  • 3D to Screen Space: ワールド空間の3D座標を正規化されたカメラ空間に変換します。
  • Screen to 3D Space: 指定された深度と正規化された2Dベクトルから、3D空間内の座標を計算します(「3D to Screen Space」の逆変換)。
  • Transform and Project: 「3D to Screen Space」の汎用的な低レベルバリエーションです。カメラオブジェクトの代わりにトランスフォーム(Transform)と投影(Projection)を入力として受け取り、スクリーンスペースの2D座標を計算します。
  • Project with Depth: 「Screen to 3D Space」の汎用的な低レベルバリエーションです。
Film Grain

ギズモ機能の拡張とオートキーイング対応

コンポジターのギズモが オートキーイング をサポートするようになりました。

ギズモを直接操作して変形させることで自動的にキーフレームが挿入され、バックドロップや ギズモのサポートが開始された画像エディター 上から直感的にアニメーションを作成できます。

また、ビューヤーギズモ が画像の表示オフセットに追従するように改善されたため、ビューをパンやズームしてもギズモのハンドルがバックドロップの適切な位置に留まるようになりました。

リアルタイムコンポジターの高速化とアニメーション再生対応

インタラクティブ(リアルタイム)コンポジターの実行効率が根本から見直され、操作時の応答性が向上しました。これにより、ビューポート上でコンポジティング結果をリアルタイムに再生・確認できるようになりました。

また、出力に繋がっていないノードの調整や、関係のないUndo操作、時間変化を伴わないフレーム切り替え時などの不要な再計算がトリガーされない賢い仕組みが導入されています。

文字列の画像化

入力したテキスト(文字列)を直接画像データとして生成し、コンポジット内で扱える新しいノード「String To Image」が追加されました。

この機能によりクレジットの追加や動的なテキスト合成がしやすくなります。

コンポジターのその他のアップデート

機能追加

グリースペンシル

境界線から正確に塗りつぶすDelaunayアルゴリズム

Grease Pencilの塗りつぶし(Fill)ツールに、新しいアルゴリズムが導入され、境界線から正確に塗りつぶすことができるようになりました。

新しい Delaunay(ドロネー)フィル アルゴリズムは、境界となるストロークから正確なジオメトリを作成し、自動的な隙間検出や反転塗りつぶしに対応します。ズーム倍率に依存しない安定した結果を出力し、従来より高速に処理が行われます。

ストローク上のドットやスクエア配置のランダム化 

Dots(ドット)および Squares(四角形)のラインマテリアルに、ストロークに沿った形状の分布を制御する Placement(配置)設定 が追加されました。

これらの形状は余分なジオメトリとしてではなく、レンダリング時に生成されるようになります。これにより、モディファイアーを使用してストロークを細分化する従来の方法と比較して、パフォーマンスが改善されています。

描画ツールでのカーブタイプ設定

描画(Draw)ツールに、作成されるカーブの種類を指定する新しい設定が追加されました。

ポストプロセッシング(Post-Processing)セクション内の設定から、ベジェ(Bézier)、Catmull-Rom、またはNURBSカーブを選択することができます。

新しいオンラインアセットブラシ

Blender StudioのアーティストやDaniel Martínez Lara氏の制作した新しいテクスチャブラシが、「Online Essentials」アセットライブラリの一部として追加されました。

アセットシェルフでこれらのオンラインブラシを使用するには、環境設定の「System(システム) > Network(ネットワーク)」から 「Allow Online Access(オンラインアクセスを許可)」 を有効にする必要があります。

また、同梱されている標準のブラシセットも更新されました。サムネイルが刷新されたほか、Dots用の新しいマテリアル設定の適用、およびAirbrush、Ink Pen Rough、Pencil Softブラシの設定が見直されています。

グリースペンシルのその他のアップデート

アニメーション

往復再生など柔軟になったループ再生モード

タイムラインの再生(Playback)ポップオーバーが拡張され、アニメーション再生時のループ動作を細かく制御できるようになりました。

マニュアルを読む
  • Infinite (無限): デフォルトの動作です。最後のフレームの後に最初のフレームに戻り、再生を続けます。
  • Stop at End Frame (最終フレームで停止): 最後のフレームで再生を停止します。この状態から再生を開始すると、一度最初のフレームに戻ってから再び最後のフレームで停止します。
  • Stop at Start Frame (開始フレームで停止): 最後のフレームに到達した後、再生を停止して最初のフレームに戻ります。
  • Restore Frame (元のフレームに戻る): 最後のフレームに到達した後、再生を停止し、再生を開始したフレームに戻ります(Escapeキーを押した時と同様の挙動)。
  • Bounce (ピンポン再生): 最後のフレームに到達した後、逆再生を行います。

In-Between ツールのオブジェクトモード対応

中間フレーム(In-Between)を作成する各オペレーターが更新され、ポーズモードだけでなくオブジェクトモードでも利用可能になりました。

3Dビューポートのメニュー「Object(オブジェクト) > Animation(アニメーション) > In-Betweens」からアクセスできるほか、一部のオペレーターはツールバーから直接使用することも可能です。

アニメーションとリギングのその他のアップデート

ワークフロー&リギング

モデリング&UV

標準機能に統合されたループツール

広く利用されてきた「LoopTools」アドオンの機能から、To Circle(円に変換)、Space Edge Loops Evenly(辺ループを均等に配置)、そして Flatten(平坦化) の各オペレーターが、Blenderのネイティブ機能として利用可能になりました。

これらの機能はパフォーマンスを向上させるためにC++でゼロから書き直されており、特定のケースで発生していた不具合も修正されています。

モデリングのその他のアップデート

スカルプト

スカルプトモードでのプリミティブ追加

スカルプトモードのツールキットが拡張され、新たに Add Primitive ツールが追加されました。これにより、オブジェクトモードに切り替えることなく、スカルプト作業中に直接プリミティブ形状を配置できます。

現在、立方体(Cube)、円錐(Cone)、円柱(Cylinder)、UV球(UV Sphere)、ICO球(Icosphere)を挿入することができるようになりました。

Scene Project ブラシ

新たに追加された Scene Project ブラシ を使用すると、スカルプト中のメッシュ表面を周囲のジオメトリに巻き付ける(投影する)ように変形させることができます。

Daniel Bystedt氏による Scene Project ブラシ の実演デモ動画

ボクセルリメッシャーの属性保持

ボクセルリメッシャーのアルゴリズムが改善され、元のメッシュの最近接点の値を単に取得するのではなく、頂点およびコーナーの属性を適切に補間するようになりました。

このアップデートにより、リメッシュを繰り返した際にも、頂点ペイントの色などの属性データがより正確に保持されるようになりました。

Before (AO)Before (AO)
After (AO)After (AO)

スカルプトのその他のアップデート

ビデオシーケンサー

Blender 5.2 LTSでは、ビデオシーケンサー(VSE)の機能拡張が行われました。

コンポジターエフェクトをモディファイアーアセットとして共有する機能や、タイトルのスタイリング、プレビュー時とレンダリング時のモディファイアー可視性の切り替え機能などが追加され、さらにHDRスコープを使用したグレーディングもサポートされています。

コンポジターとビデオシーケンサーの連携 

新しい Compositor(コンポジター)エフェクトストリップ の導入により、コンポジターのノードツリーをタイムライン上で直接実行できるようになりました。

ストリップモディファイアーがパネル内で入力を公開するようになり、ジオメトリノードのようなノードグループのインターフェースを通じた制御が可能です。コンポジターのノードツリーをストリップモディファイアーのアセットとして保存しておくことで、後から「モディファイアーを追加」メニューを通じて簡単に利用できます。

さらに、モディファイアーとエフェクトがGPU上で実行可能になったため、複雑なノードグラフや広範囲のブラー処理においても実行速度が向上しています。

コンポジタベースのトランジションノードツリー

テキストスタイルのプリセットと行間調整

テキストストリップが、フォント、アウトライン、シャドウ、レイアウトといったスタイルパネルの全設定を保存できるスタイルプリセットをサポートするようになりました。デフォルトで以下の3つのプリセットが内蔵されています。また、行間(Line Spacing) をフォントの高さに対する相対値で調整したり、絶対ピクセル値 で指定できるようにもなりました。

プレビュー可視性の切り替えトグル

ストリップモディファイアーに、オブジェクトモディファイアーと同様の プレビュー可視性トグル(モニターアイコン)が追加されました。

これにより、最終的なレンダリング出力には影響を与えずに、ビューポート再生時の重い処理のみを一時的に無効化することができます。

パフォーマンスの向上

ビデオシーケンサーのその他のアップデート

VSE機能強化

ユーザーインターフェース

長期サポート(LTS)リリースには、日常的な操作性を向上させるためのユーザーインターフェース(UI)の細かな改善が多数含まれています。

レンダー解像度の素早い入れ替え

出力解像度(Resolution)のXとYの値を右クリックし、新しい縦横を入れ替え(Swap Dimensions) オペレーターを実行することで、縦横のサイズを即座に入れ替えることができるようになりました。

横長の構図から縦長の構図(またはその逆)へ素早く変更する際に役立ちます。

アウトライナーのアクティブフォーカス

アウトライナー設定でアクティブにスクロール (Scroll to Active )を有効にして、リストが自動的にスクロールし、常にアクティブなオブジェクトにフォーカスできるようになりました。

この際、アウトライナーのツリーが煩雑になるのを防ぐため、折りたたまれたコレクションや階層内の要素は自動展開されず、現在の表示状態が保持されます。

サイドバーのコンパクト表示

サイドバーのタブを正方形に縮小する Compact(コンパクト)モード が追加されました。このモードでは、タブ名の最初の2文字、または割り当てられたアイコンが表示されます。

bl_icon を定義することで、ユーザー独自のアドオンタブにもアイコンを設定できます。

さらに、クリック&ドラッグによるタブの切り替え操作に対応し、タブが1つしかない場合でもサイドバーが非表示にならず常に表示される仕様に変更されました。

その他のアップデート

ノードエディター (Node Editor)

バーチャルリアリティ

ロケーションスカウティング

Location Scouting 機能が追加され、3Dシーン内をVR環境で直接探索できるようになりました。

VRを通じて3D環境に没入した状態で、カメラ視点の決定や、カメラプロパティの評価を行うことが可能です。

「ビューファインダー(Viewfinder)」を使用することで、VR環境に留まったままカメラ設定の制御やショットのキャプチャ、および再生を行うことが可能です。キャプチャしたショットは、後のレビュー時にシーンカメラやマーカーに変換することができます。

コントローラー設定の調整

よりスムーズな操作体験を提供するため、VRコントローラーのデフォルトのデッドゾーンしきい値が調整されました。

VRロケーションスカウティングのビューファインダー操作図 – マニュアルを読む

その他のアップデート

データ入出力 (Pipeline & I/O)
Python API

Blender Extensions プラットフォームの拡大

Blender Extensions プラットフォームでは、ワークフローをカスタマイズするための1100以上の無料アドオンやテーマが提供されています。

また、自身で作成した拡張機能をコミュニティと共有することも可能です。

さらに数百のバグ修正、コードのクリーンアップ、リファクタリングが行われています。
変更点の完全なリストはこちらをご覧ください。

ダウンロード

Blenderはコミュニティ主導のプロジェクトです。
Blenderへの貢献方法についてはこちら

Blender 5.2 LTSへの貢献者、およびこれまでのすべての開発者のリスト

スプラッシュアートワーク:Joanna Kobierska(ベースモデル作成:Ken Barthelmey)
Thin Wall レンダリング作例:Christopher 3D
VR Location Scouting 画像:Daniel Bystedt

Huge thanks to everyone involved! 🧡

The Blender team. July 14th, 2026

Blender 5.2 LTS – Showcase Reel

Blender 5.2 LTS Release

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