TAngraFXによるBlender向けのAIモーションキャプチャアドオン「MotionGen」の紹介です。
MotionGen とは
MotionGenは、お手持ちの動画ファイルから直接、リギング済みのアニメーションデータを生成することができるBlender向けのアドオンです。
専用のモーションキャプチャスーツやマーカー、複雑なスタジオ環境を用意することなく、日常的な動画をBlenderのビューポートに読み込むだけで、AIを活用してモーションデータを抽出することができます。
出力されるデータは映像制作やゲーム開発などのプロダクション用途でも利用しやすいよう設計されいます。
主な機能
MotionGenは、アニメーション制作を効率化するための実用的な機能を多数搭載しています。
完全なローカル処理
初回のセットアップおよびライセンス認証時を除き、すべての処理はローカル環境で完結します。インターネットへの常時接続は不要で、クラウドの利用に伴うサブスクリプション費用やデータ処理の従量課金も発生しません。
動画からリギング済みアニメーションへの変換
高度なAI検出アルゴリズムを用いて、MP4、MOV、AVIなどの動画ファイルからモーションを抽出することができます。
処理可能な動画の長さは、導入するライセンスのバージョンに応じて、数秒から無制限まで対応しています。
ワンクリックリターゲティング
抽出したモーションは、Rigify、Unreal EngineのMetaHumanやMannequin、Mixamoのリグに対してワンクリックで適用可能です。手作業による複雑なリギングの調整負担を軽減します。
アニメーションカーブのクリーンアップ
自動ジッター除去機能によりAI抽出特有の不自然なブレを滑らかに補正、スマートキーフレーム削減機能により後から編集しやすいクリーンなアニメーションカーブを生成しすることができます。これらのカットオフ値や削減率は、用途に合わせてユーザーが任意に調整可能です。
ゲームエンジンへのスムーズな書き出し
「InPlaceモード」を使用することで、キャラクターのアニメーションをシーンの原点に固定した状態で出力できます。これにより、Unreal EngineやUnityなどの主要なゲームエンジンへ、すぐに組み込める形でエクスポートすることが可能です。
ポーズの柔軟な切り替え
AポーズとTポーズのセットアップをツール上で簡単に切り替えることができます。リターゲティング作業や、ウェイトペイントの微調整を行う際に便利です。
簡単インストール
所定のファイルをドラッグ&ドロップするだけでインストールが完了。
初回実行時にエンジンが自動的に必要な依存関係を設定するため、複雑な技術的知識は必要ありません。
使用方法
チュートリアル
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ヒントとトラブルシューティング
より高品質なアニメーションを抽出するための推奨設定やコツが共有されています。
動画の品質について
- 対象の人物がはっきりと見える、十分に明るい動画を使用してください。
- 可能な限り、モーションブラー(被写体ブレ)が少ない映像を推奨します。
- フレーム内に人物が一人だけ映っている状態が最適です。
- 動画全体を通して、対象の全身が画角に収まっていることを確認してください。
- VRAMの使用量を抑え、処理速度を向上させるため、動画の解像度は480p、720p、最大でも1080p(FHD)程度に維持することが推奨されています(アスペクト比は問いません)。必要以上に高解像度な動画は、VRAMの消費を激しくするだけで精度の向上には繋がりません。
- 互換性の観点から、MP4、MOV、またはAVIフォーマットの使用が推奨されます。
ゲームエンジンへの統合
- ゲーム用に出力する際は、「Armature InPlace」モードを使用してください。
- Unreal Engineプロジェクトの場合は、UE Mannequinへリターゲティングを行います。
- 出力前にクリーンアップツールを適用することで、ファイルサイズを削減できます。
- ゲーム側で異なるフレームレートを使用している場合は、FPSの上書き(override)設定をテストしてください。
パフォーマンス向上のヒント
- 初回実行時には依存関係のダウンロードが行われるため、しばらく時間がかかります。
- 処理中はエンジンのウィンドウを最小化し、閉じないようにしてください。
- 動画のサイズが大きすぎると処理時間とメモリ使用量が大幅に増加します。
- まずは短い動画クリップで処理を試し、品質や動作を確認することをお勧めします。
- GPUのパフォーマンスを確保するため、不要なバックグラウンドアプリは閉じてください。
- 常に8GB以上のVRAMが利用可能な状態を確保してください。
トラブルシューティング
よくある問題と解決策のリストです。
| 問題・エラー | 解決策 |
|---|---|
| エンジンが起動しない | NVIDIA GPUドライバが最新か確認してください。また、8GB以上のVRAMが利用可能か確認してください。 |
| 動画の処理に失敗する | MP4フォーマットを試してください。全身がはっきりと映っているか、ファイルが破損していないか確認してください。 |
| アニメーションがカクつく(ジッターが発生する) | 「Jitter Cleanup」ツールを使用してください。より滑らかにするには「Cutoff」の値を上げます。 |
| リターゲティングが機能しない | ソース(元)とターゲット(先)の両方のリグが選択されているか確認してください。リターゲティングの前に正しいポーズ(A/Tポーズなど)を適用してください。 |
| 初回起動に時間がかかりすぎる | これは正常な動作です。依存関係のダウンロードは最初の一回だけ行われます。完了するまでお待ちください。 |
| メモリ不足(Out of memory)エラー | GPUを消費している他のアプリを閉じてください。より短い動画クリップで処理するか、8GBのVRAM要件を満たしているか確認してください。 |
| GitPython エラー | MotionGenの設定(Preferences)を開き、「Fix Git related issue」をクリックしてインストールした後、Blenderを再起動してください。 |
| Error: File is not a Zip | MotionGenの設定(Preferences)から「Fix File is not a Zip file」をクリックし、エンジンを再起動して再試行してください。 |
| Error: Timer …. | エンジンファイルが完全に解凍されていません。別のパスを選択し、「Download and Install」をクリックしてください。今度は「Installation Complete」のメッセージが表示されるまで確実に待機してください。 |
| Lite版からPro版/Gold版へライセンスをアップグレードしたい | 設定(Preferences)で「Remove the current license」をクリックし、エンジンを再起動します。更新されたライセンスの検証が求められます。 |
| Error: the size of tensor … | 動画フォーマットがサポートされていないか、解像度が大きすぎます。MP4、MOV、AVIを使用してください。解像度をFHD(1080p)以下に縮小またはクロップすることで、VRAMの消費を抑え、処理速度を大幅に向上させることができます。 |
| ライセンスを更新したのに古いライセンスタイプが表示される | 設定(Preferences)で「Remove the current license」をクリックし、エンジンを再起動します。再度ライセンスの検証を求められます。 |
今後のロードマップ
開発チームは、今後のアップデートとして以下の機能追加を予定していると公表しています(実装時期や順序は未定です)。
- アニメーションアセットライブラリ: すぐに制作に組み込めるクリーンなモーションのギャラリー。
- コントローラー付きリグへのリターゲティング: RigifyやUnreal Engineのリグに対する、より高度な適用。
- 静的カメラ・トラッキングモード: 動画内のカメラ位置や動きを解析・追跡する機能。
- パスコントローラー: 指定したカーブ(パス)に沿ってキャラクターをアニメーションさせる機能。
- 接地判定の修正機能: 足の滑り(フットスライディング)を簡単に検知し、修正する機能。
- リジッドボディシミュレーションとの連携: 落下や衝突など、物理シミュレーションをモーションに適用する機能。
ライセンスと法的情報
MotionGenは、ユーザーの柔軟性を確保するためにデュアルライセンス方式を採用しています。
- アドオンコード(MITライセンス): オープンソースとして提供されており、ユーザー自身のワークフローに合わせて自由に調整やカスタマイズが可能です。
- モーションエンジン(永久ライセンス): 生涯有効なライセンスとして提供されます。外部プロセスとして接続・動作する仕組みのため、GPL3などの他のソフトウェアライセンスと競合することなく安全に利用できます。
システム要件
このアドオンを使用する前に、ご自身の環境がシステム要件を満たしているか確認することが推奨されています。現在はWindows環境およびNVIDIA製GPUのみのサポートとなっています。
| OS | Windows(※LinuxおよびmacOS版は現在開発中とのことです) |
| GPU | NVIDIA製GPU(VRAM 8GB以上必須) |
| Blenderバージョン | 3.6 ~ 5.2 |
| 必要なディスク容量 | エンジンおよび依存関係ファイル用に約15GB |
| 対応動画フォーマット | MP4, MOV, AVI |
| RAM(メモリ) | 8GB以上 |
| インターネット環境 | 初回のセットアップおよびライセンス認証時のみ必要(以降はオフラインで動作) |
価格
ユーザーの用途や規模に合わせて4つのバージョンが提供されています。いずれも一度購入すれば継続して利用できる永久ライセンスとなっています。
Lite版はツールの動作確認や個人的な検証を目的とした非商用バージョンです。個人やフリーランスのクリエイターにはPro版またはGold版が、チームで利用するスタジオにはUltimate版が適しています。
| 機能・条件 | Lite ($1) | Pro ($29) | Gold ($57) | Ultimate ($250) |
|---|---|---|---|---|
| 動画処理の長さ上限 | 3秒 / 動画 | 30秒 / 動画 | 無制限 | 無制限 |
| 商用利用 | ✗ (テスト用のみ) | ✓ | ✓ | ✓ |
| AIモーション検出・変換 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| リターゲティング (Rigify/UE/Mixamo) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| カーブのクリーンアップ機能 | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
| ライセンス数 (シート数) | 1 | 1 | 1 | 10 |
| スタジオ/エンタープライズ用途 | ✗ | ✗ | ✗ | ✓ |
開発元からのメッセージ:
経済的な理由で製品の購入が難しい学生やクリエイター向けにサポート窓口が設けられています。状況を添えて連絡することで、割引コードの発行や無料での提供など、個別の対応を行っているとのことです。
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