高速・高品質な画像生成AI「Krea 2 Turbo」がオープンウェイトで公開!

CGソフト

2026年6月22日(現地時間)- Krea.aiより、画像生成モデル「Krea 2 (K2)」がオープンソース(オープンウェイト)として公開されました。

 Krea 2 について

Krea 2は、美しさとクリエイティブなコントロールに焦点を当て、ゼロから完全に構築された基盤モデルです。

AIで画像を生成する際、既存の多くのモデルは「何を描くか」を正確に反映することには長けていますが、「スタイル」に関しては無難で綺麗にまとまった、いわゆる「AIルック」に落ち着いてしまう傾向がありました。

Krea 2は「画像をどう表現するか」という点に徹底的に注力し、粗いフィルム写真からクリーンなスタジオ撮影、複雑なデジタルペイント、実験的な方向性まで、ほぼあらゆるスタイルを描画できる能力を備えています。

なお、Krea 2 は2026年5月に発表され、投稿時点でKrea 2シリーズのモデル「Krea 2 Medium」は客観的な評価指標であるArtificial Analysis で8〜11位の評価を得ています。

オープンウェイ提供モデルについて

今回公開されたのは、「Krea 2 」の高速化版である「Krea 2 Turbo」です。

「Krea 2 Turbo」は、元のモデルの能力を可能な限り維持しながら、複数倍の速度で動作するように設計されています。公式の環境では、わずか2秒で高品質な画像を生成することができ、スタイル参照、ムードボード、LoRAを用いたKreaのクリエイティブなワークフローと完全に互換性があります。

画像制作においては、最終的な出力だけでなく、プロンプトのテストやリファレンスの変更、構図の比較といった「試行錯誤」のプロセスが大部分を占めます。Turboはこのクリエイティブループを加速させるため、迅速なアイデア出し、初期のコンセプト検討、アートディレクションなどに最適とされているモデルです。

現在、用途に合わせて、以下の2種類のモデル形式(safetensors)が公開されています。

  • Krea 2 RAW:多様性と柔軟性を備えた、未精製のベースチェックポイントです。微調整(ファインチューニング)、トレーニング後処理、LoRAトレーニング向けに設計されています。柔軟な土台が必要な場合に使用します。最大1024px(1k)に対応しています。
  • Krea 2 Turbo:高速かつ高品質なテキストから画像への推論を行うために設計された、8段階(8ステップ)の精製チェックポイントです。洗練された出力結果を素早く得たい場合に使用します。1024px〜2048px(1k〜2k)の解像度に対応しています。

これら2つのモデルは連携して機能するように設計されています。

RAWで学習させたLoRAは、Turbo上で高い性能を発揮するように設計されており、公式では「RAWモデルでLoRAを学習させ、推論時にはそのLoRAをTurboモデルに適用して高速に実行する」というワークフローが推奨されています。

 技術背景

公開されたテクニカルレポートから、Krea 2がどのようにして構築されたのか、その開発背景の要約です。

データ戦略:多様性の確保とAI生成の排除

多様なスタイルと高いコントロール性を備えた基盤モデルを構築するため、データ選別(キュレーション)は以下の方針で行われました。

  • データ選別の原則: 画質モデルによる一律のフィルタリングを避け、モーションブラーなどの意図的な芸術表現を保持しました。一方で、モデルの表現力の上限を狭めてしまう他社AI生成画像は独自の分類器により完全に排除しています。
  • キャプション生成の多段階化: OCRによるテキスト抽出と画像メタデータを視覚言語モデル(VLM)に渡し、詳細なキャプションを生成。さらにLLMを用いて様々な長さに変換し、短文から長文まで多様なプロンプト入力に適応させています。
  • 学習段階に応じたデータ構成:
    • プリトレーニング: 数十億規模の画像からCPUベースの軽量なフィルターを用いて幅広く収集・学習させます。
    • ミッドトレーニング: WikipediaのPageRank等を活用し、著名な実体や希少な概念を保持しつつ、高品質なデータをトップダウンで選定します。
    • 教師あり微調整 (SFT): 規模よりも「質」を重視した厳選データを使用し、テクスチャの過飽和などの問題を解決します。

アーキテクチャ:LLMの知見を取り入れた12B DiT

Krea 2は、Qwen Image VAE、120億(12B)パラメータの高密度DiT(Diffusion Transformer)バックボーン、および多層特徴集約機能を備えたQwen3-VLテキストエンコーダーを組み合わせた最先端のアーキテクチャを採用しています。安定性・性能・効率・シンプルさを基準に、各コンポーネントは検証(アブレーション)して構築されました。

  • Transformerブロック: テキストと画像を共通の重みで処理する「シングルストリーム設計」を採用。アテンション機構には計算効率の高いGQA(Grouped-Query Attention)と、訓練の安定性を高めるGated Sigmoid Attention、LLMで標準的なSwiGLUを組み合わせています。
  • テキストエンコーダー: 視覚言語モデルのQwen 3 VLを採用し、最終層だけでなく複数層から特徴を動的に集約(多層特徴量の集約)することで表現力を向上させています。
  • 効率的なコンポーネントの採用: タイムステップ情報の注入には、パラメータを大量に消費するMLPの代わりに調整可能なバイアス項(Tunable Bias)を採用。オートエンコーダーには圧縮効率と再構成品質のバランスに優れた Qwen Image VAE と FLUX 2 VAE を併用し、位置エンコーディングには3D Axial RoPEを使用しています。

多段階のトレーニングパイプラインと強化学習

近年の大規模言語モデル(LLM)の潮流にインスパイアされた、複数のステージからなる学習パイプラインを採用しています。

  • 段階的な解像度スケールと効率化: プリトレーニングでは256pxから1024pxへと段階的に解像度を上げるカリキュラム学習を適用。初期ステージでは8-bit学習を導入し、品質低下を抑えつつ学習速度を向上させています。
  • 嗜好最適化 (PO): 大規模な合成データと人間による評価データを用いた2段階のキャリブレーションを実施。独自の「STPO」を導入し、モデルが事前学習の幅広い分布から乖離してしまう現象を防いでいます。
  • 強化学習 (RL) による意図の反映: 総合美学、プロンプト追従、テキストレンダリング、アーティファクト構造の4つの報酬モデルを用いたGRPOスタイルの手法を採用。「指の数がおかしい」といった構造破綻(報酬ハック)を専用モデルで防ぎ、生成と学習の双方でCFGをオフにして安定性と効率性を両立しています。
  • タイムステップ蒸留: 軌道分布マッチング(TDM)を採用し、少ないステップ(Turboの8ステップなど)で柔軟な推論が可能なモデルを構築しています。

堅牢な分散学習インフラストラクチャ

大規模な分散学習と本番環境を両立させるため、独自の実装とOSSを組み合わせた強力なインフラが構築されました。

  • Kubernetesクラスタの共有とスケーリング: 本番の推論ワークロードと研究用の学習を単一クラスタで運用。Kueueによるギャングスケジューリングや、学習時に推論をクラスタ外へ自動退避させる「Virtual Kubelet」の仕組みにより、GPU稼働率を最大化しています。また、不良ノードを管理する「Packerman」オペレータも導入されています。
  • 詳細な監視とストレージ: 分散学習の崩壊を防ぐため、GPU温度、テンソルコア稼働率、InfiniBandの通信エラーなどを厳密に監視しています。ファイルシステムには「Weka」を採用し、約30秒での超高速なチェックポイント保存を実現しています。
  • データインフラ「Krablet」: 208TBに及ぶメタデータを管理するため、PostgreSQLベースの独自システムを構築。FOR UPDATE SKIP LOCKEDを利用したタスクキュー化により、クラッシュ時でもデータを失わず、柔軟な自動スケールが可能なDAGワークフローを実現しています。

議論と今後の展望

テクニカルレポートの最後では、今回のモデル開発で得られた知見と、次世代モデルに向けて解決すべき課題や研究方針が示されています。

  • スケーリングと保守的設計からの脱却: Krea 2では安定性を最優先し、アーキテクチャや最適化手法を保守的に抑えていました。次世代ではLLMの最新トレンドであるMoE(混合専門家モデル)の導入、スパースアテンションを用いたネイティブな2K〜4K解像度への対応、NVFP4での事前学習、そしてMuon最適化器の本格採用を目指します。また、現行モデルはまだ学習の余地(undertrained)を残しており、より長時間のトレーニングによる性能向上が見込まれています。
  • マルチティーチャー・オンポリシー蒸留 (MOPD): 今後は特定の領域に特化した「専門家モデル」を個別に訓練し、その能力を一つの生徒モデルに蒸留する手法に注力します。これにより、能力同士の衝突を防ぎつつ、各研究チームが自身の専門領域に集中できる高い組織的スケーラビリティを実現します。
  • アーキテクチャの単純化: 現在の画像生成AIは、VAE、DiT、テキストエンコーダー、スタイル参照モデルなど複数のモデルが複雑に相互依存しています。今後はLLMのように、すべてのコンポーネントを単一の統合モデルへ集約し、開発リソースを集中させることでプロセスを効率化する方針です。
  • 新たな機能の拡張: 単なる画像生成にとどまらず、強力な画像編集や図面・既存画像に基づく画像リファレンス機能などを拡張します。また、自然言語だけでなく、タグ、JSON、バウンディングボックス(境界枠)、Markdownなど多岐にわたるユーザーの入力形式を、モデル自身がネイティブに理解できる能力の搭載を計画しています。

より詳しく知りたい場合はこちらの公式ブログをご覧ください。

利用について

Krea 2はオープンソースとして公開されており、ローカル環境からクラウドプラットフォームまで、様々な環境で推論(Inference)およびファインチューニングを実行できます。用途に合わせて最適なツールを選択してください。

公式プレイグラウンドとAPIでの利用

ローカル環境を構築する前にモデルの能力を試したい場合、公式のKrea Playground(プレイグラウンド環境)を利用することで、プロンプトのテストや出力結果の比較を高速に行うことができます。また、企業やアプリケーション開発者向けには、モデルを組み込むためのAPIも提供されています。

推論のプラットフォーム

公式には、以下のプラットフォームでの推論がサポートされています。

  • ComfyUI:直感的なノードベースUI(ローカル環境)
  • Fal:クラウドベースの高速推論環境
  • SGLang

ファインチューニング環境

RAWモデルを用いたLoRA学習などには、以下のオープンソースツールやプロバイダーが推奨されています。

また、コマンドラインでの推論も公式にサポートされています。詳細はGithubページを確認ください。

 ComfyUIでの利用について

推奨プラットフォームの1つであるComfyUIを用いた、セットアップ手順の紹介です。

公式モデルとComfyUI用モデルのダウンロード

用途に合わせてHugging Faceからモデルをダウンロードします。ComfyUIで利用する場合は、設定が最適化された再パッケージ版を利用するのが便利です。

また、公式からスタイル調整用のLoRAモデルが多数(投稿時点12種類)公開されています。各リンク先のHugging Faceリポジトリで、どのような画像が生成できるかのサンプルを確認できます。

Krea 2 Turbo と Krea 2 Raw 向けの公式 LoRAs 一覧ページへ

ComfyUIでのファイル配置

ダウンロードした各種モデル(safetensorsファイル)は、ComfyUIの以下のディレクトリ構造に従って適切なフォルダに配置してください。

📂 ComfyUI/
├── 📂 models/
│   ├── 📂 diffusion_models/  (メインモデルを配置)
│   │   ├── krea2_raw_bf16.safetensors
│   │   ├── krea2_turbo_bf16.safetensors
│   │   ├── krea2_turbo_fp8_scaled.safetensors
│   │   └── krea2_turbo_nvfp4.safetensors
│   ├── 📂 loras/             (LoRAファイルを配置)
│   │   ├── krea2_coolblue.safetensors
│   │   ├── krea2_darkbrush.safetensors
│   │   ├── krea2_dotmatrix.safetensors
│   │   ├── krea2_kidsdrawing.safetensors
│   │   ├── krea2_neondrip.safetensors
│   │   ├── krea2_plasmoid.safetensors
│   │   ├── krea2_rainywindow.safetensors
│   │   ├── krea2_retroanime.safetensors
│   │   ├── krea2_softwatercolor.safetensors
│   │   ├── krea2_sunsetblur.safetensors
│   │   ├── krea2_turbo_lora_rank_64_bf16.safetensors
│   │   ├── krea2_vintagetarot.safetensors
│   │   └── krea2_warmpastel.safetensors
│   ├── 📂 text_encoders/     (テキストエンコーダーを配置)
│   │   └── qwen3vl_4b_fp8_scaled.safetensors
│   ├── 📂 vae/               (VAEを配置)
│   │   └── qwen_image_vae.safetensors

公式ワークフローの構成とプロンプティング

ComfyUI(バージョン0.26.0以上を推奨)向けに、Krea 2 Turboを用いたテンプレートワークフローが提供されています。このワークフローは、複雑なノード群を扱いやすく整理した「サブグラフ(Subgraph)」機能を活用しており、以下の特徴を持っています。

  • プロンプティングの基本: 短いものから長いものまで自然言語のプロンプトで訓練されていますが、詳細で長いプロンプトを使用すると最も高い品質が得られます。
  • プロンプト拡張(Prompt Enhancement) : ワークフロー内には、ユーザーの短いプロンプトを生成前に自動でリッチなものに拡張するモジュールが組み込まれています。Kreaチーム公式のシステムプロンプトが使用されており、デフォルトで有効になっています。
  • 機能の切り替え : サブグラフの左側にあるトグルスイッチで、プロンプト拡張やLoRAの適用を素早くオン・オフできます。

公式LoRAのトリガーワードと自動化

公式のワークフローを利用すると、メインキャンバスにある CustomCombo ノードでスタイルLoRAを選択するだけで、該当するトリガーワードが自動的にプロンプトへ追加されます。(投稿時点で機能しませんでした。)手動で入力する手間が省け、スムーズにスタイルを切り替えることが可能です。

※独自のワークフローを構築する場合や手動で入力する際は、以下のトリガーワードと推奨強度(Strength)を参考にしてください。

LoRAファイル名トリガーワード推奨強度 (Strength)
krea2_coolblueteal watercolor illustration style0.8
krea2_darkbrushmonochrome ink wash style1.0
krea2_dotmatrixmonochrome stippling style1.0
krea2_kidsdrawingnaive expressive sketch style1.0
krea2_neondriptextured abstract style1.0
krea2_plasmoidethereal shimmering light style0.8
krea2_rainywindowrainy window style1.0
krea2_retroanimepurple retro anime style1.0
krea2_softwatercolorart deco watercolor style1.0
krea2_sunsetblurethereal motion blur style1.0
krea2_vintagetarotvintage tarot style1.0
krea2_warmpastelmuted minimalist sketch style0.8

ライセンスと安全性・制限事項

Krea 2を利用するにあたり、ユーザーは以下のライセンスとガイドラインを理解し、遵守する必要があります。公式のライセンス文書では、以下の重要な条件が定められています。

商用利用の条件

Krea 2は、モデルの利用方法や展開方法に応じて「Krea 2 Community License(コミュニティライセンス)」エンタープライズライセンスの2種類のパスが用意されています。

基本的にはコミュニティライセンスの下で無償利用が可能ですが、商用利用には「企業全体の年間収益が100万米ドル($1,000,000 USD)未満」という条件があります。このしきい値を超えるチームが商用利用する場合、あるいはカスタム条件が必要な場合は、事前にKrea社からエンタープライズライセンス(商用ライセンス)を取得する必要があります。

派生モデル配布時のルール(命名規則と帰属表示)

Krea 2をベースにした派生モデル(LoRAやファインチューニング版など)を配布・公開する場合、モデル名の先頭に必ず「Krea」を含める必要があります(例: Krea 2 [あなたのモデル名])。また、所定の帰属表示文を含む通知テキストファイルを同梱し、受領者にも本ライセンスの条件を適用する義務があります。

出力結果の権利とAI生成の開示義務

Krea社は、生成されたコンテンツ(Outputs)に対して著作権や知的財産権を主張しません。ユーザーは自身の出力結果、およびその利用に関して全責任を負います。

また、適用される法律やプラットフォームのポリシーで義務付けられている場合、出力物が人工知能(AI)を使用して生成されたことを明確に開示する義務があります。

安全対策とデプロイヤー(開発者)の義務

Krea社は開発段階で厳格な安全性評価を実施していますが、オープンウェイトとしてモデルをデプロイ(運用)するユーザーには、独自の安全対策が強く求められます。

ライセンスに基づき、デプロイヤーはオープンソースの画像分類器(NudeNet等)、商用モデレーションAPI、または人間のレビューといった具体的なコンテンツフィルタリング手段を実装する義務があります。これらの適切な安全策を講じない場合、あるいは違反行為があった場合はライセンス違反とみなされ、利用権は即座に自動で終了します。

禁止されている用途

Krea 2を以下の目的で使用することは固く禁じられています(これらに限定されません)。

  • 適用される法律や規制の違反
  • 第三者の権利の侵害や不正流用
  • 違法または有害なコンテンツ(CSAM、同意のない性的画像、嫌がらせ、名誉毀損など)の生成や助長
  • 個人の法的権利に悪影響を及ぼす、完全自動化された意思決定プロセスへの組み込み

詳細については、Krea 2 Community License および Acceptable Use Policy をご参照ください。

リスクと制限事項

Krea 2は最新の技術であり、想定されるすべてのシナリオを完全にテストできているわけではありません。モデルが不正確、不快、または望ましくない出力を生成する可能性があります。

また、このモデルは事実情報を提供するように設計されていません。プロンプトの記述スタイルや言語、具体性によって、指示通りに生成されない場合があります。

アプリケーションにこのモデルを組み込む開発者は、特定の用途に合わせた安全性のテストと調整を必ず実施してください。


その他詳しい情報は公式ページへ

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