2026年3月17日 – AdobeとNVIDIAは、AIを活用したコンテンツ制作およびパーソナライゼーションの加速を目的とした戦略的パートナーシップを発表しました。
この提携により、NVIDIAの高度なコンピューティング技術やライブラリを活用した次世代の「Adobe Firefly」基盤モデルの開発や、自律的にタスクを処理するエージェント型ワークフローの提供が行われます。特に3DCGおよびマーケティング業界に向けては、NVIDIA Omniverseを活用したクラウドネイティブな「3Dデジタルツイン」ソリューションが展開される予定です。
詳細は以下の通りです。
Omniverseを活用した3Dデジタルツインの構築
NVIDIAとのパートナーシップのもと、Adobeはクラウドネイティブでブランドアイデンティティを忠実に保つ3Dデジタルツインソリューション(パブリックベータ版)を発表しました。
このソリューションは、物理的な製品の高精細な仮想レプリカ(デジタルツイン)を作成し、それをマーケティングやEコマースの体験にシームレスに活用する仕組みを提供します。アドビの生成AIおよびワークフロープラットフォームに、以下のNVIDIAの技術が統合されます。
- NVIDIA Omniverseライブラリ:Universal Scene Description(OpenUSD)規格を基盤とした3Dワークフローの構築。
- NVIDIA RTX技術:高品質なレンダリング。
- NVIDIA Omniverse Kit App Streaming:レンダリング出力をクラウドからリアルタイムでストリーミング配信。
ツール間のシームレスな相互運用性により、ブランドは統一感のあるパックショット(パッケージ写真)やライフスタイル画像から、カスタマイズ可能な3D製品体験、さらには没入型のバーチャル試着まで、多様なコンテンツを生成できるようになります。
次世代「Adobe Firefly」モデルとカスタムAIの展開
Adobeは、クリエイティブおよびマーケティングのパイプラインにおいて高い精度とコントロール性を備えた次世代のAdobe Fireflyモデルを提供します。
この開発基盤には、NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティング技術のほか、「NVIDIA CUDA-X」および「NVIDIA NeMo」ライブラリ、さらにオープンモデルである「NVIDIA Cosmos」が活用されます。
Adobe主要ツール群におけるAI処理の全面的な最適化
Adobeは、NVIDIAのAIインフラ、ライブラリ、サービス、モデルを幅広く活用し、創造性、生産性、顧客体験のオーケストレーション分野において、AI駆動型ツールのあらゆるレイヤーを高速化・最適化します。
対象となるプラットフォームには、Adobe Photoshop、Adobe Premiere Pro、Adobe Acrobat、Frame.io、Adobe GenStudio、Adobe Experience Platformなどが含まれます。
エンタープライズ向けのカスタムAIモデル構築
また、企業やIP(知的財産)所有者向けに、自社のブランドや独自のフランチャイズコンテンツに最適化(綿密に調整)されたAIモデルを構築できるサービス「Adobe Firefly Foundry」に対しても、NVIDIAの技術が統合されます。
これにより、メディア・エンターテインメントスタジオ等にとって不可欠な、商用利用に安全なカスタムAIモデルを、画像、ビデオ、音声、ベクター、3Dなどの多様なメディアにわたって大規模に展開することが可能になります。
エージェント型AIワークフローの構築とイノベーション
コンテンツ制作やキャンペーン展開のスピードを飛躍的に高めるため、AdobeとNVIDIAは自律的にタスクを実行する「エージェント型ワークフロー」の構築に向けて協業を進めています。
Adobeは「NVIDIA Agent Toolkit」とオープンモデル「NVIDIA Nemotron」を活用し、Adobe Experience Platform上で大規模なエージェントワークフローを構築する可能性を検証しています。これに対しNVIDIAは、エンジニアリング面での専門知識、ソフトウェアへの早期アクセス、そしてターゲットを絞ったGo-to-Market支援を提供し、開発を強力に後押しします。
エージェントの安全な実行環境「NemoClaw」
パーソナライズされ、安全かつコスト効率の高い環境で「ハイブリッドで長期に実行可能なエージェント型ループ」を実現するため、AdobeとNVIDIAの両社は、オープンソーススタック「NemoClaw」においても協力します。
NVIDIA Agent Toolkitの一部として「NVIDIA OpenShell」ランタイムを導入することで、自律エージェントやオープンソースモデルを実行するための強固で安全な環境が提供されます。
クラウド上のクリエイティブワークフローの加速(Frame.io)
クリエイティブプロセス全体でコンテンツやフィードバックを一元管理するAdobeのプラットフォーム「Frame.io」のクラウド処理能力も、今回の提携により大幅に強化されます。
「NVIDIA CUDA」を活用することで、Frame.ioのスケーラブルなクラウドコンテンツ管理とワークフロー、メディアデコード処理が加速します。これにより、画像、ビデオ、3Dメディアなど多様なクリエイティブメディアに対する高速なセマンティック検索や、生成AIによる処理の大規模な展開が可能になります。
AIドキュメントインテリジェンスによる生産性の向上(Adobe Acrobat)
クリエイティブ分野だけでなく、ビジネス向けのコラボレーションプラットフォームである「Adobe Acrobat」においてもAI機能が強化されます。
Adobe AcrobatにNVIDIA Nemotronの機能が導入されることで、ドキュメント処理におけるAIの出力品質がさらに向上します。これにより、ビジネスプロフェッショナルから一般ユーザー、そして企業全体の生産性向上に貢献します。
両社CEOのコメント
「AIによってマーケティングチームやメディア・エンターテインメント制作スタジオの働き方に変革が起きている今、AdobeとNVIDIAは、Adobe FireflyモデルとCUDAライブラリを私たちのアプリケーションに統合し、マーケティングワークフローに3Dデジタルツインを導入、さらにAgent ToolkitやNemotronを私たちのエージェント型ワークフローに組み入れることで、高品質でコントロール性が高く、かつエンタープライズ向けの未来のAIワークフローを提供していきます。」
Adobe 会長兼最高経営責任者(CEO) シャンタヌ ナラヤン(Shantanu Narayen)氏
「NVIDIAとAdobeは、20年以上にわたるパートナーシップによってデザインと創造性の限界を押し広げてきました。今日、私たちはそのパートナーシップを新たなレベルへと引き上げます。研究およびエンジニアリングチームを結集し、NVIDIA CUDAによってAdobeの愛されるアプリケーションの進化を加速させるとともに、創造性を再定義し、顧客体験を変革する最先端の世界基盤モデルを共同で構築します。」
NVIDIA 創業者/CEO ジェンスン フアン(Jensen Huang)氏
AdobeとNVIDIAの両社は今後、「Adobe Firefly Foundry」を活用した共同の市場展開(Go-to-Market)戦略を策定し、世界中の企業ユーザーに対するAIイノベーションの導入を促進していくとしています。
























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