3D環境アセットスタジオとして知られるLeartesから、Unreal Engine向けの新しいAIアシスタントツール「Nwiro」のアルファ版がリリースされました。
Nwiroとは
Nwiroは、テキストプロンプト(自然言語)を用いた指示から、プロシージャルコンテンツ生成(PCG)のノードグラフを自動構築し、エディタ上に環境を配置することができるAIアシスタントツールです。
このツールは、アイデア出しからプロトタイピング、背景構築のイテレーション作業を大幅に効率化することを目的として開発されています。
主な機能
Nwiroは、単にアセットをランダムに配置するだけでなく、ユーザーのプロジェクト環境を認識し、高度なPCGワークフローを提供します。
- 自然言語からPCGグラフへの変換: 「鬱蒼とした松の森を作成して」といったテキストプロンプトを入力することで、複雑なPCGノードグラフを自動生成します。
- 実行と配置の自動化: ワンクリックで生成されたグラフをコンパイルし、機能するスプライン・ブループリントとしてアクティブなビューポートに直接スポーンさせます。
- イテレーション(反復)モード: ゼロから作り直すことなく、「もっと密度を上げて」「岩を取り除いて」といった追加指示を出すことで、ベースのレイアウトを維持したままグラフを更新可能です。
- スプラインベースの範囲指定: 生成された環境はスプラインで制御されるため、エディタ上で境界線を自由に描画・調整することができます。
- プロジェクトを認識したアセットマッチング: ユーザーのプロジェクト内にある「Content」フォルダを自動的にスキャンし、命名規則や寸法に基づいて、既存のスタティックメッシュを適切に割り当てます。
- 自動コリジョン回避: 大小のアセットが不自然に重なったり、クリッピングしたりするのを防ぐため、配置時のコリジョン論理を自動計算します。
- 段階的なAIパイプライン: 最適な環境生成を行うために、複数の専門的なAIステージが順次実行される仕組みを採用しています。
Nwiroは現在アルファ版であり、今後段階的に機能が拡張される予定です。
現在利用可能
環境生成
テキストプロンプトから、数分で3D環境のベースを生成します。
現在利用可能
AIエージェント
Unreal Engineのエディタ内で動作するAIアシスタント。質問への回答や修正の提案を行います。
近日実装予定
天候ツール
雨、霧、嵐などの動的な気象システムをエディタから直接制御する機能。
近日実装予定
ブループリント編集
AIの支援によりロジックの構築を自動化し、開発を加速させるブループリント編集機能。
開発ロードマップ
このツールはコミュニティのフィードバックを受けながら開発を進めており、レビューの達成数に応じて新機能がアンロックされるロードマップが公開されています。
- フェーズ I (15レビュー達成) – 環境生成ツールの改善(開放済)
- フェーズ II (30レビュー達成)- Unreal AI チャットボット
- フェーズ III (50レビュー達成)- 天候ツール (Weather Tool)
- フェーズ IV (100レビュー達成)- ブループリント編集アシスト
- フェーズ V (150レビュー達成)- AIエージェントの高度なアシスタンス
使用方法
効果的なプロンプトの書き方
Nwiroはプロンプトの意図(バイオーム、密度、スケールなど)を分析し、最適なメッシュを選択して配置ロジックを計算します。以下は思い通りの環境を生成するためのコツです。(投稿時点)
大原則:「Less is More(シンプルが最良)」
細かい数値や座標を指定するよりも、AIが持つ自然環境の知識に任せる、短くて自由度の高いプロンプトの方が質の高い結果を生み出します。
〇 良いプロンプトの例:
「Dense tropical forest with palm trees」(ヤシの木が生い茂る熱帯雨林)
「Autumn meadow with wildflowers」(野花が咲く秋の草原)
「Overgrown abandoned area with ivy」(ツタに覆われた放棄されたエリア)
× 避けるべきプロンプトの例:
「Place exactly 50 palm trees with 3 meter spacing in a grid pattern」(ヤシの木を3メートル間隔でグリッド状に正確に50本配置して)
※AIの自然な配置アルゴリズムを阻害してしまうため、このような技術的・数値的な指示は非推奨です。
バイオームを指定するキーワード
環境のベースとなるバイオーム(生物群系)を明確にすることで、適切なアセットが選択されやすくなります。
- 高山 (Alpine): pine forest(松の森)、debris(瓦礫/破片)、mossy alpine(苔むした高山)
- 砂漠 (Desert): arid canyon(乾燥した峡谷)、cacti(サボテン)、rock formations(岩層)
- 森林 (Forest): autumn forest(秋の森)、maple trees(カエデの木)、deciduous floor(落葉の地面)
- 草原 (Grassland): lush meadow(青々とした草原)、oak trees(オークの木)、wildflowers(野花)
- 熱帯 (Tropical): tropical island(南の島)、palm trees(ヤシの木)、granite rocks(花崗岩)
- 中世/廃墟 (Medieval): overgrown abandoned area(草に覆われた廃墟)、creeping ivy(這うツタ)、neglected garden(放置された庭)
イテレーションと配置コントロール
一度生成した後は、同じチャット内で短い指示を出すことで微調整が可能です。(例:「Make it denser(もっと密度を上げて)」「Swap the pine trees for oak trees(松をオークに変更して)」など)また、特定の空間的関係を指示する「制約キーワード」を使うことで、配置をより細かくコントロールできます。
| キーワード | 効果 | プロンプト例 |
|---|---|---|
| around X | 基準となるオブジェクトの周りに配置する | Add mushrooms around the fallen logs (倒木の周りにキノコを追加して) |
| near X | 基準の近くに配置する | Scatter rocks near the tree bases (木の根元近くに岩を散らして) |
| clustered | 要素を密集(群生)させる | Place flowers clustered in patches (花をパッチ状に密集させて配置して) |
| scattered | 要素をランダムに散布する | Scatter bushes across the hillside (丘の中腹に茂みを散布して) |
| avoid X | 基準となるものから遠ざける | Place grass but avoid the path (草を配置するが、道は避けて) |
トラブルシューティング
- ボタンが反応しない: Nwiroのインターフェースは、必ずUnreal Engine内のプラグインウィンドウから実行してください。
- 指定したメッシュが出現しない: プロジェクト内のスタティックメッシュが論理的な命名規則(例:
SM_PineTree)になっているか確認してください。 - 過去のチャット履歴からメッシュがスポーンしない: アセットがリネーム、移動、または削除された可能性があります。AIに対して「不足しているメッシュを新しいものと交換して(Swap the missing meshes with new ones)」と指示し、グラフを更新してください。
- 選択されるメッシュが少なすぎる: プロンプトが具体的すぎる可能性があります。より一般的な用語(特定の木の名前ではなく「forest」など)を試してください。
- 意図したバイオームにならない: プロンプトに「Alpine」や「Desert」など、明確なバイオーム名が含まれているか確認してください。
- 分布が不自然になる: 座標や間隔など技術的な指示を与えないでください。自然な配置や間隔の調整はAIに任せます。
- 地面のカバー(草など)が生成されない: 指示の範囲が狭い可能性があります。「with varied vegetation(多様な植生を含む)」などの言葉を追加してください。
- 環境が均一でのっぺりしている: プロンプトに多様性を持たせるキーワード(「varied(多様な)」「mixed(混ざった)」「natural(自然な)」など)を追加してください。
利用料金とサブスクリプションプラン
Nwiroはクラウド上のAIリソースを使用するため、環境生成などのアクションごとに「クレジット(1クレジット=1ドル相当)」を消費します。
アカウント作成時に初回3クレジットが無料で付与され、すぐに試すことができます。継続して利用する場合は、毎月ボーナスクレジットが付与されるサブスクリプションプランへの加入がお得です(年間一括払いを選択すると25%オフになります)。
サブスクリプションが有効な間は、使い切れなかったクレジットは自動的に翌月へ繰り越されるため無駄になりません。プランはいつでもアップグレード、ダウングレード、キャンセルが可能で、変更は次の請求サイクルから適用されます。万が一キャンセルした場合でも、現在の請求期間が終了するまでは残りのクレジットをそのまま利用し続けることができます。
| プラン | Free | Starter | Pro | Studio |
|---|---|---|---|---|
| 料金 月額または年額の支払い金額。 | $0 買い切り | 月額: $12 年額: $108 | 月額: $48 年額: $432 | 月額: $192 年額: $1728 |
| 月間クレジット 毎月の請求サイクルで付与される生成用ベースクレジット。 | 0 (初回3枠のみ) | 14 | 60 | 256 |
機能の詳細比較表を見る
|
ボーナスクレジット (Bonus credits)
ベース額に上乗せして付与される追加クレジット(上位プランほどお得)。
|
— | 16% | 25% | 33% |
|
すべての生成機能 (All generation features)
AIを搭載した3D環境生成機能へのフルアクセス。
|
✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
|
UE5プラグインアクセス (UE5 plugin access)
Unreal Engine 5内で直接生成およびアセットインポートを行う機能。
|
✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
|
優先生成キュー (Priority generation queue)
標準キューよりも優先して生成リクエストが処理され、結果を早く得られます。
|
— | — | ✓ | ✓ |
|
専任サポート (Dedicated support)
技術的な支援、オンボーディング、カスタムリクエストに対するチームへの直接アクセス。
|
— | — | — | ✓ |
|
未使用クレジットの繰り越し (Unused credits roll over)
今月使わなかったクレジットは自動的に翌月に繰り越され、無駄になりません。
|
— | ✓ | ✓ | ✓ |
動作要件と注意事項
- 対応エンジン: Unreal Engine 5.6 以降(ネイティブのPCGフレームワークに依存するため)
- 対応OS: Windows、Linux。(※macOS互換性は現在開発中で、今後のアップデートで対応予定)
- ネットワーク: AI処理を実行するため、アクティブなインターネット接続が必須です。
- 環境の制限: 現段階ではバイオーム(生物群系)のような「屋外の自然環境」の生成に特化しています。屋内など、より幅広い環境への対応は今後のアップデートで追加される予定です。
- アセットについて: Nwiro自体にアセットは含まれておらず、ユーザー自身のコンテンツフォルダ内のアセットを利用して機能します。
利用前の確認事項: Nwiroを機能させるには、Unreal Engineのプラグイン設定から「WebBrowserWidget」「PythonScriptPlugin」「PCG」の3つのプラグインを有効にする必要があります。
























コメント