Epic Games は、Unreal Engine の次世代マテリアルシステム「Substrate」を用いて完全に構築された、280 種類以上のプロダクションレディな自動車用マテリアルパックを無料で公開しました。
Automotive Substrate Materials 概要
この「Automotive Substrate Materials」パックは、自動車ビジュアライゼーション向けに物理的に正確なマテリアル基盤を提供し、Lumen とパストレーシングのどちらを使ったワークフローでも一貫して高品質な結果を得られるよう設計されています。
高精細なレンダリング用途に適しているだけでなく、ゲーム開発におけるグラウンドトゥルース(基準データ)としての参照にも活用でき、さらに Unreal Engine 5.7 における Substrate の可能性を探るための貴重なリソースにもなっています。
パックの収録内容
本パックはUnreal Engine 5.7.3以降と互換性があり、以下のコンテンツが含まれています。
- 車両で最も一般的に使用されるマテリアルタイプを網羅する、280種類以上の自動車特化型マテリアル
- イテレーション(試行錯誤)を加速させる、150種類のマテリアルセットアップアセットと、約50種類の再利用可能なマテリアルテンプレート
- 全体を俯瞰できる動物園スタイル(一覧展示)のオーバービューマップ
- 高品質な自動車レンダリング専用に構築された、キャリブレーション済みのルックデベロップメント用マップ
主な特徴
自動車マテリアルのための高度な機能
Substrateマテリアルシステムを全面的に採用することで、従来のマテリアルシステムでは実現が困難、あるいは実用的でなかった、高度な表面処理やレイヤー構造の振る舞いがサポートされています。
- シングル、デュアル、トリプルコートのカーペイントや、ワックス仕上げのレザーなど、物理ベースでレイヤー化された表面仕上げ
- レンダラーの特性に応じた振る舞いを持つ、高度な半透明マテリアル
- グリント(輝き)やカラーグリント、薄膜干渉、異方性、マスキングによるパンチング(穴あき)加工、および指紋や傷といった意図的に制御された不完全性など、複雑な表面反応
- 色合い(ティント)やHSVによる、シンプルで実用的なカラーコントロール。およびテクスチャマップによって制御可能なラフネス(粗さ)やスペキュラ(反射)のパラメータ
- UVやトライプラナー(3平面投影)ワークフローを含む、全体を通して柔軟なマッピングオプション

すべての一般的な車両マテリアルタイプを網羅
「Automotive Substrate Materials」パックは、実際の自動車に使われる代表的なマテリアルタイプを網羅しており、それぞれが専用のマテリアルクラスとして整理されています。ペイント、レザー、金属、ガラス、プラスチック、発光ディスプレイ、照明パーツなど、用途ごとに最適化された設計になっているため、目的に合ったマテリアルを選びやすく、プロダクションへの適用もスムーズに行えます。
測定データに基づく物理的に正確なデフォルト値
各マテリアルのパラメータは、実験室でのテストや実際の素材の測定データをもとに設定されており、自動車ビジュアライゼーションにおいて物理的に正確なデフォルト値を提供します。再現性の高い結果が求められる制作チームにとって、信頼できるリファレンスとして活用できる点が大きな強みです。
金属素材については、Blueprint のルックアップツールを通じて測定データへ直接アクセスすることも可能です。これにより、プロジェクト全体で一貫した値を保ちながら、複数の金属プリセットを素早く比較・選択できる柔軟なワークフローが実現します。
スケーラブルで一貫したマテリアルアーキテクチャ
すべてのマテリアルは、以下のような一般的な振る舞いをカプセル化した、再利用可能な「マテリアル関数」の共有ライブラリ上に構築されています。
- ベースカラーの処理
- ラフネス(粗さ)とスペキュラ(反射)の制御
- トライプラナープロジェクション
- 指紋、傷、埃などの不完全性の表現
- 異方性(アニソトロピー)
- 発光(エミッシブ)の振る舞い
- パンチング(穴あき)加工
このモジュール化されたアプローチにより、パック全体でマテリアルの見た目や挙動が一貫し、同じ作業を繰り返す必要も大幅に減ります。さらに、新しい車両ビジュアライザーやコンフィギュレーター、あるいはゲーム制作の要件に合わせてマテリアルを拡張することも容易になり、プロジェクト全体のワークフローを柔軟に発展させられる設計になっています。

Lumenとパストレーシング向けにキャリブレーションされた検証環境
Lumen とパストレーシングの両方で信頼できる結果を得られるよう、同梱の検証環境は実際の測定データをもとに精密に調整されています。輝度計や色温度計による計測、さらにフォトグラメトリを用いた測定結果をクロスチェックすることで、ライティング全体が正確にキャリブレーションされています。
この環境は、ルックデベロップメントや自動車ビジュアライゼーション、ゲーム開発における基準となる「検証用マップ」として扱える品質を備えており、Lumen とパストレーサーのどちらを使う場合でも一貫した再現性の高い結果を得られるよう設計されています。
ダウンロード
「Automotive Substrate Materials」パックは無料で公開されています。
技術面の詳細
- サポートプラットフォーム:
- Windows: 対応
- Mac: 非対応
- モバイル: 非対応 (モバイル環境ではSubstrate Adaptive GBufferが利用できないため)
- エンジン要件: Unreal Engine 5.7.3 (※5.7.0、5.7.1、5.7.2とは互換性がありません)
- GPU要件:
- 最小: 8 GB VRAM (最大1080p、スケーラビリティ「中」)
- 推奨: 16~24 GB VRAM (最大4K、スケーラビリティ「高」)
- 特記事項 (Additional Notes):
- Substrateを有効にし、Adaptive GBufferをオンにする必要があります。
- Lumenとパストレーシングで表現が異なる箇所には、それぞれ専用のマテリアルが用意されています。
- 検証用に、物理カメラの露出設定をベースにキャリブレーションされた環境が同梱されています。
- エミッシブ(発光)値は、物理的に正確な輝度単位(nits)をサポートしています。
- デカール表現には、Decal Actor(デカールアクター)の使用を推奨します。
- 標準のテクスチャサンプラーを使用しています(Virtual Texturesはデフォルトで無効です)。

























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