2026年2月10日(現地時間)- Autodesk は、グローバル イルミネーション レンダリング ソフトウェアの最新アップデート Arnold 7.4.5 をリリースしました。
主な新機能
Arnold 7.4.5.0は、新しいラインシェーダー、ボリュームミップマップ、最近傍点(Nearest Points)シェーダー、ポイントクラウドOSLクエリ、ブルームの色分散など、多数の新機能を含む機能リリースとなっています。
ラインシェーダ
新しいラインシェーダー( Line Shader)が追加されました。これにより、ノイズやテクスチャと組み合わせることで、幾何学的なパターンやブラシストロークのようなテクスチャなど、様々なスタイルのラインをレンダリングできます。また、ラインシェーダー同士を接続することで、複雑な階層パターンを生成することも可能です。uv_transform と組み合わせて使用することが推奨されています。
このシェーダーを使用することで、以下のような表現が可能になります:
- 多彩なラインパターンの描画: 直線だけでなく、Polar(極座標)やCircles(円形)設定により、同心円や放射状のデザインを作成できます。また、サイン波、ジグザグ、幾何学模様など豊富なスタイルプリセットを備えています。
- ラインに沿ったカラー表現(トーンリマッピング): ラインのUV座標を読み取るノード(Rampなど)を接続することで、ラインの長さに沿ってグラデーションをかけたり、特定の色パターンを作成したりできます。
- 手描き風やアナログ感の演出: レイヤー機能で線を重ねてクロスハッチング(網掛け)を表現したり、Decimateモードでランダムに線を間引くことで、「かすれ」や不規則な密度を持つ自然な質感を生成できます。
- 破線・点線と配置の制御: ラインの長さ(Line Length)を1.0未満に設定して破線を作成できます。また、オフセットモードを「Interleave(交互)」に設定することで、レンガ積みのように互い違いに配置することも可能です。
- エッジ品質の調整: Smoothnessパラメータを使用することで、ラインのエッジをぼかして柔らかさを出すだけでなく、アンチエイリアシングとして機能させ、ジャギーを軽減することができます。
- 複雑なテクスチャの生成: ノイズや他のテクスチャシェーダーをパラメータに接続したり、複数のラインシェーダーを組み合わせることで、単純な線描を超えた複雑なプロシージャルテクスチャを作り出せます。

次の再生リストでラインシェーダーの活用方法を見ることができます。
CPU での mipmap 付き OpenVDB ファイルのサポート
Volume ノードが、mip-map を含む OpenVDB ファイルを扱えるようになりました。
mipmap 付き OpenVDB とは
OpenVDB は、煙・雲・SDF(Signed Distance Field)などのボリュームデータを効率よく扱うためのデータ構造です。一方 mipmap は、テクスチャなどに使われる「多段階の解像度を持つ階層データ」のことです。これを組み合わせた mipmap 付き OpenVDB とは、ボリュームデータを複数の解像度レベルで保持し、用途に応じて最適な解像度を選んで処理できる OpenVDBという意味になります。
ボリュームレンダリングは、特に雲や煙のように散乱が多い場合、 高解像度のデータをそのままサンプリングすると処理が非常に重くなります。
そこで mipmap を使うと、ボリュームを複数の解像度レベルで保持し、カメラ距離や必要なディテールに応じて最適な解像度を選択できるため、計算量を大幅に削減しつつ、見た目の品質を保つことができます。
低解像度の階層は広域の密度変化を素早く評価するのに適しており、高解像度の階層は細部が必要な部分だけで使用されるため、レンダリングの効率と安定性が向上します。また、mipmap による階層的なフィルタリングはエイリアシングを抑え、煙や雲のような複雑なボリュームでも滑らかな結果を得られるという利点があります。
ボリュームの mip-map は Arnold API または kick を使って生成できます(詳細は後述の API 変更を参照)。 生成された各 mip レベルは _level_N(N はレベル番号)というサフィックスで区別され、Arnold はレンダリング時に最適なレベルを自動的に選択します。
これにより、特に雲のような散乱の多いボリュームで 見た目の変化を最小限に抑えつつ、レンダリング速度を大幅に向上させることができます。ただし、mip レベルが多いほど見た目の差が大きくなる可能性があります。
また、ユーザーは volume ノード、またはインスタンス側で mipmap_bias を指定することも可能です(同名のユーザーデータを設定)。これにより、自動選択される mip レベルを任意に調整できます。
GPUボリュームレンダリングのパフォーマンス向上
GPUでのボリュームレンダリング速度が最大3.5倍高速化されました。

Nearest Points(最近傍点)シェーダー
新しい nearest_points シェーダーは、OpenVDBポイントファイルのポイントクラウド、あるいはpoints、curves、polymeshノードの頂点をサンプリングできます。
このシェーダーは、検出されたポイント数、平均距離、またはポイントからのカスタムユーザーデータ属性の平均を出力可能です。
OSL の pointcloud_search / pointcloud_get サポート
OSLの組み込み関数 pointcloud_search および pointcloud_get が新たにサポートされました。points、curves、polymesh ノードを指定する場合は、そのノード名をポイントクラウド名として使用し、OpenVDB ファイルを指定する場合は、filename:grid という形式でポイントクラウド名を指定します。
※ 現時点では GPU で正しくコンパイルされないため、CPU レンダリングのみ対応です。
ブルームの色分散
imager_lens_effect ノードに新しいパラメータ aperture_dispersion が追加されました。
bloom_mode が aperture のとき、この値によって色の分散量を調整できます。値を大きくすると暖かい色がより広がり、小さくすると冷たい色が広がります。値1でリアルな分散が得られます。

uv_transformのSpaceオプション
uv_transform ノードに space パラメータが追加され、texture(デフォルト)と (スクリーン座標)の 2 種類から選べるようになりました。screen
Textureモードは従来通り標準のテクスチャUVに変形を適用し、ScreenモードはスクリーンUV座標を使用します。
USDの機能強化
- 軽量インスタンス化 (Lightweight instancing): Arnoldは、より少ないArnoldノードを作成する軽量インスタンス化システムを通じてUSDインスタンスをレンダリングするようになりました。これによりメモリ効率が向上し、シーンの初期化時間が短縮されます。(例:Intel Jungle Ruinsシーンでは、Houdini Solarisでの初期ピクセル表示時間が85%短縮、メモリ使用量が42%削減)
- USDLuxの標準化:
optionsノードに新しいusdlux_versionパラメータが追加されました。25.05に設定すると、USDライトのUSDLux標準の現在の実装が有効になります。これにはIESの向きと明るさの正規化のサポートが含まれます。 - Asset resolver: Autodesk asset resolverがUSDプロシージャルに統合されました。
- Volume fieldIndex: vdbボリュームのレンダリングで
OpenVDBAssetプリミティブのfieldIndex属性がサポートされ、特定のグリッドのみをレンダリングできるようになりました。
その他のアップデート
- Cryptomatteのインスタンスオプション: cryptomatteシェーダーに新しいパラメータ
object_split_instancesが追加されました。これにより、異なるインスタンスが異なるマスクを持つか、同一のマスクを持つかを決定できます。 - Instancerノードのビューポート表示:
instancerノードによって作成されたインスタンスがビューポートに表示されるようになり、シーン設定時の視認性が向上しました。 - メッシュ前処理の中断処理の高速化: IPR中にメッシュの前処理を中断(例:読み込み中にカメラを動かすなど)しても、処理速度の低下や無駄な計算が発生しなくなりました。
- JSON統計のOptionsノード:
optionsノードのパラメータがJSON統計ファイルに書き込まれるようになり、パフォーマンス分析時のレンダリング設定の確認が容易になりました。 - Render Reportの単位の一貫性: Arnold Render Reportにおいて全ての値が同じ単位に丸められるようになり、統計情報の比較が容易になりました。(ARNOLD-17036)
- CERの更新: Customer Error Reporting (CER) ライブラリがv7.2.4に更新されました。
- OpenColorIO 2.5: OpenColorIO 2.5.0が含まれるようになり、ACES 2 configの組み込みサポートなどが追加されました。
- 新しいノードベースのAOVワークフロー:従来の文字列ベースの
outputステートメントに代わり、新しいrender_outputノードが導入されました。グローバルなoptionsノードには新しいdriversパラメータがあり、これがdriverノードにリンクし、各ドライバノードがrender_outputノードのリストを持ちます
主な変更
APIの変更点
- ミップマップボリューム生成: 新しいAPI関数
AiVolumeFileMakeLODsまたはkickコマンドの-makevolumelodsフラグを使用して、ミップマップされたボリュームを生成できます。入力ファイル、出力ファイル、生成する最大レベル数の3つの引数を取ります。 - アセットAPI: Arnold universe、シーンファイル、またはプロシージャル内で定義されたファイル依存関係(アセット)を照会するための新しいAPI関数(
AiUniverseGetAssetIteratorなど)が追加されました。 - カスタムシーンフォーマットのアセット: プラグイン開発者は、
scene_get_assetsメソッドを実装して、独自のシーンフォーマットに特有のファイル依存関係を返すことができるようになりました。 - ファイルタイプメタデータ: ファイルパスパラメータに新しい
file_typeメタデータを定義できるようになりました。 - ポイントクラウドAPI: C++シェーダーからポイントクラウドクエリを実行するための新しいAPI関数群(
AiPointCloudSearch,AiPointCloudGet)が追加されました。
互換性のない変更
- 必須NVIDIAドライババージョン: GPUレンダリングとOptiXデノイズには、バージョン 582.16より新しいドライバ が必要です。これより古いバージョンの場合、エラーがログに記録されレンダリングが中止されます。
- color_jitterシェーダーのタイプ修正:
color_jitterシェーダーが誤ってRGBAタイプとしてインストールされていた問題が修正され、正しいRGBタイプとなりました。 - Standard Volumeのチャンネル参照:
standard_volume.density_channelなどのチャンネルパラメータは、グリッドインデックスなしのグリッド名を使用するようになりました。
例:density_channel density[1]のようにインデックスを指定するとゼロが返されます。異なるグリッドに異なるシェーダーが必要な場合は、グリッドインデックスごとに個別のvolumeノードを使用してください。
価格とシステム要件
Arnold は、Windows 10以降、macOS 11以降、Linux、glibc 2.28以上(RHEL/Rocky 8に相当)で利用できます。一般に、Arnold は、Houdini、Maya、Cinema 4D、3ds Max、Katana が動作するほぼすべての64 ビットシステムで動作します。
より詳しいシステム要件の確認はこちらから
Arnold はデフォルトでMaya と3dsMaxに含まれています。
その他のソフトウェアでの利用での Arnold の購入価格は、1ヵ月サブスクリプションが 8,800円、1年サブスクリプションが 70,400円、3年サブスクリプションが 210,100円です。
また、Media & Entertainment Collectionにも含まれています。



























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