RenderMan 27 リリース: CPUとGPUのハイブリッドレンダリングエンジンXPUが本番対応に

プラグイン

2025年11月13日(現地時間)- Pixar Animation Studios は、レンダリングソフトウェアの最新版となるRenderMan 27をリリースしました。

新機能ハイライト

今回のアップデートは「過去10年で最も重要なリリース」と位置づけられています。

最大の特徴は、CPUとGPUのハイブリッドレンダリングエンジンである「RenderMan XPU™」が、従来のRISアーキテクチャに代わり、長編アニメーションやVFXのファイナルフレーム(最終レンダリング)レンダラーとして完全に実用段階に達した点です。

XPUによるファイナルフレームレンダリング

RenderMan XPUは、CPUとGPUのリソースを同時に活用する次世代アーキテクチャです。バージョン27では、ピクサーの社内制作(『トイ・ストーリー5』など)での広範なテストを経て、本番環境での最終出力に耐えうる仕様となりました。

今回のアップデートでは、以下のような新機能が追加されています。

  • チェックポイント機能:レンダリング途中での保存や再開が可能となり、レンダーファームでの効率が向上。
  • マルチGPU対応:複数のGPUとCPUを同時に活用し、ハードウェア性能を最大限に引き出します。
  • メッシュライトの完全サポート:すべての物理ライトに加え、メッシュライトがXPUでフルサポートされ、幾何学的な柔軟性が大幅に向上しました。
  • ディープデータとコンポジット:VFX制作に不可欠な合成処理の機能がXPUに統合され、ワークフローが強化されました。
    • ディープデータ (Deep Data):XPUがディープデータワークフローをサポートしました。OpenEXR Deep IDsが完全に実装され、ボリュームや透明な要素の正確な合成が可能です。
    • コンポジット支援:LPE(Light Path Expressions)に加え、マット、ホールドアウト、拡張AOVオプションをサポート。Cryptomatteについては今後のドットリリースで対応予定です。

機械学習ベースのインタラクティブ・デノイザー

新しいデノイザーは機械学習を活用し、低サンプルでも複雑なディテールを保ちながらノイズを効果的に除去します。

XPU上でインタラクティブに動作するため、ライティングやルックデブ時の試行錯誤にかかる時間を大幅に短縮できます。さらに、レンダリングセッション中には基本的なタイミング統計も出力されるようになり、パイプラインでの管理がよりスムーズになりました。

Stylized Looks(NPR)の刷新

アニメ調や絵画調のレンダリングを行う「Stylized Looks」ツールセットがXPU上で大幅に拡張されました。

DAMN! Vizdev等のスタジオと協力して開発され、トゥーンシェーディング、スケッチ風レンダリング、そして新しいパターンコントロール機能により、フォトリアルを超えた表現が可能になります。

MaterialX Lama の統合

Industrial Light & Magic (ILM) が開発したシェーディングシステム「MaterialX Lama」が、アーリーアクセス版としてXPUに統合されました。

これにより、より高度でモジュラー化されたルックデヴが可能になります。RenderMan 27のリリースサイクル中に完全サポートされる予定です。

ブリッジ製品の強化

RenderManをDCCツール(Maya, Blender, Houdini, Katana等)と連携させるブリッジ製品において、以下の重要な更新が行われています。

  • テクスチャ変換の標準化:Texture ManagerのデフォルトがOpenImageIO (OIIO)に変更されました。これによりミップマップ変換処理時間が大幅に短縮されます。ピクサー独自のフォーマットから、業界標準のOpenEXRフォーマットへの移行となります。(※互換性のため従来のtxmakeも引き続き利用可能です)
  • DCCサポートとSolaris:Houdini Solarisのサポート拡張やUI改善が行われ、主要なDCCツールの最新バージョンと完全な互換性を持ちます。
  • パフォーマンスの向上:多数のAOVやPtexを使用するシーンにおけるインタラクティブな操作性(特にカメラタンブル時)が大幅に改善されました。

USDコンプライアンスに関する注意

パスに小文字の <udim> を使用している場合、テクスチャが読み込まれなくなります。USDの仕様に準拠するため、大文字の <UDIM> に更新してください。MayaとBlenderでは自動的にアップグレードされますが、Houdini (RfH) では提供されるメニュースクリプトを使用して変換する必要があります。

その他の新機能

  • OSLの拡張:OSL(Open Shading Language)のディスプレイおよびサンプルフィルターが統合され、カスタマイズ性が向上しました。
  • ネストされたインスタンス:完全サポートされ、マテリアルの継承や属性の伝播が可能になりました。
  • ボリュームとサブサーフェス:内部ボリューム集約(Interior volume aggregates)のXPUサポートにより、濁った液体などの複雑なマテリアル表現が効率化されました。また、サブサーフェススキャタリングのノイズ低減や、ガラス表現の改善も行われています。
  • ヘア(髪):PxrChiangHairに「Min Width(最小幅)」のサポート、およびグローカラーやゲインコントロールが追加され、表現の幅と収束速度が向上しました。
  • レイトレーシング精度:GPUレイトレーシングの精度修正(極端な並列処理下でのジオメトリ処理改善)や、オブジェクトごとの適応サンプリング設定の実装。
  • ジオメトリ改善:サブディビジョンメッシュの法線処理が改善され、特にセミシャープなクリース(折り目)付近の表現が向上しました。
  • ライティング修正:XPUにおけるライトフィルターのフォールオフやカラースプライン設定に関する問題が修正されました。また、PxrPathTracerにクランプパラメータ(clampDepth, clampLuminance)が追加されています。
  • メモリ管理:XPUのメモリアロケーションが効率化され、テクスチャキャッシュサイズが動的に調整されるようになりました。
  • Apple Silicon対応:RenderMan RISは、今後のドットリリースでmacOS上のARMプロセッサをネイティブサポートする予定です。

その他すべてのアップデートの確認はこちらから

価格とシステム要件

RenderManバージョン27 は、Linux EL9 (RHEL 9.x, AlmaLinux 9.x, Rocky Linux 9.x)、Windows 10, 11、macOS Sequoia (15.x)で利用でき、Maya、Houdini、Katana、BlenderといったDCCツールと互換性があります。

より詳しいシステム要件の確認はこちらから

価格は以下の通りです。

RenderMan (Tractorを含む)$595 / ライセンス
年間メンテナンス更新$250 / ライセンス
Tractor (単体)$100 / ライセンス
Tractor 年間メンテナンス$20 / ライセンス
短期レンタル$5 / 日 / ライセンス
※最低10ライセンス、7日間から利用可能。
一時的なバースト需要に最適です。

クラウドサービス: 大規模な計算能力が必要な場合に対応する、複数のクラウドレンダリングソリューションも提供されています。

※メンテナンス契約中のユーザーは無償でアップグレード可能です。非商用版(Non-Commercial)は引き続き無償で提供されます。

価格ページへ

無料の非商用バージョン

また、研究者、個人アーティスト、非商用プロジェクトを行う学生は、に無料の非商用RenderManにアクセスできます。非商用RenderManのダウンロードはこちらから


Pixar Animation Studios Releases RenderMan 27

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