2025年12月18日(現地時間)- Topaz Labsは、画像編集アプリケーション Topaz Photo v1.1.0 をリリースしました。
今回は、v1.1.0の詳細に加え、お伝えできていなかった v1.0.2(2025年11月17日リリース)のアップデート内容も併せてご紹介します。
新機能ハイライト
v1.1.0では実写画像への対応を強化した3つの新モデルが、v1.0.2では野生動物向けモデルやIntel Macサポートなどが導入されています。
Wildlife Sharpen
野生動物の写真撮影に特化した新しいシャープ化モデル「Wildlife Sharpen」が導入されました。 毛並み、羽毛、ヒゲ、鱗(うろこ)などの繊細なテクスチャを自然に表現することに重点を置いたモデルです。
従来のシャープモデルでは、これらの細かいディテールが滑らかになりすぎたり、過剰なシャープネスにより不自然なハロが発生したりすることがありましたが、Wildlifeモデルは、被写体の大きな構造を鮮明に保ちつつ、本物のような質感を維持することができます。
推奨される使用方法
- 対象: 500万画素(5MP)以上の高解像度画像で、ボケが軽度〜中程度の場合に最適です。
- 注意点: 深刻なピンボケやモーションブラーの補正には向きません(他のシャープモデルが適しています)。
- ワークフロー: ノイズ除去などの調整が完了した後の最終仕上げとして使用します。低解像度の場合は、Upscaleで解像度を上げてから適用することで、説得力のあるディテールを引き出せます。
Portrait Sharpen
人物写真に特化してトレーニングされた新しいシャープ化モデル「 Portrait Sharpen」が追加されました。
Topaz Photoで処理される画像の大部分はポートレートですが、従来のSharpenモデルはこのタイプ専用に設計されていませんでした。

既存のStandard モデルでは、中〜高解像度の写真において、肌のテクスチャが過度に強調されたり、眉毛がつぶれてしまったり、あるいは人工的で「プラスチック」のような質感になったりする場合がありましたが、新しい「Portrait Sharpen」モデルでは、髪の質感、顔の特徴、衣服のディテールなどの細かい部分を、誇張なく自然に復元します。露出を変えずに肌のディテールをきめ細かく再現することが可能です。
Standard モデルとの比較例
Standard モデルでは、眉毛がつぶれ、肌に不自然なパターンが生じがちですが、Portrait Sharpenでは質感を保ったまま自然に強調されます。
- Standard
- Portrait Sharpen

▲ Standard モデル:肌のディテールが過剰になり、眉毛がつぶれて見える(左:オリジナル、右:出力)

▲ Portrait Sharpen:肌のテクスチャが自然に強調され、ディテールが際立っている
推奨される使用方法
- 対象画像: 500万画素(5MP)以上の高解像度ポートレート画像。
- ワークフロー: ノイズ除去(Denoise)やブレ補正(Deblur)を済ませた後の適用が推奨されます。低解像度の画像に使用する場合は、先にUpscaleで解像度を上げてから、最終仕上げとしてこのモデルを使用すると効果的です。
Adjust Lighting v3
画像の照明状態を最適化する「Adjust Lighting」モデルがバージョン3に更新されました。 バージョン2でも、すでに適切な明るさの写真を微調整するのには適していましたが、極端な露出不足(アンダー)や露出過多(オーバー)の画像の補正には課題がありました。
v3ではこれらの困難な照明条件への対応力が向上しており、暗い影や白飛びしたハイライトからディテールを復元する能力が強化されています。

また、v2と比較して、自然さを保ちつつも、より鮮やかで視覚的に好ましい結果が得られるよう調整されています。
ヒント: さらに彩度を高めたい場合は、カラー補正(color correction)をオンにすることで、画像の色をより強調することができます。
Dust & Scratch v2
フィルムスキャンや古い写真の修復に使用される「Dust & Scratch」モデルが大幅に改善されました。
微細なゴミや表面の細かい汚れ、薄いひっかき傷の除去精度が向上したほか、従来モデルで課題だった画像の端(エッジ)部分の処理品質も改善され、境界部分も画像全体と同様にきれいに処理されるようになりました。
ワークフローの変更点
- v2への移行: 従来使用されていたv1モデルは削除され、ローカルレンダリングおよびクラウドレンダリングの両方で、より高性能なv2モデルのみが使用されます。
- スポット修復の仕様変更: 以前はDust & Scratch処理の直後に自動実行されていたスポット修復ステップは削除されました。現在は機能リストに含まれており、必要に応じて手動で使用する仕様になっています。
注意: v2モデルが高い信頼性でゴミや傷を除去できるようになった一方で、「元の画像のディテールまで削除されてしまうことがある」というフィードバックが寄せられています。開発チームは、詳細の保存(fidelity)を向上させるため、引き続きモデルの改善を行うとしています。
生成モデルのクラウド・バッチ処理
複数の画像をまとめてクラウドで処理する「バッチクラウドレンダリング」が可能になりました。 以下の生成モデルを含むバッチ処理を行う際、設定を適用した複数の画像を一度にサーバーへ送信し、高速に処理できます。
- Standard Max
- Wonder
- Dust & Scratch
- Super Focus v2
これにより、重い処理を要するモデルもワークフロー内で効率的に利用できるようになります。また、Intel Macユーザーにとっても、ローカルで動作しない生成モデルを一括処理できる重要な機能となります。
Intel Mac サポートの再開
Topaz PhotoにおけるIntelプロセッサ搭載Macのサポートが再有効化されました。以前は互換性の問題によりインストールが制限されていましたが、現在は以下の条件付きで利用可能です。
- 非生成モデル: Sharpen, Denoise, Recover Facesなどの従来の補正モデルは、デバイス上で通常通り動作します。
- 生成AIモデル: ハードウェア要件のためローカルでは動作しませんが、クラウドレンダリング(無制限・無料)を通じて利用可能です。インストーラーは容量節約のため、生成モデルのデータをダウンロードしません。
RAWカメラサポートの拡張
新たに以下の14機種のRAWファイルサポートが追加されました。
- OM-3, ZS200D, Z5 II, R6 Mark III, Lumix S1 RII, X-T50, X2D II 100C, CFV-100C, GFX100RF, X-E5, DC-ZS99, RXR1 III, PowerShot V1, Coolpix P1100
その他の修正・変更
v1.1.0
- フィルムストリップ内のTIFサムネイルが正しく表示されない問題を修正
- 画像が外付けドライブに保存されている場合、Apple Photoプラグインのエクスポートが失敗する問題を修正
- 「Adjust Lighting」のデフォルト選択を「Auto」から「All」に変更
- 「Super Focus」のデフォルト選択を「Auto」に変更
v1.0.2
- UpscaleおよびRecover Facesのロジックが更新され、顔部分の出力品質が最高レベルに向上
- 寸法(サイズ)が変更された場合にPhotoshopフィルタープラグインのエクスポートが失敗する問題が修正
- クラウド処理において、現在の設定を正しく適用して処理できるよう修正
- プラグイン使用時にモデルの読み込みエラーが発生した場合、解決策を示すモーダルを表示するように改善
- Photoshop Automate(自動処理)プラグインの名前が誤っていた問題が修正
- Super Focus v1をクラウドレンダリングで使用した際、フィルムストリップのツールチップが誤ったモデル名を表示する問題の修正
価格とシステム要件
Topaz Photo は、Windows 10 or 11(intel or AMD)、Windows 11(ARM)、macOS 12 Monterey 以降で利用することができます。
価格は以下の通りです。
- 無制限のローカルレンダリング
- 無制限のクラウドイメージレンダリング
-
標準モデル
ホコリと傷、スーパーフォーカス、削除、ノイズ除去、シャープ化、アップスケール、照明調整、カラーバランス、顔の復元、テキスト保持、修復ブラシ
- Wonder (クラウド) モデル
- Standard MAX (クラウド) モデル
- 2イメージのクラウド同時処理
-
限定的な商用利用
年間収益100万ドル未満の組織向け
- シート管理 (1〜5)
- Wonder (ローカル) モデル
- Standard MAX (ローカル) モデル
- 4イメージのクラウド同時処理
- 完全な商用利用
また、3つのデスクトップアプリが含まれた Desktop Collection や Topaz Studio の一部としても利用することができます。
Topaz Studio に関しては以下の記事をご覧ください。






























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