2025年4月24日(現地時間)- Adobe は、クリエイターが自身のデジタル作品に「コンテンツクレデンシャル」を簡単に付与できる無料Webアプリ「Adobe Content Authenticity」のパブリックベータ版を公開しました。
クリエイティブコミュニティのための著作証明

今日のデジタル環境、特に生成AIの急速な普及により、クリエイターは自身が生み出した作品の著作者が自分であることを証明するという課題に直面しています。適切な帰属証明の手段がなければ、クリエイターは作品に対する決定権を失い、同意なく作品が利用されるリスクさえあります。
この問題に対処するため、Adobeは、「Adobe Content Authenticity」は「コンテンツクレデンシャル」という仕組みを提供します。
これは、作品の来歴や著作者に関する情報を安全に記録する保護されたメタデータであり、デジタル作品に対する信頼性の高い「署名」として機能します。これにより、作品の透明性と信頼性が向上し、クリエイターの功績が正当に評価される基盤を築くことが可能となります。
さらに、この取り組みを強化するため、AdobeはLinkedInと提携しました。LinkedInの新機能「Verified on LinkedIn」をアプリに統合し、クリエイターが認証済みの自身のプロフィール情報をコンテンツクレデンシャルとして作品に付与できるようにします。これにより、著作者証明の信頼性がさらに向上。また、この提携の一環として、LinkedInはアドビが主導するコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)にも参加しました。
主な機能
昨年の Adobe MAXではAdobe Content Authenticityアプリのプライベートベータ版以来、Adobeは、引き続きクリエイティブコミュニティと緊密に連携しながら、アプリ性能の探求、機能のテスト、およびそれに対するフィードバックの収集を続けています。
今回公開されたパブリックベータ版では、クリエイティブコミュニティからのフィードバックを反映し、以下の主要な機能が利用可能です。
■認証済みの著作情報などの付与
「Verified on LinkedIn」による認証済みの名前や、Behance、Instagram、LinkedIn、XなどのSNSアカウントへのリンクといった情報を、コンテンツクレデンシャルとして選択し、作品に付与できます。これにより、作品と自身を明確に紐づけられます。

■コンテンツクレデンシャルを一括適用
アドビ製品製かどうかにかかわらず、最大50個のJPEGまたはPNGファイルに対して、コンテンツクレデンシャルを一括で適用できます。既存の作品にも後から簡単に追加可能です。(動画や音声ファイルなどへの対応も近日予定)

■生成AIトレーニング/使用に関する意思通知
自身の作品が生成AIモデルのトレーニングに使用されることを望まない場合、その意思をコンテンツクレデンシャルを通じて明確に示すことができます。「生成AIのトレーニングと使用に関する設定」機能により、クリエイターの選択を尊重するための基盤を築きます。

■コンテンツクレデンシャルの表示・検査
Adobe Content AuthenticityのGoogle Chrome拡張機能やアプリ内の「検査」ツールを使えば、画像などに付与されたコンテンツクレデンシャルの詳細情報(編集履歴含む)を誰でも簡単に確認できます。

今後の展望
アドビは、「Adobe Content Authenticity」アプリの機能を継続的に拡張していく計画です。
将来的には、このアプリをAdobe PhotoshopやAdobe Lightroomなど、コンテンツクレデンシャルに対応するCreative Cloudアプリと統合し、アドビツール全体でクレデンシャルの設定を一元管理できるハブへと進化させる予定です。
また、提携パートナーであるLinkedInも、数か月以内にコンテンツクレデンシャルのサポートを拡大する予定です。これにより、アプリで作品に付与した帰属情報がLinkedInの投稿上で直接確認できるようになり(作品に表示される「Cr」ピンにカーソルを合わせることで表示)、プラットフォームを超えた信頼性の連携が実現します。

「Adobe Content Authenticity」アプリはこちらから
アドビ、クリエイターの帰属情報を保護する「Adobe Content Authenticity」webアプリをパブリックベータ版として公開
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