2025年4月24日(現地時間) – Adobe は、ロンドンで開催された Adobe MAX London(英語)にて、Adobe Creative CloudおよびAdobe Fireflyに関する一連の最新アップデートを発表しました。
今回の発表には、Adobe Fireflyの新たなAIツール群、主要アプリケーションのパフォーマンス向上や作業効率化を実現する新機能、そしてデジタル時代におけるクリエイターの権利保護と作品の帰属情報を明確にするための重要な取り組みが含まれています。
発表内容は以下の通りです。
Adobe Firefly
クリエイティブ生成AI「Adobe Firefly」は、次世代の画像・動画生成モデル(Image Model 4/Ultra、Video Model製品版)の搭載により品質が飛躍的に向上しました。
新たにテキストからのベクター生成機能も追加され、表現の幅が広がっています。さらに待望のモバイルアプリ版も近日登場予定です。
詳細は以下の記事をご覧ください。
Illustrator
llustratorデスクトップ版(バージョン29.5)では、メニュー操作や効果適用などのパフォーマンスが大幅に向上し、より快適な作業環境を実現しました。
また、Adobe Fireflyとの連携が強化され、テキスト入力から直接ベクターグラフィックやパターン、塗りつぶしを生成するAI機能が搭載されました。
詳細は以下の記事をご覧ください。
Photoshop
Photoshopデスクトップ版(バージョン26.6)では、オブジェクト選択ツールでの人物ディテール選択精度が向上し、カラー調整機能もより直感的になりました。
AI画像生成には構図を参照する機能が追加され、クラウド処理による選択精度も向上しています。現在ベータ版では、アクションの自動提案やワンクリックでの不要物除去機能も試用可能です。
Adobe Express
Adobe Expressのダイナミック アニメーション、SNS投稿用クリップの作成、ブランドに沿ったデザインを素早く作成することができるツールです。

新しいクリップメーカー※ を使用すると、インタビュー動画やデモ動画などをAdobe Expressにアップロードし、そのハイライトを切り取ってSNS投稿用のクリップを作成することができます。さらに、字幕を自動的に追加したり、さまざまなSNSチャネルに合わせてサイズを変更したり、音声ノイズを簡単に除去して、SNS用の高品質な動画を作成することができます。
※英語の動画のみ対応となります。日本語の動画への対応は近日中にリリース予定です。
Adobe Expressには、動画制作をより素早く仕上げるための新しい動画編集ツールも追加されました。コンテンツの追加や配置、クリップの一括編集(ミュート、トランジション、再生時間の調整など)を行うことができます。また、Vimeoへの直接書き出しや投稿により、コンテンツの共有を迅速に行うことができます。
また、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopのデザイン をワンクリックでアニメーション化することも可能となりました。ダイナミックアニメーションのプリセットを使用して、わずか数クリックでデザインにリッチなモーションを追加し、商用利用可能な動画 を生成できます。
2025年4月のリリースでさらに機能が強化されました。新機能は以下の通りです。
- 音声のノイズとエコー除去: ビデオ、ボイスオーバー、アップロードしたオーディオから、ワンタップで背景ノイズやエコーを取り除き、クリアな音声にします。
- 「シーンビュー」による動画編集: 動画のコンテンツ(シーン)の追加、削除、並べ替えや、ミュート、トランジションといった編集操作を一括で簡単に行えるようになり、編集時間を短縮できます。
- 静止画へのモーション追加(ダイナミックアニメーション強化): 「ダイナミックアニメーション」機能が強化され、「Wobble」や「Wind」といった新しいプリセットを使って、静止画内の複数の要素に物理的な動きを簡単に追加できます。
- 画像フィルターの適用: Adobe Photoshop由来の30種類以上のフィルターが利用可能になり、ワンクリックでの適用や強度の調整で画像を簡単に加工できます。
- 類似画像の生成: 1枚の画像をもとに、AIが瞬時に統一感のある複数のバリエーション画像を生成します。ブランドキットと組み合わせることで、一貫したデザイン展開が容易になります。
Creative Cloudのその他のアップデート
本日の発表には、その他の人気アプリに関するアップデートも含まれています。
■Adobe InDesign
Adobe InDesign では、数式機能 を使用して数式や科学式の表記を簡単に作成したり、スタイル設定をしたりすることができるようになりました。
■Adobe Lightroom
Adobe Lightroom のマスク機能に追加された「風景」 は、山、水、葉などの風景写真の要素を自動的に検出して、すばやくマスキングします。
また、クイックアクション も強化されました。Adobe Lightroomは、写真の内容に応じてカスタマイズされたワンタップのクイック編集を提案します。たとえば、歯を白くしたり、肌をソフトにしたりして、被写体の人物それぞれに独特のルックを与えることができます。
クリエイター保護と帰属表示に対する取り組み
■ Adobe Content Authenticity のパブリックベータ版がリリース
自分の作品のオンラインでの不正使用やなりすましです。古くからアーティストが自分の絵画や彫刻に署名してその作者であることを主張してきたように、今日のクリエイターも、自分の作品を保護するための安全で現代的な方法を必要としています。
そこでこの度、Adobeは Adobe Content Authenticity のパブリックベータ版をリリースしました。これは、クリエイターが自分の作品にコンテンツクレデンシャルを添付できる無料のwebアプリです。
コンテンツクレデンシャルには、確認済みの名前(「Verified on LinkedIn」機能による)やSNSアカウントなどの詳細情報を含めることができます。また、このアプリでは、生成AIモデルに対して自分の作品をトレーニングされたくない意思を示すこともできます。
この機能をサポートするため、アドビは、コンテンツクレデンシャルを利用した、生成AIに対して効果的でクリエイターに優しいオプトアウトメカニズムの確立に向けて、世界中の政策立案者や業界パートナーと緊密に連携しているとのことです。
より詳しい情報は以下の記事をご覧ください。
■AI時代のクリエイターをサポート
Adobe Frescoでは、「生成AIなしで作成」という情報を、アートワークが人の手で作成されたことを示す情報をコンテンツクレデンシャルに含めるオプションが導入されました。
これは、アーティストがアートワークに注ぎ込んだ時間、経験、独自のスタイルが正当に評価されるように支援することを目的としています。
以上の内容はロンドンで開催された Adobe MAX Londonで発表されました。詳細は以下の記事をご覧ください。
Adobe MAX London:よりパワフルになったAdobe Creative Cloud、新しいAdobe Firefly AIツール、AI時代のクリエイターのサポート
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