2025年3月12日(現地時間) – Pologonflow は、Unreal Engine 5 用のワールド構築ツール DASH 1.9 をリリースしました。
新機能ハイライト
この新しいアップデートはDash のコンテンツブラウザに重点が置かれており、コレクションシステム、ファジー検索、マルチアセットピッカーなどの新機能の追加が行われています。他にも、新しい水と落ち葉のシステム、RVT ワークフローも追加されています。
Dash のコンテンツブラウザが無料に
バージョン1.9.0ではDashコンテンツブラウザが誰でも無料で利用できるようになりました。
Dashコンテンツブラウザでは、Megascans、FAB、Poly Haven、IESのアセットに簡単にアクセスできるのに加えてタグ付けシステムと一元化されたアセットエクスペリエンスを利用することができます。すべての UE5 プロジェクトで、すべてのアセットを簡単にブラウズ、検索、ドラッグ&ドロップすることが可能です。
コレクションシステムとタグの改善
ライブラリの整理
Dash Content Browser 内でアセットデータを検索して保存する新しい方法であるコレクションを使って、アセットを自由な方法で整理できるようになりました。
コレクションを自分用に保管したり、チームで共有することができます。
改善されたアセットの詳細
ダブルクリックするだけでアセットの詳細を表示し、最も関連性の高いアセット情報を確認し、タグを編集することができるようになりました。
改良された検索
■セマンティック/AI検索
意味的に類似した名前を持つオブジェクトを検索可能になりました。
例えば、リンゴという名前のアセットと洋ナシという名前のアセットがある場合、フルーツを検索すると両方のアセットが表示されます。
■ファジー検索
スペルミスがあってもアセットを検索できるようになりました。
■スコアベースの検索結果
アセットが検索にマッチすればするほど、検索結果の上位に表示されるようになりました。一番上にベストマッチ、一番下に可能性の低いマッチが表示されます。
■ブール検索
演算子 + と – で検索条件を追加または削除できるようになりました。
例えば、「Forest -Rocks」 と検索すると、森に関連するすべてのアセットが表示されますが、岩はすべて除外されます。
シェーダーのアップデート
高度な水シェーダー(Advanced Water Shader)
波や水中エフェクトのついたウォーターシェーダーが欲しいという要望があり、水シェーダーが刷新されました。
Createタブに行くと、Advanced Waterシェーダーがあり、クリックすることで利用可能です。このシェーダには、水面に雨が降るエフェクトも付いています。
ダッシュツールバーの「作成(Create)」タブで、ドロップダウンメニューから「高度な水の作成(Create Advanced Water)」を選択できます。
ツールパネルで、プロパティの値を微調整して、プロジェクトに最適な結果を得ることができます。
新しいウォーターシステムには、水中を表現できる機能も追加されました。これらの設定は、ツールパネルから必要に応じて微調整できます。
より良い水中フォグ効果を得るには、0.008以下のような小さな値が理想的とされています。
落ち葉
森や公園、都会の通りを作成するとき落ちる葉っぱを追加したいと思うことはよくあります。これがワンクリックでできるようになりました。
使用するには、ダッシュツールバーの「作成(Create)」メニューから「落ち葉の作成(Create Falling Leaves)」を選択します。
ほぼすべてのシナリオに対応するすべての設定を備えた美しい葉を追加することができます。
ランタイムバーチャルテクスチャ
Dash 1.9では、初のランタイムバーチャルテクスチャ(RVT)ワークフローが導入されました。
このワークフローの手順は次のとおりです。
- メッシュまたは地形を選択します。
- Baked into a Static Meshになっていることを確認してから、Dashの検索バーでRVTアクションを実行します。
- あとは、RVTを有効にしたサーフェスに配置したアセットのMaterial Editを開き、「Virtual Texture 」を有効にするだけです。
RVTを使ったブレンドマテリアルのワークフローでは、Weightを変更し、草や別のレイヤーのテクスチャを追加します。
変更を反映させるには、シーン内のアセットを選択し、ツールパネルのマテリアルを編集を選択すると、ブレンドマテリアルから変更した内容が表示されます。詳細については、以下のビデオデモをご覧ください。
ランタイムバーチャルテクスチャとは
ランタイムバーチャルテクスチャ(Runtime Virtual Texture, RVT) は、Unreal Engine(UE)で使用される パフォーマンスを向上させるための仮想テクスチャ技術 です。
通常のテクスチャは、特定のサイズ(解像度)で直接メモリにロードされてレンダリングされますが、バーチャルテクスチャ は、必要な部分だけを動的に読み込み、描画時に最適化することで、パフォーマンスを向上させ、より高品質なレンダリングを可能にする技術 です。
RVTの主な特徴
✅ 高解像度テクスチャの最適化
- 通常のテクスチャは解像度が高いとVRAMを大量に消費しますが、RVTを使うと 必要な部分のみをメモリに展開 できるため、パフォーマンスが向上します。
✅ 地形や大規模な環境に最適
- 広大なオープンワールド環境では、RVTを使用することで 地形テクスチャの品質を維持しつつ最適化 できます。
✅ レイヤーブレンドが可能
- 地形とオブジェクト(例えば草や岩)のテクスチャを 自然にブレンド することができ、シームレスなビジュアルを作りやすい。
✅ ライティングやシャドウに活用
- テクスチャ情報をキャッシュすることで、動的ライティングや影の表現にも応用可能。
✅ パフォーマンス向上
- 高品質なマテリアルを扱う際に、テクスチャサンプリングの負荷を軽減 し、FPSを改善できる。
プロジェクトライブラリの改善
ユーザーからのフィードバックを受け、プロジェクトライブラリがより効率的に、より使いやすく、よりチームと共有しやすくなりました。
これは、Dash コンテンツ ブラウザをアセット管理に必要な唯一のブラウザにする長期計画の第一段階とのことです。このアップデートは以下のような改善が行われています。
■タグ付けのパフォーマンス
タグ付けと計算プロセスが最適化され、改善されたため、特に大規模な Unreal プロジェクトでは、より高速に動作するようになりました。
■ブループリントのサポート
メッシュを含むブループリントがある場合、Dash コンテンツ ブラウザの [現在のプロジェクト (Current Project)] タブから参照、検索、使用できるようになりました。
■プロジェクトの管理と共有がより簡単に
Dashメタデータの新しいストレージは、Unreal プロジェクト内に直接保存されるようになったため、プロジェクトを共有するだけで、チームメンバーのすべての Dashコンテンツライブラリデータを簡単に確認できるようになりました。
右側のコンテンツ ブラウザ メニューから直接追加または削除することで、外部プロジェクトとのエクスペリエンスを効率化できます。
■デフォルトで有効なマテリアル
ユーザーからの要望により、マテリアルのタグ付けはオプトアウト可能な機能となりました。
■QOLに関するリクエスト
- プロジェクト ライブラリ内の計算されたアセットのないフォルダの色を切り替えることができるようになりました。
- アセットのフォルダを右クリックして再計算したり、フォルダ内の無効なアセットを再計算したりできるようになりました。
- タグの計算に進むかどうかを尋ねるポップアップからオプトアウトできるようになりました。
マルチアセットピッカー
複数のメッシュを持つアセットのバリエーションをインタラクティブにピックできるようになりました。
シーンにアセットをドロップするときにCTRLを押しながら、Select Assetを選択すると、フローティングUIが表示され、利用可能なアセットバリエーションを繰り返し、探しているものを簡単に選ぶことができます!
クイックアセット検索
ダッシュバーから直接アセットを検索して、検索結果を1つまたは複数の小さなビューで表示できるようになりました。
「Find rocks(岩を探す)」または「Find grass(草を探す)」と入力するだけで、コンテンツブラウザの新しいミニバージョンが開き、すべての岩や草のアセットを見ることができます。
その他
- メタデータの場所が新しくなりました(以前の計算/タグ付けされたアセットはなくなりました)。プロジェクトライブラリをより効率的に、より共有しやすくする一方で、以前に計算されたデータのいくつかは、すべての人にとって自動的に見つからない場合があります。以前のパスがわからない場合でも見つかることが可能です。また、以前のデータが自動的に検出されない場合は、Dash環境設定のメタデータパスで適切なフォルダを手動で設定できます。
- コンテンツ ブラウザの左側にあるフォルダ/ツリー表示で、ズームイン/ズームアウトできるようになりました。CTRLを押しながらマウスのスクロールホイールを使ってください。
- コンテンツブラウザのアセットビューでも、CTRLを押しながらスクロールホイールを使うか、マウスの中ボタンを押しながらマウスを左右に動かすことで、ズームインとズームアウトができるようになりました。
- Python 環境のインストールがより速くなりました: インストーラの最後にある依存関係のインストールが劇的に改善されました。
- いくつかの Dash の変更で CTRL-Z が使えるようになりました。ダッシュツールの値やスライダーを調整したときに、その変更を取り消すことができるようになりました。ただし、Dashツール以外の場所をクリックしていない場合にのみ機能します。
- Dash の環境設定から、ローカル コンピュートを有効にすることができます。これは基本的に、アセットを計算/タグ付けする際に、Unreal のバックグラウンド インスタンスで行われるのではなく、現在の Unreal インスタンスで行われることを意味します。これにより、処理は高速化されますが、処理が完了するまで、現在の Unreal インスタンスは多少フリーズします。
価格とシステム要件
Dash の要件は Unreal Engine 5 と同じで、加えてインターネットアクセスと Windows 10 または 11 が必要です。価格は以下の通りです。
- Studentライセンス: 7ドル/月または60ドル/年
- Freelanceライセンス: 20ドル/月(最初の3か月は月額10ドル)または190ドル/年
- Enterpriseライセンス: 89ドル/月または850ドル/年
- 永久ライセンス: 230ドル(12か月間の追加アップデートは115ドル)
Freelanceと永久ライセンスは、収益または資金が 25 万ドル未満で利用可能です。
■無料版が登場
まだウェブサイトに記載はされていないようですが、Dash 1.9.0以降のLicense Managerから無料ライセンスを開始できるようになっています。
確認してみましたが、Free Trial とは別に Free Limited License が選択できるようになっています。

Free Trial は、14日間無料ですべての機能を利用可能で、 Free Limited License は期限はありませんが機能が制限されています。
その他詳しいライセンスの比較・最新情報はこちらから
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