2025年2月6日(現地時間)- 映像制作、視覚効果、アニメーション、音響技術にまたがるオープンソースソフトウェア開発を推進する映像業界最大の組織であるアカデミーソフトウェア財団(Academy Software Foundation)は、新たにゼロトラストワーキンググループ(Zero Trust Working Group)の結成を発表しました。
発足の背景
近年、映画やテレビ制作の複雑化に加え、ハイブリッドワークやリモートワークの導入が進んでいるため、従来の施設ベースのセキュリティシステムでは対応が難しくなっています。
ゼロトラスト セキュリティプロトコルは、従来の境界型セキュリティ(perimeter security)とは異なり、ネットワークがローカル、クラウド、またはハイブリッドであるかにかかわらず、全てのユーザーとデバイスを継続的に検証し、ネットワークの内外を問わず厳格なアクセス管理を行うセキュリティモデルです。これにより、内部の脅威や不正アクセスを防ぎ、データやインフラを強固に保護することができます。
MovieLabsのCTOであるJim Helman氏は次のように述べています。
「これまでのメディア制作ワークフローでは、境界型セキュリティを前提として、施設をファイアウォールで保護し、アーティストがその内部で作業するという形が一般的でした。しかし、制作の複雑化やクラウドへのワークフローアセットの移行に伴い、境界型セキュリティだけでは不十分になっています。MovieLabsでは、ゼロトラストソリューションの導入を推奨しており、これにより制作の効率性と安全性の両方を向上させることが可能になります。」
つまり、業界の専門家は、日常の創造的な仕事の過程で、認証や認可サービス、監視ソフトウェアや脅威検出システムの使用など、セキュリティプロトコルとの統合に直面する可能性があるということです。
ゼロトラスト ワーキンググループの役割
新たに設立されたゼロトラスト ワーキンググループは、ゼロトラスト セキュリティフレームワークに基づいたセキュリティ要件の特定、およびその実装に関するベストプラクティスの策定を目的としています。
特に、VFXやアニメーション制作ワークフローがクラウド環境へ移行する中で、ASWFの各プロジェクトがゼロトラスト環境内で機能できるよう支援することを目指しているとのことです。
ASWFのエグゼクティブディレクターであるDavid Morin氏は次のようにコメントしています。
「ゼロトラストは、今日の映画・テレビ制作に最適なフレームワークです。制作ではベンダー間でのアセット共有が一般的であり、チームも世界中に分散し、クラウドベースのワークフローへと移行が進んでいます。ゼロトラストを採用することで、柔軟な作業環境を確保しつつ、セキュリティも維持できます。このワーキンググループの活動によって、ASWFの各プロジェクトで標準化が進み、個々のプロジェクトで同じ課題に取り組む手間を省くことができるでしょう。また、アーティストにとってもアプリケーションごとの個別認証の手間が減り、利便性が向上すると期待しています。」
参加企業と今後の展望
ゼロトラストワーキンググループに参加している企業には、Adobe、Amazon Web Services、Autodesk、Foundry、Google、MovieLabsが含まれます。
ゼロトラストワーキンググループについての詳細と貢献についてはこちらから
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