2024年12月19日(現地時間) – KritaはIntelと共同で開発している新しい高速スケッチクリーンアッププラグインを発表しました。
スケッチのペン入れに役立つ高速スケッチクリーンアップツール
この新しいプラグインはスケッチのペン入れに役立つツールをユーザーに提供する目的で作成された高速スケッチクリーンアップツールです。
このツールは、2016年に発表された早稲田大学の Simo & Sierra 氏らの研究論文を元にしたニューラルネットワーク(現在では単にAIまたは機械学習と呼ばれる)を使用したもので、写真からかすかな鉛筆のスケッチを抽出したり、線をきれいにしたり、コミックのペン入れに使うことができます。
プラグインはマシン上でローカルに処理され、インターネット接続を必要とせず、サーバーに接続することもなく、アカウントも必要ありません。現在、WindowsとLinuxでのみ動作しますが、MacOSでも利用できるようになる予定です。
さらに、このプラグインには、あなた自身のデータで学習させたモデルを作成するために使用できるスクリプトを入手する方法を説明したマニュアルが付属しており、独自のモデルを作成して利用することも可能です。必要なものはスケッチとまだ色の付いていないスケッチのビフォーアフター画像で、学習ソフトウェアは自身のハードウェアで実行できます(ただし、かなりの時間がかかります)。
このツールで使われているモデルは、Kritaがトレーニングしたものとなっています。データセットのデータはすべて、写真を送ってくれた人たちから寄付されたもので、この使用に同意してもらったもので、他のデータは一切使っていないとのことです。
ユースケース
このツールは、線を平均化して1本の線にし、強い黒の線を作りますが、最終的にぼやけたりムラになったりしますが、多くの場合、レベルフィルターを使うよりも良い結果を得ることができます。プラグインを使った後にレベルフィルターを使い、ボケを減らすとよいでしょう。
このプラグインは白いキャンバスと灰色と黒の線に最適で、 撮影した鉛筆スケッチや非常に薄いスケッチ線の場合は プラグインを使う前にレベルフィルターで調整したり、プラグインを使った後にレベルフィルターを使い、ボケを減らすのも有効です。
写真で撮影された鉛筆スケッチの抽出
The sketch was drawn by Tiar (link to KA profile)
漫画風のペン入れ
漫画風のペン入れに使用することができます。オリジナルと比べると少しぼやけていますが、シャープフィルターを使うとさらにきれいすることができます。
The dragon was sketched by David Revoy (CC-BY 4.0).
線のクリーンアップ
以下はスケッチとプラグインの結果の例となります。以下の写真はすべて、SketchyModelを使って作られました。
All of the pictures above painted by Tiar (link to KA profile)
下の写真では、魚のうろこの部分で、モデルがどのように薄い線を識別し、強い線を強調してうろこをより際立たせているかがわかります。理屈の上では、レベルフィルターを使ってもこのようなことはできますが、実際には、モデルは線の局所的な強さを考慮するので、結果は悪くなります。
Picture of the fish made by Christine Garner (link to portfolio)
使用手順
このツールはまだ実験的なものとされてますが、すでに試してみることができます。
このプラグインを使用するには、ダウンロードしてWindowsのKrita 5.2.6フォルダに解凍し、Kritaの設定ダイアログのプラグインマネージャーで有効にする必要があります。
また、WindowsとLinux用のプラグインを含むKrita 5.3.0のプレアルファ版の一部としてもダウンロード可能です。
Krita で Fast Sketch Cleanup プラグインを使用する手順は以下の通りです。
- Krita を準備します。
- Windowsの場合:
- 1 つのパッケージで: Fast Sketch Cleanup プラグインがすでに含まれた Krita 5.3.0-prealpha をダウンロード: https://download.kde.org/unstable/krita/5.3.0-prealpha-fast-sketch/krita-x64-5.3.0-prealpha-cdac9c31.zip
- または個別に:
- Krita 5.2.6 のポータブル版をダウンロード (または同様のバージョン – 引き続き動作するはずです)
- Fast Sketch Cleanup プラグインをこちらから別途ダウンロードしてください: https://download.kde.org/stable/krita/FastSketchPlugin-1.0.2/FastSketchPlugin1.0.2.zip
- ファイルを krita-5.2.6/ フォルダに解凍します (フォルダ構造を維持)。
- 次に、「設定」→「Krita の設定」→「Python プラグイン マネージャー」に移動し、「Fast Sketch Cleanup」プラグインを有効にして、Krita を再起動します。
- Linuxの場合:
- アプリイメージをダウンロード: https://download.kde.org/unstable/krita/5.3.0-prealpha-fast-sketch/krita-5.3.0-prealpha-cdac9c31c9-x86 _64.AppImage
- Windowsの場合:
- (オプション) デバイスに NPU が搭載されている場合は、NPU ドライバーをインストールします (Linux で、非常に新しい Intel CPU が搭載されている場合にのみ、実質的に必要です): OpenVINO™ を使用した Intel® NPU の構成 — OpenVINO™ ドキュメント(注: CPU または GPU でプラグインを実行することもできます。NPU は必要ありません)
- プラグインを実行:
- グレーホワイトのストロークが入った白いキャンバスを開くか作成します (プラグインは現在のレイヤーではなく、キャンバスの現在の投影を取得することに注意してください)。
- Tools → Fast Sketch Cleanupに移動
- モデルを選択します。詳細オプションは自動的に選択されます。
- 処理が完了するまで待つ(その後ダイアログは自動的に閉じます)。
- 結果とともに新しいレイヤーが作成されます。
処理に関するアドバイス
- 現時点では、SketchyModel.xml を使用するのが推奨されています。ほとんどの場合、SmoothModel.xml よりも大幅に優れた結果が得られます。
- 背景がかなり明るく、結果に残したい線が比較的暗いことを確認してください。(やや暗い灰色か黒。明るい灰色は多くの線が欠けてしまう可能性があります) 。事前にレベルなどのフィルターを使用するのがおススメです。
- 処理後、結果に応じて、レベル フィルターまたはシャープ フィルターを使用するとさらによい結果が得られます。
最新情報へアクセス
このプラグインに関する最新の情報はこちらから(以前のスレッドはこちらから)
独自モデルの作成手順の詳細はこちらから確認することができます。
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