2024年11月28日(現地時間)- Otoyは、GPUレンダーエンジンの次期バージョンのOctane 2025.1の最初のリリース候補(ベータ版)とOctane 2026.1の最初のアルファプレビューを発表しました。Octane 2025.1 ベータと Octane 2026.1 アルファプレビューは、Octane ユーザーがそれぞれのフォーラムからアクセスすることができます。
新機能ハイライト
これらのリリースでは、Octane版のNaniteであるメッシュレット、3Dガウススプラッティングレンダリング、レンダリングパフォーマンスを高速化する Neural Radiance Cacheレンダリングシステム、生成AI機能の統合など数多くの最新の機能を試してみることが可能となっています。詳細は以下の通りです。
Octane 2025.1 ベータ
Spectral Camera LensFX
新しいリアルなレンズカメラでは、ボケ(Bokeh)、光学的ビネット(Optical Vignetting)、色収差(Coloratic Aberration)、ソフトフォーカス(Soft Focus)、ソフトエッジ(Soft Edges)、樽型歪曲(Barrel Distortion)、レンズの不完全性(Lens imperfections)など、実際のガラス製カメラレンズに似た収差やエフェクトを生成することができます。
Octane 2025.1 のリアルなレンズシミュレーションには、Angénieux、Zeiss、Canon、Nikon、Cooke、Schneider、SMC Takumar、Kodak、Petzval、Minolta、Asahi などの代表的なレンズのライブラリが付属しています。
新しいカメラでは次のレンズモデルのシミュレーションが実装されています。
- Angénieux 100mm
- Primoplan 58mm f/1.5
- Petzval 100mm
- Nikon 28mm f/2.8
- Canon 14.2mm f/2.8
- Kodak Petzval 85mm
- Cooke 40mm f/2.0
- Nikon 51.6mm f/1.25
- Biotar Zeiss 58mm
- Asahi 50mm
- SMC Takumar 50mm f2.0
- Flektagon Zeiss 35mm f/2.8
- Minolta 16mm f/2.8 180° fisheye
- Canon 35mm f/1.8
- Schneider 31mm
- 100mm magnifying glass
レスト属性
レスト属性 (Rest attributes) は、UVマップされていない(メッシュ上にUVがない)テクスチャプロジェクションを、アニメートされた頂点を持つメッシュ上で使用する際に、テクスチャのシフトや歪みを取り除くものです。
有効にすると、プロジェクションはUVW座標を計算するためにレスト頂点位置と法線を使用します。これはアニメーション中に変更されないので、テクスチャマッピングは一貫性を保つことができます。
ベクトロン変位
新しいベクトロン変位(Vectron displacement)ノードにより、入力テクスチャを持つベクトロンまたはボリュームSDFをリアルタイムで、任意のスケールで変位させることができるようになりました。
このノードは、複雑なSDFツリーやメッシュボリュームSDFに対応しており、フィールドテクスチャを使って作用範囲を制限することもできます。
改善されたカオステクスチャノード
カオス(Chaos)テクスチャがメッシュUV以外の投影タイプに対応し、グリッド、マッピング、ブレンディング、ビジュアライゼーションの機能が強化されました。
ネイティブデカールのサポート
新しいデカール機能により、Octaneのサーフェスにテクスチャを投影し、ジオメトリを変更することなく、汚れ、ダメージ、パターンなどのビジュアルディテールを追加できるようになりました。
コアでのレンダーネットワークの統合
Render Network ウェブサービスと UX が、Octane のコアに統合され、ネイティブなウィンドウ パネルとして使用できるようになりました。
新しいRender Networkブラウザは、他の作業ペインと同様にドッキングさ せたり、別ウィンドウにして、アップロードされたシーンやレンダージョブを Octaneから直接チェックすることができます。
Metal-RTの向上
Octane 2025.1では、Apple M3およびM4 GPU上のOctane 2024.1で利用可能なハードウェアアクセラレーションのサポートが改善され、ヘア、パーティクル、テクスチャ変位、解析ライトなどの非三角形プリミティブのサポートが追加されました。
これにより、非三角形ジオメトリを使用するシーンでもレイトレーシングのハードウェアアクセラレーションを活用できるようになり、多くのシーンで1.5倍の速度向上が期待できるとのことです。
その他
- 速度/品質ボリュームレンダリングスライダー:「Ray step increase factor」と呼ばれる新しいピンが各メディアの種類に追加されました。値が大きいほど、間接光線に対してより大きなレイ・マーチング・ステップ長を使用することを意味し、パフォーマンスが向上して結果としてレンダリング品質が低下することを意味します。
- 出力AOVレイヤー用の11個の新しいブレンドモード:Lighter color (SDR only) / Darker color (SDR only) / Linear burn (SDR only) / Vivid light (SDR only) / Linear light (SDR only) / Pin light (SDR only) / Hard mix (SDR only) / Hue (SDR only) / Saturation (SDR only) / Color (hue + saturation) (SDR only) / Luminosity (SDR only)
Octane 2026.1 アルファプレビュー
Octane 2025.1 ベータと同時にOctane 2026.1のアルファ版プレビューがリリースされ、来年のOctaneメジャーアップデートで実装される新機能の数々を試すことができるようになりました。
メッシュレット
メッシュレット(Meshlets)は、GPUやCPUのメモリにモデルをロードすることなく、Octaneが必要に応じてディスクからアダプティブにストリーミングすることで、大規模で詳細なジオメトリをレンダリングすることを可能にします。
これは、Unreal Engineの 「Nanite」に似た機能で、レンダリングで表示される内容に応じて、メッシュのさまざまな部分に対して、細かすぎず粗すぎないディテールレベルを適応的に選択します。
パストレース3Dガウススプラッティング
Octane 2026.1では、Octaneの物理的に正確なGPUで加速されたパストレーシングを使用して、ガウススプラット ラディアンス フィールド ボリュームをレンダリングすることができます。
Octaneのガウススプラッティングは、超リアルなライティングと影とともに視点の角度に応じて変化する反射や屈折などの複雑なリアルタイムライティングエフェクトを実現することができます。
Octaneは、LumaLabs、Poly Cam、NeRF Studioの主要なガウススプラッティングツールのガウススプラッティングデータを含む.PLYファイルの読み込みをサポートしています。
ニューラルラディアンス キャッシュシステム
Octane2026.1Alphaでは、新しいNeural Radiance Cacheレンダリングシステムが搭載され、実行時にニューラルネットワークを使用することで、間接照明の収集を高速化することが可能になります。
Octaneのパストレーシングと組み合わせることで、レンダリングパフォーマンスが大幅に高速化され、リアルタイムに近い速度になるとのことです。
仮想ストリーミング 「Bufferless」テクスチャ
Octaneの新しい仮想 「Bufferless」テクスチャストリーミングは、カメラでレンダリングされるテクスチャのディスクからのオンデマンドストリーミングをインテリジェントに管理し、アーティストがGPUメモリ不足を心配することなく、非常に高いテクスチャ解像度(数十億ピクセル)のシーンを作成することを可能にする機能です。
変位テクスチャの改善
Octaneのピクセル単位のテクスチャディスプレイスメントシステム(Texture Displacement System)が全面的に見直され、ピクセル単位のディスプレイスメントマッピングのためのテクスチャベイクが不要になりました。
これにより、特に高周波数の入力データに対する変位サーフェスの品質が大幅に向上しました。また、テクスチャ変位でOSLテクスチャを直接使用できるようになりました。
トレースセット
トレースセットを使用すると、アーティストはジオメトリを他のオブジェクトから分離し、シーン内のオブジェクト全体の影や反射を管理するための細かいコントロールができるようになります。これにより、複雑なシーンで不要な影や反射のレンダリング時間が短縮されます。
また、オプションで、次のバウンスだけでなく、複数のバウンスを除外することもできます。これにより、バウンス後の直接可視性と間接可視性を別々に制御することが可能になります。除外されたトレースセットは、後のバウンスに手動で再度含めることができます。
MaterialXのネイティブ統合
Octane 2026.1では、ネイティブのMaterialXノードと.mtlx
ファイルからのインポートがサポートされ、OctaneのGPUパストレーシング レンダリングと他の3Dグラフィックス パイプラインとの相互運用性と互換性が向上しました。
Material Xグラフ内のカスタマイズされたインターフェースを持つサブグラフは、ノードグラフとしてOctaneにインポートされます。
Octaneサーバー
OctaneServerを使用することで、シーン内の任意の設定をOctane Standaloneのリモートインスタンス上でレンダリングすることができるようになりました。
レンダリング結果は、AOVやテクスチャとして使用することができます。
モジュラー ニューラル レンダリングの統合
新しいOctaneモジュールにより、Octaneインターフェイス内からLuma Labs、Blockade Labs、Kling AI、Stability AI、Blackforest Labs、Topaz Labs、Fal AI、Rodin AI、Open AI、Comfy UIが開発した最新のAIテキスト画像ジェネレータを直接実行できるようになりました。
新しいpythonベースのランチャーは、アーティストが生成AIのジョブを摩擦なくレンダーネットワークに送信できるように設計されており、AIと3D制作パイプラインを1つのワークフローで組み合わせるためのシームレスなプラットフォームとなっています。
新しいOctane Neural Generator Nodeを使用すると、任意の親ノードグラフ入力から画像、データ、その他のアセットを作成することができます。複数のニューラルモデルとフレームワークが、ローカルおよびリモート処理(レンダーネットワーク経由)のモジュールとして追加されています。
価格とシステム要件
OctaneRender は、WindowsまたはLinuxで、Octane X は Apple M1 以降の GPU が必要で (MacOS 14 以降 | iOS および iPadOS 17 以降)でスタンドアロンまたはプラグインとして利用できます。
※対応ソフト表
価格はサブスクリプションで23.95 €/月または239.88 €/年です。
サブスクリプションには、スタンドアロンとプラグインに加えて、Cascadeur 、MoI 3D、無制限のネットワーク レンダリング、World Creator for Octane、Architron、Sculptron と Vectron、LightStage MetaFaces および MetaBody スキャン、Octane X、RNDRも含まれています。
OctaneStudio+ 2025 Launches with Greyscalegorilla Plus, up to €200 in Render Credits and more!
コメント