2024年10月14日(現地時間) – Adobe は ベクターグラフィックソフトウェア Illustrator の2024年10月アップデート(バージョン29.0)のリリースを発表しました。
新機能ハイライト
このアップデートでは、新しいパス上オブジェクト、Firefly Vector Modelsを搭載した強化された画像トレースやより詳細な制御が可能となった生成塗りつぶし(ベータ版)などの新機能が追加されています。
パス上でオブジェクトを整列、配置、移動
パス上オブジェクトを使用すると、曲線パスや直線パスにオブジェクトをアタッチして整列させることができます。
アタッチ後、整列状態を保ったまま回転したり、アタッチメントポイントの変更、間隔の調整、シャッフルを行ったり、パスに沿って移動したりすることが可能です。
パスを編集したり、オブジェクトを追加または削除したりすると、アタッチされたオブジェクトが自動的に再配置されます。
改良された画像トレース
改良された画像トレース機能では、さらに正確な曲線で、元の画像に近い正確なトレースを作成可能になりました。
アンカーポイントが少なくなり、パスを論理グループに整理する「自動グループ化」オプションが追加されたことで、トレース結果を編集しやすくなりました。さらに、「シェイプ」オプションを使用すると、円、正方形、長方形をライブシェイプとしてトレースできるため、編集プロセスがさらに簡素化されます。

平面サーフェス上でのモックアップ品質が向上
モックアップ品質が向上し、ベクターアートが平面上サーフェスに正確にフィットするようになりました。
作成するパターンの密度レベルの調整
「テキストからパターン生成」を使用する際、作成するパターンの密度レベルを選択できるようになりました。
また、プレビューされたすべてのバリエーションはすべて、後で使用できるようにパターンスウォッチとしてスウォッチパネルの生成パターンフォルダー(ウィンドウ/スウォッチ)に自動的に追加されます。これらのスウォッチは、他のパターンスウォッチと同様に使用できます。
生成AI機能のより詳細なコントロール
■テキストからベクター生成
「テキストからベクター生成」でプロンプトの候補をオンまたはオフにできるようになり、クリエイティブな操作をさらに詳細に制御できるようになりました。被写体やアイコンを作成する際に、背景レイヤーが生成されず、バウンディングボックスがアートに正確にフィットするようになりました。
■生成塗りつぶし (シェイプ)
「生成塗りつぶし (シェイプ)」でプロンプトの候補をオンまたはオフにできるようになり、クリエイティブな操作をさらに詳細に制御できるようになりました。また「スタイル参照」、「効果」、「カラーとトーン」を別々にリセットすることも、一度にすべてリセットして最初からやり直すことも可能になりました。
また「スタイル参照」、「効果」、「カラーとトーン」を別々にリセットすることも、一度にすべてリセットして最初からやり直すこともできます。「テキストからベクター生成」へのリセットと「生成シェイプの塗りつぶし」へのリセットは独立して動作します。
コンテキストタスクバー
コンテキストタスクバーを使用して、カンバス上で選択したオブジェクトやツールでよく使用される動作に簡単にアクセスできるようになりました。
例えば、ダイレクト選択ツールでパスを選択する際は、コンテキストタスクバーに「単純化」や「スムーズ」などの様々な編集オプションが表示されます。パス上オブジェクトで作業する際、コンテキストタスクバーを使用することで、アタッチしたオブジェクトの配置を維持したまま簡単に再配置できます。
スムーズツール、自由変形ツール、寸法ツールのある従来のタスクバーは、コンテキストタスクバーと視覚的な一貫性を備えています。

その他

東アジアのテキストレイアウトの管理
文字組み更新機能は、東アジア言語のテキストレイアウトの表示、分析、更新のプロセスを簡素化できるようになりました。
文字組み更新は、テキストレイアウトの更新と編集作業を効率化するための機能です。旧バージョンのIllustratorで作成されたファイルを編集する際、この機能を使用することで、異なるバージョン間のテキストレイアウトを比較して、ファイル内のテキストレイアウト情報に基づいて変更箇所にハイライトすることができます。

ツールや機能の簡単なヒントやショートカットの参照
Illustrator のヘルプバーでは、ツールや機能の使用に関する簡単なヒント、ショートカット、便利な手順を参照できるようになりました。
様々なツールや機能を移動すると、状況に応じて情報が表示されて、必要なときに便利なガイダンスが提供されます。
ユーザーフィードバックによる機能強化

オブジェクトと一緒に拡大・縮小
アートボードとアートワークを一緒に拡大・縮小することができるようになりました。これは、看板、雑誌、ポスターなど、複数の媒体用にデザインする場合、媒体間でレイアウトの整合性と比率を維持するのに役立ちます。

スウォッチパネルからグラデーションの作成
スウォッチパネルから個々のカラーまたはカラーグループを直接使用して、独自のグラデーションを作成できるようになりました。このようなグラデーションを使用することで、カラーブレンドを作成してベクターオブジェクトに立体感を追加したり、アートワークに光と影の効果を追加したりすることができます。
ナイフツールとスマートガイドを使用したオブジェクトの均等なカット
ナイフツールをスマートガイドと併せて使用し、それらをオブジェクトにスナップすることで、オブジェクトを均等に切り分けることができるようになりました。
より高速なパフォーマンス体験
リンクされた画像のレンダリングにより、最大 5 倍高速なパフォーマンスを体験できるようになりました。
追加アップデート情報
2024年11月リリース(バージョン 29.1)
- ヘルプバーの導入:ツールの使用に関する簡単なヒントやショートカット、便利な手順を参照できるヘルプバーが追加され、ワークフローの効率が向上しました。
- スウォッチグループの強化:カラー、パターン、グラデーションを含むスウォッチグループを作成できるようになり、スウォッチの整理が容易になりました。
- スウォッチ情報の共有:スウォッチパネルの色のカラー情報カードを生成し、カラーコードやタイプなどの詳細を共同作業者と簡単に共有できるようになりました。
- 「すべてグループ解除」機能:グループとそのすべてのサブグループ(ネストされたグループを含む)を一度にグループ解除できる「すべてグループ解除」オプションが追加されました。
- 等幅全角字形の導入:CJKグリッド内で均一な幅と整列を維持しながら、ラテン文字を東アジアの文字と並べて表示できる等幅全角字形が追加され、読みやすさと整列が強化されました。
- 分散禁止スペースの追加:2つの単語が別の行に分割されることなく、一緒のままにする分散禁止スペースを挿入できるようになり、テキストの読みやすさが向上しました。
2025年1月リリース(バージョン 29.2.1)
- パフォーマンスの改善:画像の読み込み、書き出し、埋め込み、エフェクト処理、レイヤーパネル操作の速度が向上しました。
- 新しいドキュメントプリセット:ブランディングやソーシャルメディア向けの新しいプリセットが追加され、モバイルや高解像度スクリーン用のWebプリセット、A、B、Cシリーズのプリントプリセットも刷新されました。
- アートボードとアセットの書き出し形式の拡充:「スクリーン用に書き出し」機能で、アートボードとアセットをAIおよびEPS形式で書き出せるようになりました。
- 距離ガイドの導入:オブジェクトを選択し、Optionキー(macOS)またはAltキー(Windows)を押しながら他のオブジェクトや空のアートボード領域にポインタを合わせると、選択したオブジェクトの距離や相対位置が表示され、正確な配置が可能になりました。
- カラーピッカー内でのスポイトツールの利用:カラーピッカー内でスポイトツールを使用して、キャンバス上の任意の場所からカラーをサンプリングできるようになりました。
価格とシステム要件
デスクトップ版Illustrator のシステム要件はこちらから確認できます。
デスクトップ版Illustrator は、Adobe Creative Cloud コンプリートプランまたは単体プランとして購入することができます。価格は以下のようになっています。Illustrator on the Web (ベータ版) は、Illustrator サブスクリプションの一部として利用可能です。
■単体プラン
- 年間プラン(月々払い) —3,280 円/月
- 年間プラン(一括払い) — 34,680 円/年
- 月々プラン — 4,980 円/月
■creativecloudコンプリートプラン
- 年間プラン(月々払い) — 7,780 円/月
- 年間プラン(一括払い) — 86,880 円/年
- 月々プラン — 12,380円/月
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