2024年10月2日 – Epic Games は、Unreal Fest Seattle の基調講演において、Unreal Engine と Unreal Editor for Fortnite (UEFN) を使って開発されている作品の紹介、Unreal Engineのロイヤリティがお得になるキャンペーン、Unreal Engine 5.5 Preview 1のリリースなどを発表しました。以下その発表内容となります。
ロイヤリティを引き下げる「Launch Everywhere with Epic」プログラム
ゲームビジネス全体のマージンが大きく圧迫されている中、Epicは、より多くの視聴者に、より開発者に優しい条件でリーチできるよう、エンジンとストアの条件をさらに改善することを発表しました。
2025年1月1日付けにて、「Launch Everywhere with Epic」というプログラムが導入されます。このプログラムでは、2025年以降にEpic Gamesストアでパブリッシュされる対象のUnreal Engineゲームについて、すべてのプラットフォームとストアにおけるロイヤリティ率が5%から3.5%に引き下げられます。
■対象はEpic Games ストアでのリリースを含むゲーム
このロイヤリティ料率引き下げの対象となるのは、Epic Games ストアで最初にゲームをリリースしてから、またはそれと同時に、対応するプラットフォーム (PC、Mac、Android、将来的には iOS) の他のストアでゲームをリリースする場合です。これは、 Epic First Runに参加するゲームを含みます。
ロイヤリティの減額は、コンソールを含め、ゲームを提供するすべてのプラットフォームおよびストアに適用されます。Unreal Engine のゲームを他の PC または Android ストアで提供し、対応するプラットフォームの Epic Games ストアでは提供しない場合、ロイヤリティ率は 5% に戻ります。
プログラムの開始時に恩恵を受けるには、現在更新されているUnreal Engine EULAに同意する必要があります。
■Appleプラットフォームは除外
ロイヤリティの引き下げを受けるために、iPhone または iPad の Epic Games ストアで iOS ゲームを同時に配信するという条件は一時的に除外されます。Epicは、これはApple が現在、自社ストアと競合するストアに出荷するアプリに対して、商業的に法外な「Core Technology Fee」を課しているためとしています。これが変更された場合、ライセンシーには最低でも4ヶ月前に通知される予定です。
ロイヤリティの引き下げに関する詳細は、1月1日より前に共有される予定です。その他のEpic Gamesストアのニュースとして、Studio Wildcardは、Grove Street Gamesが開発した『ARK: Ultimate Mobile Edition』が今年後半にEU圏のAndroidとiOSでEpic Gamesストアに登場することを明らかにしました。
Unreal Engine 5.5 Preview 1 がリリース
Unreal Engine 5.5 プレビュー 1 が利用可能になったことが発表されました。
オープニングセッションでは、新しいエクスペリメンタル機能「MegaLights」のライブデモが行われました
MegaLightsは、これまでとは桁違いの数のライトを使用することができ、すべて可動式で、ダイナミックで、リアルなエリアシャドウとボリューメトリックフォグを照らす機能を備えています。デモでは、勇敢なヒーローEchoが、PlayStation 5上でリアルタイムに動作する1,000個以上のシャドウキャストライトで照らされたシーンをナビゲートしました。
他にもUE5.5では以下のような新機能があります。
- UE 5.5ではレンダリングの改善も行われました。Naniteはスケルタルメッシュを高速にレンダリングできるようになり(現在は実験的な機能です)、Path TracerはProduction-Readyになりました。Path Tracer は、10 月 11 日に公開される Pharrell Williams の半生をアンリアル・エンジンでアニメーション化した伝記映画『 Piece by Piece』など、すでに長編映画で使用されています。
- アニメーションオーサリング ツールは、プロダクション対応のスケルタル エディタ、強化されたデフォーマ、TimeWarp カーブや Animation Layers などの要望の多かった機能の追加により、5.5 ではより堅牢で使いやすくなっています。
- バーチャルプロダクションツールは、インカメラVFX(ICVFX)のためのプロダクションレディなSMPTE 2110統合、マルチカメラのサポート、inner frustum splittingなど、大きな進歩を遂げました。
- モバイルでのハイエンド ゲームをサポートするため、UE 5.5 では、モバイル プレビュー機能を含む新機能が追加されました。これにより、デバイスのビジュアルをマッチングさせ、プレイヤーがデバイスの機能に対して可能な限り最高のエクスペリエンスを得られることを確認できます。
- 『Fortnite』が全世界のAndroidとヨーロッパのiOSで利用可能になったことで、UEのモバイルパフォーマンスとメモリがさらに最適化されました。『Fortnite』のような規模のゲームでこれらの機能をバトルテストすることで、すべてのUEモバイルゲーム開発者のためにエンジンを改善することができます。
エンジンのアップデートを紹介するBMWの新型5シリーズのリアルタイムデモンストレーションは、Datasmith CAD インポータを介して Unreal にインポートされた 20,000 を超えるパーツで構成されており、Substrate マテリアル オーサリング システムを使用してリッチなディテールでビジュアライズされています。
UE5.5の機能については後日また紹介したいと思います。
すぐに確認したい方はこちらからロードマップを確認することができます。
Fabパブリッシングポータル
「Fab」は、リアルタイム3Dエクスペリエンスを構築するために必要なすべてを1つの場所で提供する、新しいユニバーサルマーケットプレイスです。
Fabは10月中旬にスタートし、Unreal Engine Marketplace、Sketchfab Store、ArtStation Marketplace、Quixel.comを統合し、クリエイターを第一に考えた88/12の収益シェアでデジタルアセットを発見、共有、購入、販売できるワンストップショップを提供します。
9月17日の発表でFab Publishing Portalがオープンし、Unreal Engine MarketplaceのセラーがFabへのコンテンツ移行を開始できるようになりました。詳細は以下の記事をご覧ください。
この度、Sketchfabの販売者はライセンス可能なコンテンツをFabに移行できるようになり、誰でも販売者として登録し、コンテンツをパブリッシングポータルにアップロードできるようになりました。
一人称カメラモードとTeenage Mutant Ninja TurtlesツールがUEFNに登場
Fortniteクリエイター向けの発表も行われました。フォートナイトのエコシステムは成長を続けており、2023年3月のローンチ以来、UEFNで公開された島は134,000を超え、クリエイターに支払われた金額は4億7,900万ドルに達しています。
■一人称カメラモード
FPSゲームを含む新しいジャンルに進出する機会を増やすため一人称カメラモードが導入されました。一人称視点シューティングゲームを含む First-Person Camera Modeデバイスは、現在Experimentalリリースとして利用可能です。今すぐ試して、今年後半にこの機能がベータ版になったときに島を公開することができます。
■Teenage Mutant Ninja Turtlesツール
また、新しいタイプのゲームを開発するクリエイターの創造性を掻き立てるため、ファンの人気の高い別のIPも新たにFortniteに追加されます。
LEGOエレメント、Fall Guysビーンズ、Rocket Racingトラックを使ってFortnite体験を構築できることに加え、Paramountとの新しいコラボレーションのおかげで、Teenage Mutant Ninja Turtles(TMNT)の島々を作成することも可能になりました。クリエイターは、TMNTテンプレート、武器、デバイス、Prefabs、ギャラリー、悪者NPCを使用して、究極のクラシックなアーケード体験を構築することができます。
TMNTの島を公開するには、クリエイターポータルで追加の利用規約に同意する必要があります。すでにLEGO®の島を公開するための利用規約に同意している場合は、再同意する必要はありません。また、TMNTブランドとクリエイターのルールを守っていることも確認する必要があります。11月13日からTMNTの島を公開することが可能です。

Epic デベロッパー コミュニティにさらなるリソースが登場
Epic は、コミュニティを拡大し、大きな野心を持つ小規模で新興の開発者を支援するための専用リソースを備えた新しいEpic for Indiesハブの立ち上げを発表しました。
Epicデベロッパー コミュニティ内の独立系ゲーム開発者向けの新サイトにアクセスして、新しい特典をすべて確認し、知識やアイデアを共有することができます。フォーラムに加え、チュートリアルのある学習ライブラリもぜひチェックしてみてください。

業界をまたぐ Unreal Engine 採用
Unreal Festは、Unreal EngineとUEFNを使用して構築された素晴らしいエクスペリエンスにスポットライトを当てることを目的としており、ステージには、以下の技術パートナー、ゲーム開発者、映画制作者が参加しました。
- Qualcomm Technologies, Inc.は、Unreal EngineのパワーとQualcomm Technologies社のSnapdragon Cockpit Platformを組み合わせた新しいHMIソリューションを発表し、自動車メーカーがクラス最高の車載ユーザー体験を実現するための、すぐに使えるターンキーソリューションを提供しました。
- Mainframe Industries社の共同設立者であるThor Gunnarson氏とSulka Haro氏は、中世ヨーロッパからインスピレーションを得たソーシャルサンドボックスの多人数同時参加型オンラインゲーム、Pax Deiの新情報を提供してくれました。
- Riot GamesのSVP兼VALORANT Studiosの責任者であるAnna Donlon氏は、Unreal Engineに移行し、新規IPを一から構築する方法を紹介してくれました。
- Blur StudioのTim Miller監督(Deadpool; Love, Death + Robots)とWes Ball監督(Maze Runner, Kingdom of the Planet of the Apes)は、CTOのKim Libreriと共に登壇し、映画制作者が次にリアルタイム技術を取り入れる場所について語りました。
- MagnopusのCEOであるBen Grossmann氏は、UEFNのみを使用して構築されたMetallicaのFuel Fire Fury Fortnite体験、Karol GのFortnite Festival体験、そして彼のチームがPrime VideoのFallout TVシリーズのバーチャル制作にUnreal Engineをどのように使用しているかについて触れ、刺激的な講演を行いました。
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