2024年9月17日(現地時間)- Adobe は、3Dテクスチャペイントソフトウェアの最新アップデート Substance 3D Painter 10.1 をリリースしました。
新規のハイライト
このリリースでは、新しいフィルターの追加、USD機能の改善、VFXプラットフォームとLinuxサポートのアップデートなどが行われています。
新しいデフォルトフィルター
このリリースでは、以下のようなテクスチャリングの幅を大きく広げる新しいフィルタの追加と改善が行われました。

刺繍デカール(embroidery decal)マテリアル
アセットウィンドウのマテリアルセクションに、新しい刺繍デカール (Embroidery decal) マテリアルが追加されました。メッシュ上の任意の場所にドラッグ&ドロップし、任意のリソース(テクスチャやフォントなど)を接続すると、新しいファブリックディテールを簡単に作成できます。
塗りつぶしカラー/マスクフィルタ
この2つの新しいフィルタを使うと、閉じたパスやアウトラインを塗りつぶすことができます。例えば3Dパスを素早く塗りつぶすのに便利です。フィルターなので、手動ブラシストロークや他の状況でも使用できます。

FXAAフィルター
この新しいフィルタは、特にレベル調整後に現れるハードエッジや、色選択エフェクトで作成したマスクのエイリアシングをすばやく低減できます。

ハイパス(highpass)フィルター
この一般的なフィルターでグレースケールのテクスチャを生成し、より高度なエフェクト(ソフト化、ぼかし、細部のシャープ化など)に使用できます。

ピクセル化 (pixelate) フィルター
解像度の低下をシミュレートでき、 色やパターンをスタイル化するのに便利なフィルターです。

ポスタライズ(posterize)フィルター
このフィルタは画像の色数を減らすのに便利で、 形状にコントラストをつけたり、 スタイライズされた効果を作るのに役立ちます。
新しいしきい値(threshold)フィルター
しきい値フィルターは、グレースケール入力からシャープなバイナリ白黒マスクをすばやく作成する方法です。

スムーズステップ(smoothstep)フィルター
スムースステップフィルターはグレースケール情報を改良するためにレベルやコントラストを行う方法のひとつです。このフィルターはまた、指数曲線を適用し、 線形のグラデーションを滑らかな曲線に変換できます。

トランスフォーム(Transform)とミラー(Mirror)フィルターの改良
トランスフォーム フィルタが更新され、一様でない拡大縮小、水平または垂直方向の反転がサポートされ、パラメータがより簡単に使えるようになりました。ミラーフィルタもよりわかりやすいパラメータに刷新されました。

アイコンの改善
標準フィルターをより見やすく、見つけやすくするため、アイコンが新しくなりました。黄色に着色されたアイコンは、レイヤーのコンテンツで使用するためのもので、グレースケールのアイコンは、レイヤーのコンテンツとマスクの両方で使用できる汎用的なものです。
フィルターの細かい修正
次のの問題を修正するために、他のいくつかのフィルターが調整されました。
- 高さ調整フィルターがレイヤーのアルファ値に影響し、使いにくい場合がある。
- ぼかしフィルターがレガシーカラーマネージメントモードでリニアカラースペースを使用していなかったため、入力をブレンド/ミックスする際に不正なカラーを作り出していた。
USD と VFX プラットフォームのサポート更新
このバージョンの Painter では、多くのサードパーティ製コンポーネントが改善、更新されました。
■USD での Adobe Standard Material を使ったテクスチャの書き出し
Painter から USD ファイルにテクスチャをエクスポートする際、Adobe Standard Material プロパティも一緒に取得できるようになりました。これにより、これらの USD ファイルは、これらのプロパティをサポートするアプリケーションでも使用できるようになりました。
■USD ファイルからテクスチャをインポート
USDファイルをインポートする際、作成したプロジェクトのテクスチャもインポートされるようになり、アプリケーション間の行き来が簡単になりました。USD ファイルが Adobe Standard Material を使用している場合、シェーダ設定も構成され、ビューポートの結果が他のソース アプリケーションと一致するようになります。
■GLTFの変更
USD のアップデートに続いて、GLTF フォーマットの動作がいくつか変更されました。Gltf ファイルを読み込むとき、Painter はノーマルマップが OpenGL フォーマットであると仮定するようになりました。一部の gltf ファイルでは DirectX フォーマットが使われることがあるため、新しいプロジェクトウィンドウにそれを考慮する設定が追加されました(法線フォーマットはレイヤスタックからオーバーライドすることもできます)。
■依存関係の更新
- Qt 6.5.6 (および PySide6 6.5.6)
- Substance Engine 9.1.3
- OpenEXR 3.2
- Python 3.11
- OCIO 2.3.2
- OpenSubdiv 3.6.0
■Linux サポートの更新
Painter の新バージョンでは、最小限のバージョンとして Red Hat Enterprise Linux (RHEL) バージョン 8.6 をサポートするようになりましたが、バージョン 9.x とも互換性があるはずです。
パフォーマンスの向上
アプリケーションの一部のパフォーマンスが改善されました
■プロジェクトを開く時間の改善
ブラシストロークを多用するプロジェクトで、Painter で開く時間が短縮されました。これらのプロジェクトの保存時間も若干改善されたはずです。
いくつかのテストプロジェクトでは、プロジェクトを開くときの読み込み時間が 50 秒からわずか 6 秒に短縮されました。古いプロジェクトを開いて最新バージョンに変換するときのメモリ消費も改善されています。
■テッセレーションパフォーマンスの向上
シェーダー設定でテッセレーション(tesselation)が有効になっている場合、自動最適化が行われるようになりました。画面上のピクセルより小さい三角形はテッセレーションされなくなり、描画される三角形の数が減り、レンダリング時間が短縮されます。この変更によって視覚的な違いが生じることはなく、メッシュのエクスポート処理にも影響しません。
■簡易サムネイルがデフォルトに
バージョン6.2では、パフォーマンスを向上させるために、UV Tilesプロジェクトに簡易サムネイルが導入されましたが、通常のプロジェクトではレイヤーサムネイルの古い計算方法を使用することが可能で、この動作はアプリケーションの設定によって制御されていました。この設定は、デフォルトで最適化されたサムネイルに設定されるようになりました。必要に応じてメイン環境設定で元に戻すこともできます。
以前のバージョンからの移行の注意
- Qt6 へのアップデートに伴い、Python プラグインを更新する必要がある場合があります。詳しくはこのページを参照してください。
- JavaScript プラグインは User Documents ディレクトリ内のサブフォルダに移動しました。既存のプラグインは、手動でそのフォルダに移動する必要があるため、アプリケーションには表示されなくなります。
- Steam/Ubuntu では、Painter を正しく動作させるためにシステムライブラリが必要です。アプリケーションを起動する前に libxcb-cursor がインストールされていることを確認してください。
価格とシステム要件
Substance 3D Painterは、Windows 10 (64bit)以降、macOS 11 Big Sur以降、Linuxで利用できます。より詳しいシステム要件はこちらから
Adobe Substance 3D Painterは、Adobe Substance 3D アプリのサブスクリプションプランに含まれています。
- Adobe Substance 3Dテクスチャリングプランには、Painter、Designer、Samplerアプリと、毎月30点の3Dアセット、100GBのクラウドストレージ、25 – 毎月の生成クレジットが含まれています。
- Adobe Substance 3D Collectionプランには、Painter、Designer、Sampler、Stager、Modelerアプリと、1か月あたり最大50の3Dアセット、100GBのクラウドストレージ、25 – 毎月の生成クレジットが含まれています。
- グループ版Adobe Substance 3D Collectionプランには、5つのアプリ、毎月ユーザー1人あたり100点の3Dアセット(グループ内プール可能)、1TBのストレージ、とライセンス管理や高度なサポートが含まれています。
価格は次のようになっています。
Adobe Substance 3D テクスチャリング | 月々プラン月々払い | 2,680円 |
年間プラン月々払い | 29,980円 | |
Adobe Substance 3D Collection | 月々プラン月々払い | 6,680円 |
年間プラン月々払い | 6,480円 | |
年間プラン一括払い | 74,380円 | |
グループ版 Adobe Substance 3D Collection | 年間プラン月々払い | 13,380円 |
年間プラン一括払い | 160,564円 |
※2024年3月5日から価格が変更されました。Adobeアプリの変更の詳細はこちらから
Substance 3Dは、大学・高等教育機関向けCreative Cloudコンプリートプラン(小中高校は対象外)に含まれており、追加料金なしで利用できます。高等教育機関向けプランにアセットは含まれていません。
Substance 3D Collection アプリは、高等教育機関の学生と教師が無料で利用できます。(非営利、教育目的での使用のみ)
■Steam版ライセンス
Adobe Substance 3D Painter はSteamでも購入可能です。価格は22,000円です。
Adobe Substance 3D Painter Steam ページへ
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