2024年9月17日(現地時間)- Epic Games は、コンテンツマーケットプレイス「Fab」のリリースが10月に決定したことを発表し、パブリッシングポータルを公開しました。
Fabについて
『Fab』は、昨年のGDCで発表された Epic Games の新しいコンテンツマーケットプレイスです。Quixel、Sketchfab、Unreal Engine & ArtStationマーケットプレイスがひとつの場所に統合され、すべてのデジタルコンテンツクリエイターが、デジタルアセットの発掘、共有、購入そして販売をひとつの場所で行うことができます。Fabでの収益分配はクリエイターが88%となっており、より現実的で持続可能なビジネスの構築が可能となります。
リリース日は2023年の後半とされていましたが延期され、この度正式にリリース予定日が決定しました。
Fabのリリース予定日が10月中旬に決定
Fabのリリース予定日が10月中旬に決定しました。
リリースに向けて、Fabパブリッシングポータルが二つのフェーズに分けて公開されます。
- 第1フェーズ:本日より、Unreal Engine マーケットプレイスを利用しているクリエイターの方々は、Fabパブリッシングポータルを通じて製品をFabに移行することができるようになります。
- 第2フェーズ:10月上旬に新規パブリッシャー向けに登録とコンテンツのアップロードが開始されます。
また、Sketchfabコミュニティがライセンス可能なコンテンツをFabにシームレスに移行できるようにする移行ツールもリリース予定です。 ArtStationマーケットプレイスは現在と同様に運営されますが、2025年中にはクリエイターの製品をFabに移行できるようにすることが計画されています。
2024年の年末まで特別キャンペーンが開催予定
Fabのリリース日から2024年の年末まで、Fabの標準ライセンス製品の売上に対して、Fabパブリッシャーは100%の収益分配を受けることができるキャンペーンが行われるようです。さらに、Adobeと共同のリリースプロモーションの一環として、Fabの標準ライセンス製品を出品した方、または25ドル以上購入した方は、Adobe Substance 3D PainterおよびModelerの6か月間のサブスクリプションを無料で受け取ることができるとことです。
詳細については、Fabのリリース時にわかるようです。
Fabのリリースによって変わること
- マルチエンジン、マルチプラットフォームでのサポートが可能となり、Unreal EngineとUnity(他にも追加予定です!)を含む複数のゲームエンジンや、Blender、Maya、Cinema 4D、Adobe Substance 3Dといった数多くのデジタルコンテンツ制作ツールとのコンテンツ互換性が確保されます。
- 幅広い種類のアセットがサポートされ、3Dモデルやゲームエンジン向けの2Dアセット、環境オブジェクト、オーディオ、ツールやプラグインなどが複数のファイル形式で利用可能になります。
- Unreal EngineとUEFNが統合され、エディタを離れることなくFabのコンテンツにアクセス可能となることで、アセットを直接かつ簡単にプロジェクトに追加できるようになります。
- 次世代のリアルタイム3Dビューアーが実装され、クリエイターは3Dアセットの詳細を確認可能に、パブリッシャーはリアルタイム3Dを提供することで自身のアセットを簡単にプレゼンテーションできるようになります。
- パワフルな検索ツールによって、クリエイターが目的のファイル形式やアセットを、価格やライセンス形態に応じて素早く見つけられるようになります。
- 標準ライセンス用のティア別の価格設定を含む複数のライセンスの種類により、個人またはプロフェッショナルの利用に応じて異なる価格で製品を販売できます。
- AIコンテンツに対する透明性を高め、自身の制作物に対して生成AIのトレーニングプログラムへの使用を許可するかどうかを、クリエイター自身がコントロールできます。また、販売者に対しては一部でも生成AIを利用した制作物については、その旨を明示する義務を課します。さらに、Epic Gamesは生成AIのトレーニングを目的にクリエイターのコンテンツを利用することも、それらを用いた第三者との取り引きも行わないことを保証します。
今後も、高度な機能、新コンテンツが追加予定で、ファーストパーティやサードパーティのコンテンツ作成ツールとの統合も図るとのことです。Fabの開発に伴い、MinecraftやRobloxのアセットをはじめとする新しいファイル形式、MetaHumansへのアクセス、評価とレビューの新システム、製品に関するよくある質問、そしてパブリッシャー体験を向上させる新しいアナリティクスが導入予定です。
各マーケットプレイスはどうなるか
Unreal Engine マーケットプレイス、Sketchfab、ArtStationマーケットプレイス、Quixel.comはFabに引き継がれる予定です。そこで、各マーケットプレイスがそれぞれどのようになるのかを紹介したいと思います。
Unreal Engine マーケットプレイス
Unreal Engine マーケットプレイスは、Fabに完全に置き換わります。 Fabに参加して製品を移行すると、各製品のメディアギャラリーで追加のファイル形式、新しいライセンスオプション、リアルタイムの3Dプレビューが可能になり、出品内容をアップグレードすることができます。 全製品の星評価はUnreal Engine マーケットプレイスから移行されますが、自由形式のテキストレビューや質問のセクションは、Fabではサポートされていません。
上記で紹介したように、Unreal Engine マーケットプレイスの販売者は、製品をFabに移行することが可能です。 UEマーケットプレイスストアで使用しているものと同じEpic Gamesアカウントにログインして、パブリッシャーのオンボーディングプロセスを開始することができます。
製品の移行プロセスに関する詳細は、Epicデベロッパーコミュニティ(EDC)にあるFabの移行リソースから確認することができます。
Fabがリリースされると、UE マーケットプレイスは利用できなくなります。UE マーケットプレイスの販売者で、Fabのリリース前に製品をFabに積極的に移行しない場合、Unreal Engine マーケットプレイスのライセンスに基づいて、お持ちのコンテンツがFabに公開されることになります。使用中のアカウントはFabに移行され、UEマーケットプレイスとの販売者契約に基づき、Fabでの販売に対する支払いは引き続き受け取れますが、Fabでの一時的な100%の収益分配を2024年末まで適用するために、製品をFabライセンスに更新することが推奨されています。
これまでにUnreal Engine マーケットプレイスでコンテンツを購入していた場合も、Unreal Engine VaultからUE マーケットプレイスの購入品に引き続きアクセスできます。
■まとめ
- Unreal Engine マーケットプレイスはFabに完全に置き換わる。
- Unreal Engine マーケットプレイスの販売者は本日から製品をFabに移行可能。
- Unreal Engine マーケットプレイスの販売者は放置していても勝手にFabに公開されるが、リリースから2024年末までのFabでの一時的な100%の収益分配を得るために以降推奨。
- これまでにUnreal Engine マーケットプレイスでコンテンツを購入していた場合も、Unreal Engine VaultからUE マーケットプレイスの購入品に引き続きアクセス可能。
Sketchfab
Sketchfabのライセンス可能なコンテンツは、今後数か月以内にFabに移行しますが、Sketchfab.comは引き続き、クリエイターが3Dモデルをアップロードし、ウェブを通じて公開または非公開で共有できるサービスに特化して継続されます。Sketchfabのビジネスソリューションは引き続きサポートされます。 Epic Games は、今後1年間で、これらの機能を改善してより多くの機能をFabに導入し、Fabを単なるマーケットプレイスではなく、3Dコンテンツクリエイターやビジネスにとって強力なサービスにすることを目標としているとのことです。
Fabがリリースされると、Sketchfabストアに取って代わり、Sketchfabストアでのアセットの売買はできなくなります。 Fabは、10月のリリースに先立ち、SketchfabのクリエイターがモデルをFabに移行するためのツールを来月初めにリリース予定です。
クリエイティブ・コモンズライセンスと標準ライセンスの両モデルが移行の対象となり、編集ライセンスなどの他の種類のライセンスは移行の対象ではありません。 作品をFabに移行すると、改良された3Dビューアーやエディタ、メディアギャラリー、拡張された支払いオプション、さらには個人ライセンスティアとプロフェッショナルライセンスティアの価格設定機能にアクセスできるようになります。 全製品の星評価はSketchfabから移行しますが、自由形式のテキストレビューやモデルに関するコメントは、Fabではサポートされていません。
Sketchfabストアからコンテンツを購入したことがある場合、Sketchfabのプロフィールページにある購入品タブから引き続きアクセスできます。
■まとめ
- Sketchfabのライセンス可能なコンテンツは今後数か月以内にFabに移行。
- Sketchfab.comは当面継続。
- Fabがリリースされると、Sketchfabストアに取って代わり、Sketchfabストアでのアセットの売買は不可に。
- Fabに移行するためのツールが来月初めにリリース予定。
- ketchfabストアからコンテンツを購入したことがある場合、Sketchfabのプロフィールページにある購入品タブから引き続きアクセス可能。
Quixel
Fabがリリースされると、Quixel MegascansのコンテンツはQuixel.comとBridgeからFabに移行し、FabのウェブサイトやFabのUnreal Engine、UEFNとの統合を通じて利用できるようになります。
2025年から、Quixel Megascansの継続的な強化、キュレーション、新しいMegascansコンテンツの作成をサポートするために、Quixel Megascansの料金が導入される予定です。こちらのフォーラムの情報によると、2025 年以降Megascans はポイントで購入できなくなり、代わりに次の価格になるようです。この変更は Unreal Engine プラン ユーザーにも適用されます。
- スタンドアロンの 2D および 3D アセットは 0.99 ドルから
- アセットパックは24.99ドルから
- プロシージャルアセットキットは4.99ドルから
一部のコンテンツは引き続き無料で提供されますが、大半のMegascansコンテンツはUnreal Engineのプロジェクトにおいて無料で無制限に使用できなくなります。
Fabのリリースから2024年末まで、Fabの標準ライセンスの下で、すべてのエンジンとツールにおいて全員がMegascansを無料で利用できます。 QuixelのコンテンツをFabで取得すると、無料か有料かに関係なく、永久に使用できます。
Quixel.comやBridgeアプリを通じて、以前に取得したコンテンツには引き続きアクセスできます。 また、MetaHumansも、Fabに移行するまではBridgeを通じて引き続き利用できます。 最終的には、Quixel.comとBridgeアプリでのQuixelコンテンツのホスティングを終了しますが、その時期が近づいたら事前に通知されます。
■まとめ
- Fabがリリースされると、Quixel MegascansのコンテンツはQuixel.comとBridgeからFabに移行。
- Fabのリリースから2024年末まで、Fabの標準ライセンスの下で誰でもMegascansを無料で利用できるように。
- Quixel.comやBridgeアプリを通じて、以前に取得したコンテンツには引き続きアクセス可能。
- MetaHumansもFabに移行するまではBridgeを通じて引き続き利用可能。
- 最終的にはQuixel.comとBridgeアプリは廃止されるが事前に通知あり。
ArtStation
ArtStationマーケットプレイスは2025年にFabに移行しますが、ArtStationはアーティストに力を与えるという使命を継続し、ポートフォリオを展示し、新しいスキルを学び、キャリア機会の幅広いネットワークとつながる簡単な方法として継続されます。ArtStationマーケットプレイスの販売者が、製品をFabに簡単に移行できるようにする移行ツールは来年にリリース予定です。ArtStationの他の部分(ポートフォリオ、Printsなど)はそのまま残り、Fabには移行されません。
ArtStationコミュニティの一員で、Fabで作品を販売したい方は登録することがおススメされていますが、Fabでは、ArtStationマーケットプレイスで利用できるすべての製品の種類がまだサポートされていないことにご注意ください。
■まとめ
- ArtStationマーケットプレイスは2025年にFabに移行予定。
- ArtStationは、ポートフォリオを展示し、新しいスキルを学び、キャリア機会の幅広いネットワークとつながる場所として継続。
- 販売者が、製品をFabに簡単に移行できるようにする移行ツールは来年にリリース予定。
- Fabでは、ArtStationマーケットプレイスで利用できるすべての製品の種類がまだサポートされていない。
Fabの最新情報をチェック
Fabのリリースやパブリッシングポータルや各マーケットプレイスへの影響についての詳細、最新情報は、Epicデベロッパーコミュニティで確認できます。
コメント