2024年9月10日(現地時間) – Maxon は、同社のデジタルスカルプティングソフトウェアのiPadバージョン『ZBrush for iPad』のリリースを発表しました。
ZBrush for iPad がリリース!
ZBrush for iPadは、アカデミー賞を受賞したデジタルスカルプティング(彫刻)ソフトウェア ZBrush の iPad 版です。UIが刷新されて高度なカスタマイズが可能になり、他にはないブラシシステムとApple Pencilおよびタッチベースの機能を備え、ZBrushをいつでもどこでも使って、リアルタイムでスカルプトやペイントを行い、作品を作成することができます。
主な機能
Appleの機能を活かした改善されたユーザー体験
指のスワイプや他のジェスチャーを使って、描画サイズ、フォーカルシフト、アンドゥやリドゥなどの一般的な機能を簡単に操作できます。
さらに、複数のApple Pencil機能を使用することで、スカルプト作業をより速くし、没入感のあるデジタル体験を提供します。

スカルプトのための先進的なブラシシステム
ZBrush for iPadには、デスクトップ版にある200種類以上の独自ブラシコレクションが含まれています。

高度にカスタマイズ可能なユーザーインターフェース
ZBrush for iPadの高度にカスタマイズ可能なユーザーインターフェースは、デスクトップ版のクイックメニューを拡張したもので、スカルプトツールを最適化して自分の使い方に合わせて簡単に配置できます。
Apple PencilのダブルタップやPencil Proのスクイーズをカスタマイズして、メッシュをドキュメント内でフレームに合わせたり、ポリグループを有効にするなどのアクションも使用可能です。さらに、お気に入りのブラシ、マテリアル、アルファ、テクスチャを下部のバーに配置することができ、スカルプト作業にさらに集中できるようになります。
膨大なポリゴン数
ZBrush for iPadは、iPadのメモリとバージョンに応じて、ZBrushデスクトップ版と同レベルのディテールを実現しています。例えば、1テラバイト(TB)以上のストレージを備えた最新のM4 iPadでは、サブツール当たり最大で9200万ポリゴンにも対応可能です。
デスクトップと iPad を行き来
Maxon OneおよびZBrushのサブスクリプションユーザーは、ZTool(ZTL)およびZProject(ZPR)ファイルをiPad版とデスクトップ版の間でシームレスに転送できるので、ワークフローを効率化できます。GoZを使用すれば、ワンクリックで簡単にバージョン間のファイル移動も可能です。
主なスカルプトの機能

Sculptris Pro
Sculptris Proを使用すると、ブラシストロークごとに三角形のテッセレーションを追加および削減し、技術的な制約を気にせずにスカルプティングに集中できるようになります。

Zリメッシャー
Zリメッシャーは、元のサーフェイスの重要なディテールや流れを維持しながら、トポロジーに沿った均一なポリゴンの新しいメッシュを生成することができます。
ライブブーリアン
ライブブーリアンを使用すると、複数のオブジェクトを組み合わせてリアルタイムでブーリアンカットを行うことができます。ポリゴン数に関係なく、任意のジオメトリを合体、交差、または減算することが可能です。
ライブブーリアンは、ZBrushの既存のインスタンスシステム(アレイメッシュなど)と併用でき、アクティブな状態でブーリアン結果をプレビューしながらスカルプトが可能です。
PolyPaint
PolyPaintは、テクスチャマップを割り当てる前にモデルの表面にペイントできる機能です。ペイントとスカルプトを同時に行うことが簡単になるので、標準的なワークフローに対して大きな利点です。
サブディビジョンモデリング
Brushのマルチレベルスカルプティングシステムで、ポリゴン数を下げて大きなシルエットやモデルの形状を変更しながら、上位サブディビジョンの詳細なスカルプトを維持することができます。これにより、スカルプティングプロセスのどの段階でもモデルを自由に調整できるマルチレベルメッシュ編集ワークフローが可能となります。
Dynamesh
Dynameshはスカルプト中にリトポロジーを行うので、デジタルクレイを伸ばしたり、ボリュームを追加したりしながら、元のポリゴン数とあまり変えずにディテールを維持できます。

インサートブラシ
アクティブなツールとそのサブツールをインサートブラシに変換して、他のメッシュにモデルを挿入できるインサートブラシを簡単なステップで作成できます。

アレイメッシュ
アレイメッシュを使用すると、リアルタイムでジオメトリの重複インスタンスをさまざまなパターンや形状で作成できます。元のメッシュの構造を編集したり、アレイのモディファイアをすばやく調整したりできます。

VDMブラシ
Vector Displacement Meshes (VDM)のライブラリを使用した3Dスカルプトができます。
VDMブラシは、通常の2Dアルファブラシとは異なり、3D形状をメッシュの表面に適用することができます。これにより、オーバーハングやアンダーカットなどの複雑な形状を再現することが可能です。
サブパレットとコントロール
サブパレットからサーフェスノイズ、トランスフォーム、ツール、UV マップ、調整、ポリペイント、テクスチャからポリペイント、テクスチャマップなど様々なコントロールにアクセスすることができます。
- サーフェスノイズ
- テクスチャマップ
- UVマップ
- ディスプレイスメントマップ

サーフェスノイズ機能を利用することで、ZBrushはモデルのメッシュや、UVレイアウト、3D空間に合わせたプロシージャルなテクスチャを下地となるジオメトリを改変することなく、割り当てることが可能となります。また、アルファを作成することや、スカルプトブラシに反映することができます。

テクスチャマップサブパレットはテクスチャの管理と適用をし、モデルの表面の見た目を画像を用いてコントロールできます。これにより、他のアプリケーションにモデルを読み込んだり、テクスチャマップを活用しているモデルをインポートすることが可能となります。

UVMapサブパレットは、ZBrush内でUV座標の生成、調整や、テクスチャがどのようにモデルの表面に座標を割り当てるかを決めます。マップサイズを調整可能な基本的なUV展開を作成することや、UV展開されたバージョンのモデルをビューポート内で確認し、スカルプトや、ペイントを行い、3Dモデルに反映することが可能です。

ディスプレイスメントマップサブパレットでは、ZBrush内でのモデルのジオメトリ変形にディスプレイスメントマップを使用できます。これにより、画像の強度による精細なディテールを加えることができます。

マスク調整
マスク調整機能により、ZBrush内ですでに割り当てられたマスクの強度やパラメーターを微調整することが可能となり、モデルの表面にどの程度影響を与えるかなどがコントロールできます。

Apple Pencil Proのロール機能対応
描画サイズ、フォーカルシフト、Z強度、RGB強度を、Apple Pencil Proのロール機能で調整可能です。

ZModeler
ZModeler は、ジオメトリの作成、修正、操作を可能にし、ポリゴンモデリングが可能です。QMesh モードを使って、トポロジーの追加や削除を簡単に行えます。さらに、ナノメッシュでは、メッシュの領域に 1 つまたは複数のモデルを配置することで、パフォーマンスに影響を与えることなく ZModeler のワークフローの力を拡張できます。

UVマスター
UVマスター は、技術的な難しさを意識することなく、3D モデルを UV展開する最も簡単な方法です。これにより、ジェスチャーペイントを使って、ワンクリックでモデルの UV 展開を行うことができます。
アップデート情報
2025.1 – 2024年11月6日
- ローカライゼーションの追加、ドイツ語、スペイン語、フランス語、日本語、韓国語、中国語。
- 新規パレットとコントロールが追加されました:サーフェスノイズ、トランスフォーム、ツール、UV マップ、調整、ポリペイント、テクスチャからポリペイント、テクスチャマップ、塗りつぶしオプション、作成オプション、ツール>表示設定とメッシュスムースネス等。
- Pencil Pro のロール機能でブラシのスライダー設定を調整可能となりました。
- ツールチップを追加し、デバイスがペンのホバー機能に対応している場合にはボタンの名称が表示されます。
- カスタムツールバーがブラシだけでなく、すべてのコントロールを追加可能となりました。
- アンドゥ履歴のパネルが更新され、新しいレイアウトになりました。
- 全体的な安定性と使用性を向上しました。
2025.2 – 2024年12月4日
• Cinema4DのGoZサポート
•Patrick4D氏による Pro Projectsにより新しい冬のクッキーブラシIMMを導入。
• ZSphereのテンプレートには、女性、男性、手のマネキンが含まれるようになりました。
• ダブルタップや絞りをサポートするApple Pencilモデルは、クイックメニューをサポートするように。
• ハードウェアキーボードの修飾キーが粘着性になる可能性のある問題修正。
2025.3 – 2025年4月2日
- ZModeler
- VDMブラシ
- UV Master
- エッジを使用してUV展開
- NanoMesh
- Gizmo3D IMM 置換
- などなど
機能比較
機能 | ZBrush for iPad (無料プラン) | ZBrush for iPad (サブスクリプション) | ZBrush Desktop |
---|---|---|---|
ダイナメッシュ | 制限あり | フル | フル |
Zスフィア | 〇 | 〇 | 〇 |
マネキン | – | – | 〇 |
プリミティブ | 〇 | 〇 | 〇 |
メッシュ抜き出し | 〇 | 〇 | 〇 |
ZeeZoo | 〇 | 〇 | 〇 |
Mesh from Mask | 基本 | 〇 | 〇 |
機能 | ZBrush for iPad (無料プラン) | ZBrush for iPad (サブスクリプション) | ZBrush Desktop |
---|---|---|---|
1メッシュ毎の最大ポリゴン数 | 2千万 | 9千万 (M4 1TB+) | 1億 |
マルチ解像度メッシュ編集 (サブディビジョンサーフェススカルプト) | 〇 | 〇 | 〇 |
インサートマルチメッシュ | 制限あり | フル | フル |
VDMブラシ | 制限あり | フル | フル |
ブラシの数 | 28 | 200+ | 440+ |
複数メッシュサポート (サブツール) | 〇 | 〇 | 〇 |
サーフェスノイズ | 〇 | 〇 | 〇 |
ダイナメッシュによるブーリアン型操作 | 〇 | 〇 | 〇 |
ライブブーリアン | – | 〇 | 〇 |
3D サーフェース効果 クレイポリッシュ | – | 〇 | 〇 |
参考画像サポート (Floor Grid) | 〇 | 〇 | 〇 |
Sculptris Pro | 〇 | 〇 | 〇 |
SnakeHook Brush | 〇 | 〇 | 〇 |
カーブモード | – | 〇 | 〇 |
スライムブリッジ | – | 〇 | 〇 |
ThickSkin | – | 〇 | 〇 |
デフォーム | 制限あり | フル | フル |
穴埋め | – | 〇 | 〇 |
Zリメッシャー | 基本 | 高度 | 高度 |
ダイナミックサブディビジョン | 基本 | 高度 | 高度 |
MicroPoly | – | – | 高度 |
ブラシの保存/読込 | – | 〇(iPadとデスクトップ) | 〇 (iPadとデスクトップ) |
ブラシのオートマスク | 制限あり | フル | フル |
モーフターゲット | – | 〇 | 〇 |
機能 | ZBrush for iPad (無料プラン) | ZBrush for iPad (サブスクリプション) | ZBrush Desktop |
---|---|---|---|
カスタムUI機能 | – | 〇 (iPad版のみ) | 〇 (デスクトップ版のみ) |
ギズモ3Dデフォーマ | 制限あり | フル | フル |
ギズモ 3D プリミティブ | 〇 | 〇 | 〇 |
シャドーボックス | – | 〇 | 〇 |
Zモデラー | – | 〇 | 〇 |
高度なブラシ / ストロークカスタマイズ | – | 〇 | 〇 |
ユーザー製ブラシ※1 | – | 〇 | 〇 |
3Dレイヤー | – | – | 〇 |
HDジオメトリのサポート | – | – | 〇 |
ファイバー生成 (ファイバーメッシュ) | – | 〇 | 〇 |
アレイメッシュ | – | 〇 | 〇 |
ナノメッシュ | – | 〇 | 〇 |
マイクロメッシュ | – | – | 〇 |
マスキング 能力 | 基本 | 高度 | 高度 |
ポリグループ 能力 | 基本 | 高度 | 高度 |
クリース | – | 〇 | 〇 |
エッジループ | – | 〇 | 〇 |
パネルループ | – | 〇 | 〇 |
メッシュ投影 | – | 〇 | 〇 |
サブツールオプションの分割 | 基本 | 高度 | 高度 |
サブツールオプションの結合 | 基本 | 高度 | 高度 |
UVマッピング | – | 〇 | 〇 |
変位マップのサポート | – | 〇 | 〇 |
環境マップ | 〇 | 〇 | 〇 |
ライトキャップ | – | – | 〇 |
プラグイン | – | – | フル |
ZScript | – | – | 〇 |
マクロ | – | – | 〇 |
ドラフト角度解析 | – | 〇 | 〇 |
メッシュの厚み解析 | – | 〇 | 〇 |
3Dプリント用のモデルの中空化 | 〇 | 〇 | 〇 |
ダイナミクス(物理演算) | – | 〇 | 〇 |
Clothブラシ | – | 〇 | 〇 |
トランスポーズマスター | – | 〇 | 〇 |
メッシュ最適化(Decimation Master) | 基本 | 高度 | 高度 |
プロキシポーズ | – | 〇 | 〇 |
テシメート | – | 〇 | 〇 |
ステージャー | – | 〇 | 〇 |
類似に適用 | – | 〇 | 〇 |
バスレリーフ | – | 〇 | 〇 |
コンタクト | – | 〇 | 〇 |
※2:ZBrushCoreおよび無料版ZBrush for iPadでは、ポリゴン数の最適化が5つのプリセット(20K、35K、75K、150K、または250K)に制限されています。
機能 | ZBrush for iPad (無料プラン) | ZBrush for iPad (サブスクリプション) | ZBrush Desktop |
---|---|---|---|
BPR (Best Preview Render) レンダラー | 基本 | 基本 | 高度 |
ZBrush to KeyShot Bridge サポート | – | – | 〇 |
レンダーパス | – | – | 〇 |
マテリアル編集 / インポート | – | 〇 | 〇 |
リアルタイムアンビエントオクルージョン | 〇 | 〇 | 〇 |
レイトレーシングアンビエントオクルージョン | – | – | 〇 |
BPRフィルター | – | – | 〇 |
ワックスプレビュー | – | 〇 | 〇 |
サブサーフェイススキャッタリング | – | – | 〇 |
※2025年4月更新
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価格とシステム要件について
ZBrush for iPadは、iPadOS 17.0以降、およびA12 Bionicチップ以降を搭載したデバイスで利用できます。
価格はサブスクリプションで、1500円(9.99ドル)/月または13000円(89.99)/年です。
試したい方向けの無料プランも用意されており、28種類の人気ブラシの入門セットと、ダイナメッシュやSculptrisPro、Zスフィア、Zリメッシャーといったツールの機能(一部機能制限あり)が利用可能です。無料プランとサブスクリプションのそれぞれの機能は上記の機能比較をご覧ください。
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