アドビ、フェイク情報への懸念と生成AIの影響についての日本を含むグローバル調査結果を発表

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2024年6月25日 – Adobe は、日本を含む生成AIがもたらす影響への懸念などについて調べるグローバル調査 Future of Trust Study の結果を発表しました。

生成AIと誤情報の社会的影響に関する調査を実施

Adobe は、米国、日本、欧州を含む世界6,000人以上の消費者を対象に、インターネット上でフェイク情報に遭遇した経験や、生成AIがもたらす影響への懸念などについて、グローバル調査Future of Trust Studyを実施しました。今回発表されたのは4月に発表された調査結果に日本の調査結果を追加したものとなっています。

Adobe、生成AIと誤情報の社会的影響に関する調査結果を発表、誤った情報と選挙へ与える影響を懸念
2024年4月18日(現地時間)- Adobe は、イギリス、フランス、ドイツで実施した最新の調査結果を発表しました。 生成AIと誤情報の社会的影響に関する調...

この調査は、Adobe の責任あるイノベーションに関する取り組みの一環であり、デジタルコンテンツの信頼性を検証するツールに対する消費者のニーズの高まりと、誤情報が各国の選挙の公正性に及ぼす影響について積極的な対策が急務であることを浮き彫りにしています。

特に、目前に控えた米国大統領選挙に向けて、過熱する両陣営の選挙戦・情報戦に世界の注目が集まる中、本調査結果は公平な選挙におけるデジタルコンテンツが担う影響力について、世論の声を示す一つのベンチマークとなります。

Adobe はAdvanisと共同で、米国2,012人、日本1023人、英国2,002人、フランス1,043人、ドイツ1,020人の18歳以上の回答者を対象に調査を行いました。データは、2024年3月にオプトインの非確率的データサンプリング手法で収集されました。

調査結果について

この調査についてのAdobeの主な調査結果は次のとおりです。

近年オンライン上で情報の透明性を確保することが困難になり、消費者は誤情報が拡散することについて危機感を感じています。

  •  多くの消費者(米国70%、日本68%)が、オンラインで接するコンテンツが信頼できるかどうかを確認することが難しくなっていると述べています。
  • ほとんどの回答者(米国84%、日本83%)が、オンラインで接するコンテンツが改ざんされやすく誤情報になることに懸念を表明しています。
  • オンライン上の情報に対する透明性への関心はより高まっており、過半数以上の回答者(米国 76%、日本57%)が、コンテンツが生成AIで作られたかどうか判別できることが重要であると回答しています。

デジタルコンテンツへの信頼が低下する中、消費者は選挙の公正性の担保に懸念を抱いています。

  • 今年は世界各国で重要な選挙が行われ、40億人以上の有権者が選挙に参加することになる中、多くの消費者(米国80%、日本73%)が、誤情報や有害なディープフェイクが将来の選挙に影響を与えるだろう、と考えていることがわかりました。
  • 閲覧しているオンラインコンテンツが真実かどうかを判断するためのツールが普及していないため、選挙候補者がプロモーションコンテンツに生成AIを使用することを禁止すべきと、多く(米国78%、日本61%)が回答しています。
  • 消費者の大多数(米国83%、日本72%)は、政府とテクノロジー企業が協力して、ディープフェイクや誤情報から選挙の公正性を守るべきだと考えています。

コンテンツを共有する前に情報源の信頼性を確認する際、消費者はコンテンツが真実であるかどうかを確認するためのツールとメディアリテラシースキルを持つことが重要であると考えています。

  • 多くの消費者(米国88%、日本77%)は、オンラインコンテンツが信頼できるかどうかを確認するための適切なツールが不可欠であると考えています。
  • 誤情報に対する懸念は、それが子どもに及ぼす潜在的な影響についても及んでおり、ほとんどの消費者(米国84%、日本78%)が、学校のカリキュラムの一環としてメディアリテラシーを子供たちに教えるべきだと答えています。

日本では、ほとんどの項目で欧米よりも危機感や懸念が低い結果が出ています。特にコンテンツが生成AIで作られたかどうか判別できることが重要であると考えている人は米国 76%、英国82%、フランス77%、ドイツ74%、日本57%となっており、大幅に低い結果が出ています。

生成AIの安全な利用と、デジタルコンテンツの信頼性向上へ

Adobeは本調査により、オンライン上の誤情報やディープフェイクに関する懸念、および生成AIがデジタルコンテンツの透明性に与える影響について、世界で関心が高まっていることが明らかになったとしています。

以前より、説明責任、社会的責任、透明性というAI倫理原則に従い、AIを開発して来ました。その中で、コンテンツがどのように作成、変更、公開されたかの重要な情報を提供し、改ざん検知を可能にする、いわば「成分表示ラベル」のような役割のメタデータであるコンテンツクレデンシャルの普及に取り組んでいます。

また、Adobeはデジタルエコシステムの信頼性の向上のために2019年 Content Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ、CAI)を設立しました。現在、CAIはテック、政策、およびメディアに関連する企業、クリエイティブプロフェッショナル、研究者など3,000以上のメンバーを擁するグローバル組織に成長し、デジタルコンテンツに透明性を持たせるために協力しています。今後日本でも、多くのメディアや企業の参加が期待されます。

Adobeは今後も、コンテンツエコシステム全体の透明性を確立し、デジタルコンテンツへの信頼を高めながら、責任あるテクノロジーの構築を進めていくとしており、エグゼクティブバイスプレジデント、ゼネラルカウンシル兼チーフトラストオフィサーであるダナ・ラオ(Dana Rao)氏は次のように述べています。

「アドビは、AI技術の商用展開を進めるリーダーとして、クリエイティビティと生産性を変革する生成AIの力に大きな期待を寄せる一方、AI技術が社会に及ぼす影響について長い間考えてきました。この調査結果が明確に示しているように、ディープフェイクの危険性について消費者がリテラシーを向上し、何が真実であるかを理解するためのツールを提供することが重要です。選挙が近づいている今こそ、コンテンツクレデンシャルのような保護技術を採用して、私たちが接するデジタルコンテンツへの信頼を回復する時です。」


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