2024年3月26日(現地時間)- Blender Foundationとオンライン開発者コミュニティは Blender 4.1 のリリースを発表しました。
新機能ハイライト
Blender 4.1は、パフォーマンス、安定性、QOLの改善が行われたメジャーアップデートとなっています。次の動画では、CGCookieの Jonathan Lampel 氏による新機能のまとめを見ることができます。
ジオメトリノード
ベイクノード
ジオメトリノードにベイク(bake)ノードが追加されました。このノードによって、ノードグループ内のデータを保存およびロードすることができるので、入力を再計算する必要がなくなり、プロシージャルなワークフローを失うことなく高性能なジオメトリを実現できます。
- 静止フレームとアニメーション、そしてボリュームオブジェクトをサポートし、ファイルサイズが小さくなるように最適化されています。
- ベイクされたフレーム範囲はノードの上部に表示され、タイムラインではキャッシュラインとして表示されます。
- さらに、ベイク(シミュレーションも)でマテリアルが失われなくなり、アンドゥ後も失われなくなりました。
メニュースイッチノード
新しいメニュースイッチ(Menu Switch)ノードを使用すると、グループインターフェイスでオプションを切り替えるためのカスタムの “enum “メニューを作成できます。メニュースイッチノードのアイテムは、モディファイアのドロップダウンメニューに表示されます。
Smooth by Angle ノード
オート スムーズ(Auto Smooth)メッシュ オプションの動作を置き換えるために、Smooth by Angle ノード グループ アセットが追加されました。これにより、ジオメトリノードは、自動スムーズオプションを必要とせずに、エッジのシャープネスを設定し、分割法線を作成する機能を持つようになりました。
新しいノード
他にもこのアップデートでは以下のノードの追加や変更が行われました。
その他のジオメトリノードのアップデート
- ノード ツールがオブジェクト モードでサポートされるように。
- カーブ法線設定(Set Curve Normal)ノードで、フリー(“custom”)法線を設定できるようになりました。
- メッシュ押し出し(Extrude Mesh)ノードが6倍以上高速化されました。
- ジオメトリノードモディファイアに新しい管理パネルが追加されました。
- 最短辺パス(Shortest Edge Paths) ノードが60%以上高速化されました。
- 出力属性パネルが空の場合、非表示に。
- 面グループ境界(Face Group Boundaries)ノードが3倍以上高速化。
- 辺の面グループ化(Edges to Face Groups )ノードが7倍以上高速化。
- 黒体(Blackbody)シェーダノードのサポートを追加。
- さらに 5 つのノードで回転( rotation)ソケットを使用できるように。
- カーブフィル(Fill Curve)ノードに “Group ID “入力を追加。
CYCLES
OpenImageDenoiseのハードウェアアクセラレーション
は、サポートされているハードウェア上でGPUアクセラレーションが可能となり、3Dビューポートでインタラクティブな速度で高品質のノイズ除去が利用できるようになりました。3Dビューポートおよび最終レンダリングでGPUレンダリングを使用する場合、自動的に有効になります。
現在以下のGPUをサポートしています。
- NVIDIA GTX 16xx、TITAN VおよびすべてのRTX GPU
- Xe-HPGアーキテクチャまたはそれ以降のIntel GPU
- macOSバージョン13.0以降のApple Silicon
AMD GPUについては、安定性の問題のため、現在有効になっていませんが、
Blender 4.2 のデイリービルドではテストできます。AMD RDNA2 と RDNA3 世代のディスクリート GPU でサポートされています。
その他のアップデート
コンポジター
ビューポートコンポジターの強化
ビューポートコンポジターがクリプトマット(Cryptomatte)、ピンボケ(Defocus)、ベクターブラー(Vector Blur )、キーイングスクリーン(Keying Screen)に対応し、レンダーレイヤーパス(イメージ、アルファ、デプス以外)を除くすべてのノードのサポートが完了しました。
Kuwaharaノード
Kuwaharaノードに新しいサイズ入力が追加され、可変サイジングが可能になりました。さらに、新しい高精度オプションがクラシックモードのノードに追加され、高解像度とハイダイナミックレンジの画像に対してより正確な結果が得られるようになりました。
ピクセル化ノード
ピクセル化(Pixelate)ノードに新しいサイズプロパティが追加され、スケールダウンノードやスケールアップノードに並べずに使用できるようになりました。
新しいパフォーマンスオプション
オプションにパフォーマンスパネルが追加され、フル(Full)と自動(Automatic)を選択できるようになりました。自動はビューポートとインタラクティブ合成に半精度を使用し、フルはビューポートとレンダリングの両方に全精度を使用します。半精度では、精度と値の範囲が狭くなりますが、より少ないメモリ使用量でより高速に実行されます。
その他のアップデート
- キーイングスクリーンの結果がより滑らかに。
- UVマッピング(Map UV) の新しいフィルター タイプ オプション。
- ピンボケ(Defocus)ノードのボケ半径がより正確になり、レンダリング エンジンとのマッチングが向上。
- インペイント(Inpaint )ノードが改善され、塗りつぶされた領域がより均一になるようになりました。
- Split Viewer に代わる新しい分割(Split) ノード。
- バイラテラルブラーとボケブラーの改善。
- ダブル エッジ マスク ノードにゼロ ポイントが含まれ、最大 650 倍高速に。
- 逆転(Flip) ノードがローカル空間で動作するようになりました
- クロップ(Crop )ノードの境界線が反転していた場合、反転しなくなりました。
- ビューポート コンポジターでのスケーリングと回転の向上。
- ビューポート コンポジターでの移動の改善。
- ビューポートでのマルチパス合成が大幅に高速化。
- Z値合成(Z Combine )および 拡張(Dilate )ノードのアンチエイリアスが改善されました
- サンビーム(Sun Beams )ノードがよりスムーズな結果を生成するようになりました
- コンポジタは、その結果が実際に使用または表示される場合にのみ実行されるようになりました。
- EEVEE および Workbench の深度(Depth)パスのサポート
アニメーション&リギング
アニメーションキーイング
Blender 4.1では、アニメーションのキーフレームを挿入する新しい方法が導入され、よりシンプルで直感的なワークフローが実現しました。次の動画で動作を確認できます。
変更内容は以下の通りです。
- ビューポートで
Iを押しても
、キーイングセットのメニューがポップアップしなくなりました。代わりに、環境設定に新しく追加されたオプションを使います。これらのオプションは、どのチャンネルがキーイングされるかを定義します。これにより、Blender が必要なものをキーイングするように設定するのがかなり簡単になります。 - オブジェクトとポーズモードで、キーイングセットメニューをポップアップする新しいホットキー
K
が追加されました。これはシーンでキーイングセットがアクティブであってもメニューを表示します。 - アクティブなキーイングセットを変更するホットキーが、
Ctrl+Shift+Alt+I
からShift+K
に変更されました。 - ユーザー設定オプションの「ドラッグでパイメニュー(Pie Menu on Drag)」(「キーマップ(Keymap)」カテゴリ内)が有効な場合、
I
を押しながらカーソルを動かすと、「位置(Location)」、「回転(Rotation)」、「スケール(Scale)」、「利用可能(Available)」のいずれかを挿入するパイメニューが表示されるようになりました。 - ユーザー設定オプションの「必要な時の挿入(Only Insert Needed)」がマニュアルと自動で分けられました。
ボーンコレクションの階層化
されました。コレクションはフラットリストではなくツリーで表示され、ドラッグアンドドロップで並べ替えたり入れ子にしたりできます。
可視性は、ボーンコレクション自身とその親要素によって決まります。ボーンコレクションは、親要素が表示されているときのみ表示されます。さらにボーンコレクションは、ソロ(solo)で表示することもできるようになりました。
新しい選択モード
により、ウェイトペイントモードから離れることなく、簡単にボーンを切り替えることができるようになりました。
これは、アーマチュアが選択された状態でメッシュのウエイトペイント モードに入ると利用でき、ヘッダーのボーンアイコンから、またはホットキー “3” を押すことでアクセスできます。
モーションパス
をカメラビューからスクリーンスペースで生成できるようになりました。アニメーターが最終的な作品でどういう弧を描くか、より簡単に確認できるようになりました。
グラフエディタの改善
新しいスライド操作で、キーを簡単に調整できるようになるなどグラフエディタの改善が行われました。
■隣のスケールに合わせる(Scale From Neighbor)
選択したキーセグメントを、左右どちらかの隣のキーからスケーリングすることができるようになりました。Dキーを押すと、基準となるキーが左右どちらかに切り替わります。
■キーの軸を自動ロック(Auto-Lock Axis)
キーの動きをX軸かY軸のどちらかに自動的にロックするオプションが追加されました。これはビュー(View) > キーの軸を自動ロック(Auto-Lock Axis)で見つけることができます。
ベイク
グラフ エディタ(Graph Editor)に、チャンネルをベイクするための新しいオペレータチャンネルをベイク(Bake Channels)が追加されました。
これにより、次のことが可能になります。
- ベイクするフレーム範囲を指定。
- ベイクされたキー間の距離を定義します (例: 2 秒または 3 秒)。
- ベイクされた範囲外のキーを削除します。
- 新しいキーフレームの補間タイプを定義します。
- モディファイアをキーフレームにベイク処理します。
これは、グラフ エディターのチャンネル(Channel)» ベイクチャンネル(Bake Channels)で見つけることができます。
その他のアップデート
- NLA: 新しいベイク アクション オペレーター
- キーフレーム挿入の改善
- チャネル: 失敗したドライバーの視覚的なヒント
- ボーン コレクション Python API
- 単一プロパティおよびコンテキスト プロパティ ドライバーのフォールバック サポート
- ドープシートのパフォーマンスの向上
ビデオシーケンサー
ビデオシーケンサーはこれまで以上に高速になり、洗練されたスコープと改良された画像フィルタリングにより、よりスムーズな編集が可能になりました。
スコープの改良
クロマベクトルスコープ
(Chroma Vectorscope)
このスコープはアスペクト比を保持するようになり、「スキントーン(skin tone)」ラインが追加されました。RGBからYUVへの変換は、標準のBT709係数で行われます。
ヒストグラム
(Histogram)
このモードでは、EXRファイルを扱う際にラベルが表示され、より分かりやすくなりました。また、描画はGPU上で行われるため、より効率が良くなりました。
さらに、音声波形のプレビューはデフォルトで表示されるようになりました。
フィルタリングの改善
ストリップのスケーリング/回転時の画像/動画フィルタリングが大幅に改善されました。ストリップは、スケーリング係数に基づいて、自動的に最適なフィルタを使用するようになりました
- Nearest: スケーリング/回転がなく、位置が整数の場合。
- Cubic Mitchel:2倍以上拡大する場合。
- Box : 2倍以上縮小する場合。
- Bilinear: 他のルールが適用されない場合のフォールバック。
パフォーマンスの向上
ビデオ シーケンサーでは、全体的に多くのパフォーマンスが最適化されました。
- タイムラインの描画が3倍から4倍高速化。
- ムービーの読み込みと書き込みが高速化。
- グローエフェクトが6倍~10倍高速化。
- ワイプエフェクトは6倍~20倍高速化。
- ガンマクロスが4倍高速化。
- ガウシアンぼかしエフェクトは 1.5 倍高速化。
- ソリッドカラーは2 倍高速化。
- カラーマネージメントの高速化。
- 画像変換の高速化。
- オーディオのリサンプリングが高速化。
その他のアップデート
- 新しいバイキュービック フィルタリング。
- 半分のオーディオ波形を表示する新しいオプション。
- キュービックフィルタリングの高速化。
- バイリニアフィルターは透明なエッジを追加しなくなりました。
- 新しいキュービック ミッチェル フィルタリング。
- さまざまな「1 ピクセルずつずれている」問題が修正されました。
- 新しいボックスフィルター。
OpenUSDサポートの改善
- Blender 4.1では、アーマチュアとシェイプキーをUSDスケルトンとブレンドシェイプとしてエクスポートできるようになりました。
- さらに、シーングラフインスタンシングと ポイントインスタンシングのインポートがサポートされました。
- USD のインポートが、フックを通して Python スクリプトで拡張できるようになりました。詳細とサンプルコードについては、USDHook APIドキュメントを参照してください。
他にも以下のようなアップデートが行われてます。
- UsdUVTextureのスケールとバイアス処理が追加。
- オプションでエクスポート時にサブディビジョン スキーマをオーサリングできるように。
- デフォルトで単一のルートプリムにエクスポート。
- UsdUVTextureのチャネル処理の追加。
- エクスポート時にライトのextentsプロパティをオーサリング。
その他のアップデート
VFX Reference Platform 2024
Blender 4.1はVFX Reference Platform 2024と完全に一致しており、スタジオパイプラインへの統合が容易になりました。
ユーザーインターフェース
- 入力プレースホルダーで、入力の予想値に関するヒントを表示できるようになりました。
- 別々のウィンドウ間でクリプトマットのピッキングを実行できるようになりました
- ユーザーインターフェースのフォントの太さをカスタマイズできるように
- 十分なスペースがない場合、ワイド列挙型リストが1列に折りたたまれるように。
- 環境設定での UI フォントの変更は、OS のフォント フォルダーで開始されるように。
- レスポンシブファイルブラウザのリスト表示
- カラーピッカーのカーソル表示とフィードバックの改善。
- 文字が見つからない場合、テキスト オブジェクトのフォントはフォールバック スタックを検索するように。
- アニメーションマーカー描画の改善。
- メニューとポップアップ ブロックの角の丸みを改善しました。
- メニューとポップアップブロックの影の品質が向上しました。
- コンポジターノードツリーの初期表示が改善。
- MacでスポイトがBlenderウィンドウ外の色をピックできるように。
- 「最近使ったメニュー項目を開く」に、Blender のバージョンとサムネイル (利用可能な場合) が表示されるようになりました。
- 「最近使ったファイルを開く」メニューに「最近使ったファイルのリストをクリア」項目が追加されました。
- レンダリングカラー変換を適用した背景画像を表示できるように。
- ファイル ブラウザのツールチップに Blender のバージョン、画像のサイズ、ビデオの詳細などが表示されるようになりました。
- 手動で保存した後に自動保存タイマーが再起動されるようになりました。
- テキストオブジェクトにUnicode値で文字を入力するダイアログが追加。
- オペレーターのプロパティダイアログに「キャンセル」ボタンが追加されました
- スカルプトとグリースペンシルの自動マスキングオプションの視覚的な切り替えトグルが追加
- 変更点の完全なリストを参照
スカルプト
I/O
インフラストラクチャー
EEVEE とビューポート
- Reflection Cubemap の名前が Sphere に変更。
- 反射面(Reflection Plane)の名前が平面(Plane)に変更。
- 放射照度グリッド(Irradiance Grid)の名前がボリューム(Volume)に変更。
さらに、Blender をより安定させ、貢献しやすくするための何百ものバグフィックス、コードのクリーンアップ、リファクタリングが行われました。
すべてのアップデート内容の確認はこちらから
マニュアルはこちらから
またベータ版のとき紹介した以下の記事もご参考に!UIの変更に関する変更も少し紹介しています。
https://cginterest.com/2024/02/10/blender-4-1-%e3%81%8c%e3%83%99%e3%83%bc%e3%82%bf%e7%89%88%e3%81%ab%e7%a7%bb%e8%a1%8c%ef%bc%81eevee-next%e3%81%ae%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%af%e5%bb%b6%e6%9c%9f%e3%81%ab%ef%bc%81/
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CREDITS
List of developers that contributed to Blender 4.1
Splash artwork by Lynxsdesign. Features recap video by Jonathan Lampel from CGCookie. Page layout and design by Pablo Vazquez. Additional help by Blender Studio, Blender Institute and the Blender community.
Huge thanks to everyone involved ❤️
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