AMD、FidelityFX Super Resolution 3.1、Brixelizer などを発表

CGソフト

AMDによる GDC 2024 での発表についての紹介です。

今年のGDCでは、GPU Work Graphs のパフォーマンス、AMD FSR 3.1、BrixelizerのGIなどの情報が共有されました。以下その内容の紹介となります。

GPU Work Graphs

AMD は、Advanced Graphics Summitに招待され、 Microsoft® Agility SDK 1.613.0の一部としてバージョン1.0がリリースされたばかりの Work Graphs についての発表を行いました。

Work GraphsはGPUプログラミングにおける新しい開発手法で、マイクロソフトと業界パートナーとの複数年にわたる協力の成果とされています。Work Graphsにより、GPUはCPUと行き来することなく、GPU自身にジョブを与えることができます。処理のスケジューリングと処理の生成をGPUにローカルに保つことで、シーンのトラバーサル、適応アルゴリズム、再帰など、以前はプログラミングに多大な労力を要していた多くのアルゴリズムが、Work Graphを使って効率的かつ簡単に実装できるようになります。Work Graphsの実用的なアプリケーションには、コンピュートラスタライゼーションやプロシージャルコンテンツの作成などがあります。

Matthäus Chajdas氏(AMD)とShawn Hargreaves氏(Microsoft® Direct3D®)は、DrawコールがWork Graphの不可欠な一部となり、グラフの残りの部分が実行されている間に処理されることを可能にする ” mesh nodes ” のコンセプトを紹介しました。

Coburg大学との共同開発によるデモ(動画はこちらから)では、単一の work graph dispatch を使用した複雑なシーンの生成とレンダリングが紹介され、mesh nodesの拡張を使用した場合、ExecuteIndirectの方がworkgraphに比べて平均で1.64遅いという大幅なパフォーマンスの向上が示されました。

Advanced Graphics Summit のAMDに関連するその他のセッションとしては以下のものがありました

  • Microsoft – Microsoft State of the Union:
    RobMartin氏がAMDを代表し、今や大人気となったWork Graphsや、次期Microsoft DirectSRへの当社の関わりについて語りました。
  • Unity -Rendering Customization and Performance in Unity 6:
    AMD FSR 2.2のサポートが、2024年にリリースされるUnity 6のUnity High Definition Render Pipeline (HDRP)に含まれる予定です。

AMD FidelityFX Super Resolution 3.1

AMD FSR 3.1には以下の改善と新機能があります。

アップスケーリング画質の改善

高/低周波数信号の処理方法が内部的に変更され、アルゴリズムでより適切な判断ができるようになりました。これにより、ディテールをよりよく保存できるようになると同時に、静止時の時間的安定性やゴーストの低減も図れるとされています。

アップスケーリングとフレーム生成の分離

AMD FSR 3.0では、FSR 3フレーム生成の前にFSR 3アップスケーリングを実行し、情報を生成する必要がありました。これはGPUリソースを節約しますが(より高いFPSを可能にします)、選択肢を制限するものでした。AMD FSR 3.1では、フレーム生成はサードパーティのどのアップスケールコンポーネントでも実行できます。ただし、アップスケーラー入力からいくつかのデータを事前計算するための追加ステップが必要です。

AMD FidelityFX API

AMD FidelityFX APIが、AMD FSR 3.1と同時に発表されます。これは、ABI(アプリケーションバイナリインタフェース)サーフェスを大幅に下げ、DLL(ダイナミックリンクライブラリ)の使用を全面的に奨励するように設計されています。これにより、デバッグ機能が向上し、ゲーム開発者は、より少ないコード変更で、より速くFSRの新バージョンにアップグレードできるようになります。

Vulkan®とXbox Game Development Kit (GDK)のサポート👍

■バグ修正👍

最初に発表されたAMD FSR 3.1搭載ゲーム

水曜日のセッション後に明らかになったように、AMD FSR 3.1を最初に発表したゲームは Ratchet & Clank: Rift Apart(Insomniac Games、Nixxes Software、Sony Interactive Entertainment) となりました。FSR 3.1を搭載したゲームアップデートは今年後半に予定されており、アップスケーリングからフレーム生成を切り離すことで、ゲームがサポートする他のアップスケーリングソリューションと併用できるようになります。また、FSRのテンポラルアップスケーリング画質の改善も行われる予定です。

 

上記はAMD FSR 3.1によるアップスケーリングの改善例となります。これらは、AMD FSR 2.2/3.1パフォーマンスモードを使用して1080pで動作するゲームのビデオキャプチャから取得したものです。

注意点

  • FSR 3フレーム生成をアップスケーリング品質モードまたは「Native AA」モードで使用する場合、最適なエクスペリエンスを得るため、またレイテンシーを軽減するために、フレーム生成が適用される前に最低~60fpsで実行することが強く推奨されます。
  • VRRディスプレイでFSR 3を使用するゲーマーは、画面のティアリングを防ぐために、フレームレート(フレーム生成を有効にした場合)をモニターのリフレッシュレート内に保つことをお勧めします。Windows® 11を使用する場合は、HAGS(Hardware Accelerated GPU Scheduling)を有効にすることも推奨。HAGSは、AMD Software: Adrenalin Edition™ 23.12.1 以降を使用する場合、AMD Radeon™ RX 7900/7800/7700シリーズグラフィックスカード上のWindows 11 2022 Updateで有効になります。

AMD FidelityFX Brixelizer & Brixelizer GI

静的ジオメトリと動的ジオメトリで動作するリアルタイムのスパース距離フィールドビルダー(sparse distance field builder)であるAMD FidelityFX Brixelizerの今後の詳細が共有されました。Brixelizerは、与えられた位置の周囲にスパース距離フィールドのカスケードを生成し、それらのカスケードをボクセルに分割します。

グローバルイルミネーション(GI)は、Brixelizer GI(計算ベースのソリューション)を介して導入でき、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングを必要としないため、ローエンドのプラットフォームでレイトレーシングによるダイナミックGIのフォールバックとして使用したり、より高度なGIソリューションの基礎として使用したりすることができます。

使用されているアルゴリズムは、 AMD GI-1.0 をベースにしており、ワールドスペースの輝度と放射輝度のキャッシュでバックアップされたスクリーンスペースのプローブによる Two-level Caching アプローチを使用しています。Gバッファとダイレクトライティングを入力として取り込み、DiffuseとSpecularのGIを出力します。

AMD FidelityFX BrixelizerとBrixelizer GIは、まもなくAMD FidelityFX SDKに登場し、DirectX® 12とVulkan®の両方で利用可能になる予定です。


他にもGDC2024のセッションやスライドが公開されています。

詳細はこちらから

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