2024年2月15日(現地時間)- Blender のブログで Animation 2025 プロジェクトの最新の進捗と計画が共有されましたのでその内容を紹介したいと思います。
プロジェクトの目標
以下は、Animation 2025で実現したいと考えられているアイデアです。
■Animation データブロック
関連するキャラクターやオブジェクトのアニメーションを、1つの “Animation “データブロックにまとめておけるようにしたいと考えられています。これはショットに固有の制約(constraints)が含まれ、相互作用する複数のキャラクターと小道具のアニメーションを管理しやすくなります。
■リギングノード
ショットに依存する制約をそのショットのアニメーションデータと一緒に保持したいと考えると、リギングノードが必要であると考えられています。これらは新しいリギングノードのシステムで、何らかの形で実装されることになるようです。
■ボーンピッカー
アニメーターがより速く、より乱雑でない3Dビューポートで作業できるように、ボーンピッカーのシステムが考えられています。
■その他のアイデア
他にも、以下のようなたくさんのアイデアがあります。
- 例ベースのドライバ(Example-based drivers)
- リグごとの複数のレストポーズ(Multiple Rest poses)
- カスタムボーン軸(Custom bone axes)
- 編集可能なモーションパス(Editable Motion Paths)
- ゴースト(Ghosting)
- アニメーションのリターゲティングツール(Animation Retargeting Tools)
- 高密度なアニメーションワークフロー(Dense Animation Workflow)
- モーションキャプチャデータを扱うためのツール(Tools for Wrangling Motion Capture Data)
- などなど
これらの目標は、下記の以前に行われたワークショップに直接由来しています。
すでにBlenderに追加された機能
Animation 2025プロジェクトはすでにBlenderに多くの改良をもたらしています。以下に挙げる機能はすべてすでにBlenderに入っているか、Blender 4.1でリリースされる予定です。
■Blender 4.0の12倍高速なグラフエディタ(Blender 3.6と比較)。
■Blender 4.0で制限のあるレイヤーシステムがよりパワフルなボーンコレクションに置き換えられ、ネスティングやより多くの可視性オプションがBlender 4.1に追加されました。
■アニメーションに役立つツールを備えた Blender 用の無料アドオン『animaide』ツールの多くがBlenderにネイティブに導入されました。
■その他の追加機能
- カメラ相対モーションパス
- キーイングワークフローの改善
- ウェイトペイントモード選択ツール
- 任意のプロパティの “グラフエディタで表示(View in Graph Editor)
- グローバルトランスフォームのコピー
- 設定可能なBone Relationship Line( ボーン関係ライン
- 「親」トランスフォーム空間
- 新しいFカーブスムージングオペレータ
- NLAが大幅に便利に
- Fカーブモディファイアのマルチ編集
- Bendy Bonesの曲げやすさが向上
現在取り組んでいること
現在、アニメーション&リギングモジュールは、新しいレイヤーアニメーションシステム Project Baklava に取り組んでいます。
このプロジェクトの新しいアニメーションシステムは、「レイヤー」と「マルチIDアニメーション」の2つを柱としています。このシステム自体は、将来的には単なる「Blenderのアニメーションシステム」になる予定で、Baklavaはプロジェクト名となります。このシステムの技術的な詳細についてはAnimation Workshop: June 2023で説明されています。
上のモックアップは、この新しいアニメーションシステムがどのようなものになるかを示しています。モンスターとボブの2つのキャラクターは、同じ Animation データブロックからアニメーションされます。つまり、同じアニメーションの別のテイクを試す際に、複数のアクションを入れ替える必要がなくなり、代わりにアニメーションの異なるレイヤーをミュート(解除)するだけで済むようになります。
Nathan氏は、アニメーションレベルの制約やスワップ可能なリグなど、将来のトピックに踏み込むことも含め、多くのUI/UXデザインを行いました。これらのデザインの詳細を見るには、Blender Projects の Initial UX design for the new Animation data modelをご覧ください。
作業アニメーション データ ブロック。2 つの別々のオブジェクトを一度にアニメーション化します。現時点では、開発者専用の GUI です。
その間、Sybren氏はデータモデルの実装に取り組んできました。ここれはActionを
置き換えることを目的としたAnimation
データブロックで構成されています。現時点ではDNAとRNAコードが存在し、評価とレイヤーの単純な混在も動作します。そして、上で見たように、複数のオブジェクトを同時にアニメーションさせることができます。
次のステップ
目標は、このプロジェクトをアニメーション制作者の手にできるだけ早く届けることで、そのためにはまだ次のようなことが必要とされています。
- キーを設定を可能にすること。上のアニメーションはPythonで作られているが、これは最適ではないと考えられています。
- dopesheet と graph editorでアニメーションを表示する。新しい
Animation
データモデルは、これまでと同じFカーブを使用しているので、これは比較的簡単なことであると考えられています。Fカーブを扱えるツールであれば、新しいAnimationでも
使えるはずです。 - マルチIDだけでレイヤーはまだありません。フィードバックのループをできるだけ小さく保つために、最大の未知の部分に焦点が当てられています。レイヤーがどのように機能すべきかについては、すでに適切なアイデアがあるため、マルチIDアニメーションが優先されることになりました。
さらに次のステップ
Multi-IDアニメーションが完成したら、以下のようなツールとレイヤーのアニメーションが開発される予定です。
- 移行ツール(Migration tools):複数のアクションを単一のアニメーションにマージするため、または、アニメーションデータブロックをアニメーション化されたオブジェクトごとのアクションにベイクダウンできるようにします。
- レイヤーアニメーション用の新しいエディタ。最初は、おそらくドープシートのサイドパネルになる予定です。長期的には、dopesheet全体を置き換えることができる、独立したエディタになることが理想とされています。
- 結合と分割のためのツール:オブジェクトごとにレイヤーを分割したり、下にマージしたり、選択したFカーブを別のレイヤーに分割したり、といったことが簡単にできるようにします。
- ベイクのためのツール:1つまたは複数のレイヤーを上に追加してアニメーションを微調整し、同じアニメーションを維持したままそのレイヤーをベイクダウンできるようににします。
計画について
関連のサブプロジェクトも優勢順位を付けながら進められますが、基本的に1度にひとつのプロジェクトが進められます。現在はProject Baklavaで、2024年第2四半期に実験的な機能としてmain
ブランチに組み込むことが目標とされています。
最初の “作業段階” は、シングルレイヤー、マルチIDアニメーションです。その後、レイヤーを追加するか、ボーンピッカーやリギングノードに切り替える可能性もあります。重要なのは、Animation 2025が完全に完成するまで待つ必要はなく、その時点で最も必要とされることに焦点を当てて作業が進められるということです。
以上が今回共有された内容となります。
最新の開発と意思決定に関する情報は Animation & Rigging module meeting notes. で確認することができます。
コメント