2024年1月10日(現地時間) – Abstract は、プロシージャルマテリアルとアセット、テクスチャリングのデザインと自動化のため新しいソフトウェアパッケージ「InstaMAT」を発表しました。
InstaMATとは
InstaMATは、スタジオや専門家がスケーラブルなコンテンツを構築し、大幅な時間とコストの削減を実現するための業界初のソリューションとされている3Dマテリアルとアセット、テクスチャリングのデザインと自動化のためのソフトウェアパッケージです。3D 最適化ソリューションInstaLOD でも知られ、最先端の 3D テクノロジーの開発に注力している企業グループAbstractによって5年以上にわたる開発を経てこの度発表されました。
InstaMATには、レイヤリングやノード、3Dペイントワークフローを使用したアセットのテクスチャリングから、AI、洗練された2D画像処理アルゴリズム、プロシージャルモデリングなど、様々な機能が搭載されています。
AbstractグループのCEOであるManfred M. Nerurkar氏は次のように述べています。
「InstaMATの開発には、信じられないほど長い道のりがありました。この分野の現状を変えることができる製品を作るには、何千ものアルゴリズムを研究・開発し、優れたユーザー・エクスペリエンスを実現する必要があります。私はチームが成し遂げたことを誇りに思いますし、業界に深い波紋を投げかけることになると信じています。」
主な機能
5年以上にわたる開発を経たということでかなり多機能となっています。細かいところは実際に使用してみないとわからないこともあるかと思いますが、AdobeのSubstance3DシリーズのPainter、Designer、Sampler合わせた感じでしょうか。次の発表トレーラー動画ではその機能を確認することができます。
プロシージャルマテリアルとアセット
InstaMAT でノードを構築することができる Element Graphでは、コンテンツとデータ処理ノードのネットワークを設計できます。マテリアルやジオメトリといった3Dアセットの作成から、点群や画像の操作、数学的計算や文字列操作の実行まで、Element Graphがあれば何でも可能となります。
■ダイナミックパラメータ
ダイナミックパラメータを使用して、グラフに入力される値を制御したり、任意の値を出力パラメータとして公開することで、プロシージャルアセットを作成できます。
■ノードとマテリアルのライブラリ
特殊なブラーから点群上の散乱ジオメトリ、プロシージャルモデリングまで、あらゆるコンテンツを処理するための豊富なノードライブラリがすぐに利用できます。
さらに、InstaMATの膨大なマテリアルライブラリは、アセットにテクスチャを適用したり、新しいマテリアルにキットバッシュしたり、新しいワークフローを学ぶための貴重なソースとして、何百もの高品質ストックマテリアルを提供します。
初回リリース時には、Abstract社内のマテリアルアーティストによって作成された1000以上のAAA品質の3Dマテリアルを含む、数千のノードを含むライブラリが含まれています。InstaMATオンラインライブラリは、近日中に開始される予定であり、ユーザーは自分の作品をダウンロードして共有することができます。
■ループや分岐グラフの作成
nPass Element GraphとAtom Graphでは、ループや分岐するノードを構築することができます。これにより、メッシュスキャッタノードの構築、シミュレーション、レイトレーシングの実行など、他の方法では不可能なことが可能になります。Atom Graphを使用して作成されたMesh Renderノードは、解析ライトとイメージベースライトの両方で完全なPBRレンダリングを実行することができます。
■GPUベイク
InstaMATのベイクエンジンは、アンビエントオクルージョンから曲率マップまで、テクスチャリングに必要なものをベイクすることができます。CPUと最新のGPUコンピューティングテクノロジーの両方で動作し、高い品質とパフォーマンスを実現しています。
■その他の搭載機能
スキャン処理、ドープシートのアニメーション可能なグラフ、マテリアルワークフロー、メイクシームレスツール、スタイル転送、画像合成、ノードのお気に入り、パッケージベースのワークフロー、AxFサポート、グランジライブラリ、色空間管理、ノイズとパターン、キャンバスとビューポートのトーンマッピング、ビューポートギズモ、C++ SDK、ネイティブノードプラグイン、PBRメッシュレンダーノード、プロシージャルモデリング、ベイクノード、コメント、 ノードショートカット、要素式、カスタマイズ可能なエクスポートテンプレート、GPUベイク、レイヤーマテリアル、強力なノードウィジェット、ベジェ曲線、メッシュ修正ライブラリ、マテリアルエフェクト、メッシュベースのノイズ、キャンバススクリーンショット、ビューポートデザインレビュー、マテリアルテンプレート、InstaMATノード、ポイントクラウド操作、AIベースのスタイル転送とスーパーレゾリューション、PBRテクスチャアトラスなどなど!
アセットのテクスチャリング
非破壊的なレイヤーエンジンにより、クリエイティビティに重点を置いたワークフローで、アセットに美しくスケーラブルなマテリアルを作成できます。InstaMATのスマートマテリアルと3Dペイントテクノロジーを活用すれば、何もない状態から数分で完全なテクスチャアセットに仕上げることが可能です。
■Smart Prefab Layer Materials
個々のレイヤーまたは完全にパックされたレイヤーグループを、Prefab Layer Materialsとしてライブラリに保存できます。使用するには、ライブラリから新しいレイヤープロジェクトにドラッグするだけです。Prefab Layer Materialsは自動的にレイヤースタックに展開され、ペイントレイヤーやプロシージャルレイヤー、エフェクトやマスクに至るまで、レイヤースタックに含まれるすべてのものを生成します。Prefab Layer Materialsをインスタンスとして作成することで、すべての変更がレイヤープロジェクトに即座に反映されます。
■エフェクト、フィルタ、ジェネレータ、マスク
カーブ、レベル、HSLといったレイヤーのデータを動的に調整できるフィルタがたくさん用意されています。
ジェネレータは、ノイズからパターン、グランジマップまで、プロシージャルなコンテンツをレイヤーにブレンドすることができます。そのすべてをペイントレイヤーに適用することが可能です。
マスクはInstaMATの重要なポイントとされていおり、マスクビルダーや ビューポートで選択できるメッシュマスク、またはルールシステムを使ってセットアップできます。ルールシステムでは、すべてのアセットで同様の規則に従って適用されるレイヤープロジェクトを設定できます。
■Element Graphとの互換性
レイヤリングプロジェクトでレイヤーチャンネルインプットやブラシマスク、投影されたエレメントブラシとしてプロシージャルノードやマテリアルを使用することができます。また、レイヤリングプロジェクトをElement Graphにドロップして利用することもできます。
■ブラシダイナミクス
カスタマイズ可能な筆圧カーブによる筆圧感度から、ブラシの角度を使用してブラシの回転を制御したり、ブラシのプロパティをランダム化したりすることができます。
■UDIMと複数のマテリアル
レイヤリングプロジェクトにおけるUDIMタイルのサポートとInstaMATのプロシージャルペイントエンジンにより、要求の厳しいVFXアセットでもテクスチャを作成できます。UDIMタイルは個別に表示でき、レンダリング解像度などのプロパティはタイルごとに設定できます。また、UDIMではなく、ワークフローでアセットごとに複数のマテリアルを使用している場合は、1つのレイヤープロジェクト内で、マテリアルごとに個別のレイヤースタックを設定できます。
■ギズモと使い慣れた UX
InstaMATのビューポートギズモでは、投影の調整、デカールや3Dボリュームマスクのコントロールなど、思ったとおりの体験ができます。また、レイヤーをソロにしたり、ビューポートで選択したギズモにフォーカスを当てることができるなど一般に使い慣れた機能によりすぐに使い始めることができます。
画像や写真をプロシージャマテリアルに
InstaMATのMaterialize Imageを使用すると、静止画像や写真からプロシージャルPBRマテリアルを作成できます。InstaMATに一枚の画像や写真入力を与えるだけで、法線マップからハイトマップ、アンビエントオクルージョンマップまで、PBRレンダリングに必要なすべてのマップを生成することができます。画像合成、シャドウキャンセル、エフェクトジェネレータなどの高度な機能により、無限のバリエーションを持つ完全プロシージャルなマテリアルを作成することが可能です。
■AIベースの超解像
InstaMATは、スタイル転送、超解像、インペインティングなどの高度な画像処理を実行できるAIと分析合成技術を搭載しています。InstaMATのニューラル超解像機能は、単にピクセルを拡大するだけではなく、入力コンテンツの解像度と忠実度の両方を向上させます。
■画像合成
高度な画像合成を使用して、静的マテリアルを無限のバリエーションを持つ完全なプロシージャルマテリアルに変えることができます。
■プロシージャルエフェクト
ダイナミックグランジマップや設定可能な汚れ、ほこり、水のレイヤーなどの設定可能なエフェクトにより、マテリアルのプロシージャル品質を簡単に高めることができます。
InstaMAT Pipeline
InstaMAT Pipelineを使用すると、コマンドラインからすべてのマテリアルとプロシージャルアセットを検査、実行、レンダリングできます。変更が必要な場合の迅速な対応や アセットパイプラインへの深い統合など、あらゆることが可能になります。
InstaMATのレイヤリングプロジェクトとエレメントグラフプロジェクトの両方が、コマンドラインインターフェースまたはバッチプロセスから、InstaMAT Pipelineで拡張および自動化できます。
統合とプラグイン
Autodesk Maya、Autodesk 3ds Max、Blender、Unity、Unreal Engineのプラグインが利用可能です。
■InstaMAT for Autodesk Maya
シェーディングネットワーク内でマテリアルとエレメントをブラウズ、レンダリング、微調整できます。入念に設計されたユーザーエクスペリエンスにより、InstaMAT for Autodesk Maya を初めて使用する場合でも、高い生産性が保証されます。
PCのWindowsとMacOSで使用できます。
■InstaMAT for Blender
人気のオープンソース3Dモデリングパッケージにパワフルなマテリアルとアセット処理を導入します。マテリアルやエレメントを簡単にブラウズしてレンダリングし、ダイナミックプロパティを調整できます。
PC WindowsとMacOSで利用可能です。
■InstaMAT for Unreal Engine
ゲーム開発者は、より速く、より少ない労力で、美しいコンテンツを構築することができます。ビルトインのマテリアル ライブラリから、マテリアルやアセット パイプラインの高速レンダリングまで、ワークフローが強化されます。
PC Windows および MacOS で利用可能です。
製品ラインナップ
InstaMAT Studio
: プロシージャルなマテリアルとアセット作成、スケーラブルなテクスチャリング、データ駆動型のアセットパイプラインのためのツール。多くの機能が搭載され、ノードとマテリアルの豊富なライブラリを備えた InstaMAT Studio は、プロフェッショナルのための包括的なソリューションです。
InstaMAT Pipeline: InstaMAT Pipelineは、マテリアルのレンダリングからエレメントグラフのバッチ実行、マテリアルライブラリのユニットテストの実行までのタスクを簡素化し、アセットパイプラインを簡単に強化します。
統合プラグイン: InstaMAT は、Autodesk Maya、Autodesk 3ds Max、Blender、Unity3D、Unreal Engine 用の InstaMAT を含む、主要なデジタルコンテンツ制作ツールで利用でき、各 DCC ツールのユーザーにシームレスな統合とネイティブな操作感を提供します。
InstaMAT C++ SDK: カスタムツールで開発者を強化する64ビットC++ SDKは、InstaMATテクノロジーのソフトウェアへのシームレスな統合を可能にし、社内アプリケーション開発を促進します。
すべての製品が PC Windows および Apple MacOS で利用可能で、Linux 版は 2024 年にリリースされる予定です。
アップデート情報
Early Access 2 – 2024年2月7日リリース
このリリースには、以下の改善と変更が含まれています。
- ローカライゼーション – InstaMAT のユーザーインターフェースが、AI 翻訳の助けを借りてローカライズされました。
■レイヤリング
- 低レイテンシと高パフォーマンスでのペイントのパフォーマンスが向上しました。
- レイヤリングにおける大きなUDIMメッシュのパフォーマンスが向上しました。
- 新しいマスク:メッシュ頂点カラーマスク (Mesh Vertex Color Mask)の追加
- メッシュ投影マスク(Mesh Projected Mask)」が変更され、投影モード(Projection Mode)のデフォルト値がTri Planarになりました。
■キャンバスとノード
- 入力パラメータのオートコンプリート。
- Atomグラフの編集時に、関連性のないノードを隠すようになりました。
- シーンレンダリング(Scene Render)のパフォーマンスが改善されました。
- ” Brick Generator ” の Floodfill 精度が向上。
- “Height Slice” に新しい Smooth と Segment Count パラメータが追加されました。
- カスタムプレビューメッシュでアクティブタブを変更する際のパフォーマンスが向上。
- 発見しやすくするため、”Mesh Constructive Solid Geometry “を “Mesh Boolean “に名称変更。
■メッシュベイキング
- マテリアル割り当てのないメッシュをサポート。
- 平均法線はすべてのメッシュで機能するようになりました。
- UVが0タイルの外側にある場合の安定性の向上。
■マテリアライズ
- ユーザーインターフェイスがすべての状況で正しく初期化されるようになりました。
■一般
- InstaMAT UI全体を拡大縮小できるグローバルスケールオプションが利用可能になりました。
- アクションをカスタマイズするための新しいショートカットが多数追加されました。
- リソースピッカーの表示が改良され、マスク、フィルター、ジェネレーターのピックが容易になりました。
- リソースピッカーでURLのコピー&ペーストが可能に。
- 大きなascii FBXファイルをパッケージにインポートする際の安定性が向上
■新しいチュートリアル
- エレメントグラフ: ツイストケーブル(プロシージャルメッシュ)
- エレメントグラフ:物理シミュレーション
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格と利用可能時期
InstaMAT は、2024年1月24日(現地時間)に正式にリリースされる予定です。
ライセンスの種類と価格は次のようになっています。
■パイオニア ライセンス
このライセンスは、年間収益が $100,000 未満の個人または企業のみが利用できて、無料です。機能がカットまたは制限されることなく、InstaMAT Studio に無料かつ無制限にアクセスできます。
■シートライセンス
個人およびスタートアップ企業:ノードロック サブスクリプションでは、サードパーティ アプリの統合を含む、すべてのワークステーション ベースのソフトウェアへのアクセスが提供されます。価格は、サブスクリプションで9,99ドル/ 月 または 109,99ドル / 年です。
ビジネスライセンス:
セミフローティング サブスクリプションでは、サードパーティ アプリの統合を含む、すべてのワークステーション ベースのソフトウェアへのアクセスが提供されます。価格は、サブスクリプションで24,99ドル/ 月 または 274,99ドル / 年です。
■ゲームライセンス
スモールゲームライセンス:Small Game License は、小規模なゲームやモバイル/VR 制作に最適です。ゲームに取り組んでいる最大 25 人の開発者または外部開発者が、当社の製品に無制限にアクセスできます。価格はサブスクリプションで 4,950ドル / 年です。
中型ゲームライセンス:Medium Game License は、中規模のゲーム制作に最適です。最大 50 人の開発者またはゲームに取り組んでいる外部開発者が、当社の製品に無制限にアクセスできます。価格はサブスクリプションで 9,075ドル / 年です。
AAA ゲームライセンス:AAA ゲーム ライセンスは、AAA サイズの大規模なゲーム制作に最適です。最大 150 人の開発者またはゲームに取り組んでいる外部開発者が、当社の製品に無制限にアクセスできます。価格はサブスクリプションで 24,750ドル / 年です。
■エンタープライズライセンス
大量購入、サイト全体のライセンス、エンジニアリング コンサルティング、ライセンス契約のカスタマイズ、その他の特殊なシナリオ向けに、エンタープライズ ライセンス オプションが提供されています。
ライセンスと価格の確認はこちらから
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