QuadSpinner は、2024年にリリース予定の地形生成ソフトウェア Gaea 2.0 の情報を公開しました。以下、その紹介となります。
Gaea 2.0について
2018年にリリースされたGaea 1.0は、侵食、データマップ、カラージェネレーターなど最先端のグラフを備え、地形の作成方法に大きな影響を与えました。実際、エンターテイメント業界を中心にさまざまな業界で利用され、エンターテイメント分野では、Game of Thrones、Star Wars、Top Gunなど、他の分野では Ford、Lockheed、NASA、Teslaなどの組織によって使用されました。
QuadSpinner は、Gaea 2.0ではさらなるインパクトを狙い、エンジンをゼロから書き直し、より軽量で効率的で柔軟なものにする予定です。この新しいテクノロジーは、Gaea 1をはるかに上回る性能を発揮するとされています。
ワークフローの進化
Gaea 2.0では、次の4つの主要な分野で地形ワークフローが進化しています。
- ゼロから構築された新しい侵食(Erosion)アルゴリズムにより、これまでにないパワフルでハイパーリアルな侵食を実現。GPUでもCPUでも、すぐに結果を見ることができます。
- ボリュームを保持するサーフェス ノードにより、全体のボリュームやシルエットを変更することなく、地形を変更できます。
- Unreal EngineおよびHoudiniとの緊密な統合により、往復作業を削減し、カスタムメイドの地形データからPCG/プロシージャル生成を実行。
- Hybrid Builds (これは間もなく God Mode につながります) は、アーティストやエンジニアがどのように考え、計画し、実行し、地形を消費するかを再定義します。
ギズモによって、地形のマージと管理が簡単になります。
Hybrid Buildsの中核となるTerrain Regionsは、時代遅れの地形デザインワークフローからの脱却を可能にします。
TOR ENGINE 2.0
約7年前、QuadSpinner は地形デザインを近代化し、古臭い状態から前進させるためにGaeaエンジンを開発しました。Gaea 2では、エンジンを次のレベルに押し上げるために再構築されています。
再構築されたエンジンは、新しい技術と将来に対応するワークフローをベースに、より速い結果と小さなメモリフットプリントを提供します。これにより、新しいツールを迅速に追加し続けること、GaeaエンジンSDKを使用してマクロ、スクリプト、さらにはコンパイルされたノードを使用して独自のツールを構築することができようになります。
■主な特長
- より高速なアルゴリズム処理。
- 新しい物理学とシミュレーション。
- ハイブリッドビルド(後述の「Godモード」を参照)。
- 学習曲線を緩和するために再設計されたノード。
- これまでには不可能だった新しい形状とプロセス。
- グラフを軽量化するためのノードモディファイア。
- マクロ、グループ、スクリプト、コンパイル可能なノード。
- GPUを利用したプロセスとCPUのフォールバック。
EROSION 2
Gaeaでは、侵食に新しいアルゴリズムが導入される予定です。現在のErosionを置き換えるのではなく、新しいものは並行して利用できるようになり、これまで以上に幅広い侵食が可能となります。また、既存のErosion 1も改良が行われます。
次の画像では、新しいアルゴリズムの柔軟性の一例を見ることができます。Erosion2は同じ地形を4つの異なる方法で侵食するために使用されています。
主な特長
- パワフルな新しい侵食オプション。
- これまで erosion (侵食)では利用できなかった形状。
- 元の地形の特徴をより良く保存します。
- Erosion_1と並行して使用可能。
- コントロールと習得がより簡単に。
- パフォーマンスを損なうことなく、完全に決定論的。
パフォーマンス
Erosion 2は、既存のアルゴリズム(Gaea 1.xのErosion_1)と比較して、CPUのパフォーマンスで最大10倍の速度向上を実現しています。これにより、Erosion_1では難しいかった形状を迅速に作成できます。
8192 x 8192での速度比較。結果は秒単位(少ない方が良い)。
TERRAIN WORKFLOW 2.0
Gaea 2では、数十の主要なスタジオと数百のアーティストからのフィードバックを収集し、地形デザインプロセスが再検討されました。プロシージャルな形状を制御するためにプリミティブ+ルックデブワークフローは、より多彩なプリミティブ+ランドスケープ+サーフェスワークフローに再設計されました。
大規模な地形を構築する際の大きな障害の1つは、特定の形状と表面を保存することです。新しいサーフェスノードは、地形に中程度および小規模の詳細を追加するための機能を提供します。この機能は、Erosion 2の形状保存と組み合わせることにより、全体像を扱う際に表面の詳細を心配する必要がなくなります。
この3ステップの例では、基本的なプリミティブ、侵食された結果(形状保存あり)、および地形の一部に適用されたサーフェスが示されています。
これにより、地形の構築プロセスが大規模な形状と小規模な形状に分割され、表面の複雑な視覚的品質を保存する必要がなくなります。このプロセスの詳細については、近々明らかにされる予定とのことです。
この新しいワークフローは、現代のゲームやビジュアルエフェクト向けに大規模な地形がどのように作成されるかを根本的に改革することを目指しています。
また、ワークフロー2.0では、Godモードハイブリッドビルドやチーム地形などの新機能が導入されます。これらの機能は、任意のスケールの一貫性のある、アート指向可能な世界を作成するための主要なニーズに対応します。重要な点は、地形デザインを停滞させてきた時代遅れのプロセスとワークフローを切り離すことです。
■主な特長
- 大規模な世界を組み立てるためのビジュアルツール。
- 個々のユーザーは非常に高解像度の地形を作成できます。
- チームは数十キロにわたる詳細な世界に取り組むことができます。
- チームメンバーは地形の異なる部分に同時に取り組むことができます。
- チームは地形プロジェクトにソースコントロールを統合できます。
- 無限の「ベース」地形。
- アセット全体で一貫したスケールを持つ多解像度のワークフロー。
- 「接着」テクノロジーが異なる地形をシームレスに統合します。
- ハイブリッド解像度メッシュ(Nanite対応)またはタイルとしてエクスポート。
- 地形の更新された部分を自動的に再構築します。
Godモードでは、大規模な世界の特定の部分を変更することができ、周囲が変更に反応します。異なるバイオームとエリアは独立して管理でき、同時にプロシージャルな特性を共有できます。
ブリッジとネイティブプラグイン
Gaea 2. 0には、Unreal Engine 5およびHoudini 20+用のプラグインが含まれます。
Gaea Tools for Unreal Engine 5
Gaea 2には、UE5への完全機能を備えたブリッジが含まれており、インポート、再インポート、および地形の変更を簡単なプロセスにします。
このブリッジは、地形(メッシュまたはハイトフィールド)を自動的にインポートし、Gaeaで設定したマテリアルとマスクを正しく設定します。さらに、Gaeaの地形から特定のプロパティを公開し、UEを離れることなく編集することも可能となります。
プロシージャルな地形に微調整を加えるのは面倒な作業となる場合がありますが、UE内のGaea Terrain Modifiersを使用すると、ゲーム内で手動で調整でき、地形グラフを変更する必要がありません。Gaeaは、変更を自動的に学習し、それを地形グラフにプロシージャルに適用します。
Gaea Tools for Unreal Engineは、全てのエディションユーザーに無償で提供されます。Gaea 2.1では、Professional版、Enterprise版向けに、テクスチャレイヤー管理、マイクロアジャスト等の機能が追加される予定です。
Gaea2Houdini
Gaea2Houdiniは、Houdini内でのGaea erosionやその他のプロセスへのネイティブアクセスが可能となります。
Gaea2Houdiniは、Professional版とEnterprise版のユーザーに提供されます。
アップデートについて
2.0.0.16 RC
Gaea 2は2024年6月19日にはベータ版が公開されて誰でも試すことができるようになり、その後7月24日に製品版として正式リリースされる予定でしたが、7月31日に延期されました。最初の製品版ビルドが可能な限り洗練されていることを確認するために、もう少し時間をかけたいとのことです。7月24日には、かわりにGaea 2.0 の新しいRelease Candidateビルド2.0.0.16 RC がリリースされました。
新しいRelease Candidateビルド2.0.0.16 RC には以下の新機能が追加されています。
- タイル ビルド用のハイブリッド ビルドが利用可能に。
- タイルビルドのサイズは無制限に。
- データ ビューのノード ツリーが改善されました。フィルターが利用できるようになりました。
- 新しい Lazy メニュー (
~
を押します)。 - Trees ノード (以前は Gaea 1 の Arboreal) が追加。
- 方向性のある融解と小規模な雪を備えた新しい Snow 2.0 ノード。
- 新しいSnow Dusting ノード。
- Contours(等高線)ノード追加。
- Cartographyノード追加。
- 新しいTileInput ノード。
- Mixerノードの大幅な改善。
- ツリー ノードのデッド ゾーンを視覚化
- Flow Map ノードは Flow Map Classic になり、Flow Map はデフォルトで新しい Flow Map 2 になります。
- Insert とEmbed モードが Combine ノードから Transpose ノードに移動されました。
- 追加の設定はオプション ダイアログで利用可能に。
- ビューポートの背景色を変更できるようになりました。
- スカイボックスの空中遠近法が改善されました。
- ベイク処理の改善。
- Painterノードの改善。
- 新しいショートカット:
F8
Combine ノード用、Ctrl + F8
Mixer 用。 - 明示的に指定しない限り、Color ノードは最も近いアンダーレイを自動的に検出します。つまり、追加のHeightノードを接続する必要はありません。
- File ノードに、SVG、HDR、EPS、EMF、DDS、DNG、BMP、MIFF、RGB、WEBP のサポート追加。
- Fileノードの読み込みがより堅牢に
- File ノードのファイル名プロパティにファイルをドロップすると、ファイルを変更できます。
- ドロップされたファイルは、必要に応じて自動的にRGBとして認識されます。
- ノードをダブルクリックすると、異なるノードの状態を切り替えることができるようになりました。
- グループをグラフタブに変換する前の確認機能が追加されました。
- GPU- computeがデフォルトで有効になりました。
- Tint(色合い)ノードのデフォルトがより汎用的に変更されました。
- Hillifyノードのデフォルトを改善。
- データビューツールバーにロックプレビューとアンダーレイノードを表示。
- Synthノードの改善。
- その他修正など
2.0.1.0
- グラフの UX とビヘイビアを合理化。
- CPU と GPU 両方のハードウェアサポートとメモリ効率の向上。
- 新しいファイル復元システム。
- Undo システムの改善。
- Transpose ノードがより正確に。
- Diagnostics appがセーフモードでGaeaを起動できるように。
- Gaea2Unreal: UE 5.3と5.4のバグフィックス。ツールメニューから インストールできます。
- Lake ノードのビジュアルを改善しました。
- 新しいSatMapのRoughnessオプションが追加。
- Normal Maps ノードの UI 改善。
- セーフモードはすべての GPU アクセラレーションを無効にします。
- いくつかの内部バグ修正と安定性の向上。
- ノートオブジェクトにコンテキストメニューが追加。
- SlopeWarp がカラー入力を受け付けるようになりました。
- Thermal1とThermal2のスケールが再調整され、改善されました。
- タイルセットをグラフ上にドロップできるようになりました。
- Transformノードのギズモが改善されました。
- その他多数の修正
すべての機能の確認はこちらから
ロードマップ
第3四半期後半にはGaea 2.1が、そしてクリスマス頃にはGaea 2.2がリリースされる予定です。これらのメジャーアップデートには、God Mode、Network/Cloudビルド、先進的なSDK、その他多くの機能が追加される予定です。さらに、2024年と2025年には、四半期ごとにメジャーアップデートが計画されています。
Gaea 2.1 (Q3 24)
- 地形リージョン(ハイブリッドビルドの拡張機能)
- リアルタイムアップデートのためのプログレッシブプレビュー
- GPU機能を持つノードの追加
- 自動化ツールの追加
- 既存ノードの36の改善予定
- 次世代3Dオブジェクトのインポート
- インビューポート描画/マスキング
Gaea 2.2 (Q4 24)
- マクロ/コンパイル済みコンポーネント
- リモート/ネットワークビルドのサポート
- モディファイア2.0
- クラウドビルドのサポート
- ゴッド・モード
- 既存ツールの100以上の改善予定
これらの大きなマイルストーンの間に、アップデートとバグ修正が定期的に行われる予定です。
ロードマップの確認はこちらから
新機能デモ
QuadSpinnerのリード開発者であるDax Pandhi氏が、XPUを使用したErosion、Surfaceノード、ColorErosionなど、Gaea 2.0の新機能を紹介しながら、わずか数分で最小限のノードで地形を作成するデモを公開しました。
価格とシステム要件
Gaea 2.0 は、Windows 10以降で利用できます。
過去4年間、Gaea 1.0では年に数回のメジャーな機能アップデートと、そのライフサイクル全体で数百の小規模な機能が提供されました。Gaea 2.0は、引き続き同じ形式の永久ライセンスです。メジャーバージョン間のすべての機能アップデートは無料です。既存のGaea 1ユーザーは大幅な割引が適用されます。
Gaea 2.0と1.0には異なるエンジンが搭載されているため、互換性はありません。しかし、どちらも並行して動作するように設計されています。もし、古いGaea 1.0をそのまま使用したい場合、あるいは、現在のプロダクションのために実績のあるプラットフォームにこだわる必要がある場合は、Gaea 1.0のままで、都合に合わせてGaea 2.0に切り替えることができます。
永久ライセンスで価格は以下の通りです。
Gaea 2.0 Indie | 99ドル |
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Most popular Gaea 2.0 Professional | 199ドル |
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Gaea 2.0 Enterprise | 299ドル |
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無料のコミュニティエディション
Gaea のコミュニティエディションは、評価および非商用目的で無料で利用することができます。ビルド解像度を除き、時間やコアの使用制限はありません。最大 4096 x 4096 の地形を作成および表示し、最大 1024 x 1024 でエクスポートできます。
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