2023年3月29日(現地時間)- Autodeskは、3Dアニメーションソフトウェア の最新アップデートMaya 2024 をリリースしました。
新機能ハイライト
このリリースでは、パイプライン上でマテリアルをシームレスに共有でき、USD、MaterialX、Arnoldなどのマテリアルグラフをオーサリングするための新しい最新のノードベース環境を備えたマテリアルエディタ LookDevXをサポートしています。また、RetopologizeやBooleanツールセットなどのモデリングツールやアニメーションとリギングのアップデートも行われています。これらのアップデートと新機能は、Maya Creativeでも利用できます。
LookDevX テクノロジープレビュー
Maya 用の LookdevX は、USD シェード グラフを作成し、Maya でカスタムマテリアルを作成することができる新しいルックデベロップメントツールです。
LookdevX がハイパーシェード ツールと異なる点は、複数のコンテンツ作成ツールで操作できることです。USD との緊密な統合により、USD データを直接操作して、LookdevX グラフ エディタ内でマテリアルの割り当て、調整、作成を行うことができます。LookdevX マテリアルは自動的に USD レイヤに保存されます。もう 1 つの違いは、LookdevX は、Arnold や MaterialX などの複数の形式と作成ツールをサポートしていることです。
LookdevX を使用すると、製品、プラットフォーム、ゲーム エンジン間でルック デベロップメントに一貫性を持たせることができます。
モデリングツールの改善
■リトポロジ化(Retopologize)・ディテールの保持新しいリトポロジ化オプション(Retopologize Options)には、リトポロジ化(Retopologize)
プロセス中に詳細を保持するための方法が提供されています。次のオプションを使用すると、入力メッシュの特定領域の詳細を保持したり、リトポロジ化されたメッシュに生成されるエッジ フローをガイドしたりできます。
- 角度によるエッジ(Edges by Angle): 指定した角度の許容値に基づいてエッジが保持されます。
- エッジ コンポーネント タグ(Edge component tags): 入力メッシュに定義されたエッジ コンポーネント タグを、リトポロジ化されたメッシュに影響を与えるものとして使用します。
・シンメトリー
シンメトリ(Symmetry)という新しいオプションを使用して、リトポロジ化(Retopologize)中にメッシュの両側に均等なエッジフローを作成できます。シンメトリを有効にすると、リトポロジ化(Retopologize)を実行する前に、選択した軸に沿ってジオメトリが切り取られます。シンメトリは、椅子や歯車など、モデルの両側にミラー トポロジを必要とするキャラクタやハード サーフェス オブジェクトをリトポロジ化する場合に便利です。
・メッシュの事前チェック
問題がないかメッシュをスキャン(Scan mesh for issues)
という新しいオプションがオンになっている場合は、リトポロジ化(Retopologize)の正常な実行を妨げる可能性がある問題や、結果に悪影響を及ぼす可能性がある問題の有無が、入力メッシュでチェックされます。問題が検出された場合は、警告と推奨されるトラブルシューティング手順を示すダイアログ ボックスが表示され、時間のかかるリトポロジ化(Retopologize)プロセスを実行する前に、問題のある領域をすばやく特定して修正することができます。
・入力メッシュを保持
リトポロジ化オプション(Retopologize Options)
でオリジナルの維持(Keep Original)をオンにすることにより、入力メッシュとリポジトリ化されたメッシュをシーンに同時に表示できるようになりました。
■ライブ サーフェスにする(Make Live)
・複数のオブジェクトをライブに設定
ライブ サーフェスにする(Make Live)で複数のオブジェクトがサポートされるようになり、ライブ状態の任意のサーフェスにスナップできるようになりました。
・四角ポリゴン描画(Quad Draw)のサポート
複数のライブ オブジェクトとスムーズ メッシュ プレビュー メッシュでクワッド描画(Quad Draw)を使用できるようになり、複雑な一連のターゲット メッシュの上に新しい簡略化されたジオメトリを作成できるようになりました。たとえば、衣服や鎧など、多数の個別のピースで構成されるフル キャラクタに対して、クワッド描画(Quad Draw)を使用できます。
■ブール演算(Boolean)
ブール演算スタックで新しい入力オブジェクトを追加したり編集したりする際に、より詳細に制御を行えるようになりました。さらに、インタラクティブな更新(Interactive Update)という新しいオプションが追加され、高密度シーンの作業中にブール演算のパフォーマンス低下を簡単に軽減できるようになりました。
・ブール演算入力オブジェクトを複製する
ブール演算スタックの新しいオプションを使用して、ブール演算入力オブジェクトをすばやく複製できます。
・新しいブール演算入力オブジェクトの既定値を設定する
以前は、新しい入力オブジェクトは、ワイヤフレーム表示モードで論理和(Union)演算として既存のブール演算ノードに追加されていました。ブール演算スタック(Boolean stack)およびブール演算のオプション(Boolean Operations options)でオプション(新しい入力に対する操作(Operation for new input)と入力オブジェクトの表示(Input object display))を使用して、独自の既定値を設定できるようになりました。
・インタラクティブ パフォーマンスの改善
ブール演算スタック(Boolean stack)およびブール演算のオプション(Boolean Operations options)で、インタラクティブな更新(Interactive Update)という新しいオプションを無効にすると、インタラクティブなパフォーマンスの速度低下を軽減できます。
オンにすると、マウス ボタンを押してドラッグするたびにブール演算が継続的にリフレッシュされます。オフにすると、ブール演算はマウス ボタンを放したときのみリフレッシュされます。
■スムーズ解除(Unsmooth)
新しいメッシュ > スムーズ解除(Mesh > Unsmooth)オプションを使用すると、Catmull-Clark でスムーズ化された高解像度メッシュのサブディバイドを解除できます。スムージング解除は、スカルプト プロセス中にスムーズ化およびサブディバイドされた低解像度バージョンのメッシュを作成する場合に便利です。
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アニメーションツールの強化
■グラフエディターでの新しいカーブスカルプトツール
グラフ エディタ(Graph Editor)に新しいツールが追加され、キーやカーブをすばやく、直感的にシェイプできるようになりました。
グラフ エディタ(Graph Editor)のグラブ(Grab)、スムーズ(Smooth)、および塗り付け(Smear)というカーブ スカルプト ツールを使用すると、本能的かつ直感的にキーのグループをシェイプして、その場で簡単に調整できます。
たとえば、上記のアニメーションのように、Y 軸に沿ってキーを少しずつシフトしてキャラクタのジャンプの円弧を大きくしたり、モーション キャプチャのギクシャクしたアニメーションをスムーズにしたりできます。
■タイムスライダーのUI/UX改善
Maya のタイム スライダとレンジ スライダが更新されたことにより、オーディオの表示方法やキーのカラーの新しい既定値など、いくつかの変更が行われました。
■キーとカーブ編集のユーティリティ
オフセットおよびクランプ曲線、キーを除去など、キーとカーブの編集機能が追加され、選択したキー、キーの範囲、カーブ全体の時間や値をすばやく変更することができるようになりました。

■新しいキー スケーリング ウィジェット
従来のジェスチャ(Gestural)方法と共にマニピュレータ(Manipulator)が導入されたことにより、ドラッグしながらキーの値を表示したり、マニピュレータ ボックスの各側にある値フィールドにパーセントを入力したりできるようになったため、グラフ エディタ(Graph Editor)のキー スケール ツール(Scale Keys tool)で推測を行うことがなくなりました。

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キャラクタアニメーションの新機能
回転順序を変更するツール、複数のスキン クラスタのサポート、スキン ウェイトを数字で表示する方法など、キャラクタ アニメーション ワークフローにいくつかのアップデートが行われました。
■数値によるウェイトの可視化
以前は、Maya には、正確なウェイト値をビューポートに数値で表示する方法がありませんでした。現在は、スキン ウェイト ペイント ツール(Paint Skin Weights Tool)の新しいウェイトの可視化(Weight Visualization)設定により、ウェイトの影響を数値で表示して、ウェイトが周囲のジョイントに与える影響を正確に確認できるようになりました。
■回転順序の変更の設定
に回転を並べ替え…(Reorder Rotation…)という新しいオプションセットが追加されました。このオプションを使用すると、選択したオブジェクトの回転軸を変更したり、それぞれのジンバル ロックの可能性を評価して表示することができます。
■複数のスキンクラスタのサポート
単一のジオメトリに複数のスキンクラスタを作成できるようになりました。複数のスキン クラスタを使用してデフォメーションをレイヤ化できます。たとえば、押し潰しと引き伸ばしのためのレイヤ、運動学的な動きのためのレイヤ、細部を表現するためのレイヤを作成するなどです。また、複数のスキン クラスタを使用することで、さまざまなニーズに合わせてウェイトを切り替えることが可能になります。
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Bifrostの改良
Bifrost 2.7.0.0 には MPM ジェル シミュレーションが導入されていて、ビューポートでのボリュームレンダリングが改善されました。また、その他の多くの新機能や改善された機能が追加されています。
■NanoVTT ビューポート ボリュームレンダリング
NanoVTTは、ビューポートのボリューム用の新しい既定のレンダラです。ビューポート内のボリュームは Arnold レンダラとの適合度が高まり、カラー付きボリュームと物理ベースの熱力学的放出のスケーリングをサポートします。ビューポート ボリュームはアルファ チャネルを使用してレンダリングされるため、合成可能なプレイブラストの場合に便利です。また、set_viewport_volume_settings を使用して、レンダリング品質、機能、パフォーマンスのバランスを最適化することができます。
■MPM Gel
MPMソルバーに新しい「gel」マテリアルが追加されました。この材料は、アイスクリーム、ケーキのアイシング、歯磨き粉、ケチャップ、溶けたチョコレート、泡など、さまざまなものをモデル化できます。降伏応力や粘度などの物理的特性を用いてカスタマイズすることが可能です。GelはMPMシステムの他の部分と統合されており、インフルエンス、フィールド、あらゆるビジュアルプログラミングで使用することができます。
■Apple Siliconサポート
Bifrostは、ユニバーサルバイナリからApple SiliconとIntel Macの両方でフルネイティブに動作するようになりました。
その他のBifrost のアップデートの確認はこちらから
アニメーションパフォーマンスの向上
複雑なリグでアニメーションを再生する場合などに、アニメーションのパフォーマンスが大幅に向上しました。
このリリースでは、GPU デフォメーション ワークフローが強化されました。GPU 評価用のグラフが頻繁に再構築(または再パーティショニング)される問題は解消され、大規模なシーンで変更が発生した場合に問題が生じることはなくなりました。現在は、キーを作成および削除しても不要な再パーティショニングは発生しません。また、新しいスケジュール モードにより、ディスプレイ レイヤ(Display Layers)または選択項目の分離(Isolate Select)を使用してオブジェクトの表示/非表示を切り替えるときに、再パーティショニングの発生を大幅に抑えることができます。
もう 1 つの大きな変更点は、評価マネージャで GPU のノードをスケジュールするときに、少数の大きなクラスタとしてスケジュールするのではなく、より詳細な方法でスケジュールできるようになったことです。これにより、グラフを効率的に削減できます。
その他のアップデート
Arnold for Maya 5.3.0
:Maya 2024 には MtoA 5.3.0 が付属しています。Arnold 7.2.0.0 が導入されている MtoA 5.3.0 は、ボリューム シェーディングとビューポート レンダリングの改善、Apple Silicon のサポート、個別のスカイ ライトとサン ライトの使用を可能にする柔軟性の高い物理的な空を実現するメジャー機能リリースです。
USD for Maya 0.22 プラグイン:このリリースでは、相対的なパス設定や、更新された Maya 用の Universal Scene Description (USD)プラグインを使用したディスプレイ レイヤの使用など、ワークフローの安定性に関する重要な修正と機能の更新が行われています。詳細はこちらから。
Substance 2.3.2:Maya 2024 には、Intel および Apple Silicon アーキテクチャの両方でネイティブに実行できる Substance 3D バージョン 2.3.2 が含まれています。詳細についてはこちらから。
Maya 2024 devkit:Maya 2024 devkit には、コマンド、サンプル、API に対する変更と、新しい最小限のバージョンが含まれています。
Apple Silicon のサポート:Maya 2024 は、インテルと Apple Silicon の両方のアーキテクチャでネイティブに実行されます。
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
Maya2024は、Windows 11, 10(1809以降)、Linux® Red Hat® Enterprise 8.6 WS、Rocky Linux 8.6とmacOS 13.x,12.x, 11.xで利用することができます。より詳しいシステム要件はこちらから
価格はサブスクリプション形式で、36,300円/月、286,000円/年、858,000円/3年です。
また、条件にあてはまる方はIndieライセンスを購入することが可能です。価格は42,900円/年です。より詳しい情報は以下の記事をご覧ください。

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