2023年3月29日(現地時間)- Blender Foundationとオンライン開発者コミュニティは、Blender 3.5 を発表しました。
新機能ハイライト
このリリースでは、ビューポートコンポジター、ベクターディスプレイスメントスカルプティング、ビルトインヘアアセット、Cycles用の多数のライトサンプリング、そしてその他多くの機能が搭載されました。
ビルトイン ヘアアセット
Blender 3.3で導入されたカーブベースのヘアシステムは、このリリースで大きな飛躍を遂げました。ジオメトリノードの柔軟性で強化されたビルトインヘアアセットにより、派手なヘアスタイルを作るのも、整えるのも、これまで以上に簡単になります。
Blenderに初めて内蔵されたEssentialsアセットライブラリには、カテゴリー(Deformation, Generation, Guides, Utility, Read, Write)に分かれた26のヘアアセットが含まれており、アセットブラウザからセットアップにドラッグ&ドロップするだけで使用できます。
以下のようなヘアアセットがあります。
Generation
Generate Hair Curves
サーフェスメッシュのポイント位置で、ゼロから新しいヘアカーブを生成します。
Generation
Interpolate Hair Curves
既存のカーブに依存したカーブを作成したい場合に使用します。Duplicate Hair Curvesと似ているオプションで、よりシンプルな動作で、より良いパフォーマンスを提供することができます。
Generation
Duplicate Hair Curves
半径内に一定数のヘアカーブを複製します。
Utility
Attach Hair Curves to Surface
ヘアカーブをサーフェスメッシュに貼り付けます。スナップ、アライメント、カーブに沿ったブレンドのオプションがあります。
Guides
Clump Hair Curves
ガイドカーブで既存の髪のカーブをまとめます。
Guides
Curl Hair Curves
ガイドカーブで既存の髪のカーブをカールに変形させます。
Guides
Braid Hair Curves
既存の髪のカーブを、ガイドカーブを使って三つ編みに変形させます。
Deformation
Frizz Hair Curves
ポイントごとにランダムなベクトルを使って髪のカーブを変形させ、縮毛させます。
Deformation
Smooth Hair Curves
髪のカーブの形をなめらかにします。
Deformation
Roll Hair Curves
毛先からカーブを描くように巻き上げます。
他にも次のようなアセットがあります。
すべてのヘアーノードの確認はこちらから
Blender Studioからプロシージャルファーの作成方法のチュートリアル動画が公開されています。
また、ヘアアセットについては以前の記事もご参考に。
https://cginterest.com/2023/02/28/blender-3-5-%e3%81%ae%e3%82%a2%e3%82%bb%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%96%e3%83%a9%e3%82%a6%e3%82%b6%e3%81%ab%e3%83%87%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%ab%e3%83%88%e3%81%a7%e8%bf%bd%e5%8a%a0%e3%81%95%e3%82%8c/
【その他のノードとフィジックスのアップデート】
- 新しい画像情報ノード
- 新しい画像入力ノード
- 新しいブラー アトリビュート ノード
- Store Named Attribute ノードが 2D ベクター アトリビュートを格納できるように
- イメージ テクスチャの新しいミラー エクステンション タイプ
- フィールド ユーティリティ ノードの名前が変更
- モディファイヤのユーザーインターフェイスの改善
- 新しいMove to Nodesオペレーター
- ビューポートでノード グループ アセットをドラッグ アンド ドロップ
- 新しい補間曲線ノード
- 曲線のトリムに選択入力が追加されました
- プロシージャル変更の高速化
- Alt キーを押したままにすると、ノードの自動アタッチが無効に
- 新しい Edges to Face Groups ノード
- メッシュ プリミティブ ノードの UV マップ出力
- エッジの分割が 2 倍以上高速に
- 多くのジオメトリ インスタンスの高速表示
- ノード エディタのコンテキスト メニューの改善
- マウスの位置にノードをコピー & ペースト
- 再編成されたジオメトリノードの追加メニュー
- Alt キーを押したままにして、接続中にノード リンクを交換します。
- 自己衝突を使用したクロスシミュレーションが 25% 高速化
VDMブラシのサポート
スカルプトモードのDrawブラシに、Vector Displacement Maps(VDM)ブラシのサポートが追加されました。VDMブラシを使用すると、張り出しがあるような複雑な形状を、1回のブラシ操作で簡単に追加できます。
※最良の結果を得るには、VDMテクスチャはOpenEXRフォーマットで、カラークランプを無効にする必要があります。
VDMブラシのサポートについては以下の記事もご参考に。
https://cginterest.com/2023/02/16/blender-3-5-%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%97%e3%83%88%e3%81%ae%e6%96%b0%e6%a9%9f%e8%83%bd-vdm%e3%83%96%e3%83%a9%e3%82%b7%e3%82%92%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%83%e3%82%af%ef%bc%81/
リアルタイムコンポジター
新しいGPUベースのコンポジターバックエンドが実装されました。オーバーレイは合成結果の上に描かれるため、メッシュや他のオブジェクトを見たり操作したりすることができます。
※これは大規模なプロジェクトの最初のマイルストーンと考えられています。ビューレイヤーパスや一部のノードはまだサポートされていませんが、今後のリリースでさらなる作業が予定されています。
サポートされている機能リストの確認はこちらから
また、リアルタイムコンポジタープロジェクトについては以下の記事もご参考に。
https://cginterest.com/2022/07/08/blender-%e3%81%ae%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%83%ab%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%a0%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%82%af%e3%83%88%e3%81%ab%e3%81%a4/
Apple Metal
macOSでは、3DビューポートがMetalをネイティブに使用するようになり、アニメーション再生とEEVEEレンダリングのパフォーマンスが大幅に改善されました。
Cycles
■ライトツリー
Cyclesは、ライトツリーを使用して、多くのライトのあるシーンをより効果的にサンプリングできるようになりました。より早く、より美しい結果を得ることができます。
上の画像ではどちらのレンダリング時間も同じです。ライトツリーをオンにすると、ノイズが大幅に減少しますが、その分、1サンプルあたりのレンダリング時間が若干長くなっています。
ライトツリーは、物理的に正しい照明があるシーンで最も効果的に機能します。ライトツリーで使用されるヒューリスティックに干渉する可能性があるので、カスタムフォールオフや Ray Visibility のトリックは避けてください。
ライトサンプリングの詳細はこちらから
■スポットライト
スポットライトが、不均一なオブジェクトスケールに対応するようになりました。EEVEEのレンダリング方法にもマッチしています。
■エリアライトのスプレッド
Cyclesのエリアライトのスプレッドプロパティは、現実のグリッド付きソフトボックスを模倣していますが、エリアライトが円盤や楕円形の場合、レンダリングにノイズが発生することがありました。Blender 3.5では、ノイズがかなり少なくなり、どのような形状でもスムーズなレンダリングが可能です。
さらに、等方性サンプリングを使用したBeckmannラフネス付き異方性BSDFが改良されました。
■その他のアップデート
アニメーション
■ポーズライブラリー
ポーズライブラリに新しいオプションとショートカットが追加され、作業スピードが向上しました。
ポーズをブレンドしているとき:
- Ctrlを押したままで、ポーズを反転させることができます。
- E キーを押すと、100%を超えて「強調」することができます!
- 左へドラッグすると、ポーズが減算されます。
■Ease
グラフエディターの新オペレーター「Ease」は、指数関数曲線上にキーを並べることができ、複数のキーでイージングを素早く行うのに便利です。
■その他のアップデート
- Propagate Pose オペレータの改善
- ウェイト ペイント モードの新しい「リンクされた頂点の選択(Select Linked Vertices)」
- ドープシートチャンネルを固定
- サブフレームから前後のキーフレームにジャンプ
- Armature Modifier の Invert Vertex Group トグルを修正
- モーション パスを設定して、カスタム範囲を更新
- 一度に複数のチャネルに F カーブ モディファイヤを追加
- 3.0 より前のポーズライブラリシステムは廃止されました
グリースペンシル
■Natural Drawing Speed
Buildモディファイアの新しいタイミングモード「Natural Drawing Speed」は、ストロークを行った時のスタイラスの速度を用いてストロークを再生することができます。
■その他のアップデート
- スカルプト自動マスキングがグローバル設定に移動
- オフセットモディファイアの改善
- 新しい自動マスキング パイメニュー (Shift+Alt+A)
- コピー & ペーストがマルチフレーム モードで機能するように
- スカルプト モードのオーバーレイで使用可能な頂点の不透明度
- Interpolate Sequence オペレータの改善
- 描画ツール カーソルにブラシ サイズを表示するオプションが追加
- ラジアル コントロールの表示サイズを修正
- 新規レイヤーメニュー [Y] で名前フィールドがハイライト表示されるように
- マテリアル ポップオーバーに、塗りつぶしマテリアルの塗りつぶし色が表示されるようになりました
USD
Blender 3.5では、USDZファイルのインポートとエクスポートのサポートが追加されました。.usdz ファイルは zip アーカイブで、画像、音声、その他の .usd ファイルを含むことができ、共有に便利です。
■その他のアップデート
- USDシェイプのインポートをサポート
- USDchecker を通過するための USD エクスポートの変更
- エクスポートされた USD Preview Surface 法線マップのスケールとバイアスを追加
- USD カメラ プロパティを USD 単位から mm に変換
- エクスポートされた UsdGeomMesh の Author extents
VFXPlatform2023
Blender 3.5はVFX Reference Platform 2023と完全に一致しており、スタジオパイプラインへの統合が容易になりました。
その他のアップデート
– UV編集 –
- メッシュ間の UV コピー & ペースト
- Shear オペレータでの画像境界の制約の改善
- 球/円柱投影におけるポールの処理が改善
- ファン UV またはピンチ UV のサポート
- いくつかの修正
– コア –
– ビデオ シーケンサー –
- 新しいフィルタリングモード Nearest (3×3)
- ストリップの複製/貼り付け時にドライバーをコピー
- VSE: 新しい「シーン ストリップ フレーム範囲の更新」オペレーター
– モーショントラッキング –
– Linux –
- Ubuntu 18.10、Fedora 29、Debian 10 (Buster)、RHEL 8 および派生物 CentOS、Rocky Linux、Alma Linux を含む glibc 2.28 が必要
– ユーザーインターフェース –
– MacOS –
– Python API –
– OBJ I/O –
– アドオン –
- glTF: いくつかのインポートとエクスポートの改善
- Rigify: アクション コンストレイント レイヤーを生成する
- Storypencil: いくつかの改善
- Sun Position: アナレンマ & サーフェス表示
– モデリング –
– スカルプト –
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
Blender の開発をサポート
リリースは開発基金(Development Fund)のメンバーのおかげで行われています。6ドル/月からBlenderの開発をサポートすることができます。
開発基金への参加はこちらから
CREDITS
List of developers that contributed to Blender 3.5
Splash artwork by Nicole Morena
Animal fur demo and explanation videos by Simon Thommes. Hair styles and VDM demos by Daniel Bystedt. Cycles many lights example by Amazon Lumberyard. Viewport Compositor artwork, page layout and design by Pablo Vazquez. Additional help by Blender Studio, Blender Institute and the Blender community.
Huge thanks to everyone involved ♥
コメント