AMDは、今年のGDCにてAMD FidelityFX™の最新アップデート、AMD FSR3、AMD Radeon™ Developer Tool Suiteの最新アップデートなど開発者向けの情報を発表しました。その内容がブログにて公開されたので紹介したいと思います。
RyzenとRadeonを使用したMetaHuman Animatorデモ
今年のイベントでAMDは、GDCの開発者向けセッションでエキサイティングな発表を行っただけでなく、主要なパートナーと協力して、ゲーム開発者やコンテンツクリエイターが利用できるテクノロジーを紹介しました。
3月22日（水）に行われたEpic Gamesの「State of Unreal」GDCプレゼンテーションのEpicが新たに公開したMetaHuman Animatorのデモは、AMD Ryzen™およびRadeon™テクノロジーが使用されています。
このデモでは、iPhoneやステレオヘルムマウントカメラ（HMC）を使って、あらゆる顔のパフォーマンスを高精度のアニメーションとしてMetaHumanキャラクターに再現していました。
ライブステージでのデモでは、AMD Ryzen™ Threadripper™ PROプロセッサーが、パフォーマンス・キャプチャー中の目、眉、顎などの主要ランドマークのトラッキングの並列化に貢献しました。また、デモシステムでは、AMD Radeon™ RX 7900 XTXグラフィックスカードを2枚使用し、先進のAMD RDNA™ 3アーキテクチャにより、パフォーマンスキャプチャをMetaHumanデジタルモデルに適用する際に、時間の流れを計算するための機械学習（ML）モデルを同時に高速化しています。
このデモの詳細については以下の記事をご覧ください。
https://cginterest.com/2023/03/23/epic-games%e3%80%81%e9%ab%98%e5%93%81%e8%b3%aa%e3%81%aa%e3%83%95%e3%82%a7%e3%82%a4%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%ab%e3%82%a2%e3%83%8b%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e5%88%b6%e4%bd%9c%e3%82%92/
テンポラル(Temporal)アップスケーリングのこれまでと現在、そして未来
今年のGDCにおけるAMDの重要なプレゼンテーションのひとつに、AMD Developer Technology Engineer Stephan HodesによるAMD FidelityFX™ Super Resolution（FSR）アップスケーリング技術に関する発表がありました。
このプレゼンテーションでは、今年2月にGPUOpenでリリースされたFSRテクノロジーの最新バージョンであるFSR 2.2を中心に、開発者向けのFSRテクノロジーの過去、現在、そして未来が語られました。
FSR 2の全体的な目標である、高いアップスケーリング品質、対応ゲームでの全体的なパフォーマンス向上、幅広いハードウェアで動作する開発者のための容易な統合、開発者が対処しなければならないさまざまなケースや問題を解決するための機能やテクニックが紹介されています。
プレゼンテーションの資料はこちらからダウンロード可能です。
AMD FidelityFX Super Resolution 3
前述したプレゼンテーションでは、現在利用可能なAMDアップスケーリング・テクノロジーを取り上げたほか、AMD FidelityFX™ Super Resolution 3（FSR 3）の早期紹介が提供されました。2022年11月のAMD Radeon™ RX 7900シリーズ・グラフィックスカードの発売時に初めて発表されたFSR 3は、今後の次世代AMDアップスケーリング技術で、現在開発中となっています。
FSR 3は、FSR 2の超解像度アップスケーリング技術、数十年にわたるAMDの研究開発とイノベーション、新しいAMD Fluid Motion Frames補間技術を組み合わせ、対応ゲームで最大2倍のフレームレート向上を実現します。FSR 3のAMD Fluid Motion Framesテクノロジーは、モーションベクトルとAMD Fluid Motionテクノロジーの両方を活用して、高品質の補間フレームを生成します。
上図は、ネイティブレンダリング、アップスケーリングのみのFSR 2、アップスケーリングと補間のFSR 3のレンダリングパスの違いを示しており、FSR 3を使うことで開発者のレンダリングパイプラインがどう変わるかを示しています。
FSR 3では、2倍のフレームレート向上とともに、以下の3つの重要な柱が発表されています。
- FSR 3では、高フレームレートと低遅延の両方をゲーマーに提供するため、遅延の低減に重点を置いて開発を進めています。
- 既存のFSR 2の統合をFSR 3に移行することが容易であるため、開発者が簡単に実装できるとされています。
- FSR 3は、最適な統合の柔軟性を提供するため、オープンソースのMITライセンスで開発者に提供される予定です。
FSR 3については、2023年後半の提供開始が近づくにつれ、開発者とゲーマーの両方に向けて情報が公開される予定です。
プレゼンテーションの資料はこちらからダウンロード可能です。
AMD FidelityFX SDK
GDC 2023でのAMD Principal Member of Technical Staff Jason Lacroix氏によるプレゼンテーションでは、The FidelityFX™ SDKが紹介されました。
AMD FidelityFX™は、AMD FidelityFX™超解像を含む複数のエフェクトとテクノロジーからなるオープンソースのイメージ品質ツールキットです。
これらのエフェクトはすべてGPUOpenで公開されており、開発者の信頼を得て、250を超えるさまざまなゲームに採用されています。しかし、これまでは、AMD FidelityFXの各テクノロジーが個別のソリューションとして提供されていたため、ゲームに複数のAMD FidelityFXエフェクトを追加するには、より複雑で時間がかかることがありました。
これを解決するために、今回の発表では、新しいAMD FidelityFX™ SDKが発表されました。このSDKには、AMD FidelityFXの技術がすべて集約されています。現在の技術に加え、いくつかの新しい技術（以下のセクションで説明）が追加され、開発者はワールドクラスのゲームを作るために必要なツールを手に入れることができます。
Jason氏は、AMD FidelityFX SDKが開発者にもたらす主な改善点として、より一貫したユーザー体験、クリーンなアーキテクチャ、使いやすいAPI、高品質のドキュメント、より容易な統合などを挙げました。AMD FidelityFX SDKはモジュラーアーキテクチャを採用しているため、開発者はゲームに必要なコンポーネントを取り出して利用することができます。
SDKに含まれるすべてのソースコードは、オープンソースのMITライセンスに基づきGitHubで公開され、開発者は自由にSDKを使用することができます。AMD FidelityFX SDKは、2023年第2四半期にGPUOpenで公開される予定です。
新しい AMD FidelityFX エフェクト
AMD FidelityFX SDK と同時に、ゲームでよく使われるカメラエフェクトを中心とした、3つの新しい AMD FidelityFX エフェクトが紹介されました。
1つ目は、AMD FidelityFX™ Depth of Fieldで、開発者がゲームに物理的に正しいDoFを高速で追加できるようにします。2つ目は、AMD FidelityFX™ Lensで、フィルムグレインやビネットなどの様々なレンズ効果を追加するために使用することができます。そして3つ目は、高度に最適化されたブラーカーネルを含むAMD FidelityFX™ Blurです。
これらの新しいエフェクトに加えて、開発者がラスタライズとレイトレーシングを組み合わせたエフェクトをゲームに実装し、最適なパフォーマンスで高品質な結果を達成できるように設計されたAMDの Hybrid Ray Tracing samplesが、AMD FidelityFX SDKのリリース時にその一部となる予定です。
- AMD FidelityFX™ Hybrid Reflectionsは、Stochastic Screen Space Reflections（SSSR）をレイトレーシングと組み合わせて、高品質の反射を実現します。
- AMD FidelityFX™ Hybrid Shadowsは、ラスタライズされたシャドウマップとレイトレーシングされたシャドウを組み合わせて、高品質で高性能なシャドウを作り出します。
以上の技術とこちらのページ紹介している AMD FidelityFX™ Brixelizer が、将来的にSDKに追加される予定の技術です。これらの技術はすべて、2023年第2四半期にGPUOpenでリリースされるAMD FidelityFX SDKで利用可能になる予定です。
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