2023年2月22日(現地時間) – Simon Thommes氏によってに投稿された Blender Studio のブログ記事『Procedural Hair Nodes』の内容の紹介です。
Blender 3.5のアセットブラウザにプロシージャルヘアノードアセットが含まれるように
Simon氏は、Blender 3.5 のアセットブラウザにデフォルトで含まれることになる Geometry Nodes を使ったプロシージャルグルーミング用のノードグループアセットついて情報を共有しました。このプロジェクトは、Blenderの古いヘアシステムを、完全にGeometry Nodesに基づいた、よりパワフルで柔軟、そしてカスタマイズ可能な、新しく改良されたシステムに置き換えるための、長期的努力の次のステップとされています。
この作業は、Daniel Bystedt氏とともに行われ、Daniel氏がどのノードが有用かを選択し、その機能のモックアップを提供することでプロジェクトをスタートしました。次に、Simon氏がモックアップを基にノードグループを構築し、それらが一貫したロジックに従っていることを確認し、サムネイルと説明を追加して、Blenderでリリースできるように準備しました。
ここでの目的は、ジオメトリノードでカーブを扱う既存(いくつかは新しい)機能を使用を使用してBlenderですぐに使えるプロシージャルヘアグルーミングノードのエコシステムを作ることとのことです。
ターゲットワークフロー
このシステムは、手動で編集可能なガイド(親)カーブを維持したまま子カーブを生成し、その上でノイズ、クランピング、その他のエフェクトといったプロシージャルな操作を繰り返すことができます。
旧システムと比較して、ここでの大きな利点は、すべてがジオメトリノードの残りの部分に完全に統合されていることです。なので、これらを使いこなすことができれば、誰でも非常に細かいレベルでコントロールすることができます。ハイレベルなインタラクションに焦点を当てられているので、Geometry Nodeにあまり慣れていない人でも簡単に手に入れることができ、ワークフローに取り入れることができるようになっています。
この新しいシステムで注目すべき点は、破壊的なワークフローを可能にするのが非常に簡単であるということです。生成されたそれぞれのヘアに対して、いつでもモディファイアを適用し、手動で微調整を加えることができます。
このシステムには、数年前からBlenderに搭載されている旧システムと比較して、まだ不足している点がいくつかあります。今後のBlenderのリリースで同等になる予定ですが、最終的に古いシステムを完全に置き換えるためには、まだ対処する問題(主に、シミュレーションと、サーフェスジオメトリをアニメーションさせるための動作に関するもの)があります。
Blenderの開発への影響
この作業の大部分は、このノードグループバンドルでのワークフローをよりスムーズかつ柔軟にするために、Blenderに追加すべき機能をジオメトリノード開発チームと調整することでもありました。このワークフローを大幅に改善するものがまだたくさんあるとされていますが、追加はBlender 3.6になるようです。しかし、比較的短い期間にもかかわらず、このプロジェクトのために改善されたものもあります。以下がそのリストとなります。
- Curve sculpting cage overlay(カーブ スカルプティング ケージ オーバーレイ)
- Curve sculpting curve falloff(カーブ スカルプティング カーブ フォールオフ)
- Curve sculpting surface collision(カーブ スカルプティング サーフェスの衝突)
- Hiding inputs in the modifier UI(モディファイヤ UI で入力を非表示にする)
- Operator to move an existing modifier to nodes for a smoother flexible workflow(よりスムーズで柔軟なワークフローのために既存のモディファイヤをノードに移動するオペレータ)
- Drag and drop in the viewport for nodegroup assets(ノードグループ アセットのビューポートでのドラッグ アンド ドロップ)
- Fur in the add menu to quickly add procedural hair(プロシージャル ヘアをすばやく追加する追加メニューのファー)
- Sample custom normals(カスタム法線のサンプル)in the
Distribute Points on Faces
node
そして最も重要なのは、
このプロシージャルグルーミング用のノードグループアセットが最初の例となります。今後、特にノードグループアセットが追加されることになるとされており、技術的な知識があまりないアーティストでも、ノードシステムを簡単に使うことができます。
またSimon氏は、ノードグループアセットをBlenderの通常のダウンロードにパッケージ化するということは、ノードグループ/モディファイアのインターフェイスをよりカスタマイズできるようにすることで、内蔵モディファイアができることのすべてをカスタムノードグループで再現できるところまで改善する必要があるとしています。これは以前からの計画でしたが、ついにこの改善の必要性が具体的に示されたことになり、その方向で開発を推進することになるようです。
アセットを使用してみる
ノードグループアセットを使用して、ふらふらしながらこの記事のサムネイルの画像にあるスザンヌの髪の毛を作成してみました。ジオメトリノードに詳しくなくても、プロシージャルとヘアのスカルプトを組み合わせてかなり柔軟にヘアの作成ができます。
今後について
リリースまで、このノードが一般に採用されるために準備することがまだたくさんあるとされており、機能やノードの動作に関する小さな修正、乱雑なノードツリーの整理、他のすべてのノードと同様のドキュメントの作成、ノードを使ったさまざまなセットアップを見やすく紹介するダウンロード可能なサンプルファイルの作成が挙げられています。
しかし、どのようなノードがあり、それらがどのように動作し、どのようなパラメータがあるかについての主な作業は終了しているので、最新の Blender 3.5 Beta のダウンロードでテストすることが可能です。
最新の Blender 3.5 Beta のダウンロードはこちらから
また、Blender 3.5 のリリースが近づくにつれ、これらのノードがどのように使用されることを想定しているかをよりよく伝えるための教材も計画されているようです。Simon氏は、取り組んでいる通常の映画プロジェクト以外で、Blenderでの作業に関してしてきたことを共有していきたいとしています。
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