Unity 2022.2 TECH ストリームが利用可能に

CGソフト

2022年12月9日(現地時間) – Unity は、Unity 2022.2 TECH ストリームを公開し、リリースページからダウンロードできるようになったことを発表しました。今年の 1つ目のTECH ストリームと、2022.2 の 2回のリリースをもって、今年のリリースサイクルは完了となります。

リリースハイライト

今回のリリースでは、以下のような新機能が搭載されています。

ECS for Unity

Unity 2022.2 には、ECS for Unity(Entity Component System)というデータ指向のフレームワークが含まれており、これまでになかったレベルのコントロール能力と決定論的性質で、より野心的なゲームを構築できるようになっています。ECS とデータ指向の開発アプローチにより、複雑なゲームプレイのメカニクスと、リッチでダイナミックな環境を簡単に実現することが可能です。Unity 2022.2以降、ECS for Unityは製品として完全にサポートされるようになり、サポートチャンネルサクセスプランを通じて、ECSをさらに活用することができます。

ECS for Unityには、Entities パッケージと、NetcodeGraphicsPhysics のECS対応パッケージが含まれています。ECS for UnityはGameObjectsと完全に互換性があるため、Unity の GameObject アーキテクチャとスクリプティング標準に既に詳しい方は、使い慣れたオーサリング体験と合理的なワークフローを利用できます。これにより、既存のスキルセットを活用し、ゲーム体験に最も適した場所でのみECSを活用することが可能となります。

すでに、Stunlock Studios 社の初週に100万本以上の販売を達成したヒット作『V Rising』では、ECS for Unity が活用されています。このゲームでは、ECSを利用することで、ゲーム内のインタラクティブなアセット数を大幅に増やし、5 平方キロメートルのスケールのマップ全体に 16 万個以上のアセットを登場させています。さらに、サーバーサイドが持っている 35 万個以上のエンティティがゲーム体験を支えています。

ヘルプが必要な方、フィードバック、議論したい方は、フォーラムや Discord に参加することができます。

マルチプレイヤー

Netcode for GameObjects

このパッケージを使うと、カウチ型(画面分割型)協力プレイなど数多くのシナリオに基づいたプロジェクトに、マルチプレイヤー機能を簡単に実装することができます。慣れ親しんだ GameObject ベースのプログラミング技術で利用でき、かつ低レベルの機能を抽象化するため、より少ないコードで、思い描いた通りのマルチプレイヤー体験を実現することが可能です。

Netcode for Entities

より要求の厳しい大規模なゲーム向けには、Netcode for Entities を使って ECS のパワーを活用することができます。Netcode for Entities を使用すると、パフォーマンスを犠牲にすることなく、ゲームのワールドサイズ、プレイヤー数、複雑なネットワークインタラクションを大きくすることができます。

マルチプレイヤーゲームの運用を支援するセルフサービス機能

Unity ゲーミングサービス(UGS)内の Multiplayer Solutions スイートで、ホスティングや通信など、マルチプレイヤーゲームの運用を支援するセルフサービス機能の提供を開始したことが最近発表されました。

この技術の最新動向についてはこちらの Games Focus ブログで、UGS Multiplayer スイートについては Tarodev 社と共同で制作した次の動画で確認できます。

スケーラブルなグラフィックス

ユニバーサルレンダーパイプライン

マルチプラットフォームのスケーラビリティと高忠実度のグラフィックスは、レンダリングにおいて引き続き重視されます。Unityは、より合理的でスケーラブルなワークフローを通じて、ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)をビルトインレンダーパイプラインと同等の機能に近づけようとしています。

Forward+

Built-in Render Pipeline の Forward path と機能的に同等にし、ライトの制限数をなくすことで、プラットフォーム間で品質を維持しながらスケーリングできるようになりました。

デカールレイヤー

デカールレイヤーでは、シーン内の異なるオブジェクトがデカールプロジェクターによってどのように影響されるかをフィルタリングし、設定することが可能です。デカールは、シーンに追加のテクスチャを追加するのに便利で、特にマテリアルやそのディテールパターンの繰り返しを解消するのに適しています。

URPのその他の機能強化

Games Focus ブログ「ニーズに合わせて拡張できるレンダリング」では、最高のビジュアル品質とパフォーマンスを提供する幅広いツールを活用しながら、安心して拡張できる機能を提供するための当社の取り組みについて説明されています。

HD レンダーパイプライン

HD レンダーパイプライン

(HDRP)では、美しい物理ベースの環境と詳細なキャラクターを制作するための機能拡張がされました。

新しいウォーターシステム

新しい HDRP ウォーターシステムで海、川、それに水中のエフェクトをレンダリングボリューメトリックマテリアルを使ってシェーダーグラフでプロシージャルかつ局所的なフォグを作り出すことで、忠実度の高い大規模な環境を作ることができます。

Cloud Layers ダイナミックライティングの改良

改良された Cloud Layers ダイナミックライティングでは、さらにリアルな空を作成し、異なるボリューメトリッククラウド条件をブレンドすることも可能です。

キャラクターをレンダリングの強化

Eye Cinematic with Caustics と PCSS シャドウによってシネマティックレンダリングが強化されており、よりリアルなキャラクターをレンダリングすることができます。

HDRPパストレーシングデノイジング

HDRPパストレーシングデノイジングは、NVIDIA Optix™ AIアクセラレーションデノイザーとIntel® Open Imageのどちらかを選択することが可能です。

次の動画は、最新のHDRP環境ツールについてのUnite 2022のセッションです。

生産性の向上

このリリースでは、新しいオーサリング機能とワークフローの改善により、生産性を向上させることができます。

プレファブシステムの改善

シーン内のプレファブインスタンスや他のプレファブのネストに対して、プレファブアセットをすばやく交換する機能など、多くのアップグレードが行われています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

環境構築の高速化

  • Terrain Tools パッケージのペイントディテールブラシで、ディテールの種類ごとに密度を設定した上で、複数のタイプのディテールを同時に散布できるようになりました。さらにディテールの密度やその他のいくつかの地形に関する設定は Quality 設定でオーバーライドできるようになり、プラットフォームのパフォーマンス目標を達成するのに役立ちます。
  • スプライン関連の改良されたツールや API 機能を使って環境内のパスをより正確に描画することができるようになりました。川、道路、カメラ トラック、その他のパス関連の機能やツールをより効率的に構築することができます。

API 機能の詳細については、こちらをご覧ください。

■AI Navigation

AI Navigation パッケージが利用可能になりました。これにより、3Dキャラクターに素早く知能を持たせ、手動でルールをコーディングすることなく、ゲームの世界で移動することができます。パッケージには、サンプルも同梱されているので、すぐに使い始めることができます。

詳細はフォーラムを、これからの計画についてはロードマップをご覧ください。

拡張性のあるエディター

2022.2では、UI ToolkitはエディタのカスタマイズにおいてIMGUIと同等になり、エディタツールの推奨ソリューションになりました。これにより、より良い関心の分離、より柔軟なレイアウト、および高度なスタイリングが可能となっています。

また、UI Toolkitで生成されたデフォルトのインスペクタ、移植された共通のビルトインのプロパティドロワー、マルチカラムをサポートする TreeView コントロール、新しいベクター描画 API などのアップデートにより、このリリースは、IMGUIと同等を達成するだけではなく、ランタイムでのユースケースもサポートします。

次の動画は、UI Toolkit を使ったカスタムツールの開発方法をステップバイステップで説明するUniteのセッションです。

最近リリースされた Editor Design システムでは、直感的な体験を構築するためのガイダンスを見ることができます。

さらに、ランタイムの現状についてもっと知りたい方、サンプルがもっと見たい方に向けて、UI Toolkit を使ったフル機能のインターフェースを示した新しいプロジェクトが公開されています。

無料サンプルのダウンロードはこちらから、サンプルについてのより詳しい説明はこちらから確認できます。

プラットフォームの統合と最適化

DirectX 12 グラフィックスバックエンドが正式版に

大規模な作業、テスト、コミュニティの多くのフィードバックの結果、DirectX 12 グラフィックスバックエンド(DX12)は、2022.2のリリースで実験的な機能ではなくなりました。プロジェクトにもよりますが、特にドローコールの多いシーンでは、DX11と同等以上のパフォーマンスを期待できます。

これにより、DX12はWindowsとXboxの開発において推奨されるグラフィックスAPIとなりました。さらに、DX12は、Xboxゲーム開発で利用可能になったリアルタイムレイトレーシングなど、より高度なグラフィックス機能のための基盤となります。

新しいプラットフォームへの対応だけでなく、デバイスをターゲットにした場合の開発プロセスの簡素化や改善を望む方は、こちらの記事をご覧ください。現在利用できるものと近い将来に提供される予定のものの両方について詳しく説明されています。

XR制作を簡単に

■Unity XR Interaction ツールキット(XRI)

Unity XR Interaction ツールキット(XRI)により、クロスデバイスの XR 制作がよりシンプルになります。XRI は、掴み、ホバー、選択、およびオブジェクトへのインタラクションが可能であることを示すビジュアルフィードバックなど、さまざまなコントローラーで動作する共通のインタラクションのためのフレームワークを提供します。

XRI はバージョン 2.2 となり、同時に複数の位置を掴む操作のサポート、新しいロコモーションメソッド、そして Starter Assets サンプルパッケージですぐに使えるプレハブのコレクションが追加されています。

次の動画の一部では、Unite 2022 の基調講演でVR バスケットボールゲーム『Blacktop Hoops』のクリエイター入力コントロールのベースとして XRI をどのように使ったかを話しています。

■AR Foundation

AR Foundationはバージョン5.0にアップデートされました。このアップデートでは、開発時間を短縮するための2つの重要な機能が追加されました。

  • AR開発者がよく感じていた不満に対応するためにシミュレーションで、Playモードを使ってエディターでARアプリをテストできるようになりました。
  • 新しいプレファブとしてARデバッグメニューが追加され、デバイス上で利用可能な構成を表示し、平面や点群位置などのARサブシステムデータを視覚化するために使用することができます。

また、Meta Quest Pro、PlayStation®VR2、Magic Leap 2などの主要なプラットフォームのサポートが引き続きエディタに追加されています。

その他のUnity 2022.2 TECH ストリームの詳細についてはこちらから( Unity マニュアル/リリースノート

TECH ストリームリリースについて

TECH ストリームリリースでは、初期段階にある機能を実際に使用してフィードバックを提供し、より使いやすいツールを作るための対話に参加することができます。

TECH ストリームの各リリースは、次のリリースまで毎週のアップデートによりサポートされますが、新機能の長期的なサポートは保証されません。本制作に入っているプロジェクトでは、より安定し、サポートが充実している Unity の LTS リリースの利用が推奨されています。

使用する場合、新しいバージョンの Unity にアップグレードする前に、必ず作業のバックアップを取ることを忘れないようにし、プロジェクトを Unity 2022.1 に対応させるためのアドバイスについては、アップグレードガイドを参照してください。

価格とダウンロード

Unity は、前年の収益または調達(外部からの調達、自己調達の別を問わず)の金額が10万ドル未満のクリエイターは無料で使用できます。また、2022年10月13日午後10時から価格改定が行われています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

Unity、Unity Pro や Unity Enterprise プランなどの価格改定を発表
2022年9月13日 - Unityは、Unity Pro および Unity Enterprise プランの価格の改定を発表しました。 価格改定&為替を反映...

Unity 2022.2 TECH ストリームは Unity Hub から入手することができます。

Unity Hub のダウンロードはこちらから


Unity 2022.2 TECH ストリームが公開されました

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