物理エンジン NVIDIA PhysX 5 がオープンソースでリリース

CGソフト

2022年11月8日 – Nvidiaは、物理エンジン NVIDIA PhysX 5 SDKの最新版をオープンソースでリリースしたことを発表しました。

PhysXについて

長年GameWorksの技術だった、PhysXは、今ではNVIDIA Omniverseの主要な物理エンジンであり、重要な基盤技術の柱となっています。現在、ロボット工学、深層強化学習、自律走行、工場自動化、視覚効果などの業界リーダーによって使用されているパワフルなシミュレーションエンジンです。次世代ロボットアプリケーションでは、自律型マシンのシミュレーションやテストに必要とされるリアルタイムスピードでの高忠実度シミュレーションを可能にします。

PhysXは、GitHubの PixarAnimationStudios/USD で公開されているオープンソースのPixar Universal Scene Description (USD) Physics standardの重要なリファレンス実装になっています。

このため、PhysX 4 で使用された、より寛容なライセンス条件に戻すという決定がなされました。すべてのCPUソースコードは、シンプルなBSD3オープンソースライセンスの下で利用可能で、NVIDIA GPUバイナリは無償で含まれています。

PixarのDave Eberle氏は、「PhysX SDKのこのリリースは、Pixarと共同開発したシーンの物理的特性の記述であるUSD Physicsと密接に関係していま。PixarがNVIDIAやその他の関係者と進めているUSDのコラボレーションは、クリエイターがより簡単に物理をシーンに埋め込むことを目的としており、SDKのオープンソース化によって、より多くのクリエイティブツールにシミュレーション動作の採用が加速することを期待しています。」と述べています。

PhysX 5オープンソースの新機能

NVIDIA Flow

 と NVIDIA Blast ライブラリは、技術的にはPhysXに依存しませんが、現在ではPhysX製品ファミリーの一部となり、一緒にライセンスされるようになりました。Flowは、現在、同じGitHubリポジトリの PhysX SDK にバンドルされており、Blastも近々追加される予定です。

PhysX 5 SDKは、NVIDIA Flexの機能をサポートするようになり、様々な新機能が可能になりました。これらの機能には、有限要素モデルベースのソフトボディダイナミクスや、位置ベースのダイナミクスを使用した液体、布、膨張性のオブジェクトなどがあり、GPUでの実行に最適化されています。また、GPU上での符号付き距離場衝突(A signed distance field collision)機能が追加され、ソースメッシュのボクセル化されたバージョンを使用して衝突検出を行うことができるようになりました。これにより、コンベックスデポジションの作成が不要になりました。

CPUの新機能としては、PhysX 5のユーザーはカスタムジオメトリを定義できるようになり、円柱形状や Implicit Block-based Worldがサポートされるようになりました。さらに大規模シミュレーションにおけるCPUとGPUの並列計算性能も大幅に改善されています。

他にも今回のアップデートで、デジタルコンテンツ作成ツールエクスポーター、デバッグ用テレメトリと診断、デモ、サンプルなど、一部のツールやユーティリティがOmniverseプラットフォームに統合さています。

高度なデモは、SDKにバンドルされなくなりましたが、NVIDIA On-Demandの physics demos in NVIDIA Omniverseで、PhysXで何が可能か、より高度な例を見ることができます。

PhysXの今後

NVIDIAは、包括的なエコシステムの構築を支援するために、オープンソースを採用し続けていくとしており、今回のリリースは、より多くのOmniverseのソースコードをオープンにしていくための第一歩となるとされています。

近い将来、このPhysX SDKのユーザー修正版をカスタムOmniverseエクステンションに組み入れる方法を示すソースコードが公開される予定です。また、NVIDIAは、USD Physicsパーサーとシミュレーションスタックの完全なリファレンス実装を、フルソースで提供することも計画しています。

ダウンロード

NVIDIA PhysX 5 SDKの最新版は、NVIDIA PhysX 4と同じオープンソースライセンス条項で提供され、グローバルな産業におけるシミュレーションワークフローとアプリケーションの拡張をサポートするために提供されています。

このアップデートは、NVIDIA-Omniverse/PhysX GitHubリポジトリで公開されています。このリポジトリには、NVIDIA Flow ライブラリも含まれています。


Open Source Simulation Expands with NVIDIA PhysX 5 Release

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