2022年10月18日(現地時間)- Adobeは、Adobe Max 2022 において、クリエイター中心の Generative AI 製品を開発するためのアプローチと開発中の Generative AI ツールを発表しました。
Adobe の Generative AI に対するアプローチ
Generative AI とは、 imagen、stable diffusion、 midjourneyといったツールに利用されているテキストから画像や動画を生成するAIのことで、Adobeもこの Generative AI の実験し、開発をしています。
■Generative AI の問題提起
Generative AIは、アーティストのブレインストーミングや創造的な道を探る方法を加速させ、より多くの人々が創造性にアクセスできるようにする、画期的なテクノロジーであると同時に次のような重要な問題を提起しています。
- AIモデルの学習に、クリエイティブな人々の仕事はどのように利用されているのか?
- 目にするものが、人間によって作られたのか、それともコンピュータによって作られたのか、どうやって知ることができるのか?
Adobeは、Photoshopの発売から3Dの台頭まで、40年にわたりクリエイティブ業界の技術革新に貢献してきました。現在 Adobe は、アーティストに力を与え、クリエイティビティを新しい人々に開放する一方で、決して人間の想像力や判断力に取って代わらない方法で、新しい技術である Generative AI をツールに実装し、この転換をリードすることに取り組んでいます。
Adobeは、Generative AIをクリエイティブアシスタントと捉えており、AIは、人間の想像力、独自のスタイル、ユニークな個人的ストーリーに取って代わるものではないとしています。また、クリエイティビティとは究極的にはコミュニケーションの一形態であるとも述べています。
■Content Authenticity Initiative(CAI)を活用
Adobeは、Generative AIが透明性を持って開発されるように、クリエイティブコミュニティやテクノロジーコミュニティと協力しています。
現在開催されているAdobe Max 2022では、、Content Authenticity Initiative(CAI)基準を活用し、クリエイターが自分のスタイルや作品をコントロールすることをサポートするための新しい研究に投資し、クリエイター中心のGenerative AI製品を開発するためのアプローチを発表しました。
CAIのオープンソース技術は、クリエイターがデジタルコンテンツに来歴(provenance)データを安全に添付することを可能にし、クリエイターが自分の作品に対して信用を得ること、そしてコンテンツを見る人が誰がどのように作成し、編集したかを理解することを支援します。
Adobeは、Generative AIがクリエイティブなプロセスの中でより大きな役割を担うようになれば、コンテンツを見る多くの人がコンテンツの制作にGenerative AI技術が使用されたかどうか、またどのように使用されたかの情報に極めて高い関心を持つようになると考えており、CAI規格により、クリエイターは、それを示すことができるようになります。
最新のPhotoshopのBeta版には、CAI(Content Authenticity Initiative)の一部であるコンテンツ認証情報機能が追加されています。今後 Adobe が追加する Generative AI ツール に向けての動きの一環と思われます。
開発中の Generative AI ツール
またAdobeは、同社のクリエイティブツール に Generative AI を組み込むことにより、クリエイターのニーズを中心に据えたアプローチで研究・開発を進めています。まだ初期段階とされていますが、以下のようなツールが開発中のようです。
Photoshop
Photoshopでは、Generative AIによって、画像に新しいオブジェクトを追加したり、既存の画像をベースにしたバリエーションを作成したり、あるいは、テキストを記述するだけで合成に新しいセクションを追加したりすることができます。
Adobe Express
Adobe ExpressのAIでは、「電線」や「蘭の花びら」など、画像と完璧に調和するユニークなテキストエフェクトを作成することができます。
Adobe Expressに組み込まれたGenerative AIは、経験の浅いクリエイターに役立ちます。例えば、あらかじめ用意されたテンプレートからプロジェクトを始めるのではなく、プロンプトからテンプレートを生成し、Generative AIを使ってオブジェクトをシーンに追加したり、その説明をもとに独自のテキストエフェクトを作成したりすることができます。
Lightroom
LightroomにGenerative AIを搭載することで、昼間のシーンを夜に変えたり、影などのディテールを変えたり、撮影したシーンを超えて写真を拡張することも可能になります。
また、Adobeは、この技術は動画、3Dデザイン、テクスチャ作成、ロゴデザインなど、あらゆるメディアで活躍するクリエイターに役立つとしており、今後 Adobe 3Dや動画編集ソフトなどにも Adobe 公式の Generative AI が搭載される可能性は高いと思われます。
Bringing the next wave of Artificial Intelligence to Creative Cloud
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