2022年8月2日(現地時間)- Amazon Web Services (AWS)は、AWS Thinkbox 製品の無償化を発表しました。
AWS Thinkbox 製品 が無料に
Thinkboxツール(Deadline、Draft、Krakatoa、Frost、XMesh、Sequoia、Stoke)の無償化が発表されました。元々Thinkboxは、2017年のAmazonが買収したThinkbox Software社が開発していました。これらのツールはレンダリング、VFX、シミュレーションのワークフローを簡素化し、世界のトップスタジオでも使用されています。
AWSによると、「コンテンツ制作のお客様をサポートすることに専念しており、今回の取り組みは、アーティストやスタジオに、より多くのアクセスとより多くの価値を提供するための最新の取り組み」であると説明されています。
AWSマネジメントコンソールのAWS Thinkboxダウンロードページから、最新のThinkbox製品のダウンロードに無料でアクセスでき、ライセンスの管理とメンテナンスを効率化することができます。
■変更内容
- Deadline 10.1.23以降にアップグレードすると、DeadlineユーザーがDeadlineソフトウェアを使用するためにフローティングライセンスやUsage Based License(UBL)時間が不要になります。また、Draftも無償で使用できるようになります。既存のDeadlineのライセンスをお持ちの方は、ライセンスの有効期限が切れるまでDraftを使用し続けることができます。ライセンスの有効期限が切れると、DeadlineをアップグレードしてDraftを無償で使用するように案内されます。
- Krakatoa、Frost、XMesh、Stokeの新バージョンは無償でダウンロードできます。
- Thinkbox Sequoiaライセンスは、フローティングライセンスポータルから無償でダウンロードできます。
AWS Thinkboxツール
AWS Thinkboxツールには以下のものがあります。
Deadlineは、Windows、Linux、macOSベースのレンダーファームのための、手間のかからない管理およびコンピュート管理ツールキットです。
レンダーファームやコンピュートクラスタの規模を問わず、柔軟で幅広い管理オプションを提供し、ユーザーはレンダリングや処理のニーズに応じて、オンプレミスまたはクラウドベースのリソースを自由に組み合わせてアクセスすることができます。現在80以上の異なるコンテンツ作成アプリケーションをサポートしています。
最新のDeadline 10は、AWSクラウドとのネイティブな統合が追加され、オンプレミス、純粋なクラウド、またはその両方のハイブリッドにかかわらず、お客様がレンダーファームを簡単かつ安全に拡張できるようになっています。
・Draft
Draft は、典型的なポストレンダリング作業を自動化するために設計された、軽量のコンポジットおよびビデオ処理ツールです。
Python ライブラリとして実装されており、Python スクリプトで使用するための機能が公開されています。Draft は Deadline と密接に連携するように設計されていますが、スタンドアローンツールとしても使用できます。
Krakatoaは、ボリューメトリックパーティクルレンダリング、管理ツールキットです。映画「Superman Returns」、「Journey To The Center Of The Earth 3D」、「G.I.Joe」、「Twilight: New Moon」、「Avatar」、「Harry Potter And The Deathly Hallows 2」、「Transformers 3」、映画「The Avengers」、「Superman Man Of Steel」など多くの映画の視覚効果やエレメントのほか、多数のTVシリーズやゲームの予告で使用されてきた実績があります。
数百万から数十億のパーティクルを処理し、レンダリングするために特別に設計されており、要求されたレンダリング機能に合わせて、メモリフットプリントを調整します。膨大な量のパーティクルを取得、キャッシュ、変換、修正、シェーディング、レンダリングするパイプラインを提供し、塵、煙、シルト、海面泡、プラズマ、さらには固体オブジェクトなどの自然現象を素早く表現することが可能です。
Krakatoaは、スタンドアロンレンダラー(KRAKATOA SR)と、Autodesk 3ds Max (KRAKATOA MX), Autodesk Maya (KRAKATOA MY), MAXON Cinema 4D (KRAKATOA C4D)のプラグインとして提供されています。
XMeshはメッシュキャッシングのソリューションです。ジオメトリオブジェクトをXMeshファイルシーケンスにキャッシュするためのXMesh Saverユーティリティと保存されたデータを3DアプリケーションにロードするためのXMesh Loaderオブジェクトで構成されています。
- XMesh Saverは、1つまたは複数のジオメトリオブジェクトのレンダリング時の表現をディスクファイルに保存します。
- XMesh Loaderは、頂点変形、頂点速度データ、トポロジー変更、マッピング座標、スムージング情報、マテリアル割り当てを含むすべての関連情報を保持したまま、ビューポート再生とレンダリングのために保存データを復元することができます。
XMeshは現在、以下のプラグインとして提供されています。
- Autodesk Maya (XMesh Saver and Loader)
- Autodesk 3ds Max (XMesh Saver and Loader)
- The Foundry NUKE (XMesh Loaderのみ)
・ Sequoia
Sequoiaは、点群処理とメッシングを行うスタンドアローン製品で、レーザースキャナーや写真測量などから取得した点群データからジオメトリを作成することができます。以下のような機能があります。
- AWS Thinkbox Deadlineとネイティブに統合し、複数の計算ノードで点群処理とメッシュ処理を実装できます。
- ユーザーとの対話とデータ処理を非同期で管理し、重い計算中でもインタラクティブ性を確保。
- 水密メッシュや片面メッシュを作成し、離れたアイランドを削除して不要なメッシュをクリーンアップ。
- 業界標準のポイントデータ形式を幅広くインポート、変換、エクスポートし、バッチ変換を容易にします。
現在、Windows、Linux、macOSの各OSで利用可能です。
Frostは、アイソサーフェスとジオメトリクローニング技術を使用して、複数のソースから1つのメッシュを生成します。メモリを過剰に消費することなく、数百万点のポイントから数秒でポリゴンメッシュを作成することが可能です。Frostは、3ds Maxで利用可能です。
Stokeは、Velocity Fieldによって駆動されるハイボリュームパーティクルクラウドの作成を簡単かつ高速にするために設計された、3ds Max用パーティクルシミュレータです。
Velocity Fieldsを含む新規Fieldの作成とシミュレーション、業界標準フォーマットによるFieldデータのロードと保存、既存Fieldの編集、Particle Flow, MassFX, mCloth, Hair&Fur, Materials, ほとんどのレンダラーなどの3ds MaxサブシステムとFieldデータの統合を可能にする強力なField操作用ツールセットです。
フローティングライセンスポータルについて
AWS Thinkbox フローティングライセンスポータルからフローティングライセンスを無償でダウンロードできます。
フローティングライセンスポータルでは、Deadline、Frost、Krakatoa、Sequoia、Stoke、XMeshの各ライセンスが提供されます。Draftを除く各製品について、1年後に有効期限が切れる50Kライセンスの固定数が提供されます。ただし、新しいライセンスファイルはいつでもダウンロードすることができます。ライセンスファイルをダウンロードするには、ライセンスサーバーのホスト名とMACアドレスが必要です。
フローティングライセンスポータルへのアクセスはこちら
フローティングライセンスポータルの詳細については、こちらを参照してください。
また、DeadlineとKrakatoaのUBLレンダリングタイムは、AWS Thinkboxのマーケットプレイスから無償で入手することができます。Thinkbox MarketplaceではDeadlineとKrakatoaのUBLは0円で販売されています。UBLの詳細については、ドキュメントを参照してください。
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