2022年7月13日 – EpicGamesは、建築、建設、都市計画、ランドスケープデザイン向けビジュアライゼーションツールの最新アップデートとなる Twinmotion 2022.2をリリースしました。
Twinmotion 2022.2 プレビュー1&プレビュー2で紹介した新機能が含まれていますが、追加の新機能もあるようなので改めて紹介したいと思います。
新機能ハイライト
このリリースでは、新たにHDRIバックドロップ、超高解像度レンダリング、物理ベースのアセット配置ツールなどの新機能が追加されています。
超高解像度のレンダリング
タイルベースレンダリング技術により、最大64Kの超高解像度で静止画や動画をレンダリングすることが可能になりました。この機能はビルボードやビデオウォールなどの大型ディスプレイ向けのコンテンツに最適で、静止画と動画の両方の形式設定でオンにできます。
また、パノラマとパノラマセットは16Kの解像度でエクスポートすることができます。
■制限事項:
- 高解像度エクスポートオプションを使用する場合、次のビジュアル設定の品質に影響を与える可能性があります: スクリーン スペース リフレクション (SSR)、スクリーン スペース アンビエント オクルージョン (SSAO)、大域照明 (GI)、レンズフレア、 被写界深度 (DoF)、ブルーム。 このうち、パストレーサーを使用する場合は、レンズフレア、被写界深度、ブルームのみが適用されます。
- タイルベースエクスポートオプションを有効にすると GPU メモリ制限を回避できますが、その代わり、最終画像を構成するタイルを組み立てるためにレンダリング時間が長くなります。ただし、システム RAM の要件は高いことに変わりはありません。
HDRI バックドロップ
ダイナミックスカイ、 スカイライト HDRI (旧 Skydome)に加え、新しいバックドロップHDRI の計3つの環境ライティング設定が可能となりました。
新しい HDRI バックドロップ機能により、周辺環境もしくは撮影スタジオ環境にモデルを配置し、モデルを照らすライティングにリアルな影響を与えることができます。HDRI スカイドームとは異なり、この機能には影を受ける地面が含まれています。
バックドロップ HDRI を選択すると、シーン内の半球形のオブジェクトをベースにした新しい環境表現が有効になります。バックドロップの[More… (詳細)] ボタンを使用してサイズや投影オフセットなどのパラメータオプションを正確に設定することができます。
さらに、背景とモデルを照らすライトの両方を兼ねた 258の新しい HDRI 環境と、製品ショットに適した 30の新しいスタジオ HDRIが追加されています。
■副作用と制限事項:
- パストレーサーレンダリングが使用されている場合、バックドロップはより多くの「ホタル」アーティファクトを生成されます。状況に応じてレンダリング設定でホタルの設定を下げてください。
- 傾斜(Tilt)パラメータは反射で考慮されません(傾斜したパノラマは変更されることなく反射に表示されます)。
- パストレーサーを使用したレンダリングでは、反射にゴースト効果(2重に重なった環境のようなもの)が見られます。これを軽減するには、シーンの Ambient(環境光)の値を最小にしてください。
- 実際のテクスチャサイズの制限により、Twinmotion Cloud プレゼンテーションのバックドロップの解像度は1Kに制限されます。
Sketchfab ライブラリの統合
Quixel Megascans ライブラリ の統合と同様に、Sketchfab も Twinmotion で利用できるようになりました。アセットをダウンロードするには Epic アカウントにログインする必要があります。
Twinmotion の Sketchfab ライブラリには約 700,000 点のオブジェクトがあります。ダウンロードしたオブジェクトは、Twinmotionシーンにドラッグ アンド ドロップすることができます。
Twinmotion は、各アセットが属する CC BY、CC BY-SA、CC BY-ND、CC BY-ND という4つのクリエイティブ コモンズ ライセンスの種類によって Sketchfab ライブラリのアセットをフィルタリングします。CC0 アセットカテゴリを除き、クリエイターをクレジット表記する必要があります。
■制限事項:
- すでに Sketchfab アカウントをお持ちの場合は、ユーザー自身、もしくはユーザーが所属する組織で取得している Sketchfab 3D モデルにアクセスすることはできません。アクセスできるのは、Twinmotion ライブラリで提供される Sketchfabアセットのみとなります。
- オブジェクトのジオメトリを編集することはできません。
- アニメートされたオブジェクトやスケルタルアニメーションはサポートされません。
- Frosted Glass や Sheen など、複雑なシェーダーを使用する特定のマテリアルは、デフォルトの Twinmotion の汎用マテリアルに変換されます。
- オブジェクト、マテリアル、汎用マテリアルは、ライブラリからビューポート内のシーンにドラッグしてもインスタンス化されません。
- Sketchfab モデルは大規模なユーザーコミュニティによって作成されています。Twinmotion にドラッグすると、マテリアル、モデルの定義、縮尺、方向に不整合が生じる場合があります。
- 点群をベースにした Sketchfab モデルは Twinmotion ではサポートされません。そのようなモデルを Twinmotion にドラッグアンドドロップすると、階層に空のフォルダが作成されます。
物理ベースのアセット配置ツール (早期アクセス)
ューポート内でリアルタイムに衝突や重力のシミュレーションを行い、オブジェクトを配置できる新しいツールが追加されました。新しい Move with collision(衝突による動き) と Gravity(重力) ツールにはツールバーから直接アクセスできます。
■Move with collision(衝突による動き)
Move with collision(衝突による動き) ツールは、 Translate(変換)、 Rotate(回転)、 Scale(縮尺) ツールを組み合わせて個々のオブジェクト、または複数のオブジェクトを操作し、シーン内のオブジェクトが互いに交差するのを防ぐことができます。
■Gravity(重力)
Gravity(重力) が有効になると、シーン内の選択されたすべてのオブジェクトは、重力の影響を受けているかのように落下します。オブジェクトが自然な位置で静止するため、リアルな配置が可能になります。
物理ツールはまだ開発の初期段階のため、次のような制限があります:
- 現在、このツールはシンプルなジオメトリメッシュでのみ機能し、次のオブジェクトは物理法則の影響を受けません:ライト、乗物、樹木、地形、コンテナ、ツール、音、ドア、パーティクル、デカール、動く人間と動物
- 重力と衝突がリアルタイムで機能するように、物理学の影響を受けるオブジェクトの周囲に単純な凸状のバウンディングボックスを生成します。 このため、オブジェクトの接触点が完全でない場合があります。
- オブジェクトに物理を適用し、ハイポリメッシュと交差すると、計算が複雑になるため、一瞬フリーズすることがあります。
- オブジェクトが平面上にある場合、 Move with collision(衝突による動き) ツールで表面に沿って移動させると、摩擦力によってオブジェクトとギズモの位置の間に遅れが生じることがあります。オブジェクトを表面から数ミリ浮かせると、この問題は解決します。
より小さなシーンでの作業に対するサポート
あらゆる規模のシーンで簡単に作業できるようにしい単位、小さなプロダクトでの作業に適した低速のナビゲーション速度2種類、カメラのニアクリッピング値と視野角の値を低く設定できる機能が追加されました。
インポートとエクスポート機能の強化
広く使用されている glTF 形式のモデルを Twinmotion に直接インポートできるようになり、エクスポートは、PNGに加え、静止画やパノラマを JPEG や EXR 形式に対応しました。
また、Datasmith シーンにあるライトは Twinmotion のライトとしてインポートすることが可能となりました。
Twinmotion Cloud の機能強化
次世代クラウド GPU のサポートに伴い、クラウドインスタンスの RAM 容量は4倍、VRAM 容量は1.5倍となりました。テクスチャ圧縮の改善と合わて、より複雑なプレゼンテーションを Twinmotion Cloud へのアップロードし、共有することが可能となっています。
また、新しいモーションセンサーのサポートにより、対応するモバイル端末やタブレット端末では、AR のようなモードでプレゼンテーションを見回すことができるようになりました。
さらに、コードを生成できることで、プレゼンテーションやパノラマセットを外部のウェブサイトに簡単に埋め込むことができます。これにより、単一の URL からアクセスできるカスタム Web ページに複数のプレゼンテーションやパノラマセットを表示することが可能です。新しいTwinmotion Cloud ページ で事例を確認できます。
その他
■アセットの追加
新しい Twinmotion のネイティブアセットが毎月クラウド上でリリースされています。Twinmotion 2022.1以降、ハイテク機器、楽器、ガーデン用アセット、玩具アセット、スポーツ器具、そして、200点を超えるウィンター、ショッピング、子供、スポーツカテゴリの新しいポーズを取った人物など、すでに合計 660点の新しいアセットが追加されています。
■生産性の向上
複数のファイルを一度にインポートする機能や複数のオブジェクトを簡単にグループ化する機能など、このリリースでは、Twinmotion の使いやすさを向上させるために、多くの細かな改良が行われています。他の3Dソフトウエアのナビゲーション スタイルに一致するより正確なショートカットに加え、より多くのスタイルから選べるようになりました。
■パフォーマンスとスケーラビリティの強化
内部的にテクスチャ圧縮アルゴリズムをテクスチャに適用し、メモリの要件が削減されました。視覚的な品質にほとんど影響を与えることなく、約75% テクスチャメモリを節約することが期待できます。また、VRAMの使用量が一定量に達すると、ノンブロッキング警告が表示されます。
■プラットフォームサポートの拡張
Windows 11と macOS Monterey* がサポートされました。
※Twinmotion は M1 チップセットを搭載したマシンでも実行できますが、現在は M1 チップを完全にサポート、もしくは活用するものではありません。
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
Twinmotion は現在のところ、Windows 10、11 (64 ビット)、macOS 10.14.6(およびそれ以降) のシステムで利用することができます。より詳しいシステム要件はこちらから
価格は少し値上がりし、永久の商用ライセンスが74,800円。また、非商用プロジェクトで使用できる無料体験版と教育ライセンスもあります。価格や体験版についてはこちらから
最新リリースのダウンロードはEpic Game Lancher から可能です。
CAD や BIM ソフトウェアからプロジェクトをインポートするための互換プラグインのダウンロードはこちらから
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