2022年4月28日(現地時間)- Adobeは、SubstanceとMediumのメーカーが提供する新しいモデリングとスカルプトのアプリケーション、Substance 3D Modelerの最初のベータリリースを発表しました。
春のアップデート情報でも触れられていましたが、4月中に予定どおりベータ版のリリースとなりました。
https://cginterest.com/2022/03/26/adobe%e3%80%81substance-3d-%e6%98%a5%e3%81%ae%e3%82%a2%e3%83%83%e3%83%97%e3%83%87%e3%83%bc%e3%83%88%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%82%92%e5%85%ac%e9%96%8b/
Substance 3D Modeler Beta がリリース
Substance 3D Modeler は、2019年にAdobeが買収したVRスカルプトアプリケーション『Medium』をベースとした新しいソフトウェアです。

Substance 3D Modeler は、デスクトップとVRの両方でシーンをスカルプトし組み立てる機能を提供し、それぞれの長所を生かしながら2つのフォーマットをシームレスに切り替えられるようにします。
これまでプライベートベータ版として一部のユーザーだけが利用可能でしたが、この度すべてのユーザーに開放されました。
Modeler の特徴
Modelerは、ミニマルなUIと直感的なデザインを備えています。スカルプト管理は可能な限りすっきりしており、邪魔にならないようにすることで作業に集中できるようになっています。
ブロックアウト、スカルプト、シーン管理のためのシンプルかつ強力なツールがあり、ポリゴン制限、トポロジー、UV、オブジェクト数の懸念なく、ほぼ無限のボクセル解像度を処理する能力を備えています。
■パフォーマンス
Modelerは高速で、複雑なシーンのメモリを非常に効率的に処理します。また、何億もの三角形と何千ものオブジェクトを含むシーンを、数秒で保存したりエクスポートしたりすることが可能です。
■100%VR、100%デスクトップ
Modeler Betaでは、VRとデスクトップの両方でスカルプトすることができ、ハイブリッドなアプローチを可能にする史上初のアプリとされています。Adobeは、VRとデスクトップモデリングの特徴の違いに着目し、このアプリを開発しました。
- VRの特徴:VRでのスカルプトは、3D制作において非常に没入感のある環境を提供します。自由に周囲を見回すことができ、手の動きも使えるので、制作物とのインタラクションがダイレクトで触感のあるものになります。カメラの歪みもなく、実寸大で作品を見ることができるので、形を正確に把握しやすくなります。Modelerの6-dofインタラクションでは、オブジェクトを自由に移動させ、流動的でジェスチャー的な方法でストロークを置くことができ、まるで空間に粘土を描いて彫刻しているような感覚を味わうことができます。
- デスクトップの特徴:精密なシェイプやブーリアン演算を駆使したハードなサーフェスワークでは、デスクトップでブロックアウトするほうが効果的です。デスクトップでのスカルプトをVRよりも好むユースケースは、ハードウェアの可用性や個人の好みに至るまで、たくさんあります。私たちのビジョンは、2つの「サーフェス」間のハイブリッドワークフローに根ざしていますが、VRハードウェアを持っていない場合は、デスクトップ単体で使用することができます。
Adobeは、上記の両方を可能にするアプリを作りました。ModelerのデスクトップとVRの切り替えは簡単で、VRヘッドセットを脱いだり付けたりするだけです。あるビューから別のビューへの移行はシームレスに感じられ、UIは2つのビューで共有されています。キーボードとマウス、タブレット、6DoFコントローラのいずれかを、その時のタスクに応じていつでも切り替えることができます。
■パイプライン
現在、インポートとエクスポートの両方で、一般的な交換フォーマット(USD、OBJ、FBX、および今後増える予定)をサポートしており、UVまたは頂点カラーを持つテクスチャとしてペイントを出力することができます。
UVを出力する場合、Modelerは新しい自動UV生成方法を利用しますが、この機能は現在改良中であり、機能向上のためのフィードバックが募集中です。ダウンストリームのツールがインスタンスをサポートしている場合、Modelerからそれらのインスタンスを保持するか、またはそれらのインスタンスをユニークなメッシュにすることができます。
今後、Modelerを1.0に向けて開発しながら、Substance 3DコレクションやUnreal 5やその他のリアルタイムエンジンとの相互運用性をできるだけスムーズにするために、パイプライン機能が追加、改良がされる予定となっています。Unrealでは、Naniteエンジンのおかげで、ModelerからUSDフォーマットでメッシュをフル解像度でエクスポートすることが可能となります。
アップデート情報
バージョン 0.14.1
2022年6月22日(現地時間) – Adobeは、Substance 3D Modelerのベータ版の最新アップデート、バージョン 0.14.1をリリースしました。このリリースでは、新しいツールの追加やUSDの改善などが行われています。
■新ツール
折り目ツール(Crease tool):粘土に折り目を付けます。このツールはまだかなり初期的なもので、今後も改良される予定です。
分割ツール(Split tool):既存のレイヤーから新しいレイヤーに断片をカットします。折り目や継ぎ目を作成するのに適しています。
切り抜きツール(Crop tool):ブラシで覆われた部分以外をレイヤーの中ですべて削除します。
■シーンのインポートが追加
Modelerのシーンを現在のシーンにインポートできるようになりました。
■選択範囲がアンドゥスタックに含まれるようになりました。
■スコープに関する変更点
スコープが選択と統合され、レイヤーやグループを選択すると、ツールは選択されたオブジェクトだけに作用するようになりました。グループに入るには、デスクトップ上でダブルクリックするか、VRでジョイスティックを上に動かします(以前のスコープと同じです)。グループを抜けるには、何もない場所をダブルクリックするか、ジョイスティックを下に動かします。
Adobeによると、「スコープ」という語彙から脱却し、より直感的に階層を横断することができるようにしようとしているとのことです。
■USDの改善
頂点カラーインポートのサポートが改善されました。
■キーボードショートカットの追加
キー | 動作 |
---|---|
B | デスクトップのBuildupツールに素早く切り替え |
ctrl + = | 解像度を上げる |
ctrl + – | 解像度を下げる |
Alt + f | カーソル下の粘土にカメラの焦点を合わせ、 カメラのピボットを焦点に移動 |
■自動保存が追加
自動保存が追加され、デフォルトで有効になりました。この機能は、問題が発生した場合、環境設定 > 一般で無効にすることができます。
■GLBファイルサポート
GLBファイルの読み込みと書き出しが可能になりました。
■選択ツールに「すべて選択」「すべて選択解除」「選択範囲を反転」のボタンが追加されました。
その他すべてのアップデート内容の確認はこちらから
Substance 3D Modelerのベータ版に参加
現在、Substance 3D Modeler Betaは、Adobeのプレリリースプログラムの一部として利用できます。
準備が整うと、ModelerはSubstance 3D Designer、Painter、Stager、Sampler、および数千の3Dアセットが含まれる Substance3Dコレクションに追加されます。
各リリースビルドは60日後に失効します。ほぼ毎月リリースが行われる予定ですので、ビルドが期限切れになった場合は最新のものをダウンロードしてください。
Substance 3D Modeler Beta への参加はこちらから
インストールとアクティベーションについてはこちらのページで説明を見ることができます。
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