The Khronos Group が Vulkan 1.3 をリリース、ロードマップを公開

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2022年1月25日(現地時間) – The Khronos® Groupは、クロスプラットフォーム3DグラフィックスAPIであるVulkanおよびそのエコシステムの最新アップデートを発表しました。

Vulkanについて

Vulkanは、最新のGPUに高効率でクロスプラットフォームでアクセスするためのオープンでロイヤリティフリーのAPIです。

主要なエンジン、最先端のゲーム、要求の厳しいアプリケーションに広く採用されており、WindowsやLinuxのPC、コンソール、クラウドから、携帯電話や組み込みプラットフォームまで、さまざまなデバイスでサポートされています。

Vulkan 1.3

Vulkan 1.3は、開発者コミュニティから要求された数多くの拡張機能を慎重に選択し、仕様の新しいコアバージョンに組み込んだものとなっています。これには、ダイナミックレンダリング( dynamic rendering)、 アディショナルダイナミックステート(additional dynamic state[1][2])、改良された同期API( synchronization API)および他のさまざまな機能が含まれます。より詳しい情報はこちらのページで確認することができます。

このリリースで重要なのは、以前のリビジョンとは異なり、Vulkan 1.3 に追加されたどの機能もオプションではなく、この新しい API バージョンのすべての実装で一貫して利用できることを保証していることです。

Vulkanの進化についてVulkan Working Group議長でArmの特別エンジニアであるTom Olson氏は次のように述べています。

「Vulkanの進化の新たな段階において、Vulkan Working Groupは、エコシステム全体の断片化を減らし、信頼できるクロスプラットフォームGPU APIとして業界におけるVulkanの価値を高めるための重要なステップを踏んでいます。我々は、幅広いデバイスに移植可能な新しいコアバージョンでVulkan APIを改善しながら、新しいハードウェア機能を拡張機能として公開し続けています。そして今、Vulkanロードマップによって、我々は、Vulkanの主要な市場に最も貢献するベースライン機能プロファイルについて業界の合意を得るために、透明性とコミュニケーションの強化に取り組んでいます」

Vulkan Roadmap 2022

Vulkan Roadmap 2022は、主要な市場で共通の機能ベースラインを提供するために、選択した拡張機能のサポートを統合することを目的としており、最初のマイルストーンとされています。

スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンソール、デスクトッププラットフォーム向けのミッドエンドからハイエンドのデバイスを積極的に開発しているすべてのVulkan Working Groupハードウェアベンダーは、2022年に出荷するいくつかの製品からこのマイルストーンのサポートに取り組んでいます。

Vulkan Roadmap 2022 の詳細についてはこちらから

Vulkan Profiles

新しい Vulkan プロファイル機構は、API 機能のセットを正確に指定および管理することを可能にします。各プロファイルは、Vulkan のコアバージョンと必要な拡張機能のセットを指定し、サポートされる制限、機能、および形式を示します。プロファイルは、Vulkanエコシステムの参加者間で機能要件とデバイスの能力を正確に伝達する方法を提供し、ポータブルアプリケーションの開発とデプロイメントを効率化します。

Googleは、サポート切れでドライバの更新を定期的に受けていないデバイスを含む、Androidエコシステムのアクティブなデバイスの大部分でサポートされているVulkan 1.0以降の機能セットを宣伝するために、 Android Baseline 2021 Profile を開発、リリースしています。

Vulkan Roadmap 2022 Profileは、現在Vulkan 1.3仕様に記載されているVulkanロードマップの最初のマイルストーンをエンコードし、2月中旬にVulkan SDKとともにリリースされる予定となっています。

業界のサポート

●AMDのソフトウェア開発担当上級副社長であるAndrej Zdravkovic氏は、次のように述べています。

AMDは、すべてのAMD Radeon™ RX VegaシリーズおよびAMD RDNA™アーキテクチャ対応グラフィックスカードにおいて、Vulkan 1.3およびVulkan Roadmap 2022プロファイルの両方をサポートする見込みであることを発表します。AMD Radeon Softwareのベータドライバーは本日より開発者向けに提供されており、最終ドライバーでのサポートは今後数カ月のうちに行われる予定です。

Vulkanワーキング・グループが主導してデバイス間のハードウェア機能を標準化したことは、主要市場において開発者に一貫したサポートを提供するための重要なステップであり、これは最終的に開発者とエンドユーザーの体験の向上につながると信じています。

●Armのクライアントビジネス部門エコシステム&エンジニアリング担当シニアディレクターのGeraint North氏は次のように述べています。

「Vulkan 1.3仕様のリリースは、重要なマイルストーンとなります。Khronos規格の最新版は、Vulkanプロファイルの導入など、開発者のエクスペリエンスを向上させるための機能強化をもたらし、開発者がプラットフォームの能力を理解し、より幅広いデバイスをターゲットにすることをよりシンプルにします。Armは、次世代の魅力的なオンデバイス体験を実現するためのツールと技術を開発者に提供することを約束し、当社のMali GPUでVulkan 1.3とRoadmap 2022プロファイルをサポートします」

●Google StadiaのシニアスタッフテクニカルソリューションエンジニアであるHai Nguyen氏は、次のように述べています。

「Vulkan 1.3とRoadmap 2022マイルストーンは、レンダーパスとフレームバッファオブジェクトを不要にするダイナミックレンダリングなど、開発者にとって歓迎すべき多くのQoL向上をもたらします。Stadiaでこれらの改善を利用できるようになることを楽しみにしています」

●Holochip社のCEOであるRobert Batchko氏は次のように述べています。

「Holochipは、米軍向けのライトフィールドおよびAR飛行訓練とシミュレーション技術を開発しており、既存のNAVAIR訓練環境に新しい表示機能を組み込んでいます。Vulkan 1.3仕様は、次世代ディスプレイデバイスの幅広い採用を可能にします。Vulkan 1.3仕様は、軍事シミュレーション環境が商用レンダリング市場の技術的進歩の恩恵を受けるための道を開くものです。これらの進歩は、訓練の効果向上とコスト削減につながり、戦場でのリスクを安全に軽減する能力を向上させるでしょう」

●NVIDIAのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるDwight Diercks氏は次のように述べています。

「NVIDIAは、Vulkanの長年のサポーターとして、Windows 10と11の両方、およびUbuntu、Kylin、RHELなどの人気のディストリビューションを含むLinuxでRoadmap 2022マイルストーンをサポートするフル機能のVulkan 1.3ドライバーを直ちに提供しています。NVIDIAは、当社のJetson組み込みコンピューティングプラットフォーム向けに、適合するVulkan 1.3ドライバも用意しています」

「当社のNsight GraphicsおよびNsight Systemsツールは、Vulkan 1.3をサポートするように更新されており、開発者がVulkanゲームやアプリケーションを構築し最適化するための深いサポートと堅牢な環境を提供しています。」Nvidia Vulkan ページへ


Khronos Strengthens Vulkan Ecosystem with Release of Vulkan 1.3, Public Roadmap and ProfilesVulkan® 1.3 specificationVulkanウェブサイトへ

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