2022年1月25日(現地時間)- Unity は、高度なシミュレーションとデフォーメーション、機械学習、およびリアルタイムキャラクター制作の分野で業界をリードする Ziva Dynamics の買収を発表しました。
Ziva Dynamics について
Ziva Dynamicsは、アカデミー賞受賞者のJames JacobsとUSC教授/TR35受賞者のJernej Barbic博士らによって2015年に設立されました。
Ziva の提供するツールセットは、リアルタイム表現やゲームで使われる、デフォーメーションとシミュレーションのための代表的なアーティスト向けツールとして、高品質なクリーチャー表現の新しいスタンダードとなっており、Ninja Theory の『Senua’s Saga: Hellblade II』や、『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ゴジラvsコング』など多くの映画作品・テレビ向けの作品に使用されています。
Ziva VFX
同社の主力ソフトウェアである Ziva VFX は、筋肉、脂肪、皮膚などの軟組織の物理的特性と物質的特性をデジタルで再現し、それらを組み合わせるために使用され、アーティストがまるで生きているような CGI キャラクターを作り出すことを可能にします。
このテクノロジーは、エンジニアリングとバイオメカニクスの最先端の手法に基づいて構築されていますが、Ziva はこれらの複雑なプロセスを、作品を組み立てる複雑さを最小限に抑えた親しみやすいアーティストツールとすることに成功しました。
Ziva のシミュレーションデータは、ゲームエンジン内の非線形なでフォーメーションの挙動を正確に再現するために設計された ZivaRT を使って、あらゆる種類のクリーチャーやキャラクターをリアルタイム環境で動作するように学習させることができます。
ZivaRT の多層古典的機械学習モデルでは、学習のための入力の制約を尊重しながら、予測可能な実行時間と軽量なメモリ割り当てを実現しています。
ZRT Face Trainer
また最近では、機械学習を使用した リアルタイム フェイス パイプライン ZRT Face Trainer を発表しました。これは、静的なフェイスメッシュを、複雑な表情が可能な高性能でリアルタイムなフェイスパペットに変えるクラウドベースの実験的なテクノロジーです。
今回の発表動画は、このテクノロジーを使用してZiva が自ら作り出したデジタルヒューマン Emma によって行われています。
Emma は、最先端の機械学習を駆使し、Unity でリアルタイムに動作しています。彼女のモデルは ZRT トレーナーを使って 30 テラバイト以上のユニークな 4D データにより学習されたもので、これを使って 72,000 以上の学習済み形状からさまざまな表情を生み出したり、あるいはまったく新しい顔のポーズを取ったりすることを可能にしています。
現在、ZRT Face Trainer の使用は一部のユーザーに制限されていますが、まもなくこの技術にあらゆるレベルのアーティストやクリエイターがアクセスできるようになるようです。
Unity が Ziva Dynamics を買収
Unity は Ziva を買収することで、「Ziva のクラス最高のツールの民主化を進め、スキルレベルに関係なくアーティストがこれまでにないデジタルキャラクターを簡単かつ迅速に作成できる環境を整えることを目指す」としています。
Ziva は、複雑な映画品質のシミュレーションをリアルタイム 3D 化する課題をすでに解決しており、Unity は機械学習の力で、クラウドを通じて Weta のツールをリアルタイム 3D 化するプロセスも加速することができます。
またUnityは「私たちは、さまざまなプラットフォームで、またさまざまなアーティストが、まるで本物のように見えるデジタルキャラクターを大量に制作できるようにすることを目指しています。 」とも述べています。
さらに、Ziva のエグゼクティブチームにはアカデミー科学技術賞の受賞者や、VFX、物理、デフォーメーション、機械学習の専門家などがそろっており、今回の買収でUnity は業界でも優秀な人材を獲得したことにもなります。
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