2021年11月16日(現地時間)Chaos Czech は、2022年にリリースされる Corona 8 の新機能スニークピークの公開やライセンス、ロゴの変更について発表をしました。
Chaosのエコシステムに統合
4年前に
Chaos Group に買収されてから、ChaosのエコシステムにCoronaを統合するプロジェクトが開始されました。
2022年初頭にリリースされる予定となっているCorona Renderer 8では、この統合の一環として、Chaos Cosmos(スマート3Dアセットのライブラリ)が搭載されます。その後、Chaos CloudとChaos Scansのサポート、の最新の追加機能である散乱ツール(Chaos Scatter)が追加されることとなります。
Chaos Scatter
3年間の開発期間を経て、このプラグイン(以前はScatter Proと呼ばれていました)はCoronaバージョン8でリリースされる準備が整いました。
このプラグインは、3ds MaxとCinema4D用のすべてのCoronaインストールに含まれ、Corona Scatterを完全に置き換えることになります。Corona Scatterと比べて、フル機能を備えたプロダクション向けのスキャッタリングソリューションです。主な新機能は以下の通りです。
- 勾配の制限(崖から木が生えてくることはありません。)
- スプライン(クローズドまたはオープン)による Include/exclude
- サーフェスカラーマップ(ラグのパターンなど)
- ビューポート表示の改善
- カメラの視野内でのみ散乱を制限(frustum culling)
- などなど
Chaos Cosmos
Chaos Cosmosは、CORONAプロジェクトでシームレスに動作する何百もの高品質なモデル、マテリアル、HDRIスカイへのアクセスを提供します。
統合されたChaos Cosmosブラウザからアクセスでき、必要なアセットをすぐに見つけて使用することができます。そして何より、アセットのリストは常に増え続けます。Chaos Cosmosについては以下の記事をご覧ください。
https://cginterest.com/2021/02/24/v-ray%e3%82%84chaos-vantage%e3%81%a7%e4%bd%bf%e7%94%a8%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%82%8b%e7%84%a1%e6%96%993d%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%86%e3%83%b3%e3%83%84%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%96%e3%83%a9%e3%83%aa-chaos-co/
新しいロゴと名前
今年の初めに、Chaosは新しいロゴと製品の新しい名前でリブランドしましたが、Corona 8 でのエコシステムへの統合を待って、これが適用されます。新しいロゴは以下のようになります。
統合による価格について
以上の新しいエコシステム機能は、すべてのCoronaサブスクリプションの基本料金に含まれ、Chaos Scatterやアセットライブラリへのアクセスに追加料金はかからないようです。
代わりに以下のように、短期的な価格とレンダーノードの価格が調整されます。
価格とサブスクリプションの調整
Corona Rendererの価格は、2015年に販売を開始して以来一度も上げられておらず、今後も同じ価格水準が維持されます。
今回の価格の調整は、価格設定がオプションが多すぎて複雑であったこと、ロイヤルユーザーに報いる方法がなかったこと、レンダーノードを不釣り合いなほど低価格で提供していたことなどを解消するものとなっています。
なので、すべての既存のサブスクリプション(月額および年額)は変更もなく継続されます。サブスクリプションは、有効である限り、同じ条件で継続され、Chaos Scatter、Chaos Cosmosなどの新しい追加機能も含まれます。
より安価な年間ライセンスとより高価な月間ライセンス
価格は6年間同じ価格でしたが、Corona 8以降は、レンダーノードを使用しない場合、年間ライセンスが290ユーロ(330ドル)から280ユーロ(310ドル)となり、若干安くなりました。一方、月額ライセンスの価格が25ユーロ(28.50ドル)から40ユーロ(45ドル)に変更されます。
この変更の第1の理由は、開発やビジネスの運営にかかるコストの上昇を相殺する必要があるからとされています。現在のCoronaは、5年前に比べてはるかに複雑で、維持・開発にはより多くの労力を必要とします(例として、Corona 1.0のソースコードは10万行でしたが、現在は835 000行になっています)。同時に、プラハではC++開発者の初任給が約2倍になり、その他のコストも増加しました。
第2の理由は、月々のライセンスでは、支払いカードによる再請求の際に、より多くの問題が発生する傾向があるということです。今回の変更により、新規のユーザーに年間ライセンスを選んでいただけるようにしたいと考えられています。
レンダーノードを別売りに
遠隔測定データによると、90%以上のCORONAユーザーがレンダーノードをアクティブにしておらず、レンダーノードの使用はほとんどが少数の大手企業によるものです。
このような状況の中、GUIライセンスとレンダーノードのバンドルは、3つの異なるサブスクリプションプランに2つの課金頻度を掛け合わせた複雑なものとなり、レンダーノードを使用しない小規模なプロダクションパイプラインを実行しているユーザーは、実際にはレンダーノードを使用する大企業のコストを補助していることになります。
これを解決するために、レンダーノードをCoronaにバンドルするのをやめて、別売りになります。予定されている価格は以下の通りです。
- 1ノード:年間100€($ 110)、または月額36€($ 40)
- 5ノード:8%割引
- 10ノード:18%割引
- 20ノード:30%割引
- 50ノード:40%割引
- 100ノード:60%割引
これにより、社内にレンダーファームを持つ大規模なプロダクションと、レンダーファームを持たないフリーランスとの間で価格差を設けることができ、より公平な価格設定となります。また、使用しているコンピュータの数に応じて、使用した分だけ支払うことになり、コンピュータの使用量を任意の段階に合わせる必要がなくなります。
また、Coronaの基本サブスクリプションは、これまで通りネットワークレンダリングに使用することができます。
その他の変更
- ボックスライセンス:5年間の販売実績によると、Boxライセンスを購入される方はほんの一握り(数パーセント)であることが判明したため、Boxライセンスの詳細はウェブサイトから削除され、購入プロセスが合理化されます。なお、サブスクリプションソフトウェアの購入を禁止している組織の方は、これまでと同様に購入することができます。
- 学生用ライセンス:学生用ライセンスの価格は年間40ユーロ(45ドル)に引き上げられ、月額ライセンス1本分のコストと同等になります。
Coronaの新価格のまとめ
既存のサブスクリプション
- 価格、条件、バンドルされているレンダーノードは同じままです。
- Chaos ScatterとChaos Cosmosが追加されます。
新しいCorona GUIライセンス
- Chaos ScatterとChaos Cosmosが含まれます。
- 追加のレンダーノードは提供されません。
- 新しい年間コスト: 280 ユーロ (310ドル)。
- 新規月額費用: 40 ユーロ (45ドル)。
- 新規学生料金:年間40ユーロ(45ドル)。
追加のレンダーノードは別途購入する必要があります。
- 年間で 100 ユーロ ($110)
- 毎月 36 ユーロ ($40)
- 複数のレンダーノードをセットにしたお得なパックもあります。
新しいライセンスバックエンド
Corona 8以降では、Chaosと同じライセンスシステム(licensing implementation)が使用されます。これは、テストする時間を確保するために、Corona 8の次期デイリービルドに搭載されます。それ以前のバージョンのCoronaは、しばらくの間(Corona 8のリリース後も含む)、古いライセンスシステムが使用されます。これは次のことを意味します。
- 1つのアカウントで、他のすべてのChaos製品(Chaos V-Ray、Chaos Phoenix、Chaos Scatter、Cosmos、Scansなど)へのアクセスができます。
- 将来的には、アカウントにCorona用のChaos Cloudアクセスを簡単に追加することができます。
- より先進的でメンテナンスの行き届いたChaos Licensing Serverにより、ライセンスをより適切にコントロールすることができます。メンテナンス性の低いCorona Licensing Serverは廃止されます。
- 受信する電子メールをより詳細に制御できるようになります。例えば、3ds Maxのみを使用している場合、Cinema 4Dの新リリースの通知を受ける必要はありません。
- また、開発にもメリットがあります。ライセンス、購入、注文の処理が非常に簡単になるので、CORONA自体により多くの時間を費やすことができます。
Corona 8 Sneak Peek
Corona 8に搭載される新機能、デカール、トーンマッピング、Cryptomatteのサポート、Curvatureマップ、Slicer/Clipper、リフレクションテールパラメーターなどが公開されました。
デカール (デイリービルドに搭載)
Corona 8のデイリービルドでデカールを使用している様子を、次の動画で確認することができます。
デカールは、シーンに追加するオブジェクトで、マテリアルを適用し、他のジオメトリと交差するように移動させると、そのジオメトリにデカールが適用されます。デカールはビューポートに表示されているので、簡単に調整することができ、デカールを移動、拡大縮小、回転させて、受信オブジェクトにデカールを合わせることができます。
マテリアルを調整したり、デカールを受け入れるためのチェックボックスを有効にしたりする必要はなく、デカールオブジェクトをドラッグしてオーバーラップさせるだけです。受け取ったオブジェクトにマテリアルを投影するだけでなく、デカールは変位も投影するので、道路にマンホールの蓋などを簡単に追加することができます。デカールはモーションブラーにも正しく対応します。
また、2022年前半には、デカール用のプリセットがChaos Cosmosに追加される予定となっており、コンテンツをすぐに入手することができます。
トーンマッピング
トーンマッピングには、レンダリングの見た目を変更するための新しいオペレータのいくつかと、ポストプロセス効果の順序などが柔軟になる新しいUIが搭載される予定です。
Cryptomatteサポート
アンチエイリアス、モーションブラー、被写界深度などを考慮したマスクを正確に作成できるようになり、ポストプロセスがこれまで以上に簡単になります。
Curvature Map
以下は、 CurvatureマップとAOマップとの比較です。どちらもエッジに磨耗や損傷を加えるのに使用できます。
Slicer/Clipper
この機能は、車の内装やエンジンを外から見られるようにカットして見せたい、壁を切り取って部屋の中を見せたい時に使用することができます。スライサーマテリアルをRayswitchに使用することで、GIを保ち、インテリアの照明を保持することができます。
リフレクションテール(デイリービルドに搭載)
反射の詳細パラメータでは、リフレクションテール(Reflection Tail)を上げて、反射ピークの外側でより強い反射を得ることができます。
「Tail」の値を高くすると、反射がよりソフトで分散した外観になるということです。「Roughness」を上げるのと似ていますが、結果は非常に異なり、金属に「depth」を与えるソフトな外観になります。
下の画像比較では、反射の調整に「Tail」(左)と「Roughness」(右)を使用した場合の違いを示しています。「Roughness」では反射全体がぼやけますが、「Tail」では反射全体のぼやけが少なく、ハイライトも同じように影響を受けます。
Apple M1マシンでのCorona(デイリービルドに搭載)
Rosetta上でCoronaを動作させた場合と比較して、45~50%の速度向上が見られます。
Cinema 4Dにおける環境のためのドームマッピング(デイリービルドに搭載)
自動車のビジュアライゼーションや製品のレンダリングなどに最適なこのモードでは、カメラを動かしても3Dオブジェクトが環境マップの中で「固定」されます。このモードはデイリービルドで試すことができ、以下の動画でも確認できます。
Chaos Cosmos
以下は、Corona for Cinema 4Dを使ったCosmos機能の初期のデモ動画となります。
以上です。すでにデイリービルドで利用できるものもあります。
デイリービルドのダウンロードはこちらから(3dsMax / Cinema4D)
また、ロードマップは次のリンクから確認できます。(3dsMax / Cinema4D)
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