Reallusionは、同社の3Dアニメーションソフトウェアとアニメーション、ゲーム、AR/VRのための3Dキャラクター作成ソフトウェアの次期メジャーアップデートとなる iClone 8 と Character Creator 4 の情報を公開しました。
正式なリリースは2022年春になるようです。現在公開されている変更点や新機能などを紹介したいと思います。
製品ポートフォリオがシンプルに
次のメジャーアップデートからReallusionは、iClone 8とCharacter Creator 4がそれぞれ独立して動作し、かつシームレスな互換性を持つように製品ポートフォリオを簡素化します。これにより次のような変更があります。
- iClone 8は、パイプラインバージョンのみになります。FBX、OBJなどをエクスポートするために、追加のプラグイン3DXchangeは必要なくなります。
- 3DXchangeは廃止されます。関連するすべての機能は、iClone8またはCharacterCreator4に統合されます。
- iClone 8:iClone 8にインポートされたモーションFBXファイルは、標準のCCキャラクターまたは非標準のキャラクターに自動的に再ターゲットできます。
- Character Creator 4:上記のキャラクタライズ機能の他に、CC4では、任意のオブジェクトをインポートし、メッシュ要素をサブノードまで編集し、オブジェクトを小道具、アクセサリー、服、髪、靴などに簡単に変換できます。
- iClone 8では、追加購入なしでカーブエディター機能が搭載され、エンドエフェクターのアニメーションやフェイシャルアニメーションのカーブが追加されます。
- Character Creator 4はパイプライン版のみになり、iClone 8ユーザー向けの無料版はなくなります。
3DXchangeは、スタティックオブジェクト、動きを付けたプロップ、スキンボーン付きリグ済みキャラクター、そしてモーションファイルを含む、あらゆるタイプの 3D アセットのインポートとエクスポートができるようなる iClone のプラグインです。iCloneで外部ツールと連携するためには、このプラグインが必須で追加購入が必要でしたが、iClone 8とCharacter Creator 4では、このプラグインが統合されます。
また、この変更にともない次のように価格が変更されるようです
- CC3 → CC4:199ドル → 299ドル
- iC7 + 3Dxchange + curve editor (iC7) → iC8:698ドル(199ドル) → 599ドル
iClone 8 新機能
iClone 8では、Motion Directorによるゲーム感覚の操作性と、アニメーションレイヤーの編集、双方向ブレンド、インタラクティブな動きのためのリーチターゲットオフセット、エンドエフェクタの編集などの強力な編集機能により、キャラクターアニメーション機能が強化されます。
さらに、RTX GPUベースのパストレースレンダリングエンジンであるNVIDIA Omniverseに接続することができるようになり、共同デザインプロジェクトのためのUSD(Universal Scene Description)データアーキテクチャをサポートします。
詳しくは以下のような新機能があります。
Motion Director – Play to Animate
新しいMotion Directorシステムでは、ゲーム感覚でキャラクターを動かしたり、モーショントリガーを適用したり、ダイナミックカメラでリアルタイムにシーンを演出することができます。
モーションベースの革新的な技術
iClone 8は、シンプルで直感的な操作性を保ちながら、以下のような編集機能を提供します。
■Auto Motion Alignment
1つのモーションから別のモーションへとスムーズに移行することができます。
■Motion Direction Control
トランスフォームギズモを使って、モーションクリップのトランジション時にキャラクターの方向や位置を直接調整できます。
■Bi-directional Blending for Smooth Clip Transition
大きく異なるモーションクリップをシームレスにブレンドし、より自然な順序でのトランジションを実現します。
■Motion Blending
前述の3つの機能を実用化したものです。動画の中のキャラクターは、歩いている状態からカメラを構えている状態に自動的に移行します。クリーンアップの段階で、モーションをトリミングして合わせることで、スムーズにつながった1つのモーションを作ることができます。
■Auto-extend Looping Animation
腰の動きを自動的に延長し、ポジションマッチングを行います。
■Multiple Animation Layer Editing
ムーブメントは骨盤を調整する機能を備えたヒップでピボットされます。レイヤーを何枚でも追加できるので柔軟性が高く、モーションのあらゆる側面を自由に検査できるので管理が簡単です。
■Mirror Motion
モーションチェイニングの際に、モーションピボットの位置がずれてしまった場合に役立ちます。
■New Control Rig
見た目を一新し、コントロールの幅を広げることで操作性が向上しました。
■End Effector
プロフェッショナルなハンドキーモーションやノンリアリスティックなアニメーション制作のために設計されています。
■Reach Target Editing for Interactive Motion
リーチオフセット、オフセットレイヤキートランジションの作成、ダミーの作成にも対応しています
■Motion Correction
リーチターゲットは、伸びすぎを防ぎ、ロックされたエフェクターの持続時間を決定し、スリップを防ぐのに有効です。
■Curve Editor
カーブエディターは、HIKエフェクターにも対応しており、足が滑る、歩き方がおかしい、歩調がおかしいなどのアニメーションの修正に役立ちます。
■Motion Pipeline
どんなFBXモーションデータフォーマットにも対応しているので、モーションデータのプラットフォームの壁が大きく取り払われ、すべてのモーションデータに互換性があります。ドラッグ&ドロップで使用できます。
リアルタイムビジュアルの強化
リアルタイムレンダリング機能は、以下のアップデートにより強化されます。
■ボリューメトリックライト
ボリューメトリックライト。ディレクショナルライト、スポットライト、ポイントライトに可視ボリュームが追加されました。ライトは照らすだけでなく、シーンに雰囲気を与えることもできます。
■ライトの強化
ライトとシャドウの強さのマルチプライヤーにより、柔軟性が向上。
■レンズフレア
映画のような様々な照明効果を素早く適用し、視覚的な緊張感を与えます。
■ミラーリフレクション
不透明度やぼかしなど、さまざまなコントロールでリアルな鏡面反射をシミュレートできます。
■モーションブラー
動きの速い物体のブラーは、映画やアニメーションでよく使われる手法です。ぼかしの強さやフレームブレンド効果の調整も可能です。
パフォーマンスと生産性
iClone 8のソフトウェアアーキテクチャは最適化され、大規模なプロジェクトに対応するため次のような新機能が導入されます。
- スキンボーン・キャラクター・アニメーションのGPU計算をサポート。
- 非表示のオブジェクトはバックグラウンドで処理されません。
- オブジェクトの分離をサポート – 選択したオブジェクトを素早く分離して編集することができます。
また、iCloneはプロ向けのアニメーション制作ツールとして知られていますが、基本的な機能が不足していました。iClone 8では、ユーザーの生産性を向上させるために次のような機能が追加されます。
- バーチャルプロダクションのための柔軟なフレームレート:任意のフレームレートでのエクスポート、フレーム精度の高いビデオ合成、マッチムーブ。
- プロジェクトのマージ:異なるプロジェクト間でオブジェクトをマージすることで、コラボレーションを促進し、既存のプロジェクトでの作業を容易にします。
- コレクションマネージャー:シーンマネージャー内のオブジェクトを自由に分類することができ、ユーザーは定義されたグループの表示/非表示を素早く簡単に行うことができます。
- ホットキーマネージャーの追加。
- カメラのデバイスマッピングとオブジェクトベーストランスフォーム(R.T.S.)
NVIDIA Omniverseによるリアルタイム/パス・トレース・レンダー
iClone 8とCharacter Creator 4は、RTX GPUベースのパス・トレース・レンダー・エンジンであるNVIDIA Omniverseに接続することができます。これにより、ユーザーはiC8とCC4から直接、商業品質のビジュアルを生成することができるようになります。
iC8とCC4を購入すると、Omniverse Connectorに無料でアクセスでき、早期体験のために予備バージョンが提供されます。
iClone 7とiClone 8の機能比較の確認はこちらから
iClone 8 New Features Introduction
Character Creator 4 新機能
Character Creator 4でのキャラクター作成は、既存のキャラクターベースに制限されなくなります。また、リギングされたどんなキャラクターでもインポートし、特徴付けし、最適化することができます。
キャラクターは、iCloneとの完全な互換性を持ち、リップシンク、フェイシャル/ボディ・アニメーションに対応するほか、ActorCoreによるMocap・アニメーションにも対応し、制作時間を短縮することができます。キャラクターの個性を表現するために、Character Creator 4は、表情モーフのカスタマイズに対応しており、生き生きとしたユニークな表情を作り出すことができます。
さらに、しゃべり方やボディのアニメーション、布や髪の毛の物理特性、バネのダイナミクス、アニメーションのプレビューなどを直接確認することができます。
詳しくは以下のような新機能があります。
キャラクターリグを強化
何千ものActorCoreのモーキャップモーションに加え、iCloneのフェイシャル、ボディアニメーションシステムのサポートにより、キャラクターを素早くアニメーション化することができます。
リグされた二足歩行のヒューマノイドキャラクターをインポートして、ノンスタンダードキャラクターに変換したり、リグされたモデルをノンヒューマンキャラクターに変換したりすることが可能です。
■HumanIKリグで非標準キャラクタを作成
二足歩行のキャラクタ リグをインポートすると、ボディ アニメーション用の HIK システムと互換性のあるボーンをマッピングして、キャラクタを特徴付けることができます。
■カスタムフェイシャルブレンドシェイプを非標準的なキャラクタに導入
組み込みのフェイシャルシステムにカスタムブレンドシェイプが導入されます。
■スプリングダイナミクス設定
キャラクターのパーツをスプリングボーンとして定義することが可能です。
■標準プロファイルのキャラクターを自動インポート
インポートされたFBXが標準プロファイル(Daz G3/G4、Maximo、Maya HIK、3ds Max Biped、Blender Human Meta Rig、Unreal UE4など)に属している場合、Character Creator 4はそのファイルを検出し、マッピングされたボーンとアクティブ化されたHIKを持つノンスタンダードキャラクターに自動的に変換します。
■カスタムボーンを使ったノンヒューマンキャラクターの作成
カスタムボーンを持つオブジェクトもCharacter Creatorにインポートして、ポーズの編集、スプリングボーンの定義、スキンウェイトの改良、カスタムモーションの適用を行い、プレビューすることができます。
アニメーションのプレビュー、表示、レンダリング
プリセットモーションには、男性、女性、中性、子供用にカスタマイズされたフェイシャルとボディのモーションが含まれています。また、各プリセットモーションには、観察しやすいように様々なカメラアングルが用意されています。
高度なフェイシャルパフォーマンス
140以上のブレンドシェイプを含む高度な表情セットが用意されており、CC3+キャラクターに本格的な表情を与えることができます。
- 最適化されたベースレベルコントロール(顔のコントロール、鼻と頬の動き、唇と耳のオプション)
- 高度な目、瞳、まつげのコントロール(眼球の回転、目の拡大、目の瞬きのしわのライン、瞳のサイズ)
- 高度なマウス&リップ・コントロール(リップロールイン&アウト、プッシュ&パッカー、非対称コントロール・クワドラント)
カスタム表情ブレンドシェイプ
キャラクターモデルをスカルプトツールにエクスポートし、その結果をCharacter Creator 4でカスタマイズされた表情ブレンドシェープとして更新することができます。ZBrushユーザーの場合は、GoZ機能を使ってモデルを送信し、結果のモーフを効率的に更新することができます。
アセットのインポート、プロップの編集、InstaLODによる最適化
Character Creator 4は、あらゆるメッシュデータのインポートに対応しています。シーンマネージャには、シーン内のオブジェクトだけでなく、子ノードや各オブジェクトのメッシュデータも表示されます。ユーザーは以下のことができます。
- メッシュをサブアイテムに変換して整理する(ノードとしてグループ化するか、コンテンツとして単一のメッシュにする)。
- ノードやメッシュをアクセサリーや洋服、髪型などのコンテンツに変換
- メッシュの編集
- InstaLODを使用したメッシュとマテリアルの最適化
- ボーンの取り付け、取り外し
- プロップの結合
- 選択したアイテムをOBJでエクスポート
■キャラクターアセットのバッチインポート
マルチメッシュモデルをインポートし、メッシュを再編成し、メッシュを複数の再利用可能なアセットに変換できます。
■独立したアクセサリーとしてのオブジェクトの持ち込み
外部ソースをインポートしてプロップを作成します。インポートされたメッシュはすべて編集可能で、各サブプロップは独立したアクセサリーとして、自由に着脱してさまざまな組み合わせを作ることができます。
■iClone 8で柔軟にプロップを設定
プロップの作成には2つの方法があります。1つは、全体としてインポートし、モーションレイヤーを編集することでアニメーションさせる方法。
もう一つの方法は、オブジェクトをインポートする際に、メッシュをサブプロップに分割する方法です。そうすれば、トランスフォーム機能を使って各サブプロップを個別にアニメーションさせることができるだけでなく、iClone 8でコンストレイントを簡単に追加して、リアルなアニメーションを実現することができます。
その他の機能強化
■Smart Human Skin Color
ブレンドマップの色を調整したり、簡単に色を適用したりすることで、肌の色をすばやく変更できます。一般的なデフォルトカラーも用意されています。この機能は、スキンレイヤリング・編集ツールであるSkinGenでも実現可能です。
■群衆レンダリング用のActorBUILDキャラクターの作成
標準のCCキャラクターを ActorBUILD キャラクターに変換して、群集レンダリングに使用することができます。
Character Creator 4 New Features Introduction
年末先行販売キャンペーン
今回の情報公開に合わせて、年末の先行販売キャンペーンが開催されています。
キャンペーン概要
このキャンペーンは、期間中ソフトストアとコンテンツストアの累計購入金額によってCC4 / iC8 と新バージョンに対応したプラグインの無料アップグレードがもらえるというものです。詳しくは以下のようになります。
■期間:2021 年 11 月 1 日から 2021 年 12 月 31 日 23 時 59 分 (UTC) まで
■対象:2021 年末特典プロモーション期間中に Reallusion オンラインソフトウェアストアおよび Reallusion オンラインコンテンツストアでの累積購入額が 399 ドル以上になれば、iC8 と CC4 の先行販売キャンペーンの対象となります。
- 399 ドル 以上お買い上げの方には、Character Creator 4 (299ドル) を無料で提供します。
- 699 ドル以上お買い上げの方には、iClone 8 (599ドル) または Character Creator 4 (299ドル) を無料で提供します。
- 799 ドル以上お買い上げの方には、iClone 8 と Character Creator 4 の両方 (898ドル) を無料で提供します。
製品 | 先行販売キャンペーン | 通常価格 | アップグレード価格 |
CC4 | ご購入額 399 ドル以上:CC4 を無料贈呈 | $299 | $249 |
iC8 | ご購入額 699 ドル以上:iC8 を無料贈呈 | $599 | $499 |
CC4 + iC8 | ご購入額 799 ドル以上:CC4 + iC8 を無料贈呈 | $699 | $599 |
2022年春に引き続き同様のキャンペーンが行われるようですが、今購入すると既存ユーザーへの年末期間限定のホリデーギフト (価値: $240) がもらえるのでお得とのことです。
期間中の累計購入額はこちらから確認することが可能です。
キャンペーンのより詳しい情報はこちらから
また、以前からかもしれませんが、キャンペーンと並行してiClone 7、Character Creator 3 Pipelineのセールや会員限定のオファーがあるようです。詳しくは価格ページへ
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