2021年11月1日 JangaFXは、ボリューメトリック流体シミュレーションソフトウェアの最新アップデート EmberGen 0.7.5 をリリースしました。
今回のリリースには、1年の開発期間と100万ドル以上の開発費がかかっており、10人ほどの新しいスタッフを雇い開発を進めたことで、これまでで最大のリリースとなったとのことです。
EmberGen 0.7.5
新機能ハイライト
この最新リリースでは、インターフェイス全体を刷新、ビルトインのレンダラーを大幅に改良、シミュレーションには大きな変更が加えられ、さらに多くの機能が追加されています。
- 再設計されたUI
- 新しいレンダラー
- アニメーションFBXとAlembicのサポート
- FBXによるアニメーションカメラのサポート
- バックプレートのサポート
- フリップブックやイメージシーケンスの書き出し時のカラー背景に対応
- タイムラインのカーブエディタ
- ボリュームノードのモジュレーションでデータを変更する機能
- UI全体に検索バーを配置
- カメラコントロールのための新しいユーザー設定+ペンとタブレットのサポート
新機能と変更
1年間の開発期間を経ておりすべてはリストアップすることができないとのことですが、主な変更点は以下の通りとなります。
■シーンビューポート
- ビューポートのコントロールとビジュアライゼーション – 新しいギズモ、マニピュレーター、そしてビジュアライザーが追加されました。これらのギズモやビジュアライザーによって、シーンをより直感的に操作できます。
- マウス、キーボード、またはタブレットを使って、より直感的にカメラを操作できるようになりました。
- カメラノードを選択すると、カメラには専用のギズモとビジュアライザがビューポートに直接表示されます。
- 「Render」と「Export」のタブでは、プレビュー、クロッピング、エクスポートの結果を確認できます。
- エクスポート可能なさまざまなコンポーネントを確認する必要がある場合、ビューポートで直接プレビューできます。
- また、ビューポートの品質とエクスポートの品質が別々に設定できるようになったので、ビューポートの設定を下げることで、少しでもパフォーマンスを向上させることができます。
■ノードグラフ
- ノード情報ウィンドウに新しいタブシステムが追加され、シミュレーションの作成が容易になりました。
- 接続をダブルクリックして削除、選択したノードをCTRL + Lで自動リンクする機能、自動整理機能などの便利な機能がいくつか追加されました。
- 新しいCombine(結合)ノードは、新しいOscillator(オシレーター)ノードを介して、かなりクレイジーな結果を生み出すことができます。
- 新しいMathノードは、その名の通り… 数学です。
- 複数のノードを選択し、選択したノードに共通するパラメータを変更することで、複数のノードのパラメータを一度に編集できるようになりました。
- ノードグラフのツリービューは、ノードグラフの概要を確認することができる新しい方法です。
- ほとんどのパラメータは、タイムラインまたはノード自体の入力ピンのいずれかに公開できます。
- 新しい渦巻き(vorticles)ノードが追加され、多くのカスタマイズが可能な速度を注入できるようになりました。
■タイムライン
- 新しいタイムラインとカーブエディタで、シミュレーションとレンダリングのパラメータを簡単にアニメーションさせることができます。
- キーフレーム付きのタイムライン表示とカーブエディタを切り替えて、パラメータのアニメーションをコントロールできます。
- タイムラインには秒とフレームが表示され、自由に切り替えることができます。
- タイムラインのキーをさらにコントロールする必要がある場合は、オートキー機能を使ってキーを作成できます。
- ビューポート内のオブジェクトを移動。
- シミュレーションが一時停止しているときにタイムラインのプレイヘッドをドラッグすることで、アニメーション化されたメッシュアニメーションやバックプレートシーケンスをスクラブできるようになりました。
■ノードパラメータコントロール
- インライングラフでパラメータの詳細をコントロールできるようになりました。
- ノイズを視覚化し、変更がシミュレーションにどのように影響するかを明確に確認できます。
- 様々な情報や警告のアイコンがツールチップで表示されるようになり、迷うことはありません。
- パラメータの上限を自由に設定することができます。
- ノードの詳細を右クリックメニューで表示できるようになったので、インターフェイスでの作業の幅が広がりました。
- 新しいカラーピッカーは見栄えがよく、最近の色を復元することができます。グラデーションの保存は将来的に実現する予定です。
■設定、ホットキー、検索、お気に入りなど
- UIを全面的に刷新したことで、インターフェースの構成を見直すことができ、ワークフローを最適化したり、よく使うパラメータを簡単に見つけられるようになりました。
- Ctrl + Enterでコマンドパレットが表示されるので、必要なコマンドや設定をすぐに呼び出すことができます。
- また、よく使うパラメータをグループ化するための「お気に入り」タブが用意されており、プロジェクトファイルに保存することもできます。パラメータの横にある星形のアイコンをクリックすると、そのパラメータをお気に入りに登録できます。
- プロジェクト・ファイルについて言えば、.emberファイルをEmberGenに直接ドロップして開くことができます。
- エクスポートファイル名にユーザー変数を使用することで、エクスポートファイル名や拡張子を正確にコントロールできるようになりました。
- UIに散りばめられた検索バーは、必要なものを正確に見つけるのに非常に有効なので、ぜひ活用してください。
- 新しいプロジェクトのデフォルトとなる、ユーザー定義の「テンプレート」プロジェクトをサポートしました。
- すべての設定とホットキーオプションを確認してください。例えば、カメラコントロールをBlenderやMayaに合わせて変更することができます。
■アニメーションメッシュ、カメラ、バックプレートのインポート
- 最も要望の多かった機能の一つFBXとAlembicのアニメーションをインポートできるようになりました。
- メッシュやカメラを持ち込んで、EmberGenの中で直接合成することができます。
- シーンを適切に設定し、カメラノードを介してインポートされたバックプレートシーケンスでシミュレーションがどのように見えるかを確認することができます。
■シェーディングとレンダリングの改善
- ボリュームのポストプロセスとシェーディングを2つのノードに分離しました。
- ポイントライトやスポットライトは必要な数だけ用意できます。
- カスタムシェイプやメッシュを発光させたい場合は、colliderノードを生成して、ビジュアルタブで発光するように設定します。
- 新しいボリュームポストモジュレーション( Volume post-modulation)機能により、追加のノイズを加えたり、渦巻きを視覚化したりなど、ボリュームのレンダリング方法をさらにコントロールできるようになりました。
- 新しいビューポートビジュアライザと新しいレンダラーを組み合わせることで、シェーディングとライティングを適切に行うことが容易になりました。
- シミュレーションのパラメータやシェーディングなど、シンプル(simple)モードと高度な(advance)モードを切り替えられるようになりました。また、高度な(advance)モードではバックエンドのすべてのパラメータにアクセスすることができます。
新しいレンダラーの改良点を文章で説明するのは難しいので、実際に見ないとわからないです。ライブストリームなどの動画で確認できるかと思います。
■パーティクル
- GPU パーティクル:たくさんの小さなパーツが空中を飛び交うようなエフェクトに。
- Shape パーティクル:大きな塊や軌跡を空中に浮かべる必要がある場合に使用します。
- Burst パーティクル:爆発的な要素を必要とするシーンに。
- Shape パーティクルの衝突:パーティクルの効果をさらに高めたいときに。
■エクスポート
- VDB、EXR、PNG、TGAを含む、よりクリーンで高速なエクスポート。
- シーン全体のレンダリングから、スキャッタリングマップ(scattering maps)、シェイプホールドアウト(shape holdouts)まで、多岐にわたるSIMのエクスポート方法があります。
- フリップブックやイメージシーケンスのエクスポートの背景色を選択できるようになり、アルファブレンディングの問題を回避できるようになりました。
- VDBエクスポートはボリュームノードに独自のノードピンを持つようになりました。ボリュームノードでの変更は、VDBエクスポートにも反映されます。
EmberGen 0.7.5.5
EmberGen 0.7.5.5がリリースされました。また、ドキュメントページのアップデート、新しい研究開発中の機能の情報も合わせて紹介したいと思います。
新機能リスト
アップデートはこまめに行われていますが、0.7.5~.7.5.5の間の主要なアップデートとしては以下のようなものがあります。
- 再配置可能なUIパネル
- 20以上の新しいプリセット
- プロジェクト設定のすべてのシードのランダマイザー
- バックプレートEXR対応
- レンダリングとシミュレーションのバグ修正
- 正投影カメラモードが再実装されました
- 同種ノードのマルチエディット
- Wacomタブレット対応
- VDBのクラッシュが修正
- そして、大規模なアップデートに対応するため内部の多くの変更が行われています!
ドキュメントページの更新
ドキュメントウェブサイトが更新され、ユーザーインターフェイスの説明やノードリストなど膨大なコンテンツが追加されました。
また、現在ユーザーの声に応え、ピンポイントで簡潔なビデオチュートリアルを作成中とのことです。
GPU particle emission R&D
研究開発中のGPUパーティクルエミッションの動画が公開されました。
これは、GPUパーティクルをエミッタとして使用し、煙、火、燃料を放出する機能です。このシステムには、新しいトレイルシステム、ボリューム/パーティクルのソート、パーティクルからの放出、新しい摩擦とバウンド設定(物理)、親/子エミッターなどが含まれ、もちろんすべてリアルタイムで動作するとのことです。
以下の動画で開発中のGPUパーティクルエミッションの動作を確認することができます。
この機能は、今後数ヶ月の間にリリースされる予定となっています。
価格とシステム要件
EmberGen 0.7.5は、Windows10で利用できます。
EmberGenは、将来に追加されるツールも含まれるJangaFX Suiteの一部、または単体で購入することができます。Indie and Hobby 、Studio、Enterpriseライセンスがあり、価格はそれぞれ以下のようになります。(Enterpriseライセンスは要お問い合わせ)
■Indie and Hobby(年間100万ドル未満、または100万ドル未満の予算を持つ個人または小規模スタジオ向け)
JangaFX Suite – 29.99ドル 24.99ドル/月または、279.99ドル 249.99ドル/1年目
EmberGen単体 – 24.99ドル 19.99ドル/月または、239.99ドル 199.99ドル/1年目
■Studio(収益またはプロジェクト予算が100万ドルから1億ドルのスタジオ向け)
JangaFX Suite
- ノードロック – 179.99ドル/月または、1699.99ドル/1年目
- フローティング – 179.99ドル/月または、1699.99ドル/1年目
EmberGen単体
- ノードロック – 289.99ドル/月または、2799.99ドル/1年目
- フローティング – 239.99ドル/月または、2299.99ドル/1年目
各ライセンスには12か月間のメンテナンスが含まれます。
月額サブスクリプションで12か月連続で支払うと、永久ライセンスを取得することができ、年間サブスクリプションを購入すると、すぐに永久ライセンスが付与されます。
価格の確認、詳細はこちらから
既に EmberGen がインストールされている場合は、ソフトウェアを起動するとアップデートを促すメッセージが表示されるとのことですが、されない場合、EmberGenがインストールされていない場合は、こちらから新しいインストーラーをダウンロードできます。
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