2021年10月21日(現地時間)Lubos Lenco 氏は、3Dペイントソフトウェア ArmorPaint 0.8 デスクトップ版、iPad版、Android版をリリースしました。
ArmorPaint について
ArmorPaintは、物理ベースのテクスチャペインティングのために設計されたWindows、Linux、macOS、iPadOS、Androidで利用できるスタンドアローンソフトウェアです。3Dモデルをドラッグ&ドロップしてペイントを開始することができ、ペイントすると、ビューポートに即座にビジュアルフィードバックが表示されます。
ArmorPaintでは、ノードベースのマテリアルを使用したプロシージャルマテリアルでペイントすることができます。また、ArmorPaintは、GPU上で完全に実行されるように設計されており、最新バージョンの0.8では、Direct3D12とVulkanで動作するレイトレースレンダリングとベイク機能も実装されています。
ソフトウェアのコードはオープンソース化されており、昨年には、3D グラフィックのコミュニティのためにオープンソースの機能を強化してきた人たちを支援する Epic MegaGrant を獲得しています。
https://cginterest.com/2020/02/26/%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%b3%e3%82%bd%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%ae3d-pbr%e3%83%9a%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%88%e3%82%bd%e3%83%95%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%82%a2%e3%80%8carmorpaint%e3%80%8d/
新機能
この最新リリースでは、ArmorPaintクラウド、レイトレースレンダリングとベイク、UIの改善、デカールレイヤー、無制限のマスキング、エッジウェアマテリアルなど、多くの改良が加えられています。
また、多くの新機能が追加されていますが、今回のリリースの主な目的は、安定性、バグ修正、そしてパフォーマンスの向上とのことです。
新機能が多いのですべてではありませんが、いくつか主要な新機能を紹介したいと思います。
ArmorPaint Cloud
内蔵のオンラインアセットライブラリが利用可能になりました。UIの下部にあるBrowserタブからマテリアル、ブラシ、デカール、HDRIのライブラリにアクセスでき、ドラッグするだけで使用できます。
UIの改善
マテリアルの合成とエクスポートのための「Material」とテクスチャをベイクするための「Bake」ワークスペースが追加されました。ヘッダーバーのタブからワークスペース変更することができます。
デカールレイヤーとデカールマスク機能の追加
■非破壊のデカールレイヤーが追加されました。
デカールレイヤーでは、3Dカーソルでデカールの変形、移動、回転ができます。
■デカールマスク機能が追加
デカールをブラシマスクとして使用できるようになりました。ctrlを押しながらデカールをブラシマスクとして使用できます。Substance 3D Painter のステンシルのようにペイントすることができます。
フィルマスク機能の追加
ノードを使用して、ArmorPaintのレイヤーマスクをコントロールすることができるようになりました。
プロシージャルエッジウェア(摩耗)マテリアル
「Browser – Cloud – materials – procedural」にエッジウェア(摩耗)マテリアルが追加されました。マテリアルをドラッグアンドドロップするだけで使用することができ、ノードでコントロールすることができます。
ブラシノードの強化
ブラシノードに新しい機能が追加され、ブラシ表現の幅が広がりました。以下の機能が追加されています。
■ステンシルマスクのサポート
■lazy mouseのサポート
■ジッターを作成するための「Random」ブラシノード
リアルタイムパストレーシング
Direct3D12とVulkanで動作するレイトレースベイキング、ペイントエフェクト、ビューポートレンダリング機能は現在開発中であり、実験的な機能としてArmorPaintDXRビルドとArmorPaintVKRTビルド(Linux用)で提供されています。
以下の動画では、DXRとDirect3D12を使用したハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシング機能を使用してビューポートモードでリアルタイムにペイントする様子を確認できます。
パストレースは、ライブブラシプレビュー機能(設定から有効にできます。そのうちデフォルトでオンになるようです。)にも適用されるようです。
また、ArmorPaintDXRビルドとArmorPaintVKRTビルドで利用できるレイトレースベイキングでは、AO、Lightmap、Thicknessマップをベイクすることができます。
iPadとAndroidに対応
iPad版とAndroid版がリリースされました。それぞれApp StoreとGoogle Playから購入することができます。
ArmorPaint on iPadOS with cloud support. Coming to the AppStore! pic.twitter.com/7NB6o5YTDm
— Lubos (@luboslenco) July 19, 2021
第4世代 iPad Pro 12.9 インチで
iPad版を軽く使用してみましたが、結構落ちます!m1 iPad で利用した方が良いかもしれません。(ただのバグかも)Android版は、早期アクセスと表記され、ベータ版としてリリースされています。
その他の新機能と改善
- 無制限のマスクをサポート。
- マスクブレンディングのサポート。
- import_svgプラグイン追加 – .svgフォーマットのサポート。
- import_usdプラグイン追加 – .usdcフォーマットをサポート。
- レイヤーをグループ化する機能を追加。
- グループの不透明度を設定する機能を追加。
- ノードグループのサポートを追加。
- レイヤーのテクスチャをパッキングする機能を追加。
- エクスポートプリセットに「minecraft」と「unigine」を追加。
- テクスチャにマテリアルをベイクするオプションを追加。
- レイヤーマスクをファイルにエクスポートするオプションを追加。
- 環境設定 – ビューポートに「モバイル」レンダラーオプションを追加。
- フォント」タブにフォントプレビューを追加。
- Curvature Bakeノードを追加- マテリアルノード内の曲率にアクセスできます。
- 「Warp」、「Shader」、「Script」マテリアルノードを追加。
- Pickerマテリアルノードを追加。
- レイヤーに法線と高さのブレンドを追加。
- 「環境設定 – 使用方法 – デフォルトのレイヤー解像度」オプションを追加。
- 「UVアイランド」フィルモードを追加。
- ドラッグ&ドロップによるレイヤーの並び替え。
- macOSのビルドにMetalが採用。
- macOSのRetina対応。
- VRの初期サポート。
- Blenderのライブリンクをチェック
- Mayaのライブリンクをチェック
ArmorPaintの機能については公式ドキュメントページへ
アップデート情報
v0.9- 2023.8
このリリースでは、にじみ(smudge)ツールの追加、グループマスクを追加など多くのアップデートが行われています。新機能がわかりやすく紹介されているわけではありませんが、v0.9を使用している様子を確認できるデモ動画が公開されています。
■新機能リスト
- にじみ(smudge)ツールの追加。
- UV unwrapping ダイアログを追加。
- グループマスクを追加。
- 高さと不透明度のピッキングを追加。
- 新しい .obj 読み取り機能を追加 (~40% 高速化、~20% メモリ削減)。
- gimp カラーパレットのインポート/エクスポートが追加。
- カラーIDツールに「マスクへ(to mask)」ボタンの追加。
- 丸いUIのコーナーをサポート。
- スプラッシュクリーンの追加。
- ツールのプロパティを隠すオプションの追加。
- テクスチャとノードのプレビューウィンドウにカラーピッキングを追加。
- レイトレースによるベイクにプログレスバーを追加。
- ブラウザタブにテクスチャプレビューを追加 (by MathemanFlo)。
- ブラウザタブにコンテキストメニューを追加(by MathemanFlo)。
- レイヤーとマテリアルのショートカット・プレビューを追加 (by MathemanFlo)。
- ビューポートモードのショートカットを追加 (by MathemanFlo)。
- 新しいArmoryブルームを追加 (by Moritz Brueckner)。
- デフォルトのカメラコントロールを設定するオプションを追加。
- サイドバーにコンパクトUIモードを追加。
- 環境設定オプションに「touch ui」を追加。
- スウォッチにPBRサポートを追加。
- ノード検索に検索アイコンを追加。
- タッチ操作キーマップを追加。
- export-material’引数を追加。
- カメラコントロールにツールチップを追加 (by MathemanFlo)。
- ライトアングルと環境アングルのツールチップを追加 (by MathemanFlo)。
- スウォッチにピックした色を追加(by MathemanFlo)。
- ツールチップにショートカットを追加 (by MathemanFlo)。
- ブラウザに「更新」ボタンを追加 (by MathemanFlo)。
- ブラウザの検索をクリアするボタンを追加 (by MathemanFlo)。
- ‘about’ダイアログに’contributors’ボタンを追加した。
- ビューポート環境設定に「ノイズグレイン」オプションを追加。
すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
ArmorPaintは、Windows、Linux、MacOS11.0以降とApple M1チップを搭載したMac、iPadOS 14.0以降、Androidで利用できます。
ArmorPaintのペイントプロセスはGPUで実行され、パフォーマンスは主にグラフィックカードに依存します。4Kペイントの最小要件は、IntelHD4000グラフィックカードです。16Kペイントの場合、GTX 1060 / 6GB以上が推奨されています。
ArmorPaintはオープンソース化されており、こちら(開発者向け)からコードにアクセスできます。ArmorPaintのgit版をコンパイルする場合は、コンパイラ (Visual Studio – Windows, clang + deps – Linux, Xcode – macOS / iOS, Android Studio – Android)、 nodejs 、 gitがインストールされている必要があります。
PC版(Windows、Mac、Linux)はGumroadから19ユーロ、iPadOS版は、App Storeから2,500円で、Android版は、Google Playから2,750円で購入することができます。
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