[11/19更新]デジタル3Dテクスチャペイントソフトウェア Mari 5.0v1が正式リリース

CGソフト

2021年11月19日更新:この記事は以前の記事を更新したものです。

Mari 5.0v1が正式にリリースされました。新機能はBeta版のとき紹介したものと同じですが、いくつか動画を追加しています。

2021年10月9日(現地時間)Foundryは、デジタル3Dテクスチャペイントの最新アップデートMari 5.0v1と4.8v1のベータ版をリリースしました。Mari 4.8v1は、Mari 5.0v1と同じ機能を持っていますが、Python 2.7を使用しています。

Mari 5.0v1 新機能

今回のリリースでは、これまでのシステムに新たな可能性を与えるだけでなく、過去数年間で最も要望の多かった機能を導入することも目的となっているとのことです。

USDプレビュールックエクスポート

Mari 5.0には、USDプラグインで利用可能な機能を追加することで、MariのUSD統合を継続的に成長させることを目的に、オープンソースのUSDプラグインのビルド版が同梱されています。

独自のバージョンのプラグインを構築して、スタジオのパイプラインのニーズに合わせて USD スイートの読み書き方法を調整したいスタジオのために、便利な環境設定が用意されており、 (Preferences > USD > General > Load USD Plugin) 出荷された USD プラグインを無効にし、スタジオのバージョンが代わりに問題なくロードできるようになります。

■USDメッシュのインポート

USDフォーマットのメッシュファイルからMariオブジェクトを作成するプロジェクトを開始できるようになりました。現在、メッシュインポーターは UsdGeomMesh と UsdGeomXform プリムバータイプのみをサポートしています。UsdShade、UsdGeomCamera、UsdLux、その他のUsd Schemasはサポートしていません。

さらに、メッシュインポーターは、UsdGeomMeshプリムに存在するOpenSubdivパラメータのネイティブサポートを持っています。これにより、複雑なオブジェクトがインポートされた際、ある部分はサブディビジョンに設定され、他の部分はそのままにしておくといったサブメッシュ単位でMariのサブディビジョンの動作を制御することができ、Mariや他のDCCがモデリングのダウンストリームでメッシュをどのようにサブディビジョンするかをアーティストがコントロールできるようになります。

■USDプレビューサーフェス

Mariには、UsdPreviewSurfaceのルックに近似した新しいShaderタイプが含まれています。これにより、他のDDCでのプレビュールックがMariで見たものと一致するようになりました。

■USDエクスポート

Mari 5には、MariとKatana間のパイプラインの摩擦を減らすために設計された、USDエクスポートワークフローの第一段階が含まれています。

この第一段階では、アーティストがプロジェクト内のUSD Preview Surface Shaderソースからフラット化されたプレビュールックをオーサリングし、KatanaのようなHydraを搭載したビューポートを持つDCCで表示できるようになります。これにより、アーティストはプロジェクトのプライマリレンダリングベンダーシェーダと一緒にプレビュールックを開発することができます。

Bakepoint Filters

Mari 4.6以降、Sync Baked、Limited Patch Bake Range、Bake Point to Texture Streamingなど、Bake Pointノードに継続的に新機能が導入されてきました。

Mari 5.0v1の新しい Bake Point Filters システムでは、アーティストはNodeGraphネットワークにベイクポイントを挿入し、ベイクされた結果に1つまたは複数のフィルターを適用できるようになりました。これにより、アーティストがNodeGraphを離れることなく、ペイントデータに Gaussian Blur などのフィルターを非破壊的に適用することができるようになります。

ブラシシステムの改善

Mariのブラシエンジンは、これまであまり改良されてきませんでしたが、Mari 5.0v1では、ユニークなダイナミックカラーとブラシチップの改良により、アーティストツールが一新されました。

■Brush Color Dynamics(ブラシカラーダイナミクス

以前のバージョンのMariでは、カラージッターを有効にすると、ストロークのアルファチャンネルを使用して、前景色と背景色の間をブレンドしていました。Mari 5.0では、ジッター効果をストロークごと、チップスプラットごと、ペン圧制御ごとに個別に操作することができます。
次の3つの主要なコントロールがあり、単独で使用することも、組み合わせて使用することもでき、驚くようなスタイルの結果を生み出すことができます。
  • 色相のジッター – 選択されたフォアグラウンドカラーの色相をジッターすることができます。色相の範囲コントローラーを使って、色相のジッターがどのように反応するかを正確に指定できます。例えば、青を前景色としながら、緑の色相に対しては20%、紫の色相に対しては0%のジッタリングを行うことができ、完全に微調整が可能です。
  • 彩度ジッター – 選択した前景色の彩度をジッターすることができます。色相範囲のコントロールと同様に、ジッタリングを行う彩度の範囲を正確に指定できます。
  • 値のジッター – 選択された前景色の値をジッターすることができます。ここでも値の範囲コントロールを使って、ジッターが発生する値の範囲を正確に指定することができます。

■イメージチップとアルファ

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以前は、ブラシを作成するための完璧なフルカラー画像を持っていても、Mari のブラシシステムではアルファチャンネルしか使用できなかったため、それを使用できませんでした。Mari 5.0のブラシエンジンでは、画像ファイルのRGBAフルカラーデータをブラシチップとして使用できるようになっただけでなく、ブラシチップのアルファを生成する場所を指定することができます。

ブラシチップのソースを選択する際に、以下のいずれかを選択できるようになり、最初から最後までブラシストロークをカスタマイズすることが可能です。

  • Red
  • Green
  • Blue
  • Alpha
  • Luminance(輝度)
  • RGBA

完全なRGBAイメージチップで作業する場合、ビットマップカラースペースをスカラーデータに切り替えることができる便利なトグルも追加されました。これはイメージマネージャと同様に動作し、ブラシチップシステムを使用してディスプレイスメントテクスチャデータを投影する際に重要となります。つまり、画像が正しく設定されていれば、微小な変位の複数のレイヤーを1回の滑らかなブラシストロークで描くことができるようになります。

また、フルカラーのブラシチップにより、アーティストはデカール画像をブラシチップとしてスプラットさせることができるようになります。新しいカラージッタリング機能と組み合わせることで、Mari 5で描くことができる可能性が大きく広がります。

パフォーマンスと最適化

Weta社との協力により、Mariのコアテクノロジーにいくつかの最適化がされました。

■Flattening Engineの改良

最新のOpenGL機能を活用することで、プロシージャルレイヤーをペイントに変換したり、ノードネットワークをベイクポイントにフラット化したりする際に、Mariのシェーダーフラット化の速度が大幅に向上しました。

ハードウェアとソフトウェアの構成にもよりますが、128個の4K UDIM(16ビット)でプロジェクションのプロシージャルをペイント可能なレイヤーに変換する場合、これまでよりも最大で50%も時間が短縮されます。

■プロジェクトデータの最適化

アーティストが長時間プロジェクトに取り組むと、ペイントやパッチのデータが繰り返し発生し、ディスク上に膨大なデータが蓄積されていきます。Mariは、プロジェクトのオープン時にクリーンアップ処理を行い、現在のプロジェクトの状態では必要のない古いデータを削除します。

古いペイントデータやキャッシュデータをクリーンアップする仕組みが改善されたことで、プロジェクトデータの軽量化が図られています。

ノードグラフとプロシージャリズム

これまでの問題点を取り除き、ユーザーエクスペリエンスを向上させつつ、創造的な決定を強化するための新機能が導入されています。

■グリッドスナップ

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ノードグラフの構成やレイアウトを微調整したいアーティストのために、Nukeスタイルの「Snap to Grid」が利用できるようになりました。Mari 5.0では、アーティストがノードグラフのルックやスナップグリッドのスケールを自由にカスタマイズできます。この機能に取り組んだ結果、以下の機能もAPIで公開され、アクセスできるようになりました。

  • グリッドへのスナップ
  • グリッドの高さ
  • グリッドの幅
  • グリッドの色
  • ノードグラフの色

■グラデーションプロシージャル

Mariのプロシージャル機能をさらに強化するために、5種類の新しいプロシージャルパターンが導入されました。これをプロジェクターやロケータと組み合わせて使用することで、複雑なマテリアルを動かすパワフルなプロシージャルマスクを作成することができます。レイヤースタックでもノードグラフでも、以下の機能が利用できます。

  • Camera Distant Gradient – 選択したプロジェクタからの距離に基づいてグラデーションを描画します。
  • Object Distant Gradient – 選択されたオブジェクトまたはロケーターからの距離に基づいてグラデーションを描画します。
  • Camera Facing Gradient – 選択されたプロジェクタへの向きの角度に基づいてグラデーションを描画します。
  • Object Facing Gradient – オブジェクトまたはロケーターの位置の向きの角度に基づいてグラデーションを描画します。
  • Two Point Gradient – 2つのオブジェクトまたはロケータ間の距離に基づいてグラデーションを描画します。

■その他のノードのアップデート

TiledノードとTri-Planarノードが拡張され、Tangent Space Normal Map rotationをサポートするようになりました。さらに、Mari 5.0では、プロシージャルネットワークで使用される4つの新しい数学ノード(Sin、Cos、Min、Max)が追加されています。

VFX Reference Platform CY2020

Mariのサードパーティライブラリは、VFX Reference Platform CY2020の仕様に合わせてアップグレードされています。

■サードパーティライブラリのバージョン

Mari 5.0/4.8と4.xの具体的なバージョン比較は以下の表のようになります。

Mari 5.0/4.8Mari 4.x
gcc6.3.14.8.2
glibc2.172.12
Python3.7.7*2.7.13
Qt5.12.105.6.1
Qt for Python(PySide)5.122.0
OpenEXR2.4.22.2.0
Ptex2.3.22.1.28
OpenSubdiv3.4.33.1.x
Alembic1.7.101.6.x
FBX2020.1.12017
OpenColorIO2.01.0
ACES1.11.0.x
Boost1.70.01.61
C++ API/SDKC++14C++11

※Mari 4.8はPython 2.7.13のままです。

■OpenColorIO 2.0

VFX Reference Platform CY2021に先駆けて、Mari 5.0ではOCIOライブラリをバージョン2.0にアップグレードし、Nuke 13.1のリリースに対応しました。

すべてのアップデート内容の確認はこちらから

価格とシステム要件

Mari 5.0 は、Windows 10 64-bit、Linux 64-bit operating system (CentOS/RHEL 6)で利用できます。より詳しいシステム要件はこちらから

Mariの価格は、1年間のメンテナンス付きの永久ライセンスは2,280ドル、個人や中小企業向けサブスクリプションは659ドル /年または 65ドル /月となっています。価格の確認はこちらから

30日間の無料トライアルはこちらから


Mariウェブサイトへ

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