10月20日(現地時間)SideFXは、ノードベースの3DCGソフトウェアの最新アップデートであるHoudini18.5をリリースしました。
このリリースでは、モーション編集とリターゲティングを簡単、柔軟にするプロシージャルリギングソリューション「KineFX」、Vellum クロス、ワイヤ、ソフトボディ用インタラクティブなブラシツール、PyroFX 高速シミュレーションのためのミニマルソルバ、 Solaris にスナップショットギャラリーなどの多数の機能強化が搭載されました。
Houdini18.5 新機能と機能強化
GEOMETRY (ジオメトリ)
Houdini のジオメトリ生成やモデル構築用のプロシージャル手法はリリースごとに進歩しており、Houdini 18.5 でも、作業を効率に行えるようにデザインされた新しいツール群が含まれています。
モデリング
■TOPO TRANSFER
トポロジを一つ転送し既存モデル形状に一致させます。高解像度モデルであっても、ガイドを使用することでジオメトリをテンプレート上の正しいポイントに接続することができます。
■INTERACTIVE STATES
PolyBevel や SideFXLabs の Boxcutter などのツールは、Python ベースのインタラクティブステートを使用して、アーティストのビューポート作業時の操作性を向上させています。
■CHAIN
いくつかの異なるモデルを元をカーブに沿ってつなぎ合わせ、パターン、ランダム性、またはウエィト付きのランダム性により分布できます。
■PATH DEFORM
パスカーブに沿ってジオメトリを変形、カーブ上の位置、インタラクティブハンドルまたはランプを使用してサイズやスケールを制御します。
Environments
■SCATTER & ALIGN
サーフェス上にポイントを散布しオブジェクトをポイントにコピーまたはインスタンス化し、森や岩の多い風景など、大量のオブジェクトを作成を可能にします。ポイントアトリビュートにより、コピー/インスタンスのスケーリングや向きの設定変更が可能です。
■ATTRIBUTE FROM PIECES
Attribute from Pieces は、Copy to Points ノードで使う各ポイントにコピーするモデルを決定するために使用される「piece」アトリビュート定義のための強力で柔軟な方法です。ランダムまたはさまざまなルールに従ったピースを割り当てが可能です。
■MASK BY FEATURE
このノードを使用すると Scatter へのマスク定義ができます。例えば、物の上部に植物を成長させたいが、下の部分の暗い領域では成長させたくない場合など。 または、アンビエントオクルージョンを元にあるオブジェクトの亀裂の中に岩を散乱させたい場合など。
■PICK & PLACE | SIDEFX LABS
Pick and Place は、シーン内のオブジェクトをクリックしてドラッグすることで、配置、拡大縮小、回転を可能にするインタラクティブなツールです。 入力ジオメトリと衝突判定したりスクロールホイールで配置する入力オブジェクトの選択ができます。
UX
このリリースで、
ネットワークビューではラディアルメニューや J キーによるノード間のすばやく接続機能が導入されています。
VIEWPORT
OpenGLビューポートは、すべてのライティングモードでの被写界深度とボケ対応に加え、ユニフォームとボリュメトリックフォグ効果に対応しました。
ライセンシング
Indie と商用スタジオにおけるライセンス管理支援のため、SideFXはライセンスにアクセスするための新しい方法を実装しました。
■ログインライセンシング
ローカルに sesinetd をインストールする代わりに、sidefx.com をライセンスサーバとして使用できるようになりました。 ログインライセンスの使用には、sidefx アカウントに常時ログインが必要です。別コンピュータからのログインもできますが、一時に使用できるのは1台のみです。このライセンスタイプは Indie ユーザに最適です。
■使用量ログ
ピーク使用量ログシステムへの出力オプション追加。 間隔設定、出力タイプおよびグループ化などが追加されました。
■パーティションニング
設定条件に基づきライセンスをさまざまなグループに仮想的に分割できます。
キャラクタ
Houdini 18.5 では KineFX が導入されました。これは、リターゲティングとモーション編集のためのプロシージャルベースのキャラクタツールセットで、将来的にリギングやアニメーションにも拡張される予定です。ジオメトリコンテキストにおける新しいワークフローにより、リギングは手早くつなぐだけで、無限の柔軟性やキャッシュ機能を提供します。
KineFX | SOP Joints
[SOP] コンテキストに実装された KineFX は、ジョイントを、通常のポイントジオメトリとリグ階層定義のエッジ接続として扱います。 リグを、Houdini のオブジェクトレベルまたは FBX キャラクタを読み込み、KineFX ツールで操作可能です。
KineFX | プロシージャルワークフロー
KineFX では、あるリグから別のリグにモーションをリターゲットし、フルボディ IK ソルバを追加することでより直接的な制御ができます。 リグとモーションが通常ジオメトリとして表現されるため、SOP のすべてのモデリングツールはすぐに利用できます。
■Retargeting
■SOPs での操作■フルボディ IK
KineFX | モーション編集
モーションをジオメトリとして表現すると、リグシーケンスの視覚化、編集、ブレンドが容易になります。歩行や傾斜を登るキャラクタに足の安定化したり、あるクリップの腕を別のクリップの脚と組み合わせ、モーションライブラリに多様性を追加したりできます。
■Motion Editing
■足の安定化
■モーションブレンド
KineFX | Vellum
クロス、ソフトボディ、ワイヤなどの Vellum ダイナミクスをリグに統合し、キャラクタに二次的な動きやリアルなエフェクトの追加ができます。
CFX
Houdini18.5では、より多く使用されるようになってきたHoudini のヘア、ファー、クロス、群集ツールなどのキャラクタエフェクトがさらに強化され、ワークフローの高速化と最終的なプロダクションクオリティの向上ができるようになっています。
VELLUM | Cloth
Houdini 18.5 の Cloth の目的の一つは、布生地のプリセットを追加、ワークフローにインタラクティブにしつつ、リアルなルックに手早く到達できるようすることです。
VELLUM | Fabric Presets
クロスシミュレーション設定をすぐにできるように、コンテンツライブラリには、シルク、ベルベット、ウール、レザー、ジャージー、レインコート、刺繡付きチュール (ドレス)、ジーンズ の8つの異なる布生地が含まれており、それぞれに固有の物理的挙動とシェーダが備わっています。
VELLUM | インタラクティブブラシ
Vellum クロス、ワイヤー、ソフトボディ用のインタラクティブブラシは、シミュレーションの静止状態をよりダイナミックに設定したり、単にシーンにリアリズムを追加するためのモデリングツールとして機能します。
■ワイヤ
■クロス
■ソフトボディ
■クロス & ソフトボディ
群衆 | KineFX
群集ツールは新 KineFX キャラクタツールと統合され、エージェントの準備や洗練が容易になりました。同時に、群衆から際立った特定挙動をヒーローエージェントに演出するワークフローを提供します。
■KineFX によるエージェント■ヒーローエージェント
FEM | コンストレイン
FEM にアタッチとスライドのコンストレインが追加され、シミュレーションのさまざまな部分間でより物理的な接続を作成できます。物理的に正しいソルバ挙動にはボリューム保存が含まれ、クロスシミュレーションで同じ効果を試すのとはまったく異なるルックを実現できます。
LOOKDEV
Houdini 18 で Solaris を導入、ルックデブ、レイアウト、ライティングのワークフローをサポートしました。当初は、USD ベースのパイプラインのフレームワークの確立に焦点が当てられていましたが、Houdini 18.5 では、アーティスト主導のワークフローの確立のためのツール作成に焦点が移りました。
SOLARIS | レイアウト
Solaris でのショットの設定はこれまでになく簡単になり、バリアントの視覚化と展開機能、Edit ツールを改善し、操作アセットの管理のためのスプレッドシートインターフェイスを提供、そして RBD シミュレーションの効率的処理のための専用ツールが搭載されました。
■バリアント
■編集
■RBD
SOLARIS | ライティングワークフロー
新しいライトミキサーにより、インタラクティブハンドルを含むライトのすべての側面を操作できるようになりました。このツールにより、ライトの追加が簡単になり、ショットライティングのためのハブになります。 マルチショットシーケンスでは、コンテキストの編集オプションと挿入ポイントにより、ショットごとにライトを追加するかシーケンスごとにライトを追加するかの決定に役立ち、ライトの管理が容易になっています。
■ライトミキサー
■マルチショット
SOLARIS | スナップショット
新しいレンダーギャラリーでは、アーティストが進捗状況のスナップショットを撮り、確認や比較ができます。各スナップショットには、そのルック設定のすべてが含まれ、シーンを元に戻してスナップショットに一致させることがいつでも可能です。スナップショットにはラベルを付けてフィルタリングすることで、簡単にアクセスできます。
KARMA
Karma は Houdini18.5 では未だベータ状態ですが、ファー対応、物理レンズシェーダ、Mplay へのプログレッシブレンダリングなどの新機能が追加されています。
■LENSES
■MPLAY
KARMA | Round Edges
Round Edge シェーダを使用すると、ジオメトリをベベルすることなく、レンダリング時にジオメトリのエッジに丸みを持たせることができます。 これは、trace などより多くの VEX 関数が新しいレンダラーに移植されたことで、Karma で利用可能になった機能の一例です。
KARMA GPU+ | 将来への展望
Houdini の将来のリリースの目標の1つは Karma GPU+ で、Solaris ワークフローにより高速なレンダリングをもたらすことです。このテクノロジーはまだ開発中であり、 Houdini 18.5 では利用できません が、以下のプレビュー動画が公開されています。
VFX
Houdini 18.5 での VFX の重要なイニシアチブは、最終品質レベルの結果を容易に達成できるようにするための高レベルのツールの導入です。VFX のセットアップと実行が簡単になれば、アーティストは各プロジェクトのクリエイティブなニーズ対応のために、より多くの繰り返し作業を行うことが可能になります。
PYRO FX | インタラクティブソルバ
PyroFX シミュレーション形成の導入点として、GPU を活用しインタラクティブなパフォーマンスを提供する新しいツールが搭載されました。 これは CPU を使用するよりも、洗練されたシミュレーションの効果的な開始点になります。
■インタラクティブソルバ
■簡易GPU
PYRO FX | プロダクションワークフロー
Houdini 18.5 には Pyro Burst と Trail ツールが搭載され、最終品質の結果をより迅速に達成するために、シミュレーションの初期状態をプロシージャルにすばやく設定できるようになりました。これらのツールはカスタマイズ性が高く、VFX への独自セットアップを多く作成することを容易にします。
■PYRO BURST
■PYRO TRAIL
■TRAIL COLLISIONS
PYRO FX | シェルフツール
シェルフツールは、煙、火、爆発などの一般的な PyroFX シナリオに使用できますが、ライトとシェーダを使用した設定方法を示すために、コンテンツライブラリにおいて各ツールの完全なショット例が利用できるようになりました。
FLIP FLUIDS | 粘性度
Houdini 18.5 では、アダプティブな圧力射影 (pressure projection) を拡張し、粘性流体も対応するようになりました。これにより、アーティストはサーフェス部分のディテールに集中でき、より高速なシミュレーション、または大規模であっても低メモリ消費のシミュレーションが実行可能になりました。
ゲーム開発
Houdiniは、リアルタイム FX、環境、世界構築、自動化など、ゲーム開発の主要分野にプロシージャルソリューションを提供しています。 Houdini 18.5 では、Engine プラグインでの Session Sync、キャラクタのモーション編集やリターゲットのための KineFX の導入など、さまざまな方法でそのツールセットを強化しています。
HOUDINI ENGINE | セッションシンク
Unity と UE4 用の Houdini Engine プラグインでは、両方のアプリケーションで同一セットアップの管理が可能になる Session Sync が提供されています。 ゲームエンジンで行われた変更は Houdini に反映され、その逆も可能で、ゲームアート制作時に、アーティストにとって仕事に最適な UI の選択が可能になりました。
■Unity
■UE4
HOUDINI ENGINE | UE4 PLUG-IN V2 | BETA
Houdini Engine for UE4 プラグイン V2 は現在ベータ版で、ブラシやブループリント対応、PDG統合などの機能が含まれています。 この重要な新しいプラグインの開発に、御社のニーズが反映されるよう、ベータプログラムに参加することもできます。
ベータプログラムはこちらから
■UE4 PLUG-IN V2
■UE4 ブラシ
■PDG 対応
KineFX | モーションキャプチャ
モーションリターゲティングおよび編集ツールセットを備えた Houdini18.5 の新しい KineFX ツールにより、モーションキャプチャスーツまたは既存 FBX クリップから、ゲームエンジンにキャラクタのモーションを直接取り込むことができます。
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SIDEFX LABS
SideFX Labs は、Houdini 導入をより早く簡単にするためのツールを開発する実験場としての役割を継続しています。多くの SideFXLabs ツールは、一般的なゲーム開発ワークフローをまとめ、日常的に使用するソフトウェアとの統合を緊密にし、毎日更新されています。 Labs ツールセットに最近追加されたものは以下の通りです。
■BOXCUTTER
■PICK & PLACE
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PDG
PDG は、依存関係をスマートに管理しながら生産性を向上させ、変更時の再計算を最小限に抑えるようにデザインされた豊富なストックノードのセットを提供します。これは、パイプラインを自動化しチームの生産性をこれまで以上に高めるための理想的なソリューションとして位置付けられています。
PDG | パフォーマンス
Houdini 18.5では、処理速度向上が重要なイニシアチブでした。 Houdini Engine での ROP Fetch クッキングから、一般的なパフォーマンスとメモリ使用量の改善まで、PDG はパイプラインタスクを自動化するためにこれまで以上に強力になりました。
■機能強化
■PERFORMANCE MONITOR
PDG | Asset Render Pipeline
PDGは、さまざまなライティング条件下でアセットのレンダリング、結果のビデオへの変換、Shotgun などのプロジェクト管理ソフトウェアでのアセット更新を行うパイプライン構築に最適なツールです。 コンテンツライブラリから、スタジオで使用するためにこのワークフローをまとめたデジタルアセットをダウンロードできます。
■SHOTGUN 設定ツール
この他にも多くに機能改善があります。
すべてのアップデート内容の確認はこちらから
価格とシステム要件
Houdini 18.5 はWindows 8 (64 ビットのみ)以降、Mac OSX 10.13 以降(64 ビットインテル CPU 搭載 )Linux: Ubuntu 16.04+ LTS (64ビット)/Debian 9.0+ (64ビット)/RHEL 7+ (64ビット)/Fedora 25+ (64ビット)/Open SUSE 15+ (64ビット)/CentOS 7+ (64ビット)/Mint 17.3+ (64ビット)に対応しています。
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無料体験版で学生やプロシージャル手法を習得したいアーティストは、インストール時に無料のライセンスHoudini Apprentice を入手可能です。
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