3D and Motion Design Show が7月22日から開催され、Maxon の CEO David McGavran氏は “ Maxon news and announcements“の講演の中で、Cinema 4D、Redshift、RedGiantの最新情報が発表されました。
RedGiantのアップデート情報や、Cinema4Dの次リリースの情報については以下の記事をご覧ください。
ここでは、Redshift 3.0について改めてまとめ、講演で公開されたの情報について紹介したいと思います。
Redshiftについて
Redshiftは、GPUアクセラレーションバイアスレンダラーです。
2012年初頭にカリフォルニア州ニューポートビーチに設立されたRedshift Rendering Technologies Inc によって開発され、2019年4月に買収されました。
Redshift3.0
Redshift 3.0 は、長らく Experimental builds (実験的ビルド)でしたが、現在 Customer builds(安定版ビルド)に移行しています。正確な時期はわかりませんが、講演に合わせて移行されたか、少なくとも最後の前バージョン 2.6.56 が6月29日にリリースしていることから、7月に入ってからメインビルドに移行したものと思われます。
Redshift 3.0での主要な変更(未実装含む)
昨年フォーラムで公開された Redshift 3.0 の情報をもとにした機能紹介となります。
- より高いトレース深度:Redshiftは、最大64の拡散、反射、屈折バウンス、256の透明度レベルをサポートするようになりました。この変更はRedshift内部の多くを書き換える必要があったようですが、副産物として、レンダリングコアを数パーセン高速化されたということです。
- サンプリング/シェーディングの最適化:レンダリングをさらに高速化するのに役立つ自動サンプリング機能が実装されています。現在もコアシェーディング技術のリファクタリングは引き続き行われており、今後、OSL/MDL/Material-Xの互換性の追加がされる予定となっています。自動サンプリングは以下のチェックボックスから有効にすることができます。
- RTX (RTコア) サポート:Nvidia グラフィックスカードRTXシリーズに搭載されているレイトレーサ(RTコア)に対応しました。ほどんどの場合、有効にするとレンダリングが高速化します。最近では、RTXアクセラレーションとOptixノイズ除去を改善するOptix 7.0がサポートされています。以下のチェックボックスから有効にできます。
- 透明度と屈折を利用したライティングAOV:より高いトレース深度を達成するための作業によって、照明関連のAOV(diffuse / specular / etc)を透明度と屈折によって可視化することが可能になりました。
- セカンダリレイクランプの改善:このシステムはバージョン2.6でが刷新されましたが、セカンダリレイのクランプの仕方を間違えるとエネルギーロスが発生する場合がありました。3.0ではセカンダリレイの精度が向上しています。
- ライトグループAOVの忠実度が向上:ライトグループのAOV計算は、場合によっては精度の不正確さを生み出し、最終的なコンパイルでは「ghosting」のアーチファクトが発生していましたが、これは現在修正されています。
- DeepEXRの改良:トレースの深さの増加とコアの変更により、Deep EXR技術にいくつかの問題が生じましたが、改善されました。
- ネイティブなC4Dノイズ:Maxonに買収されたことにより、Cinema4DのノイズノードがRedshiftに統合されました。
- Altus Denoiser が無料に:Altus Denoiserが無料で利用可能になりました。Optix 7.0をサポートしてからは比較していませんが、以前はAltus Denoiserの方がきれいにノイズ除去ができる印象でした。
- NVLink のサポート
- RedshiftRT(未実装)
- OSLのサポート(未実装)
- OCIOのサポート(未実装)
Redshiftは、さまざまなソフトウェアに対応しているため、ここでは共通の内容を紹介しました。個別のソフトウェアでは随時機能が追加されています。興味のある方はフォーラムで確認してください
今後のアップデート予定
3D and Motion Design Show の最初に行われた Maxon の CEO David McGavran 氏の講演の中で、Redshift on metal と Redshift RT のデモが公開されました。また、軽く今後のアップデート情報にも触れられたので、合わせて紹介したいと思います。
Redshift の情報は4:15あたりからです。
Blenderのサポートが近い
David McGavran氏は講演の中で 「数週間後には、redshift は OSL のサポートを導入し、その後まもなく Blender のサポートを開始しまする予定です。」と述べています。
最初に実装されるのは、おそらくBlenderプラグインのアルファバージョンだと思いますが、そう遠くない時期に利用可能になりそうです。
Redshift on metal
Apple metal に対応した Redshift の最初のバージョンのデモ映像が公開されました。このデモはmac pro の macOS big sur public beta 上で実行されています。
デモでは、ベンチマークシーンに加えて、Open Color IOとACESワークフローを使用したUSDの屋根裏部屋のシーンを見ることができます。屋根裏のシーンでは「多くのマテリアルを使用した非常に複雑なシーンにもかかわらず、非常に反応が良い。」と述べられています。
正確な時期は公表されませんでしたが、登録ユーザーは redshift フォーラムで利用できるようになるということです。
Redshift RT
そしてRedshift RT のデモも公開されました。
このデモ紹介したRedshiftチームの nicholas bertnick 氏によると、「Redshift RT は、現在のRedshift を補完するために設計され、redshiftと同じワークフローとホストアプリケーションの統合を維持しつつ、リアルタイムまたはニアタイムのパフォーマンスを実現することを目的としたハイブリッドラスタライザレイトレーサ」と説明しています。
講演では2080のモバイルCPUを搭載した Razer のラップトップで以下のデモを実行しています。デモでは、Redshift RT が動作している様子や、標準のRedshiftと同じマテリアルとライトを使用していることも確認することができます。
ゲームエンジンのようなハックは、ある程度の品質や柔軟性を放棄しなければならないので Redshift RT には使用されていないということです。
Redshift RT は現在、積極的に開発している段階であり、製品リリースでは今回のデモよりさらに良いパフォーマンスが期待できるということですが、実装時期はこちらも不明となっています。
価格とシステム要件
Redshiftは現在、64ビットWindows 7以降、Linux: 64-bit distribution with glibc 2.12 or higher、MacOS: Sierra (10.12) と High Sierra (10.13)の Maya、3ds Max、Softimage、Cinema 4D、Houdini、Katanaのプラグインとして使用することができます。
すべての統合プラグインと1年間のメンテナンスを含む永久ライセンスの価格は、ノードロックライセンスが500ドル、フローディングライセンスが600ドルです。
メンテナンスには、テクニカルサポートとすべてのアップデートが含まれます。1年後、更新とサポートを受け続けるには、ノードロックの場合は250ドル、フローティングの場合は300ドルのメンテナンス契約をさらに1年延長する必要があります。
(注意:猶予期間を過ぎてメンテナンスが期限切れになる場合は、Redshiftの新しいライセンスを正規価格で購入する必要があります。既存のメンテナンスを更新するための猶予期間は1年です。)
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