現在Cinema 4Dのみをサポートしているリアルタイムレンダラー U-Render を開発している UPPERCUT が、2020年ロードマップを公開しました。2020年ロードマップにはパーティクルレンダリング(Cinema 4Dの主要なプラグインである X-Particlesを含む) のサポートやMayaのサポートの予定があります。
公式のニュースは少し細かいことまで書いているので少し端折って紹介します。
UPPERCUTの方針は、U-RENDERをこれまで以上に高速化することとしています。U-RENDERは、リアルタイムレイトレーシングのような新しい技術を取り入れていくためのベースができています。現在はワークステーションの性能を最大限に引き出すために、コアアーキテクチャの改良を進めており、マルチコアCPUとマルチGPUシステムについての研究に焦点が当てられています。また、新しいAPIに移行することにより、U-RENDERのパフォーマンスをさらに向上させることができ、新しいプラットフォームへの対応も可能になるということです。
開発プラットフォームについて
TachyonとHeliosという2つの分野の開発が進められています。
Tachyonでは、U-RENDERの製品開発を行っており、年間を通して新しい機能を提供し続けます。これらの機能の中には、すでに開発に着手しているものもあれば、ユーザーやコミュニティからのフィードバックに基づいて評価されるものもあります。
Heliosは、将来的にU-RENDERに搭載される新技術のためのプラットフォームです。負荷のかかる新しいマルチコアCPUアーキテクチャをどのように活用できるか、また、Vulkan、DirectX、Metalのような最新のAPIでも利用できるようになったリアルタイムレイトレーシングのような新しい技術をどのように取り入れることができるかを研究しています。これらの新しいAPIはまた、前例のないレベルでのマルチGPU開発をサポートしています。
将来の機能
今後数ヶ月の間に、リアルタイムカラーグレーディングポストエフェクト(real-time color grading post effects)や、サブサーフェススキャッタリング(subsurface scattering)の新機能の最初のリリースが計画されています。
リアルタイムカラーグレーディングポストエフェクトの最初のリリースでは、彩度、明るさ、コントラスト、露出、ガンマの基本的なコントロールが可能になります。将来的には、カーブ、色温度、ヒストグラム、クリッピング表示などの機能を追加する予定であり、カラーグレーディングLUT(ルックアップテーブル)もサポートする可能性があるということです。
サブサーフェススキャッタリングについては、現在、見栄えの良い結果となる方法を検討している段階ということです。
これら2つの機能は4月と5月にリリースすることを目標としています。
Cinema 4Dとのインテグレーションの強化
U-Renderをスタンドアロンレンダリングを独自のレンダリングビューとしてCinema 4Dに統合する方法が検討されています。
Cinema 4Dにはカスタムビューポートを統合するサポートされた方法がないことや、GPU技術の進歩とAppleによるOpenGLサポートの中止により、既存のOpenGLベースのビューポートを変更する可能性が高いという問題がありますが、これらの問題の解決策について6月には新しい情報があるようです。
パーティクルレンダリング
パーティクルレンダリングは現在HeliosとTachyonの間にある機能であり、新しいプラットフォームにおいてはデータ指向設計(Data-oriented design)に細心の注意を払っているため、パーティクルのパフォーマンスが大幅に向上することが約束されています。
しかし、Uppercut は新しいコアアーキテクチャが利用可能になるまでパーティクルレンダリングのサポートを遅らせたくないといことで、現在のアーキテクチャをベースでのCinema 4DパーティクルのレンダリングとX-Particleの早期サポートを考えているということです。最初のステップは、ジオメトリパーティクルとシンプルなレンダリングモードをサポートすることです。
パーティクルレンダリングのプレビューは、7月から8月に公開される予定です。
Maya サポート
2020年後半には、Autodesk Mayaを始めとする他のホストアプリケーションをサポートする予定です。今後数ヶ月のうちに Maya プラグイン プロトタイプの開発を開始し、10 月までに初期のアルファ版を準備し、年末までにベータ版を立ち上げる予定です。
その他のプラグイン
他のホストアプリケーションもサポートする予定ということです。
第一段階は、メディア&エンターテイメント業界からのアプリケーション。AEC(建築、エンジニアリング、建設)市場の業界からもフィードバックや要望が寄せられており、建築、エンジニアリング、建設のアプリケーションにリアルタイムレンダリングを統合する方法も検討されています。
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